企業経営理論を身近にする：マズローの欲求5段階説と現代社会 byえのっきー

皆様、こんにちは。
タキプロ１６期のえのっきーです。

令和7年度の１次試験を受験された皆様、本当にお疲れ様でした。
試験直後ではありますが、今回は「企業経営理論」についてお話ししたいと思います。

■初めに
■マズローの欲求5段階説とは？
■５段階の各欲求について
■現代社会におけるマズロー理論の適用
■SNS時代の承認と自己実現
■おわりに

■初めに

企業経営理論は、「経営戦略」「マーケティング」「組織論」の3つを柱に構成され、各分野にはさらに多くの細分化されたテーマがあります。たとえば、企業戦略・成長戦略・競争戦略・ブランド戦略・ポジショニングなど、実務にも密接に関わる理論が数多く含まれています。そのため、試験科目としてはボリュームが多く、最初は圧倒されることもあるかもしれません。

しかし、本質的には「企業が限られた資源をいかに効率よく使い、外部の環境変化にどう対応するか」を学ぶ科目です。実際のビジネスや社会の動きにも直結していて、普段の生活で起こっていることに置き換えて考えると、理解が深まります。

今回はその一例として、人間の行動原理を説明する「マズローの欲求5段階説」に焦点を当ててみたいと思います。

■マズローの欲求5段階説とは？

アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、人間の欲求を5つの段階に整理しました。彼の理論によれば、これらの欲求はピラミッド状に構成され、下位の欲求が満たされることで、次の段階の欲求が芽生えるとされています。

■５段階の各欲求について

マズローによると人間の欲求は５段階に分けられ
下位の欲求から下記のようになります。
1，生理的欲求
睡眠・食事・水分補給・呼吸など、生きるための基本的なニーズ。人間の最も原始的な欲求。

2，安全の欲求
安全な住まい、健康の維持、経済的安定、法律や秩序による守られた環境への願望。災害時や不況時に強く表れる傾向があります。

3，社会的欲求（帰属欲求）
家族や友人とのつながり、集団への所属、仲間意識、愛情の交換など、孤独を避けたいという思いが背景にあります。

4，承認の欲求
他人から評価されたい、尊敬されたいという気持ち。地位、肩書き、成果、能力の証明などによって満たされることが多いです。自己尊重にもつながります。

5，自己実現の欲求
自分の理想や可能性を最大限に発揮し、意味ある目標を達成したいという欲求。他者への貢献や創造的活動など、内面的な満足が中心です。

この理論は、マーケティングや組織マネジメントの施策を考える際にも参考にされており、人間理解の基本としてとても広く使われています。

■現代社会におけるマズロー理論の適用

日本社会では、憲法により「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されており、教育制度も充実しています。義務教育を受け、大学・専門学校を経て企業に就職するというモデルが一般化しているため、多くの人が社会的に安定した環境にあります。このような社会では、1，生理的欲求　2,安全の欲求　3,社会的欲求の3つは比較的容易に満たされやすく、行動原理は上位の欲求へと移行しやすい傾向があります。