特集「通学・独学のメリットデメリット-通学・独学編～6年間の試行錯誤を通じて～」　by のぞひな

タキプロ16期の のぞひな　と申します。

今回は16期生として2度目のブログとなります。

私は、中小企業診断士試験合格に6年を要した多年度生です。その間、勉強方法に迷走と試行錯誤を重ねた経験をもとに通学と独学それぞれの学習方法の特徴、長所と短所、ならびにその過程をご紹介いたします。

これから受験をご検討されている皆様、また、現在多年度受験中で学習方法に悩まれている皆様にとって、何か一つでも参考になることがあれば幸いです。

■ 受験の動機と背景
■ 勉強方法
■ 通学と独学の比較
■ 費用総計と今後の展望
■ 結論
■おわりに

■ 受験の動機と背景

私が中小企業診断士試験の受験を決意したのは、令和元年のことでした。前職金融機関において海外勤務から帰任し、役職定年を前に将来的なセカンドキャリアを意識し始めた頃のことです。

家業が零細飲食業であったこと、これまでの業務経験から金融機関への就職を決めた際の想いに立ち返り中小企業支援に従事したいと思ったことがその背景です。

また、アドバイザリー業務に従事するなかで、俗にいう士業の先生方との協業において専門家としての「資格の裏付け」の重要性を再認識したことも、受験を後押しした理由の一つでした。

■ 勉強方法

勉強方法については受験予備校も通学、通信、独学も完全独学、タキプロをはじめとした勉強会参加等色々あり、皆さんも悩まれることと思います。おそらく正解・王道といったものはなく受験生の得手不得手、学生時代や仕事での既存の知識や経験によって向き不向きがあると思われます。以下ご参考までに私の勉強方法の推移についてお話させていただきます。振り返ると時間的にも金銭的に無駄だったと思うところ多々ありますが、当時はそれに気づく余裕も全くなくただ走り続けていました。

私が勉強を開始したのは受験初年のGW位だったと思います。本屋の店頭で見かけた中小企業診断士試験ガイド本やネットで情報収集を行いましたが、最初に受けた印象は以下でした。

１次試験：「独学で何とかなるだろう。」7科目かつ各科目40点の足切りあるものの全体で6割取れば良く、経済学・経済政策や財務・会計等仕事に近しい科目があったことが理由です。
２次試験：「受験予備校でノウハウ（技術）を身につける必要がある。」過去問に最初に挑んだ際に正直全く答えを書くこと出来ず。（今では違いますが）事例I ~Ⅲは１次試験に加えて何か具体的には分からないもののきっと新しい知識、解答の為のノウハウがあるはず（と思いこんでいました）。

以下が私の6年間の迷走、試行錯誤の過程です。

初年度：独学による1次対策と通信講座による2次対策
- 1次試験に関しては、主に暗記科目が中心であることや、業務で得た知識が活かせる科目が含まれていたことから、独学での対応が可能と判断いたしました。実際にTACのスピードテキストおよびスピード問題集を活用し、初年度500点半ばで1次試験に合格することができました。２次試験対策は、前述の理由で事例演習を中心としたTACのWEB通信講座を受講しました。TACにしたのは1次試験対策でスピードテキストを使っていたことと大手でとっつきやすそうだったことが理由です。また通信にしたのは単に通学が面倒に思えたからです。
- 当初は通信課題を順調に提出できていたものの1次対策に多くの時間を要したため、徐々に課題の提出が滞り、一般教育訓練給付制度の申請もあり、1次試験合格後は答案を書いてはひたすら提出するだけで学習方法も復習も十分出来ず。結果として、十分な手応えを得られないまま試験本番に臨むこととなり、不合格に終わりました。

2年目：通学講座への切り替えとコロナ禍による影響
- ２年目は、2次対策に特化。回答ノウハウを効率良く早期に獲得すること。前年の反省から意思の弱い自身をやらざるを得ない状況に追い込む為、TACの２次試験通学講座に切り替えました。しかしながら、当時は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、通学が困難となり、実質的には通信講座に近い形だったと記憶しています。
- 加えて、業務上の異動による環境変化や精神的な負担が重なり、学習に集中できない十分な時間がとれない日々が続きました。試験前夜には極度の緊張から一睡もできず、体調を崩したまま受験当日を迎え、撃沈しました。疲れ果て意識朦朧とする中、事例IVで受験番号の記入をしてないのに終了直前に気づいた程です。皆さん体調管理には十分ご注意ください。

３年目：1次再受験と過去に続く教材の蓄積
- 受験3年目。まだ受験勉強への気力は残っていました。今年こそはと年明けから勉強開始。1次試験再受験の要あり、知識の定着度に不安があったため、再度TACにて１次・2次通学セット講座を受講いたしました。この講座では最も高額な費用が発生しましたが、このコースでの1次基本テキスト、1次過去問題集、直前期の最終講義レジュメ、2次事例知識解説講義テキストが後々にも非常に役に立ちました。結果として有意義な投資となりました。年間を通して初めて通学講座を受験しました。週1回ではあるもの、80分の演習＋60分の講師による解説で休憩時間を含め計2時間30分の１コマを午前、午後で2コマ。頭脳的にも身体的にかなりきつく講座終了後の解放感が半端でなかったのを記憶しています。ここで達成感を感じていたのが駄目でした。周りに受講生がいる本番同様の環境下で80分の使い方を試行錯誤できること、常に初見の事例に挑戦できること、受講生が使う文房具を始めとした俗に言うノウハウを間近で見て取り入れられること、同じ目的を持った受講生と時間を一緒にすることで自らのモチベーションを高められたこと、魅力的な講師に直接質問が出来ること。受講生の中での自身の相対的な位置が把握できることにメリット感じられ、大変刺激を受けました。しかしながら…一方で、採点回答が戻ってくるのが約1週間後、新しい事例に数多く取組むことが中心になってしまい、復習の時間が十分にとれなかったこと、最後までシンプルで洗練されたTACが用意する模範回答作成方法の理解が難しかったこと（近づいている気配すら感じられなかったこと）が反省点も含めたデメリットだったように思います。
- この年も１次試験には高得点で合格しましたが、２次試験では合格には至りませんでした。本格的な迷走が始まります。

４年目：独学への回帰と方向性の模索
- 受験も4年目を迎え流石に焦ってきました。費用面の負担が大きくなってきたことから、勉強方法を独学へ移行いたしました。比較的業務に余裕ある時期でしたが、転職を決意し、転職活動を続けながらの勉強でやはり集中出来たとは言えませんでした。保険受験で1次試験を受験。過去対比それほど時間使いませんでしたが、結果全科目合格となり、翌年以降の2次受験機会を1回失ってしまいました。翌年合格の為にどの科目を敢えて残しておくか等の戦略が必要でした。
- 2次試験対策においては、ここで初めて「ふぞろいな合格答案」シリーズを活用した過去問演習中心の学習に取り組んだものの、Plan-Do-Seeサイクルないままただ過去問10年をひたすら回すだけとなり客観的な視点やフィードバックを欠いた結果、独りよがりな解答を量産してしまい、自己過去最低点に終わりました。

５年目：海外赴任とタキプロ勉強会の出会い
- 転職し、この年からタイ赴任となり、年始に本年を最後の受験と心に決めましたが、環境が大きく変わり学習に取り組む時間の確保が非常に難しい状況となりました。そのような中で、前年のふぞろいでの勉強がひとりよがりとなっていた反省から色々模索をする中で、運良く「タキプロZoom勉強会」に出会うことができました。他の受験生との意見交換や、タキメン、受講生から自身の解答へのフィードバックを受けることができ、独学では得難い学びが多数ありました。また日本人が多いタイですが、流石に周りに中小企業診断士受験生を見つけられる訳もなく、勉強会を通じての仲間意識が自身のモチベーション維持に繋げることが出来ました。ストレート合格のタキメンがきらきらと輝いていたのを思い出します。
- 2次試験受験地が自宅近隣歩いて10分の某有名大学だったこともあり、今年の俺は持っている！と勝手に思い込んでいました。結果は事例Iで痛恨の与件文１頁読み飛ばしあり、本当にもう少しのところで不合格…ですが初めて「手応えを感じた」年でもありました。

6年目：学習スタイルの確立と最終合格
- 流石に5年をかけて合格できなかったことから「受験どうしよう」から始まり、「合格するにはどうしたら」と自問自答。前年のタキプロZoom勉強会で（今更ながら）何となくの手応えを感じられたこと、嫁さんからの叱咤あり、再度の受験を決意。
- １次試験も既に4回目。まぁ何とかなるだろうと遅まきながらGW位より復習開始しかつ最低限の点数で合格。2次試験対策は、同じくGW位より前年に一定の成果が見えた「独学＋タキプロ勉強会」のスタイルを継続しました。1次試験対策は過去問中心に100時間程度、2次試験対策は「ふぞろいな合格答案」シリーズによる過去問演習を中心に190時間程度の学習を行っています。既に過去問も３年目ですが解くたびに新しい発見があることが新鮮な気づきでした。タキプロZoom勉強会には計10回程参加し、仲間と共に演習と振り返りを重ねました。その結果、漸く２次試験で合格、6年間の努力が実を結ぶこととなりました。

■ 通学と独学の比較

以上、自分史が長くなってしまいましたが、6年間を振り返った私が感じた通学と独学のメリットデメリットは以下となります。あくまでも私個人の意見となることご容赦ください。

＜通学のメリット＞

学習スケジュール、学習スケジュールが体系的に設計されており、１次試験の知識、2次試験の解法も含め、効率的に身につけることが出来る
有名な講師の皆さんから直接指導が受けられる。（私の場合、三〇講師、櫻〇講師、伊〇講師等）単純に講師の話が面白い。授業のその場で質問、講師から解説を受けることが出来る。
本番と同条件（２次1科目80分）の演習を行うことで書くこと、時間管理を身につけることが出来る。演習の採点により直接個人毎のフィードバックを得ることが出来る。
他の受講生と一緒に授業を受けることで刺激と一体感を感じ、自身のモチベーションが高めることが出来る。その他、問題用紙をばらす、ペンの使い方（シャーペンのみ、カラーペン多数、フリクション2色等）等受験の実務テクニックを実際に見て参考にすることが出来ました。
演習結果、模試の結果で自分の受験生の間での相対的位置を把握出来ること。私は常に上位20％に入ることを目標としていました。

＜通学のデメリット＞

独学対比圧倒的に費用が高額（年間数十万円の出費となる場合あり）
振替制度（曜日、WEB解説視聴等）があるものの、学習時間の確保に柔軟性がなく、仕事、私生活との両立が困難な場合があること。
受験予備校の解法メソッドに向き不向きがあること。教材や指導方法が自分に合わない場合、かえって非効率となることがあること。回答の進め方（設問文の解釈、与件文を2回読む、キーワードを探しに行く等）、課題と問題の違い等学びをたくさんあった一方で、私には、あまりにもシンプルで洗練された模範解答には全く達することが出来ず、そこへのアプローチも最後まで理解出来ませんでした。
通学日に加え、その復習が必要でやはり独学対比時間を要すること。演習直後に解説あるものの、演習結果の返却が早くても1週間後となり、記憶が薄れてしまい、復習のモチベーションがかなり下がっていました。

＜独学のメリット＞

費用負担が少なく、経済的な制約を受けにくい
自身の生活リズムやペースに合わせて柔軟に学習を進められる

＜独学のデメリット＞

適切な勉強計画（何をどの様にどれだけ）を立案することが難しい。
情報収集に時間を要する。今であればSNS（YouTubeや受験生支援団体のブログ）を通じて有象無象、玉石混淆の情報を得ることが出来ますがその中から自分にあった情報を取捨選択していくことは簡単ではありません。
独学でのモチベーションの維持。自身の学力の受験生の間での相対的把握が難しいこと。これが私の様な意思の弱い人間にとって独学の一番の課題だったかと思います。
独りよがりの勉強になってしまい、客観的な評価やフィードバックが得られず、誤った学習を続けてしまうリスクがあること。ふぞろいのワードだけで採点し、ワードはたくさん含まれているものの文章として成り立っていない。それに気づかないことが数多くありました。

独学においては、外部からのフィードバックや、同じ志を持つ仲間の存在が極めて重要であると痛感いたしました。

上記モチベーションの維持、独りよがりの勉強への対策としては、勉強仲間を作っていくこと、第三者から意見を貰う機会を持つことをお勧めします。私の場合、タキプロZoom勉強会での仲間意識、タキメン、受験生からの指摘、加えてタキメンブログ、ふぞろいの脚注コメント、エッセイ読むことで刺激を入れ続けました。