一発合格を目指す勉強方法 by 吟

タキプロ16期の 吟 と申します。
私は運も味方し一発合格することができましたが、自分なりに勉強方法を工夫したことも大いに合格に寄与していると考えています。
今回はその勉強方法について共有いたします。
目次
■はじめに
私は中小企業診断士試験を受けるまで、確立された勉強方法を持っていませんでした。
私は中学卒業後、高専という5年制の学校に進学したため大学受験はなく、その後就職してから卒業した通信制大学も試験はありませんでした。難関資格への挑戦もしたことがなく、結果的にシビアな試験を経験していない、すなわちそのための勉強方法も持ち合わせていなかったのです。
ですので、中小企業診断士試験に挑む前に勉強方法について1ヶ月ほど調べ、それから学習を開始しました。せっかくなので「脳の働きに沿った」「最近の研究の成果が反映されている」情報を求め、その上で計画を立てて学習を進めました。
本記事ではその勉強方法についてまとめ、共有したいと思います。
■参考にした情報
勉強方法を検討するにあたり何冊か書籍を購入しましたが、その中でも主に以下の書籍を参考にしました。
資格試験に一発合格する人は、「これ」しかやらない 忙しい社会人のための「割り切る勉強法」
https://www.amazon.co.jp/dp/B09TKDW3W5
タイトルの通りの資格試験合格のための絞り込みの考え方や、スケジュール作りに関する基本戦略について書かれています。
脳が認める勉強法
https://www.amazon.co.jp/dp/B0192JTW62
脳科学に沿った効率的な学習方法について、参考にさせて頂きました。
パデュー大学の研究「Retrieval Practice Produces More Learning than Elaborative Studying with Concept Mapping」
https://learninglab.psych.purdue.edu/downloads/2011/2011_Karpicke_Blunt_Science.pdf
こちらは本ではありませんが、「読んだりまとめたりするより、問題を解く方が効果が高いよ」という研究結果について書かれています。
アジャイルな時間管理術 ポモドーロテクニック入門
https://amzn.asia/d/ji4gGHm
これは今回の学習のために読んだわけではなく、普段の仕事から利用している方法で、集中力を一定以上に保てる実感があったので、学習にも適用しました。
ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣
https://amzn.asia/d/2WuOwdU
これも今回の学習よりも前に読んだものですが、学習習慣を形成し日々の脳の負担を低減するのに大いに役に立ちました。
これらの情報と自分の考えを元に、以下のような勉強方法を採りました。
■採用した勉強法各種
一発で合格することを決意する
これは気合の話ではなく、「以下の3つを実現するための行動を確実に取る」ということです。
- 学習する範囲を、出題可能性が高い(と言われている)箇所に絞ること
- 絞られた範囲に対し、一部のところでとどまらず、全体的に解けるようにすること
- 1年での合格に必要な勉強時間を確保すること
1、2により、「この問題が出れば勝ち!」というような低確率の賭けにしないことが重要だと考えました。
3に関しては、合格までに必要な学習時間の目安を調べたところ、だいたい1,000時間程度であるとの情報が多く、1次試験で800時間、2次試験で200時間と試算しました。
検討を始めたのが2023年10月頃でしたので、1次試験本番である2024年8月までの期間は約10ヶ月。週18時間の学習を行えばなんとか間に合うペースです。
そこで現状とすり合わせ、少し多めに1週間あたり21時間の学習を目標としました。月〜木は1日3時間、金土は1日4時間、日は1時間という配分です。
結果的に1次試験対策に約750時間、2次試験対策に約270時間をかけました。
学習に必要な時間の試算をした結果、あまりに無理なペースで学習する必要があるとわかった場合は、戦略を練り直す必要があるかもしれません。しかし、試験の合格・不合格は「自分が正確に解ける学習範囲の広さ」 vs 「試験で実際に出る範囲」の確率で決まると考えられますので、1、2を実行してある程度解けるようになっているのであれば、たとえ時間が足りなくても、勝負をする価値はあるかなと私は思います。
問題集中心の学習
先のパデュー大学の研究から、「読んだりまとめたりするよりも、問題を解く方が効果が高い」との結果があったため、とにかく問題を繰り返し解くことにしました。
自分のミスのメモを参考書に書き込み、ファイナルペーパーとする
テキストや講義からのノート作成はほとんどしませんでした。代わりに、問題を解いて誤るたびに、その内容を参考書の該当箇所に書き込んでいきました。
最終的に自分専用のファイナルペーパーが作成され、本番直前に見返すための最高のアイテムとなります。
できるだけ色々な場所での学習
学習時には「周囲の情報と一緒に覚える」のが脳の働きで、様々な環境で学習することが、記憶のよりよい定着につながるとの事でした。
部屋を変える、様々なカフェに行く、家族の買い物中に車内で解く、新幹線や飛行機の中でも解くなどを行いました。
そのために、最終的には1次試験、2次試験対策ともに、iPad一枚でどこでも学習できる環境を作りました。私はGoodnotesというアプリを使いましたが、他にも色々と利用方法が公開されていますので、検索してみてください。
ポモドーロ・テクニック
仕事等で採用していた方法として、ポモドーロ・テクニックがあります。25分ごとに5分休憩し、3〜4回繰り返したら15分〜30分休む手法で、集中力を保って学習をするのが目的です。学習時はこのポモドーロ・テクニックを採用して学習していました。
学習時間を記録する
どれくらいの学習をしたか、スプレッドシートにおおまかですが記録しておきました。やってみると、「今までどれくらい勉強してきたか」が心の支えになりました。
4クールに分けてスケジュール管理
1次試験がある10ヶ月先の目標に向かって日々がんばり続けるのは大変なので、期間を4つに分けて管理しました。その各クール内に予定通り学習が進んでいればOK、そうでなければ見直しをする予定でしたが、だいたい当初の予定通り進めることができました。
理解度に応じてハードルを下げていく
3周やってもわかった気にならない科目については、このまま同一の参考書に頼るのは非効率と考え、理解がなかなか深まらなかった財務、法務、経済については、動画教材を利用し図や説明と合わせての理解を試みました。加えて財務の仕訳に関しては、簿記3級の問題集を購入し一通り問題を解きました。
分割法
同じ科目の学習は続けず一定時間で切り上げ、翌日に回し分割するという方法を採用しました。
例えば財務、法務、運営管理を学習する場合、
- 1日目 財務3時間
- 2日目 法務3時間
- 3日目 運営管理3時間
という形になるところ、以下のように分割しました。
- 1日目〜3日目 財務、法務、運営管理を1時間ずつ
記憶するということは「脳に刻みつける作業」ではなく「思い出す力をつける作業」だそうなのですが、忘れる → 思い出すのサイクルを意図的に多くつくることで、長期記憶として定着しやすいとのことでした。
学習の習慣化
物事を習慣化することで、「よし、頑張るぞ」と毎回気合を入れてから物事にあたる必要がなくなり、取り組むことが「自然」になります。これを学習に当てはめることは、消耗を抑えて学習を進める上で大変重要です。
習慣化の形成には「一度に何時間やったか」よりも「その物事に何回取り組んだか」が大事、という研究結果が、冒頭に挙げた書籍『ジェームズ・クリアー式 複利で伸びる1つの習慣』に記されています。
ポモドーロ・テクニックと分割法を採用することで、この「何回取り組んだか」を増やしやすくなり、結果として学習の習慣化を早期に実現することができました。
学習以外の個人的活動もできるだけやめない
決めた学習時間を満たせるペースが維持できているならOKと割り切り、旅行やキャンプ、趣味のテニスも回数は減らしたものの継続しました。 「思い出す力をつけるのが大事」と考えた場合、テニスや旅行で「しっかり忘れる」、そしてその後「思い出す訓練をする」ことが大事と考えたからです。
特に旅行中の新幹線や飛行機の中は、学習する -> しっかり忘れる -> また学習する、という、集中できるよい学習時間になりました。
本番で実力を出せる自分を作る
個人的にとても重要だと思って実施していたのが「本番で実力を出せる自分作り」です。
私はテニスが趣味なのですが、いつも風のないインドアのコートで練習し、外で試合に出ると、風や太陽でなかなかうまくいかない事が何度もありました。
資格試験でも同様で、同じ環境、静かな環境でやっているだけでは、本番環境で何か気になる事があった際に途端に集中が途切れるだろうと考えました。
そこで、以下のような自分に負荷をかけるような状況で、セルフ模試を繰り返しました。
- カフェを探しているうちに汗をかき、着席したときにエアコン直撃で寒いが、それでも時間内に解く
- 飛行機の離着陸時にも解く
- カフェで隣席がビジネスの勧誘を始め内容が気になったが、それでも時間内に解くのを目指す
おかげで前の席の人の貧乏揺すりや、シャーペンのカチカチ音など気になりそうな事があっても、「あんなに悪い状況でも自分は解けた」という気持ちで問題なく本番試験を受けることができました。
(おまけ)重課金
早く合格すれば、その分学習時間を経済活動に充てられるため、必要だと思った教材は「投資!投資!」と自分に言い聞かせながら入手しました。
完全な独学かつテキストと問題集一種類だけで受かる方もいらっしゃるかと思うのですが、自分にその実現のために必要な経験や知識が備わっているとは到底思えなかったのが理由です。
最初はTACのスピードテキストとスピード問題集で始めましたが、経済、財務、法務の理解が深まらず、動画の講義を見たくて大手予備校の全部入りWeb受講コースを購入しました。割引期間中だったのと、2次対策は何するか決めていなかったので、とりあえず全部入りを買ってみた次第です。
財務はそれでも不足感があり、簿記の問題集を購入し、一通り解いてみました。
大手予備校のコースには2次試験対策も含まれていましたが、10時間ほど学習してみたところで自分には合わないと判断し、別途まなび生産性向上の個別指導を受講しました。
2次試験用の厚い参考書も買いましたが、時間がかかりすぎると判断し、1回で合格しなかったら読むと決め、数ページ読んだところでストップしました。
他にも1次、2次試験両方に向けて、書籍やWebコンテンツを複数購入しています。
とはいえ、これを読んでいる皆様も重課金をする必要はなく、もし私と同じ方法で!ということでしたら、スピードテキストとスピード問題集、簿記3級の問題集を購入し、苦手な科目を予備校の単科コースで補い、まとめノートと不揃いシリーズを揃え、まなび生産性向上の個別指導を受ける…ということになるかと思います(そこそこ重課金になりますが…)
以上のような方針を決めた後、1次試験と2次試験の学習に挑みました。
■1次試験
参考書としてスピードテキストを、問題集としてスピード問題集を使用しました。
https://bookstore.tac-school.co.jp/book/koza/00009
以下のように4クールに分けての学習を行いました。
1クール目
- 参考書を10日ほどかけて一気に読む
- 問題集を解き、誤ったところを調べ、参考書に書き込む。1周分続ける
2クール目
- 財務、法務、経済、中小政策が弱いとわかったので、LECの講座の動画を一気に見る
- 合わせて簿記3級の問題集をやる
- 問題集を解き、参考書を読んで書き込む、を3周やる
- このあたりから書き込む先の参考書を、スピードテキストからまとめシートを貼り付けたGoodnotesに変更
- 一発合格まとめシート https://www.matome-sheet.com/publishing/
- まとめシートへの書き込み(兼ファイナルペーパー作成)については、過去の記事
【1次試験】ゼロからの経済学・経済政策 by 吟 https://www.takipro.com/1jishikenknow-how/economics/124607/に例がありますのでご参照ください。
3クール目
- 初見の過去問を解き、誤ったところを参考書に書き込む(中小企業政策の過去問は未実施)
- 問題集を解き、参考書を読んで書き込む、を1周やり、過去問を解く、を2回
- この時点で初見の過去問の点数が合格点だったので、2次試験のWeb講座を1週間で一通り見る
- 問題集を解き、参考書を読んで書き込む、を1周
4クール目
- ここで模試を受け、法務と経済が壊滅的な点数だった
- その後も問題集の周回を続けるが、問題集8周目に至ったあたりで、問題集を見ただけで眠くなる状況になる。対策と弱点強化のため過去問完全マスターの財務、法務、経済を買い、Aランクだけ実施
以下、実際につけていた学習記録のスクリーンショットです。2次試験の予定については、途中から個別指導に切り替えたため、正確ではありません。

■2次試験
1次試験同様、「問題集を解いてその採点をし、誤ったところを学ぶ」方式を採りたかったのですが、2次試験は解答が公開されない試験であるため、今までのようにはいきません。
近い方式としては「ふぞろいな合格答案」シリーズを購入して自主採点を行う方式でしたが、この自主採点に大きな不安がありました。
そこで私の場合は「まなび生産性向上」の個別指導を受けました。大きなメリットは以下の2点です。
- 自主採点では不安だったところ、合格者である講師の客観的採点が受けられ、答案精度が増す
- 間違えた箇所について理由とそれを克服するための情報がセットで得られ、大幅な時短になる。実際に指導時に教わった内容とその周辺のみを2次試験用知識として補充しただけで済んだ
ふぞろいな合格答案ブログ
まなび生産性向上
https://www.manabi.consulting/
何年分解く?という話が2次試験では必ず出てきますが、私はまなび生産性向上式指導に沿い、5年分+αを基本にし、90点以上が取れるまで繰り返し解きました。

記録方法は以下が参考になります。
点数の見える化していますか?
https://emily-study.hatenablog.com/entry/record
■まとめ
結果として、私は一発合格を勝ち取ることができました。
学び、工夫し、実行し、結果をみてまた修正を重ねた一年間は、苦しさもありましたが、充実感と楽しさもまた大きなものでした。
情報を集め、作戦を立て、実行し、修正するーその「学び→実行→修正」のサイクルは、中小企業診断士の仕事にもそのまま通じる力になると思います。
皆さんも、できる範囲で学習を楽しみ、充実した受験生活を送られることを、心から祈っております。
■おわりに
次回は、Horiさん さんの登場です。
お楽しみに!
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