【事例3】 生産方式の理解で、与件文が読みやすくなる byまいける

タキプロ16期の   まいける と申します。  

私は会計事務所に勤務しながら、診断士試験をR5〜R6の2年間受験し、合格しました。

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■はじめに

会計事務所という職業柄、いろいろな業種との関わりが持ちやすい仕事柄ではありますが、私自身は製造業の顧客にほとんど関わったことがありません。

上司から「昔は製造業の顧客も多かったんだけどね」と聞くたびに、経済センサスの調査でも明らかになっている中小企業の製造業者の減少を身をもって感じます。

私のような製造業との関わりが薄い人にとって、事例3はイメージがつきにくく、与件文を読む時には「これってどういう作業?どういう現場?」と頭が停滞するため、通読や情報整理に時間がかかりやすいと思います。

そこで私がやっていた、与件文読解時に生産方式についてのキーワードから、解答の方向性の予測を立て、C社に関する理解をスムーズに行う方法をお伝えします。

■生産方式を理解すれば、与件文が読みやすくなる

ここでいう生産方式とは、

①受注生産

②見込み生産

のことです。

与件文読みの早いうちにC社がどちらの生産方式なのかを把握することで、生産管理の二つの柱「A 生産計画」「B 生産統制(現品・進捗・余力管理)」のうち、どちらを重点的に改善すべきかを考慮しながら読み進めていました。

また、それぞれの特徴を頭に入れることで、C社が抱えているであろう問題点を、早い段階で予測することができていたと思います。

また、予測した問題点をC社が克服しているのであれば、それは強みとして認識することもできるかもしれません。

漠然と与件文を読むよりも、内容が掴みやすく、整理しやすかったと思います。

それぞれの生産方式について、私のイメージを説明します。(一次試験の運営管理の内容です)

■2つの生産方式

①受注生産

多品種少量の製品を、顧客から受注を受けてから作る生産方式で、達成すべきミッションは納期順守です。

納期と納品数量が決まっているため、生産計画は立てやすいはず!と考えます。

納期遅延の恐れがある場合には、生産統制面で改善点がある可能性が高いです。

例えば、

・外注管理、原材料管理が甘く、外注品の納品遅れや材料の欠品が発生

・人の配置が最適でなく、残業の多いボトルネック工程が発生

などです。

また、生産計画が立てやすいはずなのに計画面で問題が出ていそうな場合には

・計画策定のための標準作業、標準工数が適切に定まっていない

・工程ごとの進捗が共有できていないため、計画が適切でなかったり、営業がそもそも無理な納期で受注

など、生産統制の甘さに起因する、計画の欠陥が予想されます。

②見込み生産

少品種多量の製品を、受注予測や在庫数等を考慮して受注より先に作っておく生産方式で、達成すべきミッションは欠品や過剰在庫の阻止です。

受注が不確実な状態で製品を作る必要があるため、生産計画の精度の高さが重要になります。

欠品や過剰在庫が発生している場合、

・得意先からの情報不足や、需要調査の不足で計画の精度が低い

・ロットサイズが適正でない

・製品在庫をリアルタイムで把握できていない

等により、最適な生産計画が立てられていない可能性が高いです。

一方生産統制面では、同じものをたくさん作り続けるため、一定のリズムが確立できれば問題が起こりにくいと考えます。

それなのに製造現場がごちゃついている場合には

・想定よりも受注が多く、急ぎでの製造になったため残業が増加

・想定よりも受注が少なく、製品在庫、仕掛かり品があちこちに置いてあり、物の移動に支障をきたしている

等、生産計画の精度の低さによって現場側で歪みが出ていることが予想されます。

以上がそれぞれの特徴です。

例外もありますが、基本としてこれを頭に入れて与件文を読み進めていました。

また、よくあるパターンとして、①受注生産と②見込み生産が混在している、または今後混在する予定、というのがあります。

この場合、一貫した計画を作成するなどして全体最適化が必要になります。

■実際の事例を見てみよう

事例3の与件文では、序盤に生産方式が予測できるような記載がありますが、直接的には書かれていない場合が多いです。

ざっくりと「⚪︎⚪︎生産かな?」という予測を立て、読み進めるうちに確信を得られると思います。

近年の傾向を見てみましょう。

年度生産方式生産管理の重点与件分から読み取れること(一例)
R6(企業概要)社長提案を元に、ベルトコンベヤ等を受託生産、特注品受託生産
→①受注生産?※受託生産≠受注生産
(受注、設計のプロセス)受注生産が確定
生産統制・進捗共有がリアルタイムでなく、工程管理混乱(進捗管理)
・製缶工程のみ残業が発生、納期遅延の恐れ(余力管理)
・作業工数の標準化ができておらず、計画が混乱(統制→計画)
R5(企業概要)多品種少量の食品を受託製造
→①受注生産かな?※受託生産≠受注生産
(新規事業)スーパーへの食品製造卸、受注リードタイム短く店舗数(受注量)も多いので、②見込み生産?
生産統制
のちに
生産計画、全体最適化
・材料の欠品により、納期遅れ発生。材料廃棄も発生(現品管理)
・見込み生産も始まるなら、得意先の販売計画、需要等の密な情報収集が必要(生産計画)
・受注生産と見込み生産の計画一貫作成、全体最適化必要
R4(企業概要)プレス加工製品は繰返受注→②見込み生産?
板金加工製品は個別受注製品→①受注生産?
(生産の現状)プレス加工製品は量産といえども、数量と納期が発注元から通知されてから計画をたて資材発注している→①受注生産
(新規製品事業)ホームセンターのPBブランド生産→納品リードタイム短いため②見込み生産?
生産統制
のちに
生産計画、全体最適化
・受注生産と言っても、受注ロットと製造ロットサイズが一致しておらず、作りすぎの状態。実質見込み生産状態で、過剰在庫発生。(ロットサイズ適正化=生産計画)
・上記のために改善必要:段取り負荷が大きく、生産能力に制約(余力管理)
・見込み生産も始まるなら、得意先の販売計画、需要等の密な情報収集が必要(生産計画)
・受注生産と見込み生産の計画一貫作成、全体最適化必要
R3(生産の現状)受託品も自社ブランドも見込み生産生産計画・計画策定が月1回であり、また受注予測やロットサイズが適正でなく、欠品や過剰在庫が生じる(計画)
・資材管理を生産管理者が把握しておらず、資材の在庫や発注リードタイムが計画に織り込まれていないため、欠品により計画変更が発生。(計画)

R4のように受注生産なんだけど見込み生産っぽい、ということもあります。

生産方式の切り分けに時間をかけて悩んだり、絶対にこうだ!と先入観を持つのは良くないですが、読解のとっかかりを作る参考になれば幸いです。

■おわりに

次回は、吟 さんの登場です。 

お楽しみに! 

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