【事例Ⅲ】結果は76点。私の事例Ⅲ対策 by ひらく

タキプロ16期の ひらく と申します。今回は、事例Ⅲについて書かせていただきますね!
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■はじめに
診断士試験、私は2年で合格しました。
初年度の令和5年は2次試験敗退(合計230点)、令和6年の再挑戦で合格(合計253点)、という戦績です。
事例Ⅲが得意という意識も無かったのですが、得点は1年目の不合格時に68点、2年目の合格時は76点でした。
私は家電メーカー勤務で、一応、製造現場と関わる機会はありますが、
宣伝や営業、企画職が長かったため、製造現場に精通しているかといえば、そうでもありません。
この点では、生産管理や生産統制の現場についてイメージが沸かずに悩んでいる、多くの受験生の皆様と立場は近いと思います。
今回は、そんな私の考え方や試験対策について、以下ご紹介させていただきます。
■事例Ⅲの出題傾向
2次試験の中でも事例Ⅲは、比較的パターン化されているのが特徴です。事例企業(C社)の特徴としては、おおむね以下の要素が含まれています。
●明確な「強み」がある:これまでその事例企業が事業継続できた背景理由
●複数の「弱み」がある:強みの裏返しである場合も多い
●新規事業展開案がある:環境変化への対応や更なる成長への打ち手を模索中
設問構成としては、おおよそ4~5問で構成されていますが、
第1問では、SWOT分析や3C分析、または強み・弱みに特化した形式など、
パターンはさまざまですが、基本的には内部環境や外部環境を分析する内容が出題されることが多いです。
第2問目から4問目では、生産管理、または、生産統制についての課題を分析して「診断」したり、弱みに対して「どうすればよいか」といった「助言」を求める問題が出題されます。助言型と診断型のいずれか、もしくは両方の視点が求められる構成になっていることが一般的です。
第4問目または5問目となる最後の設問は、新規事業展開や、変化する外部環境に対応するためにどうすべきか、について問われます。たとえば「新規取引先との事業を拡大するために、従来の生産方式では対応できないがどうすべきか」といった設問で、「助言」型の出題が中心となる傾向があります。
■生産管理・生産統制への理解について
前述の通り、私はメーカー勤務ながら、製造部門で働いてきたわけではありません。生産管理については、1次試験「運営管理」の学習を通じて、業務で見聞きしていた内容について「なるほど、こういうことだったのか」とおぼろげに理解できるようになった、くらいの状況です。(こんな事を職場で言ったら「意識が低い!」と怒られるかもしれませんが…)
1次試験の知識だけでは具体的なイメージが湧かなかったため、YouTubeで製造現場の動画を見たり、書籍で現場の様子を知る工夫をしました。例えばYouTubeで「マシニングセンタ」で検索し、その仕組みや実際の姿を動画で確認するなどです。
中でも、製造業系YouTuberのものづくり太郎さんの解説は、非常にわかりやすく、試験合格後の実務補修で製造装置メーカーの経営診断をすることになった際も、良く活用させていただきました。
Youtube
また、生産管理や生産統制についての書籍も何冊か読みました。その中から、お勧めの2冊をご紹介します。
お薦め書籍
- 『The Goal』マンガ版 https://amzn.asia/d/itfnPWs
- 『文系出身者が2時間で製造業が分かる本』https://amzn.asia/d/h6ac4KL
1冊目は、定番ですが『The Goal』です。
生産現場の改善をテーマにした物語で、ボトルネック工程の特定と改善を始めとする、生産管理・生産統制について、わかりやすく書かれています。書籍版はアメリカの原著の翻訳ですが、漫画版もあり、そちらは舞台が日本企業に変更されています。画と相まってイメージがつかみやすいため、特におすすめです。
2冊目に紹介したいのは『文系出身者が2時間で製造業が分かる本』です。
これは、製造現場に詳しくない金融機関や商工会議所職員向けに、製造の基礎が分かりやすく解説されています。事例Ⅲで度々登場する、「プレス加工」「板金加工」「樹脂成形加工」などの加工方法の違いについても具体的に説明されており、非常に役立ちました。
■新規取組みの助言について
勉強を進める中で、事例Ⅲの新規事業展開に関する助言を行う際には「クロスSWOT」の視点を持つと良いことに気づきました。
具体的には、設問1で行ったSWOT分析をベースに、
●強みを活かして新たな機会をどう捉えるか
●弱みをどう補強して脅威に備えるか
の観点から検討する、という事になります。
このように「強み×機会」「弱み×脅威」という二軸から助言内容を組み立てることで、分析→診断→助言の流れに沿って事例全体のストーリーと整合性を持たせることができます。
また、事例Ⅲの最終設問では、時折、二者択一でA案かB案かを選ぶよう求められるタイプの設問が出題される事があります。
C 社社長は、直営店事業を展開する上で、自社ブランド製品を熟練職人の手作りで
令和 3 年度 第 2 次試験問題 事例Ⅲ 第4問(配点 30 点)
高級感を出すか、それとも若手職人も含めた分業化と標準化を進めて自社ブランド製
品のアイテム数を増やすか、悩んでいる。
C 社の経営資源を有効に活用し、最大の効果を得るためには、どちらを選び、どの
ように対応するべきか、中小企業診断士として 140 字以内で助言せよ
方向性A:熟練職人の手作り→高級感の獲得
方向性B:若手職人と分業化・標準化→アイテム数の増加
について、どちらを選択すべきか考えを述べた上で、対応について解答しないといけないのですが、出題者が(おそらく)意図しなかったであろう選択肢を選んでしまった場合でも即座に0点とはならない事は、「ふぞろいな合格答案」などにおける再現答案分析が物語っています。
むしろ、どちらを選んだかよりも、その選択をした理由・根拠を、与件文に基づき論理的に説明できているかが重要です。
そしてこの際、意識すべきなのは「与件文ファースト」。その取り組みの意義や必要性に関する根拠を与件文から丁寧に読み取り、選択理由の裏付けとして活用する必要があるという点です。
与件文に根拠のない事を記載してしまうと、以下にそれが論理的であっても事例企業の実態に即さない解答(=解答者の思い付き次第で何とでも書けてしまう回答、いわゆる「ポエム」)となってしまいます。
また、二者択一タイプの亜種として、「社長の取り組み意向」の「妥当性」について問われる問題もあります。
食品スーパー X 社と共同で行っている総菜製品の新規事業について、C 社社長は
令和 5 年度 事例Ⅲ 第 2 次試験問題 第 5 問(配点 30 点)
現在の生産能力では対応が難しいと考えており、工場敷地内に工場を増築し、専用生
産設備を導入し、新規採用者を中心とした生産体制の構築を目指そうとしている。こ
の C 社社長の構想について、その妥当性とその理由、またその際の留意点をどのよ
うに助言するか、140 字以内で述べよ。
つまり、以下のような選択肢を選んで記述する事になります。
方向性A:妥当である+その理由と留意点
方向性B:妥当でない+その理由と留意点
どちらを選んでも選択理由を論理的に説明すべき点は変わらないのですが、受験時代、「迷ったら社長の意向に沿っておけ」という意見を、折に触れて目にしました。反対の立場を取る場合にはなおの事、企業側/社長の意向を否定するに足るだけの明確で合理的根拠が必要になりますし、それが見つからない場合には基本的には社長の考えに寄り添い、実行を前提とした前向きな助言を行う方が、診断士実務のスタンスにも即している、ということなのでしょう(もちろん、あまりにも無謀な計画であれば、体を張って止めないといけない時もあるのかもしれませんが…)。
これは意見が分かれるところですが、私も基本的にはこの考え方に沿って解答していました。
■おわりに
以上、事例Ⅲ対策、いかがだったでしょうか。
この記事が少しでも読者の皆様のお役に立てれば幸いです。
試験勉強、大変な道のりですが体調管理にも気をつけながら、頑張ってください!
次回は、はやひと さんの登場です。
お楽しみに!
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