事例Ⅰで意識すべき『ゴーイングコンサーン』 by ダイキ


タキプロ16期の ダイキ と申します。
今回は事例Ⅰについて、少し違った角度からお話しさせていただきます。
事例Ⅰの解法テクニックやフレームワークについては、他の優秀なタキプロメンバーが詳しく解説してくれていますので、私からは「ゴーイングコンサーン」の視点で事例Ⅰを攻略する考え方をお伝えします。
「ゴーイングコンサーン?聞いたことはあるけど、事例Ⅰとどう関係があるの?」と思った方こそ、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。
私はタキプロのリアル勉強会で、当時のタキメンの方からこの話を聞いた結果、事例Ⅰは44点→68点で24点の点数UP、事例Ⅱは46点→72点と26点の点数UP、合計で50点の点数UPを実現しています。
■ゴーイングコンサーンとは何か?
ゴーイングコンサーンとは「企業が予測可能な将来にわたって継続して存在する」という会計上の基本前提です。
しかし、私は試験対策としてこれを「会社が社会に対して”法人として存続し続けること”を約束すること」だと捉えています。
具体的には
- ①利益を上げ続けること(売上向上、費用削減)
- ②経営体制を維持すること(後継者育成、組織活性化)
この2つが企業存続の絶対条件であり、会社が会社であるための大前提になります。
2次試験に置き換えると、①は事例Ⅱ、事例Ⅲ、事例Ⅳの論点になることが多いです。
②がまさに「組織・人事」をテーマにする事例Ⅰに関係しそうですよね?
「こんなに素晴らしい解答を書いたのに、なぜ点数が伸びないんだぁ・・・」な方々は、ゴーイングコンサーン、つまり「利益向上(売上向上、費用削減)」や「経営体制・組織の維持活性化」の観点を点数に加えると、点数に結びつけやすいかと思います。
■なぜ組織・人事問題が発生するのか?
ゴーイングコンサーン観点で言うと、事例Ⅰで記載すべきことは「この企業が10年後、20年後も存続し続けるために、組織・人事面で何をすべきか?」です。
では、組織・人事面で企業の存続を危ぶませる状況はどのようなことが考えられるでしょうか?
- 創業者の高齢化:後継者不在で将来が不安
- 環境変化への対応遅れ:組織の硬直化で新規事業に着手できない
- 人材の流出・不足:事業継続に必要な人材が確保できない
- 組織のモラール低下:求心力の低下で生産性が落ちている
- 後継者がいない:経営ノウハウの断絶、顧客との関係性の喪失など致命的影響
特に昨今「2025年問題」を言われたように、後継者不在の問題は組織・人事面では特筆すべき事項です。
企業観点(ミクロ)で見ると、経営ノウハウの断絶や顧客との関係性など致命的影響が考えられますし、日本全体(マクロ)で考えると、約22兆円のGDPが喪失の可能性があるなど、こちらも致命的影響です。
まだまだこれからも試験題材に取り上げられる可能性が高そうですね。
■事業を存続させるための後継者育成施策の解答例
パターン1:段階的権限移譲
後継者候補に営業部長として権限を移譲し、顧客との関係構築と
意思決定スキルを習得させる。これにより経営者としての資質を向上し、
円滑な事業承継と継続的な顧客関係維持を実現する。
パターン2:多部門ローテーション
後継者候補を製造・営業・管理の各部門で実務経験を積ませ、
事業全般への理解を深める。これにより総合的な経営判断力を習得し、
将来の安定経営基盤を構築する。
パターン3:外部ネットワーク構築
後継者候補を業界団体や経営者研修に参加させ、外部ネットワークと
最新経営知識を習得させる。これにより経営視野を拡大し、
環境変化に対応できる持続的経営体制を確立する。
過去問演習を回されている方であれば、この型で「あ、この事例だ」をイメージできるのではないでしょうか?
パターン1、2は令和4年の事例Ⅰとか、そんなイメージですかね??
この辺りのパターンを、ゴーイングコンサーンの観点と併せて抑えておいていただけると、試験本番の引き出しとして活用いただけるのではないでしょうか?
■(余談)事例Ⅱ、事例Ⅲ、事例Ⅳでのゴーイングコンサーン活用
せっかくなので、他事例でのゴーイングコンサーン活用も簡単に
・事例Ⅱ:「認知向上→売上向上→継続的収益確保」
・事例Ⅲ:「効率化→コスト削減→競争力維持」
→事例Ⅲは最近、売上向上施策も問われることが多いので、コスト削減と売上向上のどちらも意識しておくべき。
・事例Ⅳ:「財務改善→資金調達力向上→安定経営基盤確立」
すべて最終的には「利益向上=企業存続」につながります。
これがゴーイングコンサーンの考え方です。
個人的には、事例Ⅱ、事例Ⅲは「〇〇施策により認知向上させ、売上向上を図る」のように、「効果+利益向上」で記載すると加点要素が大きくなる印象です。
■まとめ
事例Ⅰ攻略の本質は、「この企業をどうやって存続させるか」という視点を持つことです。
特に後継者育成問題は、単なる人材育成ではありません。企業の未来を託す最重要戦略として捉えてください。
ぜひゴーイングコンサーンを「企業存続の前提」と捉え、事業存続の観点で各事例に向き合うことを意識していただけると幸いです。
■おわりに
次回は、つっつー さんの登場です。
お楽しみに!
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