製造業30年の経験は通用するか?──事例Ⅲを“現場目線”で読み解く by まっく

タキプロ16期の まっく と申します。
目次
■はじめに
今回は、製造業に長く関わってきた私が、どのように中小企業診断士試験の「事例Ⅲ」を攻略したのかについて、リアルな経験談をお届けします。
製造業経験のない方にも参考になると思います!
■製造業の経験は武器になるのか?
「製造業での実務経験があれば、事例Ⅲは有利なんでしょ?」
そんな声をよく聞きます。私自身、製造業歴30年以上の人間なので、その問いには自信を持ってこう答えたいです。
「YES。でも、それだけでは十分とは言えません。」
たしかに、私は金属加工業(超多品種・極少量生産)に長く従事してきました。
現場や図面に日々向き合ってきたので、生産の流れや課題に対する嗅覚はそれなりにあります。
でも、それだけで通用するほど事例Ⅲは甘くない。
たとえば、令和5年度の事例Ⅲは食品製造業でした。
食品業界の設備、安全基準、従業員体制などは、私の業界とはまるで別物。
経験が“直接役に立たない”場面は多々あると痛感しました。
つまり、実務経験は「プラスα」にはなっても、「必勝の切り札」にはならないんです。
■攻略のカギは「イメージ力」
私が最も意識したのは、与件文を読みながら“会社のイメージ”を自分の中に描いておくことです。
製造業には共通の流れがあります。
営業活動(受注)
生産計画・管理
製造(現場オペレーション)
検査(品質保証)
在庫・出荷(物流)
この大枠を頭の中に入れた上で読み進めることで、与件文の情報がスムーズに整理され、どこに課題があるのかが見えやすくなります。
さらに私は、“文字だけの見えない会社”を3D映像のように脳内で可視化していました。
たとえば「500坪くらいの敷地で、入り口に製品展示があり、奥に扉を開けると油の匂いのする工場が広がっていて……」
こんなふうにイメージを膨らませることで、与件文に出てくる登場人物や工程、設備が、“生きた情報”として頭に残るようになります。
■中小企業らしさを忘れない
もう一つ大切なのは、「中小企業目線」を忘れないこと。
事例Ⅲで登場する企業は、ほとんどが従業員数名~100名ほどの中小製造業です。
大企業とは違った課題や現実があるのです。
たとえば、中小製造業にありがちな特徴として
・一人が複数業務を兼務している(営業+生産管理。 社長が営業を兼務 など)
・人材が不足しており、若手が定着しにくい
・現場の改善が属人的(ベテランの感覚頼り)
・設備投資は限られており、工夫で乗り切っている
・書類は紙、やりとりはFAX、情報は頭の中、、、、というアナログ体制
・ノウハウが特定の人に集中し、技術継承に課題がある
こうした背景を想定しながら与件文を読むと、「なぜこの会社がこの施策を取れないのか」「どう改善すれば現実的か」がより具体的に見えてきます。
■回答テクニックは“型”を身につけること
内容の理解だけでなく、「どう書くか」も得点には大きく関わります。
たとえば
・過去問演習で出題傾向をつかむ
・「ふぞろい」シリーズを活用して、得点につながる書き方を学ぶ
・模試・勉強会でアウトプットを繰り返す
といった王道の対策をコツコツ積み上げるのが、結局は最短ルートです。
私は、「ふぞろい」に載っている高得点答案を繰り返し読み、自分の答案と比較することで、書き方の癖や論点のズレを修正していきました。
■製造業未経験者へのアドバイス
「でも、製造業の経験がないと、事例Ⅲは難しいのでは…? まっくさんのように頭の中で3D映像のように可視化できないのでは?」
そう感じている方も多いと思います。ですが、経験がなくても“現場を想像する力”は鍛えられます。
一番おすすめなのは、工場見学に行くこと。
製造業の知人がいれば、ぜひ職場を見せてもらってください。
それが難しい場合は、ビール工場や製菓工場などの一般向けの見学ツアーを活用しましょう。
実際の工場の音、匂い、作業の流れ、従業員の動きなどを体感すると、与件文を読むときの“想像力の質”がまるで違ってきます。
もしも、そんな時間もなければ、3D工場見学ツアーを掲載しているHPが増えてきました。
バーチャルの3D工場見学ツアーを眺めるだけでも想像力を鍛える効果があると思います。
ちなみに、私が実践していたのは、車や電車などの移動中に見かけた”工場”を題材に、頭の中で”工場風景を空想する”ことをやっていました。
(ちなみに、事例Ⅱについても同じことをやっていました。事例Ⅱの場合は、もちろん”お店”を見つけたときです)
この訓練は隙間時間にできるし、気分転換にもなるので、お勧め!です。
ちなみに、この訓練は、診断士合格後の活動にもつながる貴重な経験になるのでは?と考えています。
■おわりに(イメージ力×中小目線×訓練=突破力)
私は試験本番、与件文を読みながら、まるで工場の中を“歩いているような感覚”で読み進めました。
社長が登場すれば「ああ、この社長は昔ながらの職人気質だな」、
製造ラインが出てくれば「この機械は古そうだけど、工夫して使ってるな」
といった具合に、リアリティのある世界を自分の中に構築するよう意識していました。
診断士試験は、実務経験の有無にかかわらず、想像力と知識、そして冷静な読み取り力の勝負だと思います。
ぜひ皆さんも、「自分なりの事例Ⅲの読み方」「中小企業を想像する力」を育てながら、ラストスパートを駆け抜けてください。
※この記事はタキプロ16期 まっく が執筆しました。
受験生の皆さんの合格を、心より応援しています!
次回は、KenM さんの登場です。
お楽しみに!
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