2次試験における専門家と多年度生の悲哀(後編) / Kappa

 皆さん、今晩は。Kappa@タキプロ関西8期です。Kappaのプロフィールについてはこちら、前回の記事はこちら、この記事の前編はこちらをご覧いただければと思います。

 さて、前編でもお話ししたように、Kappaにとって事例Ⅲは大好物になる筈でした。でも、とある会社で、抜群に効果のある不具合対策を習得してしまったことで、Kappaと事例Ⅲとの間の亀裂が大きく広がってしまったのです。

 時は巡り、5年前の秋、Kappaは来日した、例の会社の社長と共に、竜安寺の石庭を眺めていました。シンプルな構成の中にも深い味わいと奥行きを感じさせる石庭は、初めて見た社長にも excellent と感じていただけたようでした。勿論、Kappaにも。でも本当に味わい尽くすには、何十年も修行した庭師のみが持つ鋭い感性に裏打ちされた、深く計算された塀の形や、岩の配置の妙を感じる必要があると聞きます。まさに複雑さを通り越した簡明さ。佗・寂の世界です。日本人として一寸だけ誇らしい気持ちになれたのを覚えています(虎の威を借る狐ともいう)でも、カンのいい社長のことですから、Kappaより深いところで感心していたのかもしれませんけどね?


 一方で・・・、この職人気質とプライドで形成される業界慣習、2次試験ではNGです。Kappaも社長の属する加速器村(原子力村の隣にあります)の住人になって久しいのですが、村外の人たちとの意志の疎通に障害を感じることが多々あります。村民にとっては当たり前の前提を説明しなかったり、普通は興味を持てないことを説明したりしてしまうのです(「え~、そこから話すの?」とか、「これが大事に決まってるでしょう(業界人にとって)」っていうパターンですね)
 この感覚が2次試験に適用されると、いろんな不都合が生じてきます。例えば、生産管理の事例で、故障率が時間と共に増加するグラフを見たとします。そのとき、「グラフが右肩上がりである」ということを、Kappaは、単独で指摘することが出来ません当たり前すぎて、そんなことで回答欄の貴重な文字数を費やすのはもったいないと感じてしまう、というより、書く必要があるかもしれない、ということ自体に気がつきません。それよりも、右肩上がりであることから類推される、こんなことや、あんなことの方が、生産を管理する上では、はるかに重要で、それを書かないことの方が問題なのは言うまでもない、と感じてしまうのです。
 こんな解答がNGなのは言うまでもありません。診断士が相手にする社長の多くは、「グラフが右肩上がりである」ところから始めないと、そもそも話について行けず、結果、社長に「あいつのいうことはよくわからん」と切り捨てられてしまいます。コンサルとしては失格ですよね・・・。
 文字数に明確な制限がなければ、まだいいのです。しかし、制限があるとき、何を書くのかの優先順位を決めるのは、各人の持つ価値観です。とある業界に長くいればいるほど、そういう価値観は無意識化し、自分では気づきにくくなります。

 仮に価値観の違いに気付いたとしても、通常の価値観に近い解答が書けるとは限りません。どこから説明すれば普通の人にわかってもらえるのか、という微妙な判断を、本試験という緊張MAXの場で、気の弱いKappaが適切に行うことは可能なのか・・・。

 自己採点で1次試験の合格を確信し、2次試験対策の方針を考えた時、Kappaは事例Ⅲ関連の価値観の上書きを断念しました。1次試験ですら頭が真っ白になってしまった Kappaに、2次本試験の会場でも揺るがない上書きされた価値観を、短期間の間に築き上げることなど、期待できる筈がなかったからです。その時、その時間を全て事例Ⅳ(74点)の演習につぎ込むという判断をしたおかげで、今の Kappa があると言っても過言ではありません。

 で、そこのあなた、「自分は技術者じゃないから関係ない」、なんて思ってると、Kappaみたいになってしまうかもしれませんよ?

特に「真面目な」多年度生の皆さん。油断は禁物です。

 去年、タキプロの勉強会で、Kappaは大変優秀な先輩方に恵まれました。しっかりと自分の方法論を持っていて、目から鱗の解答を理路整然と説明してくれる先輩方です。その上、解答時間も70分以内というおまけまで付くとなると、Kappaとしても、「こんな人たちは相手にせずに、まだ見ぬドングリ達と競い合おう」とかたく心に誓う他にはなかったのです。
 で、蓋を開けてみたらどうなっていたのか。Kappaは辛うじて踏みとどまり、優秀な先輩方は、軒並み残念な結果になってしまっていたのです・・・。

 これ、何か間違っているとは思いませんか? Kappaよりはるかに長時間の勉強をこなし、多くの知識と高いスキルを持つ先輩方が、本試験で思うように点数を伸ばせない、この試験の評価基準自体が間違っているのではないか、とさえ思えます(勿論、Kappaが事例Ⅲの点数を僻んでいるわけではありませんよ?)。

 では、なぜこんなことが起きてしまうのか。ここからは Kappaの推測ですが、恐らく一部の優秀な多年度生の方々は、1回目の受験と2回目の受験との間に、合格レベルをはるかに超越した知識とスキルを蓄えてしまったのではないかと思うのです。そう、ちょうどKappaがかの国で、加速器村の村民になってしまったように・・・。

 そうなってしまった時の手段は、いくつかあると思います。1つ目は、複雑さを通り越した簡明さまでたどり着くこと、すなわち、万人に分かりやすい説明でありながら、深い含蓄を持つ解答にたどり着くことです(竜安寺の石庭が万人に美しく感じられるように)。これこそ正攻法だと思いますが、その域に達することができる人は、かなり限られるのかもしれません。
 2つ目は、基本用語(概念)と専門用語(概念)を、予めはっきりと線引きし、「課題は必ず解決」「多面的なアプローチ」「社長の想いは絶対」といった解答のお作法を守りながらも、全ての解答を基本用語のみで組み立てること。そして、作成した解答を素人に見てもらうことです。小6レベルの語彙でも、トランプ大統領のように大統領戦で勝利できます! 診断士試験に応用できない筈がありません。

 3つめは、ふぞろいの解答や、ストレート生の発想を師と仰ぎ、初心に戻ってその発想をまねることです。この方式の難点は、過去問への対応はできても、初見の問題への対応が難しいことだと思います。初見でも対応できるように、発想をパターン化しておくのが良いのかもしれません(ストレート生の発想パターンなんて、各事例毎に十指にも足りないと思います。経験上・・・(-_-))。間違っても本試験会場で、パターン化した発想に疑問を持ってはいけませんよ? 基本的で画一的な発想こそが、この試験で評価される発想なのです。

逆に、やらない方が無難と思われるものには、以下があります。
 ①勉強会など、人前で専門用語を使って解説すること
 (専門用語が記憶に強く残ってしまいます)、
 ②真面目な多年度生同士で、「正しい」解答について議論すること
 ③自分が「正しい」と思えるベスト解答を作成すること
 (本番でベスト答案に引っ張られてしまいます)、
 ④ストレート生の賞賛を真に受けて、単独で事例の研究を行うこと
 (賞賛を受けるのは当たり前です。そういう時ほど気を引き締めて)
 これらは、Kappaが加速器村の村民になる課程でやってきたことと、ほぼ同じです。勉強会で議論する際には、「正しい」解答を追求するのではなく、「基本的で誰にでも分かりやすい」解答導出方法などを議論する方が、無用な専門化を抑制し、より合格に近い議論に近づきそうな気がするのです。

 Kappaは、行き過ぎてしまった受験生を心の底から応援しています!!! 教えてもらった側が先に進んでしまったという、申し訳なさの裏返しかもしれませんけど。

 そういう理由で涙を呑んだ人、方向性さえ間違わなければ、いつでも合格できる実力はあると思います。自分なりの方法で、合格に近づく方向を見つけて下さい。進路を変えて、それが定着するには、最低でも3ヶ月ぐらいかかるそうです。1次の合格発表からでは間に合わなくても、今からなら十分間に合いますから♪

 さて、明日は、長野の山奥から、黒猫の登場です。地方+多年度という辛苦の中から立ち上がったノウハウを紹介してくれるようです。ご期待下さい。

 

告知!!いよいよ明日開催です!

■■■■タキプロ関西春セミナー■■■■
◆開催日:2017年4月16日(日)
時間 :14:00~16:45 (13:30開場)
場所 :大阪市立西区民センター 
定員 :15名(先着順です)
参加費:1000円
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