「読む気が出ない…」を克服!1次・2次・実務に効く中小企業白書の活用 by 真吉

【注意: 2次試験受験予定の方へ】
投稿時期が2次試験直前ですが、この記事は2次試験対策に直接効く特効薬ではありません!2次試験受験予定の方は、この記事を読まずにご自身の対策を最優先してください!明日からはファイナルペーパーなど2次試験直前期向けの記事が続きますので、明日は帰ってきてください!最後まで頑張ってください!
タキプロ16期の 真吉 と申します。
「中小企業白書・小規模企業白書」は学びの資料として読んでいますか?単なる1次試験の暗記対象ではありません!
あの分厚い資料を前に「読む気が出ない…」と諦めてしまう受験生は多いかもしれません。そこで今回は、私が合格後に強く実感した、1次・2次試験対策から合格後の実務まで活きる「白書の有用性と活用法」をお伝えしたいと思います!
目次
■はじめに
はじめに、自己紹介を再掲させていただきます。
名前:真吉 (shin-kichi)
職種:製造業 → IT企業 → 製造業で企画や経理など
受験歴:1次試験1回、2次試験1回 (令和6年度合格)
勉強時間:1次838時間 + 2次372時間 = 1,210時間
勉強方法:独学

1,210時間の勉強時間のうち、「中小企業経営・政策」に80時間ほどあてましたが、そのうち10時間ほどは中小企業白書を通読していました。2次試験前もサラッと読み直しています。合格後の今でも読んでますよ。
■中小企業診断士の受験生が知っておくべき「中小企業白書・小規模企業白書」とは?
- 一言で言うと: 毎年、政府(中小企業庁)が発行している「中小企業と小規模事業者の年次報告書」です。
- 中身は?: 最新の統計データ、経済動向、経営課題、そして政府の施策などが網羅的にまとめられています。
- なぜ重要?:
- 1次試験の「中小企業経営・政策」の出題元であり、この白書から多くの問題が出題されます。 合格への道には欠かせない資料です。多くの受験生は、既に「中小企業経営・政策」の対策として認識していると思います。1次試験対策の暗記だけで考えると白書はボリュームがあるため、市販の受験対策テキストを参照するほうが効率的かもしれません。私の場合は、市販テキストと問題集も使いましたが、全体のストーリーがないと暗記できないタイプなので、白書を教科書として活用していました。
- 2次試験の設問の方向性を探るのにも有効です。私が受験した令和6年度の事例Ⅲでは、近年のトレンドであり白書でも言及されていた「原材料・人件費の高騰に対して価格転嫁をどのように進めるか」という観点の問題がドンピシャで出題されました。また、白書を読むことで、中小企業経営者が見ている視点や、抱えている課題への理解が深まります。現在、中小企業の管理職として勤務している受験生の方は、既にその辺りの解像度が高いかもしれませんが、大企業勤務の受験生の方や中小企業勤務の若手の方は、多くの中小企業経営者が抱えている「あるあるな課題」は見えにくい状態ではないでしょうか。白書の読み込みは、2次試験の与件分から想起される問題点や課題を迅速に捉えるための基礎練習にもなります。
- 合格後、診断士として活動していくならば中小企業経営の実態を把握しておくことが必要ですね。大企業所属の企業内診断士が大企業のロジックで中小企業に助言してもそれは中小企業に寄り添った助言にはなりません!白書はそんな診断士が無料で効率的に中小企業の実態を理解するための最高の資料です。

白書を読まないと合格できないわけではないですが、白書を読むことで中小企業の経営そのものへの理解が深まるでしょう!
■【注意】試験に出るのは「前年度版」の白書です!
試験問題の作成期間との兼ね合いで、1次試験の「中小企業経営・政策」で出題される白書の出題範囲は、受験年度の「前年度版」となります。
- 具体的な学習対象例:
- 次の試験である令和8年度 (2026年)の1次試験突破を目指す方は、既に公表済の2025年度版 中小企業白書・小規模企業白書を確認しましょう。
- 公表時期について:
- 白書は例年4月末から5月中旬頃に公表されます。最新版に飛びつかず、必ず前年度版を学習するように注意してください。そして、無事に合格したらぜひ当年度版も読んでみましょう!
■中小企業白書と小規模企業白書の第一部は同じです!
具体的な白書の入手方法ですが、白書は全文がPDFとHTML両方で中小企業庁のWebサイトで見ることができます。中小企業診断士対策のテキストや講座にかかる費用を考えると、信じられないコスパの良さですね!
中小企業白書 | 中小企業庁
小規模企業白書 | 中小企業庁
さて、白書をいざ見てみると、圧巻のボリュームに読むことを諦めてしまいそうになります。しかしながら、よく見てください。中小企業白書と小規模企業白書の第1部は同じ内容です!まずは中小企業白書の第1部からはじめて第2部を読み、最後に小規模企業白書の第2部を読みましょう。
- STEP 1. 中小企業白書 第1部:
- まずはここで全体像を掴みましょう。この第1部(全体動向)は両白書で共通しているため、ここで中小企業全体の動向を確認しましょう。
- STEP 2. 中小企業白書 第2部:
- 次に、中小企業全体の成長戦略や政策の方向性が書かれた第2部を読み込みます。これは、1次・2次試験の解答の方向性を掴む上で重要です。
- STEP 3. 小規模企業白書 第2部:
- 最後に確認しましょう。この部分には、地域活性化や小規模企業特有の支援策など、小規模企業独自の論点が詰まっています。
■見る気にならない?せめて今日は目次だけでも見てみよう!
来年の試験向けとなる2025年度版の目次をご紹介したいと思います。第1部(動向)は、「価格転嫁」や「賃金・賃上げ」といった最新のトピックが詳細に分析されています。この第1部で全体像を掴み、その後に第2部の中小企業特化、小規模企業特化の論点を補完するという流れで読むのがよいでしょう。
- 2025年版 中小企業白書・小規模企業白書 目次より
- 1. 中小企業白書 第1部:令和6年度(2024年度)の中小企業・小規模事業者の動向(※両白書で共通)
- 第1章:中小企業・小規模事業者の動向
- 第1節:我が国経済の動向と中小企業・小規模事業者の業況
- 第2節:金利・為替・物価
- 第3節:雇用環境・労働移動
- 第4節:労働生産性・設備投資
- 第5節:デジタル化・DX
- 第6節:価格転嫁
- 第7節:賃金・賃上げ
- 第8節:開業、倒産・休廃業
- 第9節:事業承継
- 第2章:中小企業・小規模事業者に求められる共通価値
- 第1節:脱炭素化・GX
- 第2節:サーキュラーエコノミー(循環経済)
- 第3節:経済安全保障・人権尊重
- 第4節:BCP
- 第1章:中小企業・小規模事業者の動向
- 2. 中小企業白書 第2部:(新たな時代に挑む中小企業の経営力と成長戦略)
- 第1章:中小企業の経営力
- 第1節:経営戦略
- 第2節:経営の透明性・開放性
- 第3節:ガバナンス体制
- 第4節:人材戦略
- 第5節:経営者の成長意欲
- 第6節:まとめ
- 第2章:スケールアップへの挑戦
- 第1節:成長する中小企業が我が国経済に与える影響 .
- 第2節:スケールアップに向けた課題
- 第3節:スケールアップに向けた投資行動と海外展開
- 第4節:まとめ
- 第1章:中小企業の経営力
- 3. 小規模企業白書 第2部:(経営力を高める小規模事業者の持続的発展と地域貢献)
- 第1章:持続的発展に向けた経営力の向上
- 第1節:小規模事業者の経営力の向上
- 第2節:地域の持続的発展と小規模事業者
- 第3節:まとめ
- 第2章:支援機関の支援力強化
- 第1節:中小企業・小規模事業者における支援機関の活用状況と効果
- 第2節:支援機関の現状と課題
- 第3節:支援機関の強みの理解と連携強化
- 第4節:まとめ
- 第1章:持続的発展に向けた経営力の向上
- 付属統計資料
- 1. 中小企業白書 第1部:令和6年度(2024年度)の中小企業・小規模事業者の動向(※両白書で共通)
※付属統計資料は、1次試験直前期には集中的に取り組みましょう。1次試験の直接的な得点源となる、企業数、従業者数、付加価値額などの「数値・順位・構成比」を整理・暗記します。特に、製造業、卸売業、小売業、サービス業などの主要業種や、企業規模別のデータに注目してください。ただし、この統計資料部分については、試験対策のテキストなどを活用した方がいいと思います。

どうでしょう?目次を見ていたら何だか面白そうな気がしてきませんか!?
■おわりに
白書を単なる試験対策という枠で捉えるのは、とても勿体ないことです。私自身は、大企業勤務の受験生時代に白書を読み込んだことで、2次試験の前提知識や事例が机上の話ではなく、リアルな中小企業経営の現状として少しは想像できるようになったと思っています。これは合格後の実務補習・従事や現在携わっている診断士としての活動にも繫がっていきました。
ここで得た「中小企業のリアル」という深い洞察は、あなたの知識をバラバラな専門科目の集まりではなく、一本の筋の通った「診断士としての知恵」へと昇華させてくれるでしょう!
どうか、合格後の未来を見据えて白書と向き合ってください。白書学習という戦略的な一歩で、他の受験生と差をつけ、真に中小企業に寄り添える診断士への道を開きましょう!
次回は、リブラ さんの登場です。 明日からは2次試験直前期の投稿が続く予定です!2次試験受験予定の方は必読!お楽しみに!
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