実務補習:ヒサの場合 by ヒサ

目次
■はじめに
タキプロ16期の ヒサ と申します。
2次筆記試験を受験されたみなさん、たいへんお疲れさまでした。大きな山を越えましたのでしばし休養を取りましょう。その前に再現答案は作成しておきましょうね!そこそこの休養が取れたら口述試験の準備に着手するのが良いかと思います。
今回のテーマは実務補習です。
ヒサのプロフィールは過去記事をご覧ください。
■最後のハードル
試験(1次・2次筆記・2次口述)に合格するだけでは、中小企業診断士を名乗ることはできません。経済産業省への登録が必要で、そのためには、試験合格後3年以内に合計15日間の実務補習(診断士協会が実施)または実務従事(民間機関などが実施)を修了することが必要となります。
私の場合、8日間の実務補習(2025年2月)と7日間の実務従事(5月)を経て、7月に診断士登録することができました。
実務補習15日または実務従事15日という選択肢もありましたが、どうせならいろいろ経験するのが良いだろうと考え、実務補習+実務従事を選びました。結果的には実務補習と実務従事で、診断先企業の業種や診断のアプローチ・スタイルが異なっていたこともあり、非常に良い勉強になったと思っています。実務従事については機会がありましたら記事にしたいと思います。
それでは実務補習のスタートです!
■事前準備
私が受講した実務補習は、2/21~3/3の間の8日間(金・土・日・月・金・土・日・月)でした。詳しくは診断士協会のWebサイトに掲載されていますのでご参照いただきたいのですが、実態としては事前準備と火・水・木の3日間も実務補習の一部だと思います。
受講料を診断士協会に振り込むと、協会のテキストや様式の電子ファイルが送付されます。まずはこれらの資料で予習を行います。
次に、指導員の先生から案内のメールがあり、診断先企業の情報を共有いただきました。診断先は製造業でした。決算書や会計伝票など資料は結構なボリュームで全てを詳細に確認するところまで手が回りませんでした。(←言い訳です。)
また、指導員の先生をネットで検索し、セミナー動画を見つけたので視聴してメモを取っておくなどの準備?はきっちり行いました。(←先生との会話のネタになりました。)
受講者は4名で、先生から事前に班長と役割分担を決めておくようにとの指示がありました。
役割は「A.全体戦略・人事組織(班長が兼務)」、「B.財務・会計」、「C.営業・マーケティング」、「D.製造・生産管理」の4つです。事前に各自の希望を出してそれをもとに決定しました。
メンバーの中に実務補習2回目の方がおられ、班長を引き受けてくださいました。その方が「事前に各自でヒアリング内容を準備し、1日目にすり合わせをしましょう。」といった段取りをしてくださったので大変助かりました。(班長ありがとうございました!)私は、「C.営業・マーケティング」の担当となりました。
先生からいただいた企業情報の分析やネット検索を行い、ヒアリング内容を事前に準備しました。あと念のためポケットWiFiも準備しましたが、先生の事務所のWiFiを使わせていただけました。
テキスト類は基本的には協会から送付されたものを使うのですが、参考になるとの話を聞いたので「再生コンサルティングの質を高める 事業デューデリジェンスの実務入門」(寺嶋直史 、2015年7月、中央経済社、リンク)を事前に読んで実務補習時も携帯していました。
■1日目(2/21金)
今日が初日です。
朝9:00に指導員の先生の事務所に集合し、名刺交換、自己紹介を行いました。メンバーは公務員1名と民間企業3名(ヒサ含む)の4名でした。
先生から、全体スケジュール概要、進め方について説明があり、「サポート・フォローはするが、基本的には班長に一任するのでよろしく。時間は9:00~17:00をベースにするが、議論・作業したければ夜も事務所を使って構わない。」とのご指示がありました。
午後から診断先企業を訪問し、工場見学とヒアリングをさせていただきました。
その後、事務所へ戻り翌日からの進め方を相談しました。終了後に受講メンバーで決起集会的な懇親会を行いました。初対面同士なので関係を良くするきっかけになったと思います。また、連絡用にLINEグループを作りました。
■2日目(2/22土)
この日はまず先生から、対象企業の決算書、納税証明書等のチェックポイントについてレクチャーを受けました。当然ながら事前にいただいた資料でそれなりに予習はしていたのですが、「企業の抱える問題点はこういった資料にも見え隠れしているので、『気づかない、見落とす』などの無いように、常にチェックポイントを意識しないといけない。この書類のこの部分をこう読んで、このように分析を行う。」というバリバリの診断士としての実務ベースの話が聞けて、メチャメチャ勉強になりました!
その後、ヒアリング結果のまとめと方向性のすり合わせをメンバーで行っていたところ、先生から「まだ製品のことがよくわかっていないな!現物を見に行こう!」との指導を受けて、対象企業や競合の製品がある駅前のショッピングビルで店舗見学をすることになりました。
普段から目に入っているものでも、意識してみるといろいろ見過ごしていた部分が見えてくるようになったと思います。
■3日目(2/23日)
ヒアリング結果と各種データを基にSWOT分析を行い、議論を行いました。その過程で、先生から「1次・2次試験で学んだ知識を復習して活用するように!」との指導を受け、ホワイトボードで何度も書き直しながら分析を進めました。次の日から1次・2次試験のテキストも持って行き、議論の合間に復習と確認を行うようにしました。
■4日目(2/24月)
前日のSWOT分析に加えてクロスSWOT分析も実施し、課題の抽出と対応の方向性について議論を行い、報告書の概略ストーリーを固めました。報告書は約100ページ、各々のパートは20ページ強とのイメージを共有し、次回集合日(2/28金)まで各自報告書ドラフトの作成作業を行うことを確認してこの日は終了となりました。
■各自作業日(2/25火・2/26水・2/27木)
この3日間は各自の作業となります。各々自分のパートの報告書を作成します。みなさん社会人なので作業は夜~深夜に行っていました。One Driveでファイル共有しながらの作業だったので「深夜なのに〇〇さん頑張っているな~。自分も頑張らないと!」という気持ちになるとともに、メンバーのみんなが真剣に取り組んでおられる姿勢がとても励みになりました。
■5~7日目(2/28金~3/2日)
この間は先生の事務所で、報告書の各自パートの作成がメインとなりました。
先生が指導した以前の報告書なども見せていただき、参考にしながら各自の報告書パートをブラッシュアップしていきます。メンバー間で議論や相談をしたり、先生にアドバイスをもらったりしながらの作業となりました。
7日目にはメンバー全員で報告書ドラフトの読み合わせと校正チェックを行い、何とか報告書を完成させることができました。
ちなみに報告書は印刷屋さんで製本しても良いし、コピーを綴じる形式でも良いとのことだったので、ギリギリまで作業ができる後者を選びました。
■8日目(3/3月)
いよいよ最終日です。この日は午後から診断先企業への報告を行います。午前中に報告書を基にリハーサルというかプレゼンの練習を行いました。先生から「各自のパートを1分間で説明しなさい。はいスタート。」という感じでいきなり始まり、説明後に先生からの質問に答えるというスタイルです。次に3分間での説明と質疑応答、その次に5分間での説明と質疑応答という練習でした。
実務の現場では報告会も予定通りに進まないことがあり、診断士は臨機応変に対応しなくてはならないことが多いので、こういった練習が効果的だとのことでした。確かに練習になりますね。新人社会人の頃に似たような研修を受けた記憶が蘇ってきて懐かしく思いました。
午後から診断先企業を訪問し、報告を行いました。先方からの質問にも適切に対応することができ(たと思っています)、早速午前中の練習が役に立ちました。報告は無事終了し、事務所へ戻ってから、終了証書を授与していただきました。やっとここまできたかと感慨深かったです。
その後は先生も交えた打ち上げです。みんなほっとしたこともあり、お酒の席でしか聞けないような裏話などとても楽しく過ごせました。
実務補習は、正直少し寝不足気味にはなりましたが、とても密度の高い8+α日間だったと思います。
■おわりに
冒頭で実務補習・実務従事が最後のハードルと書きましたが、いずれも合否を判定するものではありませんし、ハードルというよりも、経験を積む機会、勉強の機会と捉えて楽しんで取り組むことをお勧めします。
ちなみに診断士登録の際に、修了証書と2次試験合格証書は原本を中小企業庁へ提出することになりますので、必要な方はコピーやPDFを取っておきましょう。
診断士は登録後5年毎に更新が必要ですので、私も今後、実務補習や実務従事に参加することがあると思います。この記事を読んでいただいているみなさんとご一緒する機会があるかもしれませんね。その時はどうぞよろしくお願いします。
長文となりましたが、実務補習のイメージを少しでも掴むことに繋がれば幸いです。
次回は、よねー さんの登場です。
お楽しみに!
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