[2次] (財務・会計) CF計算書はどこまで正確に書くべきか?

中小企業診断士を目指す皆様、おはようございます。がんちゃん/岩間です。 

2次試験の事例Ⅳでは、過去に何度か、CF計算書の途中経過を書く問題が出題されました。しかし、採点基準が公表されないため、どこまで厳密に記述すべきかを判断するのが難しいです。また、参考書や問題集などに載っている解答例にも、どういった別解が考えられるかが書かれていないケースもあるため、自分の答案が合っているかどうかが判別できないと思っている方もいらっしゃると思います。

そこで本日は、CF計算書はどこまで正確に書けばよいかをお伝えします。

※本記事は、筆者が受験勉強中の経験に基づいてまとめたものであり、本試験での採点基準に基づくものではありません。また、会計基準や実務指針に厳格に則っていない点もございます(厳密性を求めない理由は、相対的に重要でない論点の学習負荷を減らし、短期間の学習で合格できるようにするためです)。その旨をご理解いただいた上でご活用いただきますようお願いいたします。

 

◆サマリ

  1. 項目名
    • ⇒CFの増減が分かる内容が書かれていれば、一字一句正しく書く必要はないと思われます。
    • ⇒3パターンに分けてルールどおりに書くと良いです。
      (1)[P/L科目名そのまま
      (2)[B/S科目名+「の増減」
      (3)[原因+「の収入/支出
  2. 項目の表記順
    ⇒営業CF(小計前)、営業CF(小計後)、投資CF、財務CF に正しく分類できていれば、その中ではどのような順序で書いてもよいと思われます。
  3. その他の留意点
    1. CFの表示区分が明確に定まらない場合は?
      ⇒「可能性の一つを適当に書けば良い」と考えましょう。
    2. 直接法、間接法のどちらで書くべき?
      ⇒どちらも○ですが、間接法がお勧めです。
    3. 営業CFの計算過程で、「現預金増減−投資CF−財務CF」と書いたら×?
      ⇒×ではありませんが、お勧めはしません。直後のCF分析の記述内容に影響が出るからです。

 

◆1.項目名

CFの増減を示す内容を適切に表せていれば多少の表記の差異は問題にならないと思われます。

CFの項目名は、(1)P/L科目そのまま(2)B/S科目の増減(3)原因を明記 に分類できます。それぞれ、次の表のように項目を記載すると良いでしょう。

番号 項目の種類 記載方法
(1) P/L科目そのまま P/L科目名をそのまま記入

税引前当期純利益
減価償却費
特別損失

(2) B/S科目の増減

B/S科目名の増減額」/「の増加額」/「の減少額」のいずれかを記入

  • 「額」はなくても可
  • 「増加」か「減少」は、B/Sの増減により決まります。CFによる増減ではありません。もしミスしそうであれば「増減」と書いておくことで、回避できます。

売上債権の増加額
棚卸資産の増減
短期借入金の増加額

(3) 原因を明記

原因となる行為の収入」/「の支出」/「の支払額」/「の支出額」/「の受取額のいずれかを記入

  • 「額」はなくても可
  • (1)や(2)に分類できる項目であっても、(3)のように書いても構いません
    (例:「短期借入による収入」)

土地売却の収入
有価証券取得による支出
短期借入れによる収入
利息の支払額
配当金の支払額

 

(参考)どのような別表記が考えられるかを、前の記事[2次] (財務・会計) 絶対にミスしないためのCF計算書作成方法で扱ったCF計算書を例にとって、示します。

CF計算書 項目名の別表記 備考
税引前当期純利益 60    
減価償却費 100    
退職給付費用 2 退職給付引当金の増加額  
営業外収益 △8   与件や設問に「営業外収益は受取利息である」というような表記があれば「受取利息」も可
営業外費用 48   同上
売上債権の増加額 △20 売上債権の増加
売上債権の増減(額)
「売上債権の減少」はNG
棚卸資産の減少額 10 棚卸資産の減少
棚卸資産の増減(額)
B/Sに「棚卸資産」ではなく「商品」と記載されていれば「商品の減少(額)」と記載した方が無難。
「棚卸資産の増加」はNG
仕入債務の増加額 10 仕入債務の増加
仕入債務の増減(額)
 
小計 202    
営業外収入 8 営業外収益
営業外収益による収入
営業外収益の受取(額)
与件や設問に「営業外収益は受取利息である」というような表記があれば「受取利息」も可
営業外支出 △46 営業外費用
営業外費用による支出
営業外費用の支払(額)
同上 
法人税等の支払額 △24 法人税等の支払  
営業CF 140    
建物・機械の取得による支出 △110 建物・機械の取得  
有価証券の取得による支出 △2    
投資CF △112    
短期借入金の減少額 △50 短期借入金の減少
短期借入金の増減(額)
短期借入金の返済による支出
 
長期借入金の増加額 40 長期借入金の増加
長期借入金の増減(額)
長期借入れによる収入
 
配当金の支払額 △6    
財務CF △16    

 

◆2.項目の表記順 

営業CF(小計前・後)、投資CF、財務CF に正しく分類できていれば、その中でどのような順序で項目を書いてもよいと思われます。例えば、次の3つの書き方のいずれでも構いません。

標準的な順序 別の書き方1 別の書き方2

税引前当期純利益
減価償却費
受取利息
支払利息
売上債権増加額
仕入債務減少額
小計

税引前当期純利益
支払利息
受取利息
売上債権増加額
仕入債務減少額
減価償却費
小計

税引前当期純利益
仕入債務減少額
売上債権増加額
減価償却費
支払利息
受取利息
小計

 

◆3.その他の注意点 

その他の注意点をいくつかご説明します。

(1) CFの表示区分が明確に定まらない場合(「その他の流動資産」や「その他の固定資産」 など)

B/Sの「その他の流動資産」や「その他の固定資産」などのように、表記だけからはCFの表示区分を特定できないB/S科目があります(その内容が分からないと、営業CF・投資CF・財務CFのいずれであるかを特定できません)。また、P/Lの「特別利益・損失」「営業外収益・費用」も同様です。
そのため、厳密には、これらについて明確な内訳が示されていない場合は、解が一つに定まりません。

また、利息や配当金の表示区分について、複数の表示方法が認められているため、別解が考えられる場合があります。

⇒試験対策としては、これらを正確に区分しようと考えるのではなく「適当に一つを書けば良い」くらいに考えておくほうが無難です。

 

(2) 営業CFは、直接法か間接法のどちらで書くべきか?

解答としては、設問に指定がない限りはどちらで書いても問題ありませんが、解答作成上は間接法の方が書きやすいと思われます。理由は、B/S科目、P/L科目の足し引きで計算しやすいことが挙げられます。

 

(3) 営業CFを求める際に、現金及び預金の増減額から、投資CFと財務CFを引いて求めてもよいか?

このように求めた解答を積極的に不正解にする根拠はないため、正解になると思われますが、次の理由からあまりお勧めしません

  • 直後にある「CFの状況を分析せよ」という設問において、営業CFの中身が分からないことにより適切に解答できない可能性があります。
    (営業CFの内訳が分かっていれば「棚卸資産の大幅な増加に伴う営業CFのマイナスを、投資CFと財務CFで賄っているため、CFの状況は悪い」と書ける設問において、投資CFと財務CFから求めた場合は「営業CFのマイナスを、資産の売却と長期借入で賄っているため、CFの状況が悪い」と書かざるを得ないことになります)
  • 受験生の解答の多数派が「通常どおり(逆算せずに)求める」と思われます。少数派となることによって、採点官が誤採点する可能性があります。
  • 小計の額などに部分点が設定されていた場合でも、そのメリットを受けられません。

 


 

2次まであと1ヶ月となりました。この時期は焦りがちですが、徐々に本番での形式を意識しながら準備を進めてみてくださいね。

また、お仕事をされている方は、可能であれば試験の前日(土曜)あるいは前々日(金曜)に休暇を入れておくのもお勧めです。1日余裕ができるだけでなく、「時間がない」ということに焦ったときに「他の人より1日余裕があるぞ」と思えるという効果があります。

以上、がんちゃん/岩間でした。

 

タキプロ勉強会のお知らせ


 【東京勉強会】

◆日時・場所

・10/8(水)19:30~22:00 八丁堀区民館
題材:H24年度事例Ⅲ  お申込みはこちらから

◆会費 :500円

*題材の過去問を解いて、解答のコピーを8部 ご用意ください。
*問題を忘れずに持ってきてください(自分で確認用)。
*時間の都合上、全部の設問を扱うことはできません。
あらかじめご了承願います。
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・第7回 10/4(土) 9:30~12:20  西生涯学習センター
題材:H24事例Ⅲ テーマ:提案力対策&文章力対策

・第8回 10/11(土) 9:30~12:20  昭和生涯学習センター
題材:H24事例Ⅳ テーマ:提案力対策&文章力対策

・第9回 10/13(月・祝) 9:30~12:20 西生涯学習センター
よろず相談所

*題材の過去問を解いて、解答のコピーを6部 ご用意ください。 
*時間の都合上、全部の設問を扱うことはできません。
あらかじめご了承願います。

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【大阪勉強会】

◆場 所:グランフロント ナレッジキャピタル7階
(大阪市北区大深町3番1号)
 
◆参加費:1,000円 

◆定 員:20名
 
◆持ち物:筆記用具、問題用紙とご自身の解答(過去問を扱う場合)、電卓(事例Ⅳの場合) 

◆開催日時・内容
※内容や扱う事例は変更となる場合があります。
下記が最新の予定となります。

9月30日(火)19:00~21:30 平成23年度試験(事例Ⅰ)実施と添削指導
10月3日(金)19:00~21:30 平成23年度試験(事例Ⅱ)実施と添削指導
10月4日(土)10:00~16:30 特別補講 ※内容は調整中です
10月7日(火)19:00~21:30 平成23年度試験(事例Ⅲ)実施と添削指導
10月10日(金)19:00~21:30 平成23年度試験(事例Ⅳ)実施と添削指導

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