生成AIを活用して試験勉強を効率化しよう(2次試験編) by ひらく

タキプロ16期のひらくです。今回のブログは5月25日に公開されたタキプロ特集記事「生成AIを活用した勉強法」の続編となります。
目次
■はじめに
生成AI市場の急速な拡大には目を見張るばかり。経済産業省 中部経済産業局の報告書『兆しレポート テーマ︓⽣成AIを活⽤した働き⽅改⾰の兆し』(https://www.chubu.meti.go.jp/a32kikaku/kizashi/20231116/kizashi_report6.pdf)では、世界全体の⽣成AIの市場規模は、2022年現在の1.2兆円から、2030年には約12倍の約14兆円にまで拡⼤するとの予測が紹介されています。
規模のみならず、用途も拡大しており、従来のテキストベースのコンテンツ生成に加え、画像⽣成、(プログラミングの)コード生成、作曲、動画作成など、多様な⽤途での⽣成AIが公表されており、専門人材の不足を補う有効なソリューションとして、大手企業のみならず、中小企業にも普及が進んでいます。
第一回は、1次試験に役立つ活用方法としてGoogle社が提供している「NotebookLM」を活用した学習方法をご紹介しましたが、第二回は1次試験、2次試験両方に使えそうなアイデアとして「ChatGPT+PlantUMLによるマインドマップ作成」をご紹介いたします。
■なぜマインドマップ?
1次であれ2次であれ、診断士試験においては、知識の整理・整頓が非常に重要です。知識は、持っていても「試験で使えなければ無いのと同じ」だからです。この場合の「使える」とは、
①設問要求に対し即座に論点を想起し
②事例企業の実情に即した診断・助言を論理的に記述する為に
③知識を活用できること
…とも言い換えられます。
この知識の整理・整頓の「手段」として「マインドマップ」が活躍する事になります。
樹形図状に情報が分類・体系化されており、それぞれがどの種類の情報かを直観的・俯瞰的に把握できる為、効率的な記憶の定着・活用が期待できるほか、記述すべき論点の抜け・偏りをチェックする用途(いわゆるMECEの確認)にも活用できます。
「工具」で例えるなら「仕切りのない箱に乱雑に放り込まれた工具たち」と「工具箱に整然と整理された工具たち」の違いです。忙しい現場でどちらが効率的に使えるかは明白ですよね。
■どう作る?
端的には
手順1:生成AIを活用して情報を出力・整理
手順2:生成AIにマインドマップのコード(PlantUML形式)を生成させる
手順3:PlantUML(というオープンソースの描画ツール)でマインドマップを出力する
…というステップになります。それぞれについて少し補足しますね。
■ソフトウェアにソフトウェアを作らせる
マインドマップがいかに有用であれ、一点ずつ描画していたのではむしろ非効率です。では「プログラミングを活用して省力化しようか」となるわけですが、それも面倒だし、そもそもプログラミングの知見・スキルが無いとそれも叶わない。
そこで「生成AIにコードを書かせてしまおう」という発想がでてきます。
このように「(ソフトウェアの一種である)生成AIにソフトウェア(のコード)を作らせる」という手法は、シリコンバレーでもトレンドとなっています。
近年では、生成AIに話しかけてコードを生成させる「バイブコーディング」と呼ばれるソフトウェアの開発手法も普及し始めており、ソフトウェア開発の生産性の向上を後押ししています。
■PlantUMLとは
PlantUMLとは、テキストベースでUML図(=システムや仕事の流れ、人やモノの関係などをわかりやすく表す図)を作成できるオープンソースのツールです。
シーケンス図、クラス図、マインドマップなどを簡潔な記述で生成でき、設計やアイデアの可視化、ドキュメント作成に便利です。プログラマやコンサルタントに広く利用されています。
<公式サイトリンク> https://plantuml.com/ja
ちなみに「UML図」については「経営情報システム」の出題範囲にもなっていましたね。
情報システム 令和5年度(再試)第12問
システム開発に利用されるモデリング技法である UML(Unified Modeling Language)のダイアグラムに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア アクティビティ図は、オブジェクト間のメッセージの流れを時系列的に表現するダイアグラムである。
イ オブジェクト図は、対象となるシステムとその利用者とのやり取りを表現するダイアグラムである。
ウ クラス図は、対象となるシステムを構成する概念・事物・事象とそれらの間にある関連を表現するダイアグラムである。
エ コミュニケーション図は、活動の流れや業務の手順を表現するダイアグラムである。
オ シーケンス図は、システム内部の振る舞いを表現するためのもので、ユースケースをまたがったオブジェクトごとの状態遷移を表現するダイアグラムである。<正答:ウ>
■具体的な作成方法
少し前置きが長くなってしまいましたが、ここから具体的な作成方法をご紹介していきます。
例えば、「店舗の売り上げ向上策」をマインドマップで整理してみましょう。
■手順1:生成AIを活用して情報を出力・整理
ChatGPT(https://www.chatgpt.com)にアクセスし、以下のような命令文(プロンプト)を入れてみます。
中小企業診断士試験において覚えておくべき「店舗の売り上げ向上策」を10項目挙げてください
すると、例えば、以下のような解答が出力されます。
※注:出力結果は環境により異なります
【店舗の売上向上策 10項目】
①ターゲットの明確化とセグメンテーション
顧客層(年齢、性別、ライフスタイル等)を明確にし、重点ターゲットに合わせた商品・サービスを提供。
②商品ラインナップの見直し(品揃え最適化)
売れ筋商品を強化し、不採算商品を削減。ニーズに合致した商品構成で来店・購買促進。
③店頭ディスプレイ・POPの工夫(視認性・訴求力の強化)
見やすく分かりやすい陳列、訴求力のあるPOP等で衝動買いを促進。
④顧客体験(CX)の向上
接客品質の向上、買い物しやすいレイアウト、清潔感のある空間づくりなど。
⑤SNSやLINE等を活用した情報発信・販促
新商品やイベント情報をタイムリーに発信し、来店動機を創出。
⑥リピーター育成(CRM施策)
メンバーズカードやポイント制度、誕生日特典などの導入で継続的な来店を促す。
⑦イベント・キャンペーンの実施
季節や地域性に合わせたイベント開催や限定キャンペーンで集客・話題づくり。
⑧価格戦略の見直し(値ごろ感・バンドル販売)
セット販売、値引き、プレミアム商品導入などで購買単価を引き上げ。
⑨周辺地域との連携・コラボレーション
地域企業や観光地との連携で来店客の新規開拓や相乗効果を狙う。
⑩多店舗展開・ECとの連携(オムニチャネル化)
実店舗とネット販売を組み合わせ、接点を増やして売上の最大化を図る。
この時点で、1次試験の知識に照らし合わせて内容を確認し、必要に応じ、追記・修正を行います。
出力結果が不十分あるいは不適当な内容である場合(例:不要情報が入っている、必要情報が抜けている、文章量が多すぎる・少なすぎる)、
①適宜マニュアルで加筆・訂正を行うか
②再度命令文を入れて(例:各要素50字で表現して下さい、と再度命令する等)出力しなおして、
納得のいく形に情報を成形していきます。
内容が確定したら、次のステップに進みます。
手順2:生成AIにマインドマップのコードを生成させる
ChatGPTに、以下のような命令文(プロンプト)を入れます。
上記の①-⑩について、マインドマップを作成するため、PlantUML形式のコードで書き出してください。
※手順1で出力内容を修正した場合はそちらをコピペ・指定
すると、上記の命令に対して、ChatGPTが以下のようなコードを出力してくれました。
@startmindmap
* 店舗の売上向上策
** ①ターゲットの明確化とセグメンテーション
*** 顧客層の年齢・性別・ライフスタイルを分析
*** 重点ターゲットへの商品・サービス最適化
** ②商品ラインナップの見直し
*** 売れ筋商品の強化
*** 不採算商品の削減
*** 顧客ニーズに沿った構成
** ③店頭ディスプレイ・POPの工夫
*** 衝動買いを促す陳列
*** 見やすいPOPで商品訴求
** ④顧客体験(CX)の向上
*** 接客品質の向上
*** 快適な店舗レイアウト
*** 清潔感ある空間づくり
** ⑤SNSやLINE等での情報発信
*** 新商品やイベントの告知
*** 来店動機の創出
** ⑥リピーター育成(CRM施策)
*** 会員制度やポイント制度
*** 誕生日特典などの導入
** ⑦イベント・キャンペーンの実施
*** 季節や地域性に応じた催事
*** 来店・話題づくりの強化
** ⑧価格戦略の見直し
*** セット販売や特価品の導入
*** プレミアム商品の展開
** ⑨周辺地域との連携
*** 地域企業・観光地とのコラボ
*** 相乗効果による集客拡大
** ⑩多店舗展開・ECとの連携
*** オムニチャネル化
*** 顧客接点の拡大
@endmindmap
忙しい試験勉強の最中、このようなコードを、手入力する事を考えると気が遠くなりますが、生成AIなら一瞬ですね。
手順3:PlantUMLでマインドマップを出力する
上記で書き出されたコードをコピーして、PlantUMLのコードを無料で実行できる環境PlantUML Web Serverにアクセスします。
PlantUML Web ServerThe PlantUML Web Server allows you to create and edit onlinewww.plantuml.com
ここに表示されたテキストフィールドに上記のコードをペーストし、「Submit」ボタンを押すと、以下のようなマインドマップが瞬時に出力されます(PNGやSVG形式で保存する事が可能です)

■おわりに
中小企業診断士試験の学習は、広範な知識の習得と時間管理の両立が求められる挑戦です。隙間時間を最大限に活用できる生成AIは、限られた時間の中で効率的に学習を進めたい受験生にとって、強力な味方になります。AI技術を味方につけて、令和7年度での合格をつかみ取りましょう。なお、生成AIは時に間違った回答を作ることがありますので、その点は十分ご留意ください。また、情報漏洩や各種教材の権利関係については、ご自身で確認のうえ、適切な対応をお願いいたします。
2次試験まであと2か月足らずとなりましたが、受験生の皆様のご武運をお祈りしております!
次回は、ヒサ さんの登場です。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
↓下のボタンを押して、読んだよ! と合図していただけると、とっても嬉しいです。
(診断士関連ブログの人気ランキングサイトが表示されます[クリックしても個人は特定されません])



