【特別企画】タキプロ17期交流会班新リーダー就任記念将棋対局(ふくちゃん指導員 VS たんたん3.28段)

2026年6月、都内某所で、ふくちゃんのタキプロ17期交流会班新リーダー着任を記念し、

 ふくちゃん将棋指導員 対 たんたん3.28段(段位は当時のものです)

の将棋対局がいままさに始まろうとしていた・・・。

写真1:盤も割れよと駒を振りかざす、気合十分のたんたん3.28段(写真奥)。それを冷ややかに見据えるふくちゃん将棋指導員(写真手前)。この一手が、後の大波乱の伏線になろうとは、このときはまだ誰も知らない(なお、実際の先手番はふくちゃんであった)。

■交流会班新リーダー就任記念対局

―― 2026年6月某日、都内某所。

令和7年度中小企業診断士試験合格者にして、将棋指導員の資格もあわせもつふくちゃんの、タキプロ17期交流会班新リーダー就任を記念し、急遽「就任記念特別対局」が組まれた。対するは、当時の段位で言うところの「たんたん3.28段」(※段位は当時のものであり、現在の実力を保証するものではありません)。

盤を挟んで向き合う両者。記録係も、解説者も、テレビカメラもいない。あるのは対局時計と、水の入ったペットボトルだけである。それでも「これは記録に残すべき一戦だ」と、誰かがこっそり写真を撮影し、棋譜を採っていた。

令和7年度中小企業診断士試験合格者同期の世紀の一局、この一局を単なる対局記録として終わらせるのはもったいない。

将棋の「形勢判断」は、実は、診断士試験の経営分析と驚くほど相性がいい。序盤力・中盤力・終盤力という指標は、企業でいう効率性・収益性・安全性そのものではないか――というわけで、本稿は将棋の対局レポートにとどまらず、診断士的視点からの「経営分析」を随所に挟みながらお届けしたい(あまり真に受けず気楽にご覧くださいませ)。

対局データ(=企業概要)


 棋戦:交流会班新リーダー就任記念特別対局
 先手ふくちゃん(将棋指導員、交流会班新リーダー)、本稿における企業名「ふくちゃん商店(先手)」
 後手たんたん(3.28段・当時)、本稿における企業名「たんたん工房(後手)」
 戦型:先手・向かい飛車(その後、四間飛車) 対 後手・三間飛車穴熊
 持ち時間:各20分(使い切ると30秒の秒読み)
 棋譜記入および解析:ぴよ将棋を使用(本稿末尾にWeb棋譜掲載)


写真2:穴熊囲いという固い布陣を選ぶたんたん3.28段。ふくちゃん指導員はこれに対抗し、向かい飛車という戦型を選択、さらに四間飛車に振り直し、虎視眈々と後手陣形のスキを伺う。


序盤から中盤にかけては両者ともじっくりと読みを入れながらの進行だった。しかし終盤に差し掛かったところで、ふくちゃん指導員は20分の持ち時間を使い切り、30秒の秒読みというシビアな経営環境の中での差し回しを強いられることになる。この点は後述する「終盤」パートで詳しく触れたい。

■<診断士的ミニコラム SWOT分析


対局開始にあたり、両者の経営環境を簡易SWOT分析で整理しておこう。

ふくちゃん商店(先手)

<プラス要因 | マイナス要因 >
■内部環境

 ・強み(S):序盤力93という盤石の基礎体力。指導員としての貫禄と定跡知識

 ・弱み(W):終盤力わずか10。土壇場での資金繰り=読み切り力に致命的な不安 |
■外部環境

 ・機会(O):向かい飛車で主導権を握れる好局面

 ・脅威(T):後手・完全穴熊という守りに堅い相手。長期戦に持ち込まれるリスク |

たんたん工房(後手)

<プラス要因 | マイナス要因 >
■内部環境

 ・強み(S):終盤力67の粘り腰。土俵際からの逆転力

 ・弱み(W):中盤力60とやや見劣り。主導権を握られると受けに回りがち
■外部環境

 ・脅威(T):序盤で主導権を奪われ、動けないまま試合終了するリスク
 ・機会(O):完全穴熊という鉄壁の守備で持久戦に持ち込める環境


序盤の段階では「ふくちゃん商店、優良企業」という評価が下せそうな盤面であった。終盤については、後ほど触れさせていただく。

序盤〜中盤:貫禄のふくちゃん将棋指導員、リードを広げる

序盤は互いに定跡形をなぞる落ち着いた立ち上がり。たんたんは三間飛車から穴熊へ潜り込む持久戦プランを選択し、ふくちゃんは向かい飛車でこれを迎え撃つ構え。

アプリの評価値グラフを見ると、序盤の入り口からじわじわと先手ふくちゃん指導員側に針が振れていき、中盤に入ると一時+900近くまで優勢を拡大する場面もあった。序盤中盤はさすが将棋指導員の貫禄勝ちであった。

写真3:将棋アプリの評価値。グラフが中央から上に振れると先手優勢。先手(ふくちゃん)の優位が徐々に拡大していることが見てとれる。

■<診断士的ミニコラム 経営指標で見る中盤戦>

ここで今回の棋力スコアを、経営分析の指標に(無理やり)置き換えてみる。

| 棋力指標 | 経営分析での対応イメージ | ふくちゃん商店 | たんたん工房 |
| 序盤力 | 効率性(有形固定資産回転率) | 93(絶好調) | 88(堅調) |
| 中盤力 | 収益性(営業利益率) | 75(黒字基調) | 60(やや低調) |
| 終盤力 | 安全性(流動比率) | 10(要警戒水準) | 67(健全) |

たんたん工房は収益性にやや疑問、一方ふくちゃん商店は効率性、収益性とも好調である。繰り返しになるが、終盤力についてはこの後の展開をご覧いただきたい。

写真4:苦しい形勢の中、後手たんたん3.28段が怪しげな勝負手「△6一飛車」を放つ

終盤:大逆転

序盤・中盤で積み上げた「黒字」は、終盤に差し掛かったところで大きな逆風にさらされる。ふくちゃん指導員はここまでに20分の持ち時間をほぼ使い切り、終盤の最重要局面はことごとく30秒の秒読みの中での判断となった。事業自体は好調だが、時間という経営資源の配分計画だけが急にタイトになり、毎手ごとに支払い期限が迫るような状況に追い込まれたということである。経営分析的に言えば、これは経営そのものの舵取りが悪かったというより、「秒読み」という名の外部環境の急変に見舞われた、と捉えるのが実情に近いだろう。

秒読みに追われる中、ふくちゃん指導員に不本意な疑問手が重なった。潤沢な検討時間さえあれば防げたであろうミスも多く、いかに「時間」という経営資源の配分が勝敗を左右するかを物語る展開であった。対するたんたんも悪手を献上し、両者ノーガードの殴り合いに突入する。

そして迎えたクライマックス。たんたんが繰り出した好手で、ふくちゃん玉に即詰みの糸がかかる。あとは121〜124手、両者による「詰みの確認作業」のような手順が淡々と続き、124手をもって、後手たんたんの勝ちとなった。

診断士的に言えば、ふくちゃん商店は資金繰り自体が杜撰だったわけでは決してなく、土壇場での急激な環境変化(=秒読み)に対応しきれなかった、実質的な経営破綻(=投了)ということになる。序盤・中盤の貫禄と、秒読みというシビアな環境下での判断力は、また別次元の勝負だったのかもしれない。将棋の恐ろしさと面白さを、これ以上ないほど凝縮した結末であった。

写真5:ふたたび形勢判断グラフ。序盤〜中盤はふくちゃん指導員の評価値はプラス圏で安定していたが、終盤で時間に追われ評価値が反転。

経営診断まとめ(総合所見)

最後に、この一局を診断士的な「経営診断書」の体裁でまとめておきたい。

【ふくちゃん商店】
– 強み:序盤力・中盤力に裏打ちされた優良な事業基盤
– 弱み:終盤における時間資源の配分計画にやや課題あり。持ち時間20分を使い切り秒読みに突入した結果、本来の実力を発揮しきれなかった
– 改善提案:本業(序盤・中盤)の強さは折り紙付き。あとは終盤に持ち時間をどれだけ残せるかという「時間の資金繰り計画」を見直すのみであり、経営基盤そのものへの不安は少ない

【たんたん工房】
– 強み:劣勢からでも粘り、最後に好手で逆転する終盤力の高さ
– 弱み:中盤の主導権をやや握られやすい体質
– 改善提案:現状の粘り腰(終盤力)を維持しつつ、中盤での主導権確保(積極的な収益性改善)に取り組めば、さらなる成長が見込める

ふくちゃん指導員の序盤・中盤は「さすが指導員」の名にふさわしい盤石の指し回しで、評価値も終始プラス圏。しかし終盤に入ってからは20分の持ち時間を使い切り、30秒の秒読みという厳しい環境の中での差し回しを強いられ、勝ちを決めきれずに逆転を許すという、時間との戦いに苦しめられた一局にもなった。実力そのものではなく時間配分に泣かされた形であり、この点は大いに同情すべきところである。一方のたんたんは、劣勢からじっと辛抱を重ねる展開となったが、持ち時間の余裕も味方につけ、最後の最後でふくちゃんの時間切迫に助けれられ、九死に一生を得た。「3.28段」という微妙な肩書き(当時のもの、念のためしつこく再掲)そのままに、終始怪しい将棋であった。

本局は、ふくちゃん指導員の交流会班新リーダー着任の門出を飾る大熱戦であった。この対局は、第17期タキプロ交流会班の歴史の1ページに刻まれ、末永く語り継がれていく・・・かもしれない。

次回対局も乞うご期待(もしあれば)!!

<ご参考>下記URLよりWebによる棋譜をご覧いただけます。

ふくちゃん指導員 vs たんたん3.28段(「Web棋譜再生 将棋アルバトロス」にリンクしています)


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