官僚制組織の逆機能を理解しよう byしろ

タキプロ16期の しろ と申します。
11月になり、来年の中小企業診断士1次試験まで残り9ヵ月を切りました。今学習したことを定着させ、1次試験の本番の際に活かしていくためには、短期的に記憶するだけでなく、イメージをしっかり持った上で理解・定着していくことが大切です。今回は私が企業経営理論の中で、自身の勤務先に照らした上でイメージが湧きやすかった用語について、解説していきたいと思います。
■はじめに
簡単な自己紹介です。
年齢/性別/家族:30代/男性/妻と娘
職種:金融機関勤務
受験歴:1次/1回・2次/1回
勉強時間:1次/約500~700時間・2次/約200時間
勉強方法:独学(1次/TACの参考書+TACの模試、2次/TACの参考書+ふぞろい+TACの模試)
得意科目:1次/財務会計・経営情報システム、2次/事例Ⅳ
企業経営理論は、大きく経営戦略論、組織論、マーケティング論の3つに分けられます。その中で組織論については、自身が勤務する企業が、学習の中で出てくるうちのどんな企業かと思いを巡らせることで、単に記憶するだけでなく、頭の中に定着させることができました。特に私の心に刺さったのは、官僚制組織の逆機能についてです。どうしても企業が大きくなり成熟化してしまうと、官僚制組織になっていくということが、自身の勤めている企業に照らし合わせて納得できることが多くありましたので、紹介させていただきます。
■官僚制とは
官僚制は、社会学者マックス・ウェーバーが提唱した、「合理的な組織運営の理想型」です。特徴としては以下のようなものが当てはまります。
- 職務の明確な分担:各職員に明確な職務・責任が割り当てられる
- 権限と階層の明確化:上下関係が明確で、命令系統が一本化されている
- 文書主義:業務はすべて文書・記録に基づいて処理される
- 専門的訓練・能力主義:能力や資格に基づいて採用・昇進が行われる
- 職務と私生活の分離:公的な職務と私的な関係を区別する
- 規則と手続きに基づく運営:個人の感情ではなく、ルールに従って公平に処理する
上記は、一見「完璧な組織像」に見えます。
しかし、この合理性が行き過ぎると、逆に非合理的な結果を生むのです。
■官僚制の逆機能とは
上記の通り官僚制は、本来「合理的で効率的な組織運営」を目指す仕組みですが、そのルールや階層構造が行き過ぎると、かえって非効率を生むことがあり、そのことを官僚制の逆機能と言います。
代表的な3つの逆機能は以下です。
- レッドテープ:過度な手続きや文書主義によって、組織運営が非効率になること。(例:書類の承認に何人ものハンコが必要。新規施策を始める前に膨大な稟議書が必要。)
- 目標の置換:本来の目的よりも、手段(ルール・規則・手続き)を守ること自体が目的化してしまう現象。(例:顧客満足よりも社内規定の遵守を優先する。本来の成果よりも報告書を期限内に出すことがゴールになる。)
- 訓練された無能:訓練やルール通りのやり方に慣れすぎ、状況変化に対応できなくなること。(例:マニュアルにない事例に対応できない。現場判断よりも上司の承認を優先して動けない。)
■逆機能に対する取組
上記のような逆機能を克服するために、現代の組織は様々な対応を行うことで柔軟で自律的な組織づくりを目指しています。
- 権限委譲(デリゲーション)・分権化:意思決定を上層部に集中させず、現場に裁量を持たせ、現場の判断で素早く行動できるようにする。
- フラット化・ネットワーク型組織:階層を少なくして、情報伝達を早く・双方向に。部門の壁(セクショナリズム)を減らし、横断的な協働を促す。
- 組織文化・ビジョンの共有:「ルールを守ること」ではなく、「目的を達成すること」に意識を向けさせる。経営理念・ミッション・ビジョンを明確にし、社員の行動基準にする。
- 組織学習とイノベーション促進:失敗から学び、常に新しいやり方を模索する文化を作る。
- ICT・DXによる情報共有と透明化:情報をデジタル化し、誰でもアクセスできる仕組みを整える。手続きや報告を自動化して、形式的作業(レッドテープ)を減らす。
- 人材マネジメントの見直し:評価や昇進を「年功」ではなく「成果・能力・挑戦」に基づいて行う。多様な働き方(リモート・副業)を認め、自律性を高める。
■おわりに
組織論について学習していて、私が働いている会社でも逆機能があり、また会社として逆機能に対する取組も行っていると実感できるものがあります。会社をより良くして成長していくためには、単に規律を正していくだけではなく、より良い方向へ会社を変革していくことも大切だというのがわかり、自身の仕事への向き合い方も見直される内容だと強く感じたことを覚えています。
中小企業診断士の学習をしていると、自身の勤務先や取引先などに照らして当てはまることがあり、実際の経験に紐づけて学習していくことで、単なる記憶ではなく理解につながっていくと思います。単に記憶していくのは苦痛だと感じている方は、自身の近いことに当てはめていくことで理解が進むことがあると思いますので、是非想像力を働かせて学習を進めてみてください。
次回は、ひらく さんの登場です。
お楽しみに!
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