【事例Ⅲ】「できないこと」を見抜き、C社らしい助言をする by けい

皆さまこんにちは。タキプロ16期の けい と申します。少しでも、読者の皆様にとって良い情報をお届けできるように頑張りますので、よろしくお願いします。
目次
■ はじめに
私は、令和5年度の事例Ⅲで「そこそこできた感覚」がありましたが、52点という結果に終わりました。この“違和感”を解消するために、2年目は「事例Ⅲの解像度」を徹底的に高めることに集中し、令和6年度の事例Ⅲは67点でした。今回は、その過程で見つけた事例Ⅲの解像度を上げるポイントを共有します。
過去に、1次試験の経営情報システム、2次試験の事例Ⅰ、合格体験記、2次試験共通を記事にしておりますので、気になる方は以下のプロフィールからご確認ください。
■ プロフィール
●プロフィール
・年代:30代
・職業:コンサルタント
・受験歴:1次試験1回、2次試験2回
・勉強時間:計1700時間
- 1次試験:600時間
- 2次試験:1100時間(R5:300時間/R6:800時間)
●R5_1次試験(合格)※自己採点
・経済学・経済政策 :64点
・財務・会計 :48点
・企業経営理論 :60点
・運営管理 :45点
・経営法務 :65点
・経営情報システム :88点(経営情報システム~周辺知識を増やして戦う~ by けい)
・中小企業経営・政策:60点 合計 430点
●R5_2次試験(不合格)
・事例Ⅰ:67点
・事例Ⅱ:56点
・事例Ⅲ:52点
・事例Ⅳ:51点 合計:227点
●R6_2次試験(合格)
・事例Ⅰ:79点(事例Ⅰで79点を取った勉強法~事例Ⅰの解像度を高めて戦う~ by けい)
・事例Ⅱ:74点
・事例Ⅲ:67点(本日のテーマ)
・事例Ⅳ:56点 合計:276点
・【2次試験共通】不合格から学ぶ回答プロセスのポイント~80分で書きだす文字にこだわる~ by けい
●合格体験記
・【合格体験記】合格までの2年間~不合格から始める2年目の勉強法~ by けい
■ あなたは、事例Ⅲについて説明できますか?
●事例Ⅲとは?
もし今、「事例Ⅲとは何の事例ですか?」と聞かれたら、あなたはどう答えますか?
一度、何も見ずに30秒で説明してみてください。
……
どうでしょうか?
シンプルに説明できるほど、あなたの中で事例Ⅲの解像度が高くなっている証拠です。
この問いは、事例Ⅲだけではなく、ぜひ事例ⅠやⅡでも試してみてください!
参考までに、私は以下のような形で捉えていました。
「できないことを、できるようにする事例」
●C社の「できないこと」への反応
事例Ⅲでは、与件文にC社の“できないこと”が多面的に描かれています。
まずはその「できないこと」に敏感に反応することが、事例Ⅲ攻略の第一歩だと思っています。
そして、反応ができれば、与件文横の余白にすぐにメモしておくのもおすすめです。
設問を読む段階で、「あのできないことはどこで出てきたか?」を瞬時に検索できるようになるからです。
私はこれを徹底するために、「反応すべきキーワード」をまとめたファイナルペーパーを作り、過去問演習の前に必ず読み込んでいました。事例Ⅲは他の事例と違い、与件文に「【】」があります。この「【】」ごとに、どのようなキーワードに反応しておくべきかを体系的にまとめています。
↓令和6年度の受験生時代に使っていたファイナルペーパー(反応すべきキーワード集)

■ 設問解釈に迷ったら、かぶせて書く
●事例Ⅲで生じる迷い
与件文の「できていないこと」に反応できたら、次は設問です。
事例Ⅲは設問の聞かれ方が絶妙で、与件文のどの「できていないこと」を、どの設問に使うべきか、非常に悩まれるかたも多いと思います。私は、迷ったときの方針をこう決めていました。
「迷ったら、かぶってもいいから2回使う。」
例えば、第2問と第3問のどちらに「生産計画の週次化」を入れるか迷ったら、どちらの設問でも使う、ということです。
仮に、第2問で使うとします。すると、第3問は「第2問で使ったから、”週次化”のキーワードは使わない」という判断になります。
診断士試験では、上記のような判断にはリスクがあると思っています。なぜなら、「第2問で使うことを決めた”週次化”が正しい保証がないため」です。
そのため、迷ったら両方入れてしまう、という方針にしていました。
一方で、それだと字数がオーバーしてしまうと思いますので、100点を狙って4つのキーワードを完璧に詰め込むより、80点の文脈で5つのキーワードを詰め込む事を心掛けていました。
参考までに、私は以下のツイートや動画を見て、「迷ったら入れ込む。できるだけ詰め込む」ことを決めました。
高得点答案比較ツイート
●少しでも迷いを少なくする工夫
事例Ⅲ特有の迷いや切り分けにかかる時間を少しでも減らすために、過去10年分の与件・設問・ふぞろい採点、全知識などを参考にして、体系的にまとめたまなびノートを作っていました。参考までに共有します。
まなびノートには、「いつも自分が間違うポイントや考え方」や「事例Ⅲに出てくる●●面の構造」などを記載していました。このチェックポイントを、ファイナルペーパー同様に毎日読込み、体に染み込ませて、与件や設問を読めばすぐに反応できるようにしていました。
↓令和6年度の受験生時代に使っていたまなびノート(自分が間違いやすい論点をまとめたもの)

■ 決めつけは最大の敵
また、事例Ⅲで陥りがちなのが「過去問のパターンに回答が引っ張られること」だと思っています。
例えば、令和5年度に受験した際には、以下のような考えを持っており、52点の結果となりました。
「去年も週次化が出たから、今年も同じキーワードを使おう。」
「この設問なら、過去問に出てきたあの表現を使えばいいはず。」
令和5年度の振り返りを通して、「C社の与件文に寄り添った回答ではなく、過去問で得た知識で回答を作ってしまった。」ということに気づくことが出来ました。
そこで、令和6年度は考えを改めて、「過去問で同じパターンで聞かれていたから、その答えを書こう、といった決めつけは絶対にしない。あくまで知識としては持っておくが、主役はC社であり、必ず与件文に寄り添った回答を作る。」ようにしていました。
2年間の勉強を通して、診断士試験では「決めつけ」がもっとも危険な行為ではないかと、強く感じました。あくまで、過去の事例の内容や一般知識に引っ張られることなく、その年の与件文に寄り添い、聞かれている設問に答えるのが、一点でも点数を積み上げる方法ではないかと思っています。
与件への寄り添い方は、こちらの記事に詳しくまとめていますので、よければお読みください。
【2次試験共通】不合格から学ぶ回答プロセスのポイント~80分で書きだす文字にこだわる~ by けい
■ C社らしさが伝わる答案か
最後に、令和5年度で52点、令和6年度で67点を取った私が感じる、事例Ⅲで60点以上を取れるかどうかの分かれ目について話します。(以下、完全に個人の所感です)
以下の問いを踏まえて、一度ご自身の回答を見ていただけますでしょうか。
「回答用紙を見ただけで、C社がどのような会社かが分かるか。」
高得点答案を何度も読み比べて気づいたのは、高得点答案には「その年のC社にしか書けない助言」があるということです。
例えば、毎年出てくる回答として、「全社的な生産計画を週次で立案」というフレーズがあると思います。一方で、以下のような書き方をされている回答も見受けられます。
「プレス加工工程以外も含む全社的な生産計画を週次で立案。」
この「プレス加工工程」という一言だけで、私にはC社の実態がにじんできました。少なくとも、プレス加工工程では、生産計画を立てて管理できているのかなと。その匂いが、「C社らしさ」の正体です。
ぜひ、各年度の高得点答案の上位10個ほどを流し見しつつ、ご自身の答案と横並びにして比較してみてください。※C社らしさがない前者でも、高得点答案は存在します。必ずご自身の目で複数答案を比較してください。
私は過去問実施後の振り返りとして、高得点答案の上位2つ+私の解いた回答を並べて、3つ共にふぞろい採点をして、「高得点答案にはあるが、私の答案にはないフレーズや言い回しがないか」を確認していました。
すると、令和5年度本試験の自分の回答には、お決まりのフレーズしかなく、「自分の回答に足りないのは、C社らしさ」なのではないかと気づき、今の考えに至りました。
以上の振り返りが、私が事例Ⅲで60点以上を取れた最大の要因だと思っています。
■ おわりに
事例Ⅲは、「できないことを見抜き、C社らしい助言で解決する事例」だと思っています。
1年目の私は、知識を並べるだけに終わっていました。
2年目の私は、事例Ⅲへの解像度を高め、C社のできないことに反応できるように訓練を行い、C社らしい助言をすることが出来ました。これらが、60点以上を取るためのカギだと捉えています。
本ブログが、受験される方に少しでもお役に立てれば幸いです。
次回は、ケンジさんの登場です。お楽しみに!
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