特集「通学・独学のメリットデメリット-独学編②~自分に合う選択を~」 byやっすー

タキプロ16期の やっすー と申します。
中小企業診断士の勉強方法には、いくつかの選択肢があります。
- 独学
- 受験校に通う(通学)
- 通信講座
- その他、タキプロなどの団体が主催する勉強会への参加など
どの方法が自分に向いているかは、人それぞれ異なります。この特集では、「自分に合った勉強方法を見極める」ための材料として、それぞれの勉強法について、実体験も交えてご紹介していきます。
今回は独学のことを中心に、他の勉強方法との違いにも触れながら進めていきます。
<本特集過去記事>
第1回:https://www.takipro.com/strategy/study-method/125348/
第2回:https://www.takipro.com/strategy/study-method/126482/
■はじめに
私自身のプロフィールや診断士受験について、簡単にご紹介します。
- 年齢 :34歳(受験時)
- 職種 :ハウスメーカーの財務・経営企画 ⇒ 専門商社の経営企画
- 保有資格:ビジネス法務検定2級(診断士の勉強と並行して取得)、日商簿記2級
- 受験歴 :1次1回、2次1回
- 勉強方法:独学
- 資格取得を目指した理由:自己研鑽のため。現職でM&A案件、IR対応、管理会計、中期計画策定等に幅広く関わっており、診断士試験の知識全般が役立ちそうに思った。
■独学を選んだ理由
以下の理由から、独学を選択しました。
1.自分一人で勉強することに比較的慣れていたため。
2.コストをかけたくなかったため。
3.得意分野や予備知識がある領域については、お金と時間をかける意味が特に希薄だったため。
4.自己研鑽の一環であり、資金を掛けてまで急いで合格する必要性は乏しかったため。
正直私は、資格取得後のビジョンややりたいことは特に無かったです。まずは独学でやってみて、無理だったらその時にまた考えようと軽く考えていました。
■独学の勉強法
一般的に(Google検索)、中小企業診断士の試験に必要な勉強時間は1000時間と言われます。
平日2時間×5+休日5時間×2=20時間/週で、1年間で52週と考えると、左記のペースを維持すればちょうど1年で1000時間ですね。
独学で難しいのは、スケジュール管理だと思います。
私は前述の平日2時間、休日5時間を基本ペースにしつつ、残業が多いときや会食等の予定がある日は勉強時間を減らすなど、柔軟に調整していました。
その中でも私が意識していたのは、毎日10分でもいいから、必ず勉強の時間を作ることです。
これは私の持論ですが、「勉強はやっていくうちにやる気が出てくる」ものです。勉強を始めるのは気合いが要るものですが、いざ始めてしまえば、分からない部分を理解したい、もっと知りたい、という思いが湧いてきます。勉強が終わった時に得られる達成感や充実感が、次の勉強へのモチベーションになります。
ランニングが趣味の方から、「最初は健康のためと思って始めたが、今では走り終わった後の爽快感がやみつきで止められない」という話を聞きます。勉強も、同じような性質があるかなと、診断士試験の勉強を通じて実感しました。
■モチベーションの維持方法
前節でお伝えした10分でも勉強すること、そのために私は、勉強をできるだけ身近にすることを心掛けました。
例えば、普段生活する空間にテキストを置いておく、重要な論点や覚えにくい記憶系の内容は、スマホでテキストを写真に撮っておいてふとした時に見返す、など。勉強しようかなと一瞬でも思う瞬間があれば、それを逃さずに、勉強を始めることが何より重要です。
また、独学だと通信や通学と違って勉強相手がいないのが一番の違いです。最近では、SNSで診断士受験生同士が互いを励まし合うグループがあるようです。そうしたツールで仲間を見つけるのも、良いかもしれません。
なお、タキプロでは本ブログの他、ZOOM勉強会、Facebook勉強会など様々な形で情報発信・学習機会のご提供を行っています。独学のデメリット克服のためにも、そうしたツールをぜひご活用いただければと思います!
中小企業診断士になった後の自分の姿、ありたい5年後の状態などを、具体的にイメージしていくことも効果的ですね。
やる気スイッチのありかは、人によります。ご自身の過去の経験から、どういう状態なら、自分が熱心に打ち込めるかを思い出してみて、それを再現しにいくのもいい手段ですね。いまは色んなツールが世に溢れていますからね!
■1次試験勉強
私はまず、テキストを端から端まで読み込み、全体感を把握することから始めました。後から思うのは、これはあまり賢い方法ではなかったです。テキストの中でも、試験に頻出する論点と、ほとんど出ない論点が混ざっているからです。
いまやり直すとしたら、まずは数年分の過去問に目を通してみて、試験のイメージやよく試験に出る内容をおおざっぱに把握することから取り組みます。
ゴールを知り、そのための最短ルートを把握したうえで進める方が、効率的ですね。試験日が近づくにつれ、もっと効率よく勉強しておけばよかったな~と思ったことをよく覚えています。
とはいえ、私の場合は自己研鑽として取り組んだ意識が強いので、そういう意味では無駄ではなかったのですが。それに、先入観なくテキスト全体を理解しながら進めたことで、体系的な知識となり、診断士として活動する今になってそのことが活きる場面もあるようには思っています。
通信や通学であれば、そうしたポイントを押さえた学習についても指南してくださるはずなので、その点は安心ですね。また、独学で思うのは、テキストの順に読み進めるのが、必ずしも理解しやすいとは限らないことです。テキストの後半に出てきたことが、「前半のあの論点ってこういうことだったんだ」とつながるような経験もありました。
通信や通学の先生なら、派生した話題を一緒に紹介するなど、体系的な理解を促す仕組みも考えられているのではと思います。その辺りは、独学ではなかなか厳しいですね。
■2次試験勉強
私はひたすら過去問を解き、ふぞろいの参考書を使って復習しました。最低2回は解き、うまく回答できなかった問題はさらに繰り返し考えます。
ふぞろいには部分点の基準が載ってはいるものの、全体を通してうまく書けているのかどうか、また自分の習熟度が判断しづらいのは困りました。習熟してくると、なんとなく必要な回答の要素は入ってくるようになるものの、文章の繋がりや流れがおかしくないか?論理が飛躍していないか?といった不安が残ります。これを解消するには、やはり他者の客観的なフィードバックが必要なのだと、強く思いました。
試験1か月前になって、予備校の先生による解説動画がYOUTUBEにあることを知り、勉強効率が上がりました。やっぱり、人から教わることの効果は大きいです。
解説を読んでもよく分からないことを、即座に先生から教えを請える環境というのは、大きなメリットです。もし私が初回受験時に不合格であったら、2次試験に関しては何かしらの手法を取っていたと思います。
■試験当日への対策
前述の通りに勉強自体は順調に進めていたものの、(知人がいないという意味も含め)独学の自分には、試験当日の流れがどのようなものか、全く想像できていませんでした。
どれくらい試験時間が足りない(余る)ものなのか、試験会場ってどんな雰囲気なのか、試験の間はどうやって過ごすのか、ちょっとした疑問がたまっていき、それがちらつくことで、勉強の集中力が落ちるのを感じることがありました。
ネットでは色んな情報があるので、独学でもそうしたところで疑問を解消することはある程度できると思います。ただ、通学や通信の先生、あるいは先輩合格者といった信頼のあるソースから、確実な情報を得られるのは、ひとつの武器になると思います。
最後の口述試験に関しては、通学や通信で知り合った勉強仲間がいる方なら、お互いを面接官に見立ててシミュレーションしてみることもできるでしょうね。
■独学で要した費用
通学や通信だと、数十万円かかることも一般的なので、単純に見ると大幅に費用を抑えられています。
●1次試験
・TACのスピードテキストと問題集:28,000円
・過去問と回答はネットで収集:0円
●2次試験
・TBC速習2次テキスト:4,000円
・ふぞろいな合格答案2021年版:2,800円
・ふぞろいな合格答案2023年版:2,800円
・ふぞろいな合格答案10年データブック:5,000円
●その他
・勉強のためのカフェ利用(時々):8000円程度
合計:約50,000円
ただ、私は運よく1年で合格できたものの、もしこれで数年かかっていれば、受験料や勉強に掛かる時間も含めたコスト、診断士に早期合格して得られたはずの逸失利益などの方が大きくなっていました。
各個人の金銭感覚にもよるとは思いますが、自分が掛けられる(掛けてもいいと思う)コストと相談しつつ、その中の最大値を使う方が、どんな結果になっても後悔は少ないのではと、今となっては思うところです。
■独学のメリット
ここまでの内容とも重複しますが、独学のメリットは以下のようなものです。
・(単純比較すると)費用が少なく済む。
・あれだけお金をかけたから落ちたら嫌だ、というネガティブなプレッシャーに囚われなくて済む。
・自分の苦手分野や暗記領域に時間を集中し、効率よく勉強できた。
・ちょっとしたスキマ時間でも勉強できる(通信も同じかなとは思います)。
・1次は膨大な試験範囲、2次は正解のない問題という中で、勉強の進捗や成績を他人と比較して焦る必要がなかったのは、精神衛生上よかった(気がする)。
■独学のデメリット
通学や通信のメリットも含みますが、独学のデメリットとして感じたのは以下の通りです。
・モチベーションのすり減るスピードは、おそらく通学や通信と比較して早いので、モチベーション維持の仕組化は必要ですね。
・試験当日に関するイメージが湧きづらいこと。
・勉強仲間ができづらいこと。「診断士試験合格」という同じ目標に向かってともに戦う仲間は、診断士試験が終わってからも続くような、希少な存在なのかもしれません。
・診断士試験合格後の情報が入ってきづらいこと。私自身、診断士の知り合いがほとんどいなかったので、試験合格後に初回の実務補習の存在を知った時には、もうすでに〆切が終わっていました。
■まとめ
本件特集記事は今回で3本目(最終回)になりますが、結論としては何が正解ということはなく、それぞれにメリット・デメリットがある、ということですね。
結局、皆様が診断士試験にかけられる時間やお金、価値観との兼ね合いで、勉強の仕方も考えればいいのだと思います。
私の大好きな映画「About Time」は、過去に戻る能力を持つ主人公が、自分の人生をうまくやり直しながら生きていく話ですが、「未来の自分が今日をやり直すために戻ってきたと思って、一度きりの今日という日を大切に生きる」との思いから、もう過去には戻らない(戻る必要がない!)、と締められています。
診断士の勉強方法は様々で、時には隣の芝が青く見えてしまいますが、今できること、目の前の勉強に全力で取り組みましょう。
悩んだ末に自分で選んだ方法なら、きっとその先に後悔はありません!
最後までお読みいただきありがとうございました。
■おわりに
今年度の2次試験前に、私が投稿させて頂くのは最後になります。
自分の力を信じて、全力で立ち向かってください!同じ中小企業診断士として皆様とお会いできる日を心から楽しみにしています!
次回は、ヨシ さんの登場です。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
↓下のボタンを押して、読んだよ! と合図していただけると、とっても嬉しいです。
(診断士関連ブログの人気ランキングサイトが表示されます[クリックしても個人は特定されません])



