事例Ⅰで79点を取った勉強法~事例Ⅰの解像度を高めて戦う~ by けい

皆さまこんにちは。タキプロ16期の   けい と申します。読者の皆さまにとって役立つ情報をお届けできるように努めますので、よろしくお願いします。  

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■はじめに

今回は、私がR6年度事例Ⅰで79点を取った勉強方法を共有したいと思います。

●プロフィール
・30代男性、コンサルタント
・受験歴:1次1回、2次2回
・勉強時間:1次 600時間、2次 1100時間(R5 300時間+R6 800時間)

●事例Ⅰの試験結果

受験した2回とも60点を超えており、4事例の中でも事例Ⅰが最も得意でした。
・R5:67点
・R6:79点

●R6再現答案
AASの「みんなの再現答案」に掲載されておりますので、ご確認いただけますと幸いです。

■事例Ⅰについて、自身でどれだけ説明できるか

突然ですが、もし「今から5分間、事例Ⅰについて説明してください」と言われたら、あなたはどのように答えますか?
一度、何も資料を見ずに試してみてください。
実際に口に出してみると、あなたの理解度がどれくらい深まっているのかがわかります。

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例えば、以下のような質問について、どれくらいスムーズに答えられるでしょうか?
①事例Ⅰとはどんな事例か?
②事例Ⅰを一言で表すと?
③A社はどんな会社か?
④事例Ⅰにおける戦略とは?
⑤設問の注意点は?
⑥助言をする際、どういった視点で考えるか?
⑦事業者連携する際に気を付けるべきことは?
⑧事業承継における注意点は?
⑨組織体制はどんな形態があるか?
⑩人事の問題に、どのように取り組むか?

どうでしょうか?
今、口頭で話せたことが、今のあなたの事例Ⅰに対する現在地です。
逆に言うと、本番当日でも活用できる、身についている考え方や知識と言えるでしょう。

この解像度が高ければ高いほど、毎年繰り出される新たな問題にも、柔軟に対応できる可能性が高まると思います。

■私が思う事例Ⅰのポイント

私は上記の問いに対して、以下のような解像度を持っていました。そして、試験の2週間前からは、これらを何も見ずに口に出して確認し、定着させることを徹底していました。以下、私が口ずさんでいたフレーズを参考までに共有します。
※以下は私の解釈であり、あくまで参考情報としてご覧ください。

①事例Ⅰとはどんな事例か?
事例Ⅰのテーマは、「組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例」であり、組織・人事だけではなく、経営戦略や管理の観点も必須。言い換えれば、経営戦略(ドメイン=だれに、何を、どのように。外部環境を踏まえる)、機能別戦略(人事、組織)の多岐にわたって回答を求められている、ということを認識する。

②事例Ⅰを一言で表すと?
「組織は戦略に従う」。この考え方は、全ての設問を解く際に常に意識すべき点。
戦略が変われば、組織も変わる。組織が変われば、バーナードの「組織の3要件」に基づき、共通目的・コミュニケーション・貢献意欲を中心に、A社の与件内容に沿った助言を検討する。設問や与件の一部だけを読んで「このフレームが回答だ!」決めつけず、活用するかどうかは必ず吟味する。

③A社はどんな会社か?
A社は、過去に成功や失敗を繰り返しており、今後どのような戦略にするのかを悩んでいる状況であることが多い。さらに、今後のA社社長の戦略の方向性を踏まえて、事業承継・組織・人事に関する設問を問われることが多い。

④事例Ⅰにおける戦略とは?
事例Ⅰでは、「成長戦略」と「競争戦略」を考えることが多い。
成長戦略は、アンゾフのマトリクスで市場浸透戦略・新市場開拓戦略・新製品開発戦略・多角化戦略があり、競争戦略はコストリーダーシップ戦略、差別化戦略、コスト集中戦略、差別化集中戦略がある。
A社の場合、与件によって成長戦略は4つとも選択肢としてあり得る。競争戦略は差別化集中戦略を採ることが多い。これらの戦略が時系列ごとに、経営者が変わるたびに、移り変わっていくケースが多いので、設問と与件をちゃんと読み、どのような戦略をとってきたか、今後どのような戦略をとっていくのか(とるべきか)を把握することが重要。

また、戦略を考える際には、両利き経営という考え方を意識しておく。これは、イノベーションにおいて「知の深化」と「知の探索」の両方がバランスよく必要であるとされ、A社としてどちらの道に進むのかを捉えておく。

さらに、戦略を捉える上では、「環境分析(SWOT分析)」が必須。SWOT分析を通じて、強みを機会に活用し、弱みを克服することを念頭に置く。「設問1で強みや弱みが問われた場合、その後の設問で、設問1で記載した強みや弱みを訴求するかもしれない」というイメージを持っておく。
ここで重要なのは「かもしれない」に抑えておくということで、「設問や与件の一部を読んで”決めつけて”」回答を作成するのはNG。

⑤設問の注意点は?
設問を読む際に、形容詞や時制に特に注意を払うこと。これらのキーワードを正確に読み取り、「聞かれていること」を理解する必要がある。
そして、聞かれていることに答える際には、A社ならではの要素を回答に入れ込む。
例えば、設問に出てくる「グループ全体の~」や「チャレンジ~」などの表現は、見落としてはいけない重要なキーワードであることが多い。

⑥助言をする際、どういった視点で考えるか?
100字回答の文末は、丁寧に作る。リスク分散や差別化、事業拡大や事業承継など、今後の方向性に関連する助言を意識すること。

⑦事業者連携する際に気を付けるべきことは?
事業者と連携して取り組む場合は、具体的に記載すること。例えば、関係維持のために事業者の厳しい要件に応える、事業者の強みとA社の強みを活用して新たな商品を開発する、など。

⑧事業承継における注意点は?
事業承継は、後継者育成とバックアップ体制、若手育成が主流。ただしM&Aなどを伴う場合は、企業の文化や組織にも触れながら具体的な存続の方法を考える。

⑨組織体制はどんな形態があるか?
機能別組織、事業別組織、マトリクス組織などがあるが、与件に組織名が明記されているときもあれば、そうでないときもある。それぞれの組織形態が、今後の戦略に合っているのかを見極める必要がある。A社の限りある経営資源や強みを、今後の戦略に活かすことができる最適な組織体制を考える。
回答には、一般的な組織のメリット・デメリットに加えて、A社ならではのキーワードや特徴を添えることを意識する。

⑩人事の問題に、どのように取り組むか?
茶化や幸の日も毛深い猫は、あくまでフレームワークであり、チェックシートのようなもの。A社の課題、強み、今後の戦略を踏まえて、100字で書くべきものは何かを優先度の高いものから選定する。チェックシート(フレーム)を使って、与件からメモへの抜出で致命的な漏れがないかを確認する。絶対に、単にフレームに当てはめて、あまりA社のこと(与件)を考えずに記載するのはNG。

いかがでしたでしょうか。この記事では、あえて「具体的な内容」を10個も挙げてみました。


二次試験は答えが公開されていない試験であり、私が記載したものを含めて「正解」はありませんが、過去問や高得点答案を活用した振り返りを行うことで、事例Ⅰへの解像度を高めていくことが重要と思います。

■事例Ⅰの解像度を上げるための勉強方法

私は、以下の取組みを繰り返すことで、事例Ⅰの解像度を上げました。

①事例を解き、振り返りに時間を使う。
・過去問を80分で解き、ふぞろいで採点。上位のキーワードで書けなかったものを確認
・自分のどの回答プロセスでキーワードが漏れたかを確認。次回、そのキーワードを漏れないようにするための対策を検討し、回答プロセスを改善する。
・自身の回答に、ふぞろいの上位キーワードが盛り込めている場合、どうすれば「高得点答案」になるかを振り返る。具体的には、AASの「みんなの再現答案」の高得点答案上位2件と自分の答案を見比べ、高得点者の言い回しやキーワードの書き方をまなびます。そして、自身の書いた回答を、高得点者の書き方や特徴を見ながら、修正します。この作業により、今、自分が作れる最高の答案を作ってみることができます。このレベルの答案を、初見問題や本番も作れるようにすることを、目標としました。

②振り返りで記載したノートを見返してから、その事例を90点になるまで解き続ける。
・ふぞろいでの採点が90点以上になって、初めて「その年度の過去問を合格」としました。
・キーワードの採点で90点なのはもちろん、事前に作成した自分の中での最高答案と見比べて、文章や言い回しも問題がないか確認。
納得のいく回答を作れた事例は、受験生に自己採点前の回答を送り、採点(相互採点)してもらいました。他の受験生からみて、自分の日本語がおかしくないか、確認してもらいました。この作業により、第三者からみても、おかしくない文章かをチェックしていました。

③①②を繰り返す
・事例を解いて、ふぞろいや高得点答案を活用して振り返りを行い、ふぞろい採点で90点以上になるまで繰り返します。この過程で、事例Ⅰへの解像度も挙げていき、回答プロセス・事例への知識の両方をブラッシュアップしていきました。

事例Ⅰの解像度を上げることで、設問・与件のキーワードに気づける可能性が高まると思います。まずは、設問や与件を読むときに「キーワードに気づく」ことが出来なければ、回答に書くことは難しいと思っています。

本記事では、「解像度」に着目して原稿を書きましたが、事例Ⅰに必要な観点や勉強方法は、タキプロ15期のみにまるさんが「事例Ⅰの勉強の始め方 by みにまる」にて詳細に書かれていますので、そちらを一度読まれることをお勧めします。

■おわりに

・事例Ⅰとはどのような事例か、A社とはどのような会社か?を、自分で今すぐ説明できるか
・過去問に取り組んだあと、「ふりかえり」に時間を使っているか
・振り返るべきは、「ちゃんと読めていたか。どこで、ちゃんとよめていなかったか。」と「ちゃんと書けていたか。高得点答案と比較して、キーワードだけではなく、文脈や言い回しまで、高得点答案レベルになっているか。」を確認すること。次回は同じ過去問で100点が取れるように、回答プロセスの修正を行う
・回答作成にあたり、決して「設問や与件を読み飛ばし、決めつけて回答しない」ことが重要。設問と与件を読み、過去の振り返りで得た知識やノウハウを思い浮かべつつ、A社への助言を組み立てる。

事例Ⅰへの解像度は、一朝一夕で身につくものではないと思いますので、一日一日、1事例1事例を大切に、取り組み続けることをお勧めします。

本ブログが、令和7年度2次試験の事例Ⅰを受験される方に、少しでもお役に立てれば幸いです。

次回は、ケンジ さんの登場です。 

お楽しみに! 

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