経営法務の堅苦しさを、取り組みやすいところからほぐしていく

タキプロ16期の たーりー です。5回目の投稿となります。
中小企業診断士の1次試験は例年8月初旬に行われます。12月頃、あるいは1月になってから「今年の診断士試験に挑戦する!」と決めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回はそんな方を念頭に、初学者が「経営法務」の科目に取り組むアプローチの一例をお伝えします。
■独特の用語が経営法務の苦手意識につながる
私が診断士を目指すと決めた時に戸惑ったことの一つが、経営法務に出てくる用語の難しさでした。学生時代に法律関連の講義を受けたことがなく、初めて目にする言葉の数々にたじろぎました。
勉強を開始して間もない頃に、直近の試験問題を見てみることにしました。その時目にした経営法務の最初と最後の問題は、このようなものです。令和5年度の中小企業診断士1次試験「経営法務」から引用します。
第1問
会社法が定める監査等委員会設置会社に関する記述として、最も適切なものはどれか。
第24問
民法上の不法行為に関する記述として、最も適切なものはどれか。
解答の選択肢として、第1問では「取締役会」、「会計監査人」、「公開会社」、第24問では「慰謝料請求権」、「使用者責任」などの語句が出てきます。
これらの語句に馴染みがある人は、経営法務を比較的スムーズに学んでいけると思います。でも私にはチンプンカンプンでした。
よく知らない用語のオンパレードで、この科目をどうやって進めていこうかといきなり苦手意識を持ってしまったのです。
でも、どうにか対策をしていかなければなりません。次節で、私が行った方法を書きます。
■少しでも「自分ごと」に引きつけて関心を高める
経営法務で主に出題される分野には、大きく分けて「会社法」、「知的財産関連」、「民法」があります。特に問題数が多いのは、会社法と知的財産権です。
法律にあまり馴染みのない人にとって、取り組みやすさの順は
知的財産権関連>>会社法>>>>民法
ではないかと思います。
私はこの順番で対策を行いました。少しでも取り組みやすいところから始めてやる気を削がないようにしようと考えたのです。
タキプロをお読みの方で、Xやインスタグラム、YouTubeなどで何らかの発信をしている人も少なからずいることでしょう。そんな方にとって、著作権は「他人ごと」ではありません。他人の著作物を勝手に使うと著作権違反になりますし、自分が創作したものを誰かに無断で使われると抗議したくなるはずです。あらゆる人が情報発信の起点となれる今の時代、著作権は誰にとっても「自分ごと」になり得る分野です。
この著作権は、知的財産権の一角をなすものです。ここから特許法(+実用新案法)、意匠法、商標法、不正競争防止法まで広げたものが、診断士試験の経営法務における知的財産権です。将来的に診断士として執筆活動をしたいとか、ブランド構築に興味があるという場合、知的財産権についての知識が大いに役立つはずです。私は、著作権への関心を入り口として、まず知識財産権の知識を固めていきました。
次に、会社法です。会社員として診断士試験を受ける方は、意識しているかどうかに関わらず、会社法に則って設立・運営されている組織で働いています。会社法も「他人ごと」ではないのです。
自社の株主総会はいつ開催されているのか。社外取締役にどんな人がいるのか。監査役や会計参与は設置されているのか。近年、自社に関わるM&Aはあったか。その場合、吸収合併、吸収分割などそのスタイルは?これらは全て、診断士試験の経営法務で問われる内容と直結しています。
私も株式会社で働く会社員です。長年、こうしたことに無知なまま過ごしてきたことを気恥ずかしく思いながらも、会社法を知ることは会社の仕組みに詳しくなることだと納得して学んでいくことができました。企業内診断士として活動していくつもりの方、事業承継などに興味がある方にとっては、将来の基盤となる分野だと思います。
■民法は、頻出分野に絞るぐらいでもいい
民法も、「他人ごと」ではありません。マンションを借りる際の賃貸契約、結婚や相続の手続き、交通事故が起きた場合の損害賠償など、日常生活のさまざまな場面に関わってくるのが民法です。
ただし、「診断士1次試験の『経営法務』における民法」について言えば、知的財産関連、および会社法ほどの重要度はありません。あくまで1次試験を突破するためという観点で考えるならば、「知的財産関連と会社法をしっかり対策するなら、民法は頻出分野の相続や契約関連を押さえることで大抵何とかなる」と私は感じています。理由は2点あります。民法はカバーする範囲が非常に広く、全般的な対策がしづらいから、そして診断士試験の経営法務で出題される問題数が会社法、知的財産関連と比べて少ないからです。
知的財産権関連と会社法をしっかり学び、どちらも出題される問題の7割程度に正答できれば、足切りの40点はクリアして50点前後を狙えると思います。会社法か知財のどちらか自分に合った方により磨きをかけ、民法の頻出分野に答えられれば、合格ラインの60点が視野に入ります。
経営法務は問題数が少なく1問あたり大体4点です。だから、「民法は全く対策しない」という選択にはリスクがあります。ただ、経営法務に苦手意識を持つ人の力の配分としては、会社法と知的財産権を最優先し、民法には2割ぐらい、という程度でよいのではないかと感じます。私はこのアプローチで経営法務の準備を進め、本番で60点をクリアすることができました。
■TACの「スピードテキスト」で学ぶ方へ
受験生でも使っている人が多いTACの参考書「中小企業診断士 最速合格のためのスピードテキスト」では、「経営法務」の巻が民法から始まります。一方、少なくとも直近5年の診断士1次試験では毎回、会社法→知的財産権→民法の順番で出題されています。この順番の違いは、意識しておいた方がよいと思います。
参考書で冒頭に出てくるものは、基本事項あるいは最も重要な内容と受け取るのが一般的な読者側の心情でしょう。しかし、「スピードテキスト」の「経営法務」巻では、重要度は会社法と知的財産関連ほど高くなく、しかも用語や文章が難しく取り組みづらい民法が最初に来るのです。素直に最初から読もうとすると、変にこの科目への苦手意識が強まってしまいかねません。
「スピードテキスト」は、内容自体はとても充実しています。「経営法務」の巻については、最初から順番に読んでいくのではなく、会社法と知的財産権関連をまず読むことをお勧めします。
■おわりに
今回は、中小企業診断士の1次試験で苦手意識を持っていた「経営法務」に、私がどのようなアプローチをしたのかを紹介しました。多少でもご参考になれば嬉しいです。
次回は、イッズ さんの登場です。
お楽しみに!
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