実務補習って第3次試験だったのか!byたにけい

読者の皆様、いつもブログを読んでくださりありがとうございます。
タキプロ13期のたにけいです。

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令和4年度第2次試験の合格発表は来年ですが、中小企業診断士の登録のためには「実務補習」「実務従事」を経験する必要があります。

私は令和4年7月、8月、9月に実務補習を受講し、11月1日付で中小企業診断士として登録されました。今回は中小企業診断協会が実施する「実務補習」について私の体験に基づき情報提供します

私の執筆した過去記事はこちらです

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■はじめに

10月30日の2次筆記試験を受験した皆さん、本当にお疲れさまでした!!

11月は休養期間という方も多いと思います。2次試験では私も全力を使い果たし、11月は何もやる気が起きませんでした。再現答案を作成した後は休養したり、受験勉強中は後回しにしていたあれやこれやを取り戻していました。

さて今回は、私が今夏を捧げた「実務補習」の受講経験をお伝えします。実務補習なんてまだまだ先のこと…と思っているそこのアナタ!2月1日の合格発表に合わせてすぐに申込みを行わないとアッという間に枠が埋まってしまいますよ。

例年、口述試験の合格率はほぼ100%(令和3年度:第2次口述試験合格者1,600名/第2次筆記試験合格者1,604名)であるためか、令和3年2月は最終合格発表よりも実務補習の申込み締切りが先という日程になっていました。

比較的時間のある11月から年末にかけて情報収集しておけば、診断士登録まで有利にコマを進めることができます。また、特にサラリーマンの方は実務補習と仕事の両立に不安を持っている方もいるのではないでしょうか。実務補習のイメージをつかみ、仕事との調整についてシミュレーションしてみると良いです!

■中小企業診断士の登録要件

実務補習の話をする前に、診断士の登録要件を確認しておきましょう。

中小企業診断士の登録要件

中小企業診断士第2次試験に合格後、3年以内に実務補習を15日以上受けるか、診断実務に15日以上従事することにより、中小企業診断士としての登録を行うことができます。
(中小企業診断協会HPより)

実務補習又は診断実務を経験することにより登録に必要な「15ポイント」を獲得し、経済産業大臣あての登録申請書にポイント獲得の証明書を添付して申請します。

中小企業診断協会は国の登録実務補習機関として「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」に基づき「実務補習」を実施しています。1日1ポイントとして15ポイントを得ると診断士の登録申請をすることができます。

もう一つのルートとして「診断実務(実務従事)」があります。実務従事は中小企業の経営支援に役立つ業務ならどのような内容でもOKですが、①民間コンサル会社による有償実施、②知人・友人などが経営する企業の診断、③勤務先の取引先企業の診断などがあります。

実務従事は情報収集などを全て自分自身で行う必要があり、特に②、③は指導員(先生)がいない状態になると思われますので、診断業務・コンサル業務の未経験者が診断士としての基礎スキルを身に付けることができるのかという点について賛否があります。

私のような何のツテも特技もないサラリーマンにとって、診断協会が実施する実務補習を受講することで確実に登録できるのはありがたいことでした。実務補習は限られた日程で行われるため苦しいこともありますが、「標準的な総合診断実務の形」として1度は診断協会の実務補習を受講することをおススメします。

画像は登録申請に必要な書類です。左側が登録申請書と第2次試験合格証書(原本)、右側が実務補習修了証書(5日×3回分)です。画像には入っていませんが、このほかに住民票の原本1通を添付します。3回目の実務補習の最終日である9月20日に愛知県中小企業診断士協会経由で申請しました。

第2次試験合格証書や実務補習修了証書は原本を提出するため手元には残りません。苦労して合格しただけに特に合格証書を手放すのは切ないです。

■申込はプラチナチケット争奪戦!

実務補習は例年、2月の冬季と7~9月の夏季の2シーズン設定されます。私は第2次試験合格直後の2月の実務補習を受講したかったのですが、職場の繁忙期と重なるため諦めざるを得ず、7、8、9月の夏季3連チャンで受講することにしました。申込みの流れや実習内容は冬季も夏季も同様です。

実務補習は診断士登録のために必要なものですから、第2次試験の合格者は確実に実務補習に申し込めるというイメージはありませんか?私はそう思っていました。しかし、これがプラチナチケットと言っても過言ではない希少なものだったのです。

受験申込がオール紙媒体であるのに対し、実務補習の申込は完全にオンラインで行うことができます。オンライン申込は便利ですが「早い者勝ち」であるため、申込手順をしっかり理解して臨む必要があります。

令和4年の夏季実務補習の募集開始は、5月17日の午前10時でした。どれくらいの期間、申込できるのでしょうか。診断協会のHPで確認してみましょう。

インターネット受付終了日時

すべての地区・コースで募集定員に達しましたので、インターネット受付は終了いたしました。(令和4年5月17日 午前10時40分)

赤い文字にご注目ください。エッ!エエッ!?5月17日の10時40分!!

わ、わずか40分で売切れたのですね…東京や大阪地区はもっと早く売切れました。私が受講した名古屋地区もすぐに売切れました。それでも東京や大阪地区で申し込めなかった方が名古屋地区に申込みを行い、実務補習の班では東京や横浜の方ともご一緒しました。

私はネットで情報収集する過程でこのような争奪戦があることを知り、申込開始日は在宅勤務とした上で、9時45分~10時45分に1時間の有給を取ってパソコンの前にスタンバイしました。

運命の午前10時…ユーザー登録、ユーザー登録の確認、各月コースへの申込登録、申込確認メールの受信確認、ネット銀行からの支払いを光の速さで行い、「10時12分」に全ての手続きを完了しました!!有給まで取って確保できなかったらどうしようかと思いましたが、なんとか参加権利をGETできて安心しました。

診断協会も指導員や実習先企業を用意しなければならないし、試験合格者が全員受講するものでもないため需要予測は難しいと思われます。合格発表直後となる冬季の方がより激しいかも知れません…。

初めて実務補習を受講する場合、実務補習申込画面からはじめにユーザー登録を行う必要があります。しかし、ユーザー登録画面は受講申込受付期間中のみサイトに表示されるため、受付期間外にあらかじめユーザー登録を済ませておくということができません。

この点についてのウラ技(?)として、私のように夏季に実務補習を予定している方は、冬季にユーザー登録のみをすることにより1歩リードすることができます。

しかし…5日間コース3回分で約18万…未来の自分への投資じゃ~!

■実務補習の流れ

実務補習班の構成は指導員1名、班員6名が標準です。7、8、9月と3か月連続で実務補習を受講しましたが、指導員はそれぞれ別の方、班員は重複している場合もありました。事情は分かりませんが、9月の班は辞退があったとのことで班員が5名となりました。また、指導員の育成のためと思われますが、副指導員が付く班もありました。

私が班長を務めた実務補習の実例を示します。指導員のご指導、班員各位のご協力により非常にスムーズに診断報告書を完成させることができました。指導員の指示により内容は異なりますが「大体こんな感じ」になります。診断協会HPの公式日程とリアル日程を見比べてみましょう。

なお、東京地区などは公式日程の第1日目が金曜日なのですが、名古屋地区は第1日目が木曜日となっており他より一日早いスタートです。他の地区で受講する方はご留意ください。

診断協会の公式日程では「5日間」となっています。これは実習先企業への訪問、指導員と班員が集合して作業する日が5日という意味です。これ以外の日は個人作業があり、必要ならZOOMなどを使ってオンライン打合せを行うこともあります。

いかがでしょうか…短期間に集中して仕事していますね!!この時の診断報告書は約100ページ(一人あたり約15ページ)になりました。パソコン関係のスキルや担当パートの得手不得手によると思いますが、私の作業時間は3回の実務補習の平均で平日1~1.5時間、休日4~5時間くらいでしょうか。

診断報告書を書き進めると第2次試験だけではなく第1次試験の基礎知識を動員することもあります。実務補習を通じて私が実感したことですが、診断報告書の章立てと第1次試験、第2次試験の科目には次のような関係性があり、試験制度と見事にリンクしています。

このため実務補習を「第3次試験」という方もいるようです。

(第3次試験?)診断報告書の構成【例示】第2次試験の科目第1次試験の科目
第1章・経営基本戦略事例Ⅰ企業経営理論
第2章・組織人事戦略事例Ⅰ企業経営理論
第3章・営業戦略(製造戦略)事例Ⅱ(事例Ⅲ)運営管理、経営法務(知財など)
第4章・広報戦略事例Ⅱ運営管理
第5章・IT戦略事例Ⅱ(事例Ⅲ)経営情報システム、運営管理
第6章・財務戦略事例Ⅳ財務・会計

第2日目に班としての方向性を決めた後にどの程度タタキ台を書き進められるかにより、後日のしんどさが変わってきます。仕事と並行して受講する方が多いと思いますが、私は休日はインターネットや書籍で調べものをしつつ、グラフや画像の準備、平日は常にパソコンを持ち歩いてスキマ時間に診断報告書を書き進めたりしました。

第2次試験の合格後3年のうちに登録すればよいので、上記のような仕事量を前提として、仕事と両立できる時期を考えておくといいです。上記は5日間コースですが、15日コースを選んだ場合はこれが連続して3回実施されますので実質的に50日くらいになりますね!

私の職場の後輩は毎年夏休みの時期に5日間コースを受講して、3年かけて登録したと言っていました。家族、仕事、お財布…いろいろな事情を考慮して受講すればよく、焦る必要はないと思います。

■事前準備(パソコン編)

実務補習で絶対に必要となるものは「ノートパソコン」です。OSはOffice(Word、Excel、PowerPoint)が使えればWindowsでもMacでもどちらでもいいです。

私は自宅用として6年くらい前に購入したA4ノートパソコンを使っていましたが、基本的に持ち運ぶことを想定していなかったためかなり重く、立ち上がり速度も遅くて性能的にも不安でした。実務補習では、パソコンのほか様々な資料や参考書籍を持ち歩くことがありますので、パソコンは極力軽いものをおススメします。

私は実務補習を契機として、CPU、メモリ、SSD、その他プリインストールアプリなどを一つずつ自分好みにオーダーしてパソコンを購入しました。また、班内でプロジェクタを共用することがありますので、HDMI端子を備えるか、他の端子をHDMIに変換できるケーブルがあると便利です。

パソコンのスペックは1次試験の経営情報システムの知識を動員し、サクサク動くことを重視してちょっと高性能な16GBメモリにしました。多少値引きもしてくれましたが5年保証付きで10万円台後半…実務補習と同じくらいの高価な買い物になりました。

実務補習の作業では、診断報告書をWordで作成しつつ、インターネットで調べ物をしながら、Excelでグラフを作ってパワーポイントに貼り付けたり、PDFに変換したり…診断報告書には実習先企業の現場で撮影した画像もふんだんに使用します。これらを全部同時に使用する場面も多いので、マルチタスクで作業する場合は、メモリサイズが大きいと快適に作業できます。

実務補習以外にも、診断士関連の様々なオンラインセミナー、もちろんこのタキプロブログの執筆にも大活躍しており、本当に良い買い物をしたと満足しています。手持ちのパソコンがあればそれでOKなのですが、登録後の実務のことも考えて、この機会に「商売道具」であるパソコンを新調するのもアリではないでしょうか。

■事前準備(Word編)

診断報告書はWordで作成します。皆さんは日頃から仕事などでWordは使っていますか。

私は仕事で日頃からWordを使っていますが、見出し機能は使っていませんでした。Wordの見出し機能を使って見出し階層の項目番号を設定していきます。また診断報告書が文字ばかりでは実習先企業にとって理解しづらいものになりますので、グラフや画像もふんだんに入れていきます。これらの図表にもWordの図表番号機能を使い、項目番号に紐づいた図表番号を付けます。

ただテキストを入力するだけならさほど苦労はありません。クセ者は「見出し機能」「図表番号」を全員が理解した上で、各自が執筆した原稿を「がっちゃんこ」する「マージ作業」です。「見出し機能」を班員が共通理解していると大変スムーズです。

診断報告書のフォーム、Wordの使い方、マージ作業を仕切ってくれる人が班内にいるといいのですが、誰も仕切る人がいない時には自分から進んでWord係をするとチームに貢献できますし、とりまとめが早く終わる(早く帰れる!)ことにつながります。

手っ取り早く理解するためにはYouTubeの動画が分かりやすいです。私が予習に使ったYouTubeチャンネルをご紹介しますので「見出し機能」がどういうものなか、概念を把握しておきましょう!!

2次試験の合格発表までの期間が結構あります。この期間を使って日頃はWordを使わない方はもちろん、使っている方も一度ご覧になることをオススメします。仕事にも役立てることができると思いますよ。

■おまけコーナー(参考書籍)

私は冬季の実務補習を受講できなかったため、夏季の実務補習までの間は、診断士試験、特に第2次試験の知識が薄れないように参考書籍を読んでいました。Twitterをフォローしていてこれらの書籍を読んだという方をお見かけし、評価も高かったのでマネして読んでみたのです。

確かにどの書籍も診断士試験のために勉強した知識を再確認できる内容で、今後も実務の参考書として使っていける良書でした。今後も辞書的に使ったり、時々読み返したいと思っています。

これらを読んでおかないと実務補習に対応できないというものではありませんが、受験校の参考書以外の書籍も読んでみると受験勉強で得た基礎知識と実務のリンクに気付かされます。時間に余裕のある方は、今からでも手に取ってみてはいかがでしょうか。

■実務補習の感想

実習先企業からは通常なら社外の人には見せられない財務関係、人事関係の資料も見せていただくことになります。製造業なら生産現場の確認もあるでしょう。見習い中の身分であることは指導員から十分に説明しているとはいえ、実習先企業からはプロの目で診断し、プロの知見からの提言を期待されています。

私の9月の実習先企業はかなり厳しい経営状態の運輸業でしたが、社長は底抜けに明るく、会社の成長のみならず社会貢献の目線も持った素晴らしい人物でした。

そのような方に向けた診断報告書のプレゼン終了後、「プレゼンを聞いて自分が掲げた目標までの道程がはっきり見えた。売上を伸ばして利益を出せば、中小企業診断士のような優秀な人達の力も借りてもっと会社を良くすることができるんだ。そんな会社に成長させたい。」とのお言葉を賜り、班員一同、感極まりました。

費用や準備を含めていろいろ大変ではありますが、皆さんにも実務補習を通じてこの感動を味わっていただきたいです。

実務補習班はグループLINEで連絡を取り合っていたのですが、実務補習後もつながりを残しています。時々、「実習先企業のHPやSNSの改良に診断報告書の提言が採用された」「家族で実習先企業のイベントに行ってきた」といった情報交換をしています。

実務補習テキストの表紙にある「経営診断の醍醐味を実感する」は看板に偽りなしです。どの実習先企業での実習も生涯忘れられない得難い経験となりました。

■おわりに

私の実務補習の記事はいかがだったでしょうか。昭和の古い言葉かもしれませんが、「苦労は買ってでもしろ!」とは正に実務補習のことだと思います。皆さんのご参考になれば幸いです。

合格発表はまだまだ先…モヤモヤした気持ちで過ごされているのではないでしょうか。得体の知れない2次試験です。合格者でも手応えがあった人はほとんどいないと思います。合格発表までの期間は心身を休養させながら、合格後に向けた情報収集の時間にすることが有効だと思いますよ!

次回の「タキブロ+」は「実務補習・実務従事」の2回目です。執筆担当は多年度受験経験者のアイドルグループTKP43のヤマフリさんです。お楽しみに!

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実務補習って第3次試験だったのか!byたにけい” に対して4件のコメントがあります。

  1. なが より:

    参考になります。

    一つ質問なのですが、実務補習5日コースでリアル日程6~17というのは11日間拘束されるということでしょうか?それとも工程6~17を5日間で行うことでしょうか?

  2. たにけい より:

    ながさん、こんにちは!
    執筆者のたにけいです。ご質問ありがとうございます。

    5日間コースについて記事中の対比表でご説明すると、指導員と班員が集合して完全拘束されるのは工程6〜17のうち6、7、15、16、17です。

    集合日以外も個人作業が必要ですし、班によってZOOMで頻繁に打ち合わせることもありました。

    いずれにしても個人都合より班の日程優先になりますので、工程ゼロから実務補習中心の約2週間になりました。

    ご不明点があればまたご質問ください。
    よろしくお願いします。

    1. なが より:

      たにけい様
      ご教授いただきありがとうございます。
      5日コースでも2週間ほど時間を確保しておく必要あるのですね。

      その前に合格してないといけないですが、、笑
      頑張ります。

      1. たにけい より:

        ながさんの挑戦、タキプロ一同応援してます!セミナーや勉強会にもぜひご参加ください。引続きよろしくお願いします。

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