残り2週間で固める!事例Ⅰ「問題の型」と「思考フレーム」 byべっち

事例Ⅰ

タキプロ16期の   べっち と申します。  

■はじめに

中小企業診断士2次試験の事例Ⅰ(組織・人事)は、「正解が見えにくい科目」と言われます。
財務のように数値で答えが出るわけではなく、与件文から「社長の意図」や「組織の課題」を読み取り、理論に基づいて助言する力が問われます。そのため、同じ文章を読んでも、受験生によって答案の方向性が大きく異なり、得点差が最も開きやすいのがこの事例Ⅰです。


残り2週間の今こそ、新しい知識を詰め込むよりも、「思考の型」を固めておくことが合格への近道です。
つまり、「問われ方のパターンを見抜く力」と「答えを理論で組み立てる力」を磨く時期です。
この記事では、事例Ⅰの設問を整理して読むための「問題分類」と、答案を安定させるための「フレームワーク」をまとめます。最後の追い込みに、思考を整理する時間を取りましょう。

■自己紹介

3回目の投稿になりますが、改めて自己紹介させていただきます。

名前:べっち
年齢:30代
職種:通信キャリア(法人営業)
居住エリア:福岡県

受験歴:令和3~5年 1次試験、令和5~6年 2次試験
勉強時間:1次700時間、2次500時間
勉強方法:1次はSTUDYing、2次は独学(ひたすら過去問とふぞろい採点)
得意科目:(1次)企業経営理論、経営情報システム (2次)事例Ⅰ・Ⅱ
苦手科目:(1次)経営法務、中小企業経営・政策 (2次)事例Ⅲ
勉強を始めたきっかけ:
 建前)中小企業経営に関する幅広い知識を身に着け、地元経済に少しでも貢献したいと思ったから
 本音)妻の里帰り出産中にゲームをしまくるか勉強をしまくるか悩み、軽い気持ちで勉強を選んだ結果、4年の沼にはまった

■問題は「目的×手段」で読み解く

事例Ⅰでは、表面的には「人事制度」「組織体制」「モチベーション」などが問われますが、根底には常に「何のためにそれを行うのか」という目的があります。
この目的を外すと、どれだけ論理的でもズレた答案になってしまいます。

設問を読む際は、まず「目的」「手段」の2軸で整理してみましょう。
目的は「組織の活性化」「人材育成」「事業承継」「業績向上」などが中心です。
手段としては「組織再編」「権限委譲」「評価制度改革」「コミュニケーション強化」「教育体制の整備」などが登場します。

たとえば「中核人材の育成方策を問う」問題なら、目的は人材確保・組織の持続性、手段はOJTや権限委譲などになります。
また「組織体制上の課題を問う」問題なら、目的は業績向上、手段は職能制から事業部制への転換や意思決定プロセスの明確化が考えられます。

このように「目的×手段」で分類しておくと、設問を見た瞬間に思考の方向性が決まり、与件文の情報整理も速くなります。

■設問タイプの3分類

設問タイプは大きく次の3つに分けることができます。

  1. 現状分析型:強み・課題を整理する(事実関係と因果)
  2. 施策提案型:改善策を具体的に提案する
  3. 理由説明型:「なぜ有効なのか」を理論で裏づける

設問を読んだ瞬間に「これは現状分析型だから、まず現状を抽出しよう」「これは理由説明型だから理論で支える」と判断できるようにしておくと、80分間の思考がぶれなくなります。
各タイプの特徴や解法について整理します。

💡 現状分析型 ― 「事実を整理し、因果で説明する」

① 設問の特徴

  • 主語が「A社」「現状」「組織体制」などで始まる。
  • 「強み」「課題」「問題点」「要因」「背景」などのワードが含まれる。
  • 例:
    • 「A社の組織体制上の課題を分析せよ」
    • 「A社の強みを踏まえて成長要因を述べよ」

② 解答の方向性

  • “何がどうなっているか”を事実ベースで整理
  • 与件文から「現象→原因→影響」の流れを因果で表現する。
  • 方策を書く必要はなく、現状理解の正確さと一貫性が得点ポイント。

③ 使えるフレーム

  • 組織構造視点(職能制/事業部制/階層/情報伝達)
  • 人的資源管理視点(モチベーション・人材不足・評価・承継)
  • 環境変化とのミスマッチ(戦略変更に組織が追いついていない)


<例文イメージ>

職能別組織で部門間の連携が弱く、情報共有が遅れることで意思決定の迅速性が損なわれている。


💡 施策提案型 ― 「何をどう変えるかを具体的に示す」

① 設問の特徴

  • 「どのような施策」「どのように対応」「施策を述べよ」などの表現。
  • 例:
    • 「A社が組織活性化のために取るべき施策を述べよ」
    • 「人材育成の具体的方策を提案せよ」

② 解答の方向性

  • 目的に対して“どのような手を打つか”を具体的に書く。
  • ただし、“具体的”とは「制度名」よりも「行動の仕組み」。
  • 「誰が」「何を」「どのように」行うかを明確に。

③ 使えるフレーム

  • 組織構造改善(権限委譲、部門横断、意思決定プロセス改善)
  • 人的資源施策(評価制度、OJT、キャリアパス、表彰制度)
  • 経営体制(後継者育成、幹部会議の設置、経営理念の共有)


例文イメージ

権限委譲を進め、部門長に目標管理を任せることで、意思決定の迅速化と部門責任意識の向上を図る。



💡 理由説明型 ― 「なぜその施策が有効かを理論で支える」

① 設問の特徴

  • 「理由を述べよ」「なぜ」「効果を説明せよ」といった問い方。
  • 例:
    • 「A社が人事制度を見直すことが有効な理由を説明せよ」
    • 「権限委譲がモチベーション向上に繋がる理由を述べよ」

② 解答の方向性

  • 施策の“根拠”を理論的に説明する
  • 「施策 → 理論 → 効果」の3段構成を意識。
  • 一般的にはモチベーション理論・組織論・経営戦略論などを使う。

③ 使えるフレーム

  • マズロー/ハーズバーグ理論:承認欲求・達成感・職務充実
  • PM理論・リーダーシップ論:動機づけと統率のバランス
  • 戦略‐組織‐人事の一貫性理論:施策が戦略に合っているか
  • 組織文化論:理念共有が行動規範を強化する


例文イメージ

権限委譲によって部門長の自律的意思決定が促進され、達成感や自己実現欲求が満たされるため、モチベーション向上が期待できる。


この3つの型を瞬時に見抜けるようになると、設問解釈で迷う時間が減り、答案の骨格が自然と安定します。
過去問演習では「これはどの型か?」をまず判断し、それぞれの型に合わせて使うフレームワークを固定化しておくのが得点アップの王道です。

■答案を支える思考フレーム5選

事例Ⅰでは、理論暗記よりも“理論を使って考える”力が問われます。
そのためには、使えるフレームを5つに絞って、頭の中に整理しておくのが効果的です。

  1. 戦略―組織―人事の一貫性
     企業戦略が変化すれば、組織構造や人事制度もそれに合わせて変化すべきです。
     「戦略の変化→組織再設計→人事制度見直し」という流れで因果関係を描きましょう。
  2. モチベーション理論
     マズローの欲求段階説やハーズバーグの二要因理論は、従業員意識を説明する定番ツールです。
     例:「承認欲求を満たすために評価制度を改善」「衛生要因として労働環境を整備」など。
  3. 組織構造の設計原則
     職能制・事業部制・マトリクス制の特徴を押さえ、どの構造が目的に合うかを論理的に説明します。
     事業拡大期には事業部制、専門性強化なら職能制など、戦略との整合性を意識しましょう。
  4. 権限委譲と統制のバランス
     「社長の意思を残しつつ、現場に裁量を与える」ことが中小企業ではカギです。
     トップダウンとボトムアップを両立させる助言を意識しましょう。
  5. 人材育成サイクル
     採用→育成→評価→活用→再教育の循環が組織力を高めます。
     単発の施策ではなく、持続的仕組みとして助言することが高得点につながります。

答案作成では、これらのフレームを文章構成にも活かせます。

「〇〇という課題があるため、△△を行うことで、□□が期待できる」
という因果関係のテンプレートを使えば、論理が安定し、読み手に伝わる答案になります。

■おわりに

残り2週間は「知識を詰め込む時期」ではなく、「型を定着させる時期」です。
過去問を解いた後は、各設問を「目的×手段」「設問タイプ」「思考フレーム」の3つで整理し、自分の思考テンプレート集を作ってください。

試験本番で求められるのは、知識量ではなく「一貫した論理の再現力」です。
自分の中に“再現可能な思考の型”を持てば、どんなテーマが出ても落ち着いて対応できます。

次回は、みずっち さんの登場です。 

お楽しみに! 

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