【特集】R7年度再現答案分析(事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)得点傾向と「論理の一貫性」

受験生のみなさま、暑い中の一次試験受験、お疲れ様でした。
今回は特集記事として、第17期タキメンの再現答案に基づき、得点傾向について分析しました。二次試験に向けて準備を進められている受験生の皆様の一助になれば幸いです。
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令和7年度の2次試験は最終合格率は17.6%となり、直近5年間で最も低い水準でした。問題自体は比較的取り組みやすかったという声がある一方で、実際の採点基準は厳格化されていた可能性がうかがえます。

今回は、発表された「出題の趣旨」と、17期タキメンの再現答案データ(各事例約20名分)を掛け合わせ、試験委員が求めていた要素と実際の得点傾向を探ってみました。高評価を得た答案には、出題の趣旨に沿った「論理の一貫性」が見られる傾向があったようです。

1. 事例Ⅰ:得点が大きく分かれる傾向にある「理念と組織の連動」
事例Ⅰのデータを見ると、平均点は約61.5点ですが、最高75点から40点台まで得点のバラつき(標準偏差8.75)が大きく、二極化しやすい傾向が見られました。
出題の趣旨が求める「BtoBからBtoCへの転換」


今年度の事例Ⅰの出題の趣旨では、「企業向け(BtoB)事業に取り組んできたA社が、一般消費者向け(BtoC)の新規事業に挑戦する際の組織的工夫や体制」を問うことが示されています。また、第4問では「企業理念の見直しと、社内外への伝達・浸透」が求められていました。
高得点者の論理構成:強みから理念までを一本の線で結ぶ
70点以上の高得点圏の答案は、この出題の趣旨を体現し、以下のような一貫した流れを作っているものがみられました。
- 強みの補完(第1・2問): 「高い木材加工技術」を起点に、知育玩具という新事業(BtoC)の接点を確保します。
- 組織体制とリーダー育成(第3問): 新事業を効果的に推進する体制として「事業部制」などを提案し、その目的を単なる効率化ではなく「次世代リーダー(後継者)の育成」と結びつけています。
- 理念の再定義と浸透(第4問): 新しい理念として「安心・安全」「教育(木育)」「価値創造」といった要素を盛り込み、それを「社内の士気向上(内部)」と「外部への周知(人材確保)」の両面へ繋げています。
組織体制の構築と理念の浸透をバラバラの施策とせず、綺麗に連動させることが評価を高めるポイントになったと考えられます。
2. 事例Ⅱ:手堅い得点確保が求められる「具体策と心のケア」
事例Ⅱは、平均点が約63.6点とやや高く、多くの受験生が60点台に密集しているのが特徴と言えそうです(標準偏差5.93)。
出題の趣旨が求める「ダイナミックプライシング」と「データベース化」


事例Ⅱの出題の趣旨では、第2問で「ダイナミックプライシングによる顧客の分散化」という用語が明記されていました。さらに第3問では「長期的な関係性を高めるための顧客情報データベース構築」、第4問では「オンラインで掲載する効果的な動画内容」が求められていました。
高得点者の論理構成:価格戦略と深い顧客理解のセット
事例Ⅱの高得点層は、出題の趣旨の方向性を守りつつ、顧客の心理面にアプローチする要素を盛り込んでいる傾向があります。
- 価格戦略による平準化(第2問): 出題の趣旨通りに「ダイナミックプライシング(変動料金制)」という言葉を使い、ターゲット層を意識した空き時間への誘導を論理的に説明しています。
- 情緒的ニーズのデータベース化(第3問): 蓄積する情報を単なる属性だけでなく、「不安や心の悩み」「心の痛み・しこり」といった深い部分まで設定し、関係性を高めることに活かしています。
- 動画による心理的不安の解消(第4問): プロモーション動画に「有名トップアスリートの体験談」などを盛り込み、新規顧客が抱える不安を解消して来店を促すストーリーを描いています。
王道のマーケティング施策に、B社ならではの「心に寄り添うケア」を乗せることが大切だったのかもしれません。
3. 事例Ⅲ:ミスが響きやすい僅差の戦い「標準化と短サイクル化」
事例Ⅲの平均点は約59.4点で、得点差がつきにくい(標準偏差5.06)結果となっています。
出題の趣旨が求める「コストダウン」と「在庫をもたない工程管理」


事例Ⅲの出題の趣旨では、第2問で「製造に関するコストダウンを図る観点」からの改善策が問われました。さらに第3問では「製品在庫をもたず納期に対応するため、受注生産における工程管理上の課題と改善策」が要求されています。
高得点者の論理構成:現場の足元を固めてから高度化へ
得点を伸ばした答案は、生産管理の具体的な手法を段階的に提示している傾向がうかがえます。
- 技能承継とコストダウン(第2問): ベテランに依存した作業によるロスを防ぐため、まずは「標準化・マニュアル化」し、OJTで教育するという手順を踏んでいます。
- 在庫をもたない生産統制(第3問): 週次で立てていた計画を「日次計画(短サイクル化)」に変更し、情報をDB化して即時共有することで、在庫に頼らず柔軟に対応する仕組みを作っています。
- 新事業への対応(第4問): 「食品・医療用製品への参入」という趣旨に対し、「品質管理部門の設置」や「クレーム原因の追及・再発防止」を徹底し、厳しい品質基準に応える取り組みを示しています。
まずは「標準化」でムダを省き、次に「IT活用」でスピードを上げ、最後に「品質管理」で付加価値を高めるというステップが、手堅く得点を積み上げる秘訣と言えそうです。
まとめ:次年度以降を見据えた「最後のピース」


令和7年度の2次試験は、合格率が17.6%という直近5年間で最も低い水準となり、全体としてシビアな結果となりました。この厳しい採点環境の中で評価を集めたのは、単に知識やキーワードを羅列した答案ではなく、出題の趣旨に寄り添った「論理の一貫性」を持った答案だったと言えそうです。
事例Ⅰにおける「理念と組織の連動」、事例Ⅱにおける「具体策と顧客の心へのケア」、そして事例Ⅲにおける「標準化から始まる着実な現場改善」など、いずれの事例においても、目先の課題解決にとどまらない「長期的な視点」や「人への寄り添い」が組み込まれていました。
試験委員が求める方向性をしっかりと押さえつつ、その枠組みの中に企業や人の成長を見据えた一貫性のあるストーリーをどのように落とし込んでいくか。採点者に一読して意図が伝わる論理的な構成力が、厳しい合格ラインを突破するための「最後のピース」になったと考えられます。
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