実務補習体験談 by アラタ

実務補習 実務従事

 タキプロ16期の   アラタ と申します。今年も終わりが近づいてきました。年明け1月には二次試験記述試験の合格者の発表があります。その後、口述試験を経て、2月に二次試験の合格発表があります。
 経済産業大臣登録の中小企業診断士になるためには、中小企業診断士試験に合格後、3年以内に実務補習または実務従事を15日以上経験し、登録申請書を提出する必要があります。
 今回は、私が体験した実務補習について、全体の日程と注意点、やること、感想などを述べていきます。なお、私は合格後すぐ、2月~3月の15日間コースの実務補習を東京地区で受講しました。

 皆さんの合格後がイメージしやすいように参考になればと思います。

■令和6年度からの実務補習の変更内容

 令和6年度から実務補習における、“診断または助言を行う対象企業者数”と“日数”の関係について変更されました。従来は、5日間コース(1企業につき5日間×1企業)を3回受講と15日間コース(1企業につき5日間×3企業)を1回受講だったものが、8日間コース(1企業につき8日間×1企業)を2回受講15日間コース(1企業目8日間+2企業目7日間の2企業)を1回受講に変更されました。私は令和7年2月の15日間コースに申し込みましたので、15日で合計2企業の実務補習を受講しています。

 これまでの3企業対応の15日間コースは、SNSでの感想を拝見するに、地獄のような苦行だと想像していたため、対象企業者数が2企業に減ってくれてホッとしていました。

■実務補習申込から修了までの日程と注意点

 私が受講した令和7年2月の実務補習の日程は下記のとおりでした。実務補習の受付が合格発表前であることには戸惑いましたが、もし不合格だった場合は返金してくれるそうですので安心してください。

 注意すべきことは、何よりも体調管理です。私が所属していた班では、実務補習1日目に咳き込んでいて体調が悪そうな受講生がいました。その日のうちに病院に行き、感染症ではなくアレルギーによるものだったらしく、休まずに薬を服用し、体調も次第に回復していたので良かったです。この時に指導員の先生に確認したところ、実務補習は、原則、指導員と受講生が集合して実施されるため、1日でも欠席した場合、実務補習が修了したことにならないとのことです。(3・11の震災、コロナ禍では、オンラインで実施するなど、特別な措置があったそうです。)また、参加不可の受講生が出た場合、その分の報告書を残った受講生で対応しなければならなくなるとのことでした。(詳しいことは診断士協会に問合せる必要がありますが、参考になればと思います。)

■役割・担当決め

 実務補習は、指導員が付きますが、原則、受講生5~6人の班で互いに協力しながら進めていく形式になります。

 私が所属していた班では、役割として①班長、②副班長、③書記、④タイムキーパー、⑤会計(飲みの会計担当でした)と、報告書の作成担当としてA. 全体戦略、B. 財務戦略、C. マーケティング戦略、D. 組織・人事戦略、E. オペレーション戦略、F. IT戦略を決めるように指導員の先生から言われ、それぞれ希望を言い、決まらない場合はじゃんけんで決定しました。診断先の企業や指導員により、役割や担当の分け方が異なるようです。

 基本的には①班長が全体の進め方を決め、実務補習の進行を任され、報告書のA. 全体戦略を担当することになっていました。実務補習1日目の午後からは、①班長が進行、班員の意見の取りまとめを行い、必要に応じて指導員の先生が助言する形をとっていたため、①班長には相当な負担が掛かりますが、同時に、鍛えられます。

■実務補習の大まかな流れ

 私が所属していた班では、実務補習1日目のオリエンテーションで、実務補習の進め方や注意点などの手ほどきを受けた後、診断先社長ヒアリングと最後の社長報告会の日時を除き、実務補習のスケジュールは受講生に委ねられていました。つまり、班長がやる項目と全体のスケジュールを提案し、班員の意見を聞きながらスケジュールを決定するというやり方になりました。よって、以降はあくまでも私が所属していた班の事例として簡単に説明していきます。

 実務補習1日目は、指導員と受講生5人の初顔合わせの日です。オリエンテーション、ヒアリング準備。
 実務補習2日目は、ヒアリング準備、1社目企業訪問し社長ヒアリング。
 実務補習3日目は、課題抽出、解決策検討、全体方針・提言内容すりあわせ。
 実務補習4日目は、提言フレーム検討、報告書の書式・章立て・目次の検討、各自作業。
 実務補習5日目は、各自担当分野の整合、各自作業、自主活動に向けての準備。
 実務補習5日目以降の4日間は、実務補習が無いため、各自仕事・家事のあいまに自主活動。実務補習6日目の前々日に班員でオンラインミーティング開催し、進捗報告、指摘事項・意見交換、困っていることなどやり取りを行いました。
 実務補習6日目は、各自担当分野の整合、各自作業。
 実務補習7日目は、各自担当分野の整合、報告書完成、報告書印刷・製本、プレゼン資料の作成。
 実務補習8日目は、協会に報告書類提出、プレゼン準備、社長報告会。

 以上で、1社目が終わります。そして、その週の半ばくらいに2人目の指導員から2社目の実務補習の連絡があります。2社目は、実務補習2日目~8日目とほぼほぼ一致します。実務補習1日目が無い分、2社目を担当する班長は、事前準備が大変になります。因みに私は2社目の班長を担当しました。

 2社目の実務補習スケジュールで1社目と大きく異なるのは、最終日の15日目になります。少し不思議なスケジュールですが、実務補習15日目は、登録申請書提出、実務補習修了授与式に出席した後に、社長報告会に臨むという流れでした。

 なお、実務補習1日目と9日目は指導員との初対面のため、8日目と15日目は協会に報告書類を提出するために、協会が準備した会場に集合でした。それ以外の日は、協会が準備した会場であったり、指導員の事務所であったりと、指導員によって異なります。

 実務補習15日目には、協会が準備した会場内に、登録申請書を提出するためのエリアが設けられます。15日目に提出しないで、後日、自分で提出することも可能です(少し面倒ですが)。二次試験合格後3年以内に登録申請すればよいからと悩んでいて、15日目に提出しない人もいました。

■実務補習15日間コースの感想

 私は、指導員の先生と受講者の班員に恵まれました。指導員の先生は二人ともとても丁寧で面倒見がよかったですし、班員については皆さん優秀で私には輝いて見えました。常に冷静な意見を言える人、頭の回転が速く二・三歩先まで考えて話を展開できる人、データ分析に強い人など。若い人が多い班(私が40歳で一番年齢が高く、他の班員は20代後半から30代後半でした)だったためか、周りに遠慮することも無く、互いに意見を言い合い、互いの主張を理解し合えていたと思います。また、実務補習中の昼食は班員全員で一緒に食べに行ったり、アフター(飲み)も頻繁で互いの業界情報やバックグラウンドについて聞けたり、指導員の先生から診断士として生きていくためのアドバイスや苦労ばなしを聞けたりと、大変勉強になりました。
 ただし、すべての受講生がこのような体験を得られるわけではないようです。隣の別の班は、かなり重苦しい空気が漂っていて、ギスギスした感じが伝わってきました。(この班で良かったと心の底から思いました。)班員の組合せの基準はよくわかりませんが、東京地区で受講する場合は、居住地と年齢層のような気もしますし、班員の職種がバラバラになるようにしているのかもしれません。

 15日間協力しあった仲間たちとは強い絆のようなものができました。最近でも指導員の先生を含め同窓会を開きましたし、今後も定期開催する予定でいます。指導員の先生方には、診断士協会のイベントや研究会など診断士の会合の場でいろいろな先輩診断士を紹介してもらったりと、実務補習を通じて作った人間関係は、その後にも大きな影響を与えるものだと実感しています。

■おわりに

 実務補習にするか実務従事にするか、または、実務補習を受講する時期をどうするか、15日間コースを受講するか8日間コースを分割で受講するかは、二次試験合格者のそれぞれの仕事や家庭の事情によってさまざまだと思います。私は、今年の4月から転職することが決まっていたので、転職後のことを考え、それまでに実務補習を終えておきたいと思い、二次試験合格直後の15日間コースの実務補習を選択しました。(この場合、診断士登録は最短で5月1日となります。)皆さんも、1月の”口述試験を受ける方の発表日”の直後に選択する時が来ます。自分の事情に合わせて無理のないようにしてください。

次回は、こんちゃん さんの登場です。 

お楽しみに! 

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