財務・会計について観念すべきことby ひらく

読者のみなさん、こんにちは!
タキプロ16期の ひらく と申します。

今回は、一次試験の「財務・会計」について書かせていただきます。

■財務・会計の出題内容

 

まずは『令和7年度中小企業診断士第1次試験案内・申込書』の「科目設置の目的と内容」から全体像を見ていきます。

財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、財務諸表等による経営分析は重要な手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用した投資評価や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要もある。このため、企業の財務・会計について、以下の内容を中心に知識を判定する。

(出典:『令和7年度中小企業診断士第1次試験案内・申込書』)

これを踏まえ、令和7年の単元は以下のような構成になっています。

(1)簿記の基礎

(2)企業会計の基礎

(3)税務会計の基礎

(4)原価計算

(5)経営分析

(6)利益と資金の管理

(7)資金調達と配当政策

(8)実物投資

(9)証券投資

(10)企業価値

(11)デリバティブとリスク管理

(12)その他財務・会計に関する事項

(出典:同上)

■最近の出題範囲の変化点

試験範囲の表記は、令和6年度を境に以下の通り変化しました。

中小企業診断協会連合会によれば、以下のとおり、内容の実質的な変更はなく、表記を分かりやすくした、という趣旨のようです。

今般、受験者の方が必要な知識の習得に取り組みやすくなるよう各科目における最近の動向を踏まえつつ、来年度より出題内容の表記を別紙のとおり変更いたします。 この変更は、あくまでも表記の変更であり、従前の試験科目の範囲を変更するものではありません。

(出典:『中小企業診断士第1次試験における出題内容の表記の変更について』中小企業診断士協会連合会)

とはいえ、わざわざ「分かりやすくした」と書いている以上は、変化した部分については特に押さえておいた方が良いかもしれません。

■私の勉強方法

学習開始時、経理経験も簿記資格もありませんでしたので、試行錯誤の末、勉強方法を組み立てていったのが実際の所ですが、どのような学習方法をとるべきだったのかを振り返ると、おおよそ以下のようになります。

(1)まず、「簿記」の基礎を抑える(仕分け、簿記一巡、財務諸表との繋がり)

(2)次に、「財務三表」の基礎と、それら相互の影響・関係を抑える

(3)後は、以下の2つを、できれば毎日、20分でも、反復継続的に繰り返す  

 (ア)計算力の強化:計算問題を繰り返し解く

 (イ)会計知識の暗記:過去問を解く等、必ずアウトプットをしながら覚える

「それだけかい」という、ご指摘を頂きそうな内容ですが、結局、これに尽きるような気がしております。

言い換えれば、「近道はない」と早く観念して正面から向き合った方が良い科目である、とも言えます。

簿記(1)の基本を抑えねば、財務三表(2)の成り立ちが分からず、財務三表が分からねば、診断士の診断業務の基礎たる経営分析の入り口にも立てないことになります。そして(3)の、「(ア)計算力の強化」は、反復継続的に繰り返すことでしか身につかない領域であり、「(イ)会計知識の暗記」も、短期間の詰め込み学習では、少しひねった問題が出題されると、太刀打ちできなくなります。

これらを踏まえ、診断士試験の勉強を始めて間もない受験生の皆様には、

  • 財務・会計の試験範囲を(多少浅くとも)なるべく早めに一巡学習すること
  • 他の試験科目を勉強するのと並行して、短時間でも財務・会計の学習を継続すること

をお薦めいたします。

■日商簿記検定を学習・取得した方が良いか

これについては賛否両論があるようですが、私個人は「学習・取得をお薦めする」立場です。

日商簿記検定の出題範囲には、診断士試験そのものには必要のない分野も多く、学習効率はあまり高くはない、と思える節もありますが、一次試験の後に控える二次試験事例Ⅳの鬼畜のような難易度(会計資格も経理経験も無い筆者には少なくともそう思えた)を思えば、財務・会計についてのリテラシーと基礎的な計算能力を、体系的な学習を通じて磨いておくことは決して無駄にはならないと考えるからです。

これについては、タキプロの過去ブログにもいくつか意見がありますので、色々な意見を参照してみてください。

■おわりに

以上、財務・会計については「近道を探すこと」を諦め、早めに正面から向き合って、反復継続的に学習を続けることが肝要、というのが本稿の要旨となります。ずいぶんと面白味のない話になってしまいましたが、長丁場ですので、一歩一歩着実に頑張ってください!


次回は、はやひと さんの登場です。 

お楽しみに! 

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