一次試験「経営法務」のポイント by ひらく

経営法務

読者のみなさん、こんにちは!
タキプロ16期の ひらく と申します。

今回は、一次試験、「経営法務」について書かせていただきます。

■経営法務の出題内容

 

まず「科目設置の目的と内容」から全体像を見ていきます。

創業者、中小企業経営者に助言を行う際に、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識を身につける必要がある。また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していることが求められる。このため、企業の経営に関する法務について、以下の内容を中心に基本的な知識を判定する。

出典:令和7年試験案内・申込書

これを踏まえ、令和7年度の単元は以下のような構成になっています。

(1)事業開始、会社設立及び倒産等に関する知識
(2)知的財産権に関する知識
(3)取引関係に関する法務知識
(4)企業活動に関する法律知識
(5)資本市場へのアクセスと手続
(6)その他経営法務に関する事項

出典:同上

経営法務では、知的財産権、会社法、民法、そして契約や国際法に関する手続や法律を中心に、広く浅く知識を備える必要があります。

まず「(1) 事業開始・会社設立および倒産等に関する知識」においては、法人として事業を開始する際、そもそもどのような種類の法人が存在するのか、それぞれ設立に際して必要な手続き、登記、許認可申請、及び、労働保険、税務上の届出などについての知識が求められます。さらに、合併や営業譲渡などの手続き、組織の変更手続き、倒産等に関する手続きについても、抑えておく必要があります。

「(2) 知的財産権に関する知識」においては、「特許権」、「商標権」、「意匠権」、「実用新案権」、「著作権」の内容や相違点についての知識が問われます。
 一般に中小企業は「自社の強み」を生かして「機会を捉え」競争に臨む必要がありますが、競争優位性の源泉となる「自社の強み」の模倣を防ぎ、持続的な優位性を確保するに知的財産権の保護を図ることが重要になります。また、逆に相手から訴えられないように法的リスクを減らすことも、法律知識において重要なポイントです。

「(3) 取引関係に関する法務知識」では、契約を結ぶ際に、それがどのような要件で成立するのか、また契約を行う上でどのようなポイントに注意すべきか、診断士として助言するための知識が問われます。ここには、外国企業との取引のように日本の法律が適用されない(準拠法が異なる)ケースや、英文での契約に関する知識も含まれます。

試験対策上はあまり細かい知識を掘り下げる必要はありませんが、例えば「秘密保持契約」、「共同開発契約」、「売買契約」などはビジネス実務において案件発生の頻度が高い契約類型です。その多くが自社に法務の専門家を抱えず、また、大企業に対して優越的立場に立ちづらい中小企業が、望まぬ条件の契約を結んでしまわないよう、経営に寄り添う診断士がアンテナを立てるべき分野であると思います。(顧問弁護士などがいる企業はまた別ですが)。

「(4)企業活動に関する法律知識」は、民法や会社法、金融商品取引法、独占禁止法、不正競争防止法、製造物責任法、消費者保護法など、非常に広い範囲にわたって浅く問われます。すべての法律分野を深く掘り下げることは現実的にほぼ不可能です。診断士の試験対策としては、過去問を中心に、どのような論点が問われているのかという観点を効率的に押さえることが重要と言えます。

「(5) 資本市場へのアクセスと手続き」では、株式の発行などによって資金調達を行った場合、資本市場に対してどのような情報を開示しなければならないのか、必要な届出書や通知書の書式、その根拠となる法律についての知識が問われます。また、社債発行や株式公開の手続きなどについても、しっかり押さえておく必要があります。

学習のポイント

経営法務は試験範囲がとにかく広く、いかに効率的に得点を獲得するかが重要になってきます。「知的財産権」と「会社法」の分野は出題比率が高く、問われる論点もある程度限られていますので、まずはこの2つの論点をしっかり押さえ、そのうえでその他の分野を後回しにして学習することをお勧めします。

「知的財産権に関する知識」について

知的財産権とは、著作物や発明、商標などといった形のないもの、いわゆる無体物について、その創出者に対して与えられる権利です。「知的財産」および「知的財産権(知的所有権)」は、各種の条約や法令においてさまざまに定義されています。

「知的所有権」とは、文芸、美術および学術の著作物、実演家の実演、レコードおよび放送、人間の活動のすべての分野における発明、科学的発見、意匠、商標、サービス・マークおよび商号その他の商業上の表示、不正競争に対する保護に関する権利ならびに産業、学術、文芸または美術の分野における知的活動から生ずる他のすべての権利をいう。

1967年7月14日にスウェーデンのストックホルムで署名された「世界知的所有権機関を

設立する条約」第2条(ⅷ)

第2条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見または解明がされた自然の法則または現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品または役務を表示するものおよび営業秘密その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報をいう。

2 この法律で「知的財産権」とは、特許権実用新案権育成者権意匠権著作権商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利または法律上保護される利益に係る権利をいう。

日本国「知的財産基本法」(平成14年法律第122号)第2条


「知的財産権」は、”中小企業診断士試験の対策上は”、「4+1」という分類で記憶しておくと良いと思います。ここでいう「4」とは、「産業財産権」の代表例(知財四権)と呼ばれる


「特許権」
「実用新案権」
「意匠権」
「商標権」


のことです。これに「著作権」を加えた5つが、診断士の試験で押さえるべき、「4+1」の知的財産権、という事になります。

4つの産業財産権

特許権
特許権者に発明を実施する権利を与え、発明を保護するもので、特許法、パリ条約、そして知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)などで定められています。

実用新案権
物品の形状などに関する考案を保護するもので、実用新案法に基づいています。

意匠権
工業デザインを保護する権利で、意匠法、パリ条約、TRIPS協定によって規定されています。

商標権
いわゆるブランド(商標に化体した業務上の信用力)を保護するもので、商標法、パリ条約、TRIPS協定に基づいています。

試験対策においては、これらの権利それぞれの「出願から登録までの流れ」や「審査期間」、効果の「存続期間」について覚えていく必要があります。とかく覚える事が多く気が滅入る分野ですが、コツとしては、
①まず「特許権」で「審査の流れ」や「期間」等をしっかり覚える
②その後、「特許権に対して何が違うのか」という観点から、
 実用新案権、意匠権、商標権を覚えていく
という手順で学ぶことをお勧めします。

著作権
著作権は「著作権」と「著作隣接権」に分類することができます。

「著作権」は、さらに「著作者人格権」と「財産権としての著作権」に分かれ、前者は「著作物を公表する権利」や「氏名を表示する権利」、著作物の内容やタイトルを勝手に改変されない権利である「同一性保持権」が含まれます。これらは著作者本人と切り離したり、譲渡したり、相続することができない権利ですが、このような権利は「一身専属権」と呼ばれます。

一方で、「財産権としての著作権」は複製権や公衆送信権、頒布権といった、著作物を複製したり、上演したり、公衆に送信・放送する権利などで、著作者本人と切り離して譲渡や売買を行うことができます。

「著作隣接権」は、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に認められた権利で、複製や譲渡を無断で行うことを禁じることができる「許諾権」や、他者が放送したりレンタルする際に使用料を請求できる「報酬請求権」が含まれます。

「4つの産業財産権」と「著作権」の大きな違いは、著作権が創作と同時に自動的に発生する権利であり、出願や登録が不要な点です。これを「無方式主義」と呼びます。(ただし、第三者に自らの権利を主張するために、著作権を登録することができる仕組みになっています)。著作権の存続期間は、著作者本人の死亡後70年と定められています。

「事業開始、会社設立及び倒産等に関する知識」について

会社法は、会社の設立・解散、株式や社債などの資金調達、会社の機関設計、企業再編といった、文字通り会社に関するさまざまなルールを定めた法律です。

内容は多岐に渡る為、本稿で全てを詳述する事は困難ですが、

診断士試験の重要な知識として「会社設立時の流れ」があります

これには大きく以下の流れがあります。

①定款の作成
②出資
③機関の選定
④登記
⑤届出

①定款の作成
定款とは、会社の憲法のようなもので、その会社に関する基本的な内容を定めたものです。会社を設立するためには、まず定款の作成が必要となります。発起人によって作成された定款は、公証人によって認証されることでその効力を発揮します。特に、会社設立時に作成され、公証人によって認証された定款のことを「原始定款」といいます。

定款には、記載内容によって3つの分類があります。まず、定款に記載されていないと定款全体が無効になってしまう「絶対的記載事項」、次に、任意の項目ではあるものの定款に書かないと効力を発揮させることができない「相対的記載事項」、そして完全に自由に記載できる「任意的記載事項」です。特に試験対策として覚えておくべき絶対的記載事項は6項目です。具体的には、①目的、②商号、③本店所在地、④設立時に出資される財産の価格またはその最低額、⑤発起人の氏名または名称および住所、⑥発行可能株式総数です。

②出資
会社の設立に伴う出資方法は、「発起設立」と「募集設立」のケースがあります。発起設立は、発起人自身がすべての株式を引き受ける場合で、発起人が複数いても構いませんが、最低でも1株は発起人が引き受ける必要があります。一方、募集設立は、会社の設立にあたり、発起人以外の者からも出資を募る方法です。

③機関の選定
株式会社には、その規模や株式の譲渡制限の有無によって、設置しなければならない機関が決まっています。株式会社の機関には、株主総会、取締役会、監査役会、監査等委員会、指名委員会、取締役、監査役、会計監査人、会計参与などがあります。

④設立登記
出資の引受が終わった後は、設立登記が必要になります。設立登記にあたっては、商号、本店・主たる事務所の所在地、会社の目的、資本金の額、発行可能株式総数、発行済株式総数、発行する株式の内容、代表取締役および代表執行役の氏名と住所、取締役の氏名、公告方法、そして株式会社の機関設計が登記の必要事項となります。

⑤届出
登記が終わり、事業を開始したときには、個人事業主の場合は開業届を1ヶ月以内に、法人の場合は法人設立届出書を2ヶ月以内に税務署に提出する必要があります。また、従業員を雇用した場合には、労働保険や社会保険の手続きも必要になります。

これらの知識は、中小企業に対する診断や助言に役立つだけでなく、中小企業診断士として独立して事務所を経営する際にも役立つ知識と言えるでしょう。

■おわりに

以上、「経営法務」の攻略法については、月並みですが「ポイントを絞り」「捨てるべきは捨てて」「他の受験生が落とさない頻出論点は落とさない」というのが要旨となります。

法律は一見すると無味乾燥にも見えかねない分野ですが、立法趣旨や、なぜそのような法律ができたのかを掘り下げていくと社会の仕組みや変遷の一端を理解できる(気がする?)面白さがある科目です。

一歩一歩、楽しみながら着実に頑張ってください!


次回は、はやひと さんの登場です。 

お楽しみに! 

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