財務会計苦手な方向けの一次試験〈財務・会計〉攻略法 byハリー

タキプロ16期の ハリー と申します。
タイトルにある「財務会計苦手な方」は、何を隠そう私のことです。
財務会計に苦しんだ私だからこそ、今振り返ってみて「こうすれば楽に乗り越えられたのに!」と感じるノウハウを共有し、皆さんの学習が少しでも楽になるようお手伝いさせていただきます。
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■はじめに
私は一次試験における戦略として、苦手な<財務・会計>を足切りだけ回避し、他の科目でカバーする戦略をとりました。戦略は期待通りにハマり、財務・会計は48点で足切りは回避。不足分は得意としていた経営情報システムで76点を獲得したことで、一次試験には一度で合格できました。
しかし振り返ると、この戦略は「一次試験突破」という観点から見れば成功でも、中小企業診断士試験合格という本来の目的からすると適切ではなかったと痛感しています。
企業経営に不可欠である財務会計を十分に理解しないまま二次試験の事例Ⅳに挑んだ結果、初回の二次試験は51点にとどまり不合格となってしまいました。
そこで本稿では、一次試験対策として実際に行った取り組みに加え、失敗を踏まえて「一次試験の段階から財務・会計にしっかり向き合っておくべきだった」と感じたポイントを整理し、共有します。
少しでも皆様の学習の助けになれば幸いです。
■財務・会計という科目について
普段の業務で全く財務会計に関与しない方にとって、この科目はとっつきにくく、理解しにくいものかもしれません。私が実際そうだったため、安易に「足切りだけ回避して、他の科目でカバーする」という戦略をとってしまい、結果として一度目の二次試験で事例Ⅳに苦戦した苦い経験があります。
しかし、企業経営の根幹であるお金の動きを適切に把握し、数値に基づく合理的な投資判断を行うには財務・会計が欠かせません。これは診断士試験で必ず突破する必要のある大きな壁です。
苦手でも、適切な学び方をすれば着実に力は付きます。診断士試験合格のためには『財務・会計』から逃げず、しっかり向き合う覚悟が必要です。これが苦手な方にとっての最初の一歩になります。
■学習方法
今年の8月の一次試験の受験に向けて、今から2か月でやるべきことと、初学者の方が来年の受験に向けて勉強を始めるのとでは学び方は異なります。そのため、文系で財務・会計初学者の方が最初にやっておくべき勉強と、一次試験合格に向けてあと2か月段階での勉強方法に分けてご説明します。
1:初学者の方(文系・ゼロベース)最初のステップ
財務会計に全く縁がなくゼロから学ぶという方にとって、整理された情報が淡々と記載されているテキストは理解しにくいように思います。実際、私もWACCやCAPM、資本コストといった項目をテキストで読むだけでは理解できませんでした。なぜこの計算が必要なのか、どのような場面で使うのかがつかめなかったのです。
この理解レベルでも、解法を覚えてしまえば一次試験の過去問は一応解けるようになりました。しかし、それでは二次試験で私のように壁にぶつかります。
これを解決してくれたのが、グロービスの「MBAアカウンティング」「MBAファイナンス」でした。章ごとに小説のような企業のストーリーが展開され、その中で適切な経営判断をするためにこのような計算が必要だということが、分かりやすく説明されています。
特に文系の方で、計算は苦手だけどストーリーなら理解しやすいという方にはうってつけだと思います。これを読んだことで、財務・会計が企業経営に不可欠だと理解できました。何より、学ぶこと自体が面白いと感じられるようになったことで苦手意識も軽減できたように思います。
これをもっと早い段階で読んでいれば、単に計算式を覚えてそれを使って問題を解く訓練をするだけというアプローチから、本質的な理解を深めて二次試験で武器にすることにもつなげられたのではないかと振り返っています。
2:一次試験合格に向けた勉強方法(残り2か月)
とにかく過去問!ただし高難易度は割り切って捨てることも大切
全体像を理解するためにテキストや前述のMBAファイナンス・アカウンティングでインプットした後は、アウトプットが重要です。計算式を知っているだけでは得点にはつながりません。応用して解答できるようになるまで手を動かし続けることで初めて、安定して得点する力が身につきます。
ただし、力の入れどころについてはメリハリが必要不可欠。普段から会計に関与する方々以外は、原則難問を追わず基本問題を落とさないという戦術が有効です。取れる問題を確実に押さえるだけで、一次はもちろん二次でも合格点に届きます。
具体的にはTACの過去問などに記載されている正答率が40%未満(Dランク以下の問題)は、専門性の高い人しか回答できていないと判断して良いと思います。
診断士を目指すために財務・会計から逃げることはできないものであり、しっかりと向き合う必要があるということと、高難度の問題まで全部カバーしていくということは別の話です。突き詰めて勉強したいという方は、得意を伸ばされるのは全くもって否定しませんが、二次も含めて基礎的な部分をしっかり理解していれば十分合格は可能です。
キャッシュフロー・CVP・NPVなどは二次の事例Ⅳでの定番ですから、ある程度難問でも理解するまで振り返っても良いのですが、基本的には基礎的な問題を適切に理解していくことが重要です。
間違った領域を繰り返す
過去問で間違った問題は、自分の理解度がまだ低い可能性が高いです。その苦手領域を、いかに掘り下げて理解の解像度を高められるかが重要です。そのためには、間違った領域に特化して過去問や問題集を繰り返すことが効果的です。
利用されている方も多いであろう「まとめシート」には、「すぐやる!過去問コーナー」というカテゴリ別に過去問を整理してくれたコンテンツがあり、QRコードからアクセスできますのでぜひ活用してみてください。
また私はSTUDYingも利用していたので、スマート問題集で苦手を繰り返していました。
二次頻出領域は、一次で頻出でなくともしっかり理解する
財務分析、CVPやNPV、キャッシュフロー計算書は事例Ⅳでの頻出領域ですので、これらの領域は単に解き方を覚えて小手先で対処できるようにするだけでなく、実際にどのような状況で活用するのかまで、理解しておくことが望ましいです。そのためにも前述のMBAファイナンスやテキストを読み込む、また二次試験の過去問解説動画などを視聴して実際にそれらの活用手法をイメージするなどが効果的です。
来年受験を計画しているなど、一次試験までにまだ期間がある場合は「事例Ⅳマスターガイド」などの二次試験の教材に取り組んでみるのも良いですよ。私は1回目の二次試験で失敗してから取り組みましたが、財務会計に関する本質的な理解が深まりますので、一次試験にも確実に効果があるはずです。
■テクニック集
過去問のマルバツ付けを工夫し、間違いの原因を特定する
単に合っている、間違っているだけをチェックするのではなく、なぜ間違っていたのかまでしっかり確認していくことが大事です。設問文の読み違いか計算ミスか、あるいは計算式自体を誤って理解しているのか。原因を明確にしなければ、次の対策を立てられません。 まずは何が原因で間違ったのかを分類し、対処法を検討しましょう。
計算ミスを減らすための工夫
私は計算途中で数値を誤って書き違えてしまうことが多かったのですが、原因を深堀りすると、楽をしようと頭の中で計算した際の数値が書き間違えに繋がるケースが多くあったことに気づきました。そのため、面倒でも極力暗算せずに全部書き出すようにすることで、ケアレスミスを多少減らすことができました。 一つのケアレスミスで数点失われるのは本当に痛いしもったいないので、「単なる計算ミスだから本番は大丈夫」などと安易に放置せずに、軽減させる手法を検討することも大切です。
図解が大事
原価計算や利益差異など、図解することで視覚的にイメージして理解を促進してくれます。文系で財務会計に親和性がない方ほど、できる限り図やグラフを活用することが効果的です。利益差異とかCVP、NPVなどはその構造を図解してイメージできるようになってからは、ある程度応用できるようになったと感じています。
毎日少しでも財務会計に触れておく
1日10〜15分でも良いので問題を解くことをお勧めしています。一次試験は科目が多く、一つの科目に集中しにくいのが現実です。しかしながら財務・会計は二次で高度な応用が求められるため、時間を割いても損はしません。苦手な方はなおさら二次の事例Ⅳには苦戦します。一次勉強時から、積極的に時間取って理解を深めておきましょう。
意外に耳勉強も効果あり
学習初期は、財務会計については机に向かわないと勉強にならないイメージがありました。しかし実際には、移動中の耳勉強でも多くを学べたと感じています。 具体的にはダンシ君のサブノートというYouTubeチャンネルの「財務・会計」はもちろん、一次試験の勉強に「二次試験事例Ⅳ」の一問一答も効果的だと思います。 STUDYing利用者なら、音声だけ聞くこともできますよ。 他にもほらっち先生のYoutube動画も分かりやすくておすすめです。家から駅への移動中も勉強時間にあてられます。
■おわりに
財務会計が苦手な場合の合格への最短ルートは、財務会計に逃げずに向き合うこと
〈財務・会計〉は苦手意識を持ちやすい科目ですが、基本を押さえて計算に慣れれば確実に合格点には到達します。また、二次試験や実務でも大きな力となります。実際私も2回目の二次試験では63点とギリギリではありますが事例Ⅳ単体でも合格点を超えることができました。二次試験は圧倒的な事例Ⅳの力で他をカバーするケースは結構見聞きしますが、逆はほとんど見かけません。だからこそ、苦手意識があっても向き合う勇気が求められます。
合格への最短ルートは「覚悟を決めて勇気を出してこの壁を超える道」だと、後悔と共に学んだ私の経験が受験生の皆さまに少しでもお役に立てば幸いです。
一次試験で基礎を固めつつ、必要以上に難問へ深入りしないメリハリ学習を意識してみてください。
皆様の合格を心より応援しています!
次回は、はらしょー さんの登場です。
お楽しみに!
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