【財務・会計】ERPの自動仕訳で学ぶ財務・会計 by すこやか

タキプロ16期のすこやかと申します。
私は普段、ITコンサルタントとして企業へのERP(Enterprise Resource Planning)の導入や運用サポートに携わっています。
1次試験でERPが出題される科目は経営情報システムですが、本記事では、ERPの「ある特徴」が財務・会計とも密接に繋がっており、財務・会計の理解を助けてくれるということを紹介します。
これまで簿記の学習経験がなく苦戦している方、簿記は理解しているが得点に伸び悩んでいる方の一助になれば幸いです。  

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■仕訳が分かりにくい理由と業務との断絶

財務・会計の出題範囲は、大きく「財務会計」「管理会計」「ファイナンス」の3つに分けられますが、どの分野においても簿記の知識が基本となります。

簿記を学習するとき、多くの人が「仕訳がよく分からない」「何となく暗記しているだけ」という壁にぶつかります。
この原因の一つは、仕訳と業務の繋がりが想像しづらいことにあります。
例えば、「売掛金/売上」という仕訳を見ても、どのような業務の結果こうなるのかピンと来なければ、単なる文字の羅列に過ぎません。

中小企業診断士試験では、財務・会計の知識を使って実務的な判断を求められる場面が多く、こうした実感のなさが得点力の差につながることもあります。
そんなときに役立つのが、ERPという考え方です。

■ERPは業務と仕訳をつなぐ仕組み

ERPとは、企業の製造、販売、在庫、購買、会計など、様々な業務を一元管理する統合システムで、代表的な製品としては、海外製品ではSAP、Oracle Fusion Cloud ERP、Microsoft Dynamics 365など、国内製品ではOBIC7などがあります。
ERPの大きな特徴の一つが、「業務プロセスを実行すると、自動的に仕訳が行われる」という点です。例えば、

  • 商品を出荷した  → 「売掛金/売上」+「売上原価/商品」
  • 原材料を受入した → 「原材料/買掛金」
  • 製造が完了した  → 「製品/仕掛品」

このように、「業務を動かすことで、仕訳が自動的に行われる」のがERPです。
つまり、仕訳とは会計のための抽象的な作業ではなく、現場のリアルな動きの「記録」であると捉え直せるようになります。
この視点を持てると、簿記の仕訳が体感的に理解できるようになり、試験問題の読み解きにも説得力が出てきます。

■仕訳で読み解くERP業務プロセスの全体像

以下に、ERPで行われる主要な業務プロセスと、それに対応する仕訳の例をまとめます。

業務プロセス発生する主な仕訳備考
得意先への請求売掛金/売上売上が立ち、顧客への債権が発生
商品の出荷売上原価/商品売った商品分の費用を計上
仕入れ・検収原材料/買掛金原材料を受け取り、仕入先への債務が発生
製造完了製品/仕掛品製造完了し、棚卸資産として製品を計上

このように、業務プロセスと連動して仕訳が発生することで、「この仕訳はどの業務から出てきたのか」を追うことができるようになります。
この知識は、財務・会計の学習を抽象から具体へ引き戻す力になります。

■試験で問われる論点にも効く「仕訳のリアル感」

財務・会計では、単なる仕訳ではなく、「経営的判断に基づいた会計知識」が問われます。ERPにおける仕訳の理解は、こうした応用論点にも活かせます。

CVP分析(損益分岐点分析)

CVP分析では、変動費と固定費の切り分けが鍵を握ります。

  • 売上  (売掛金/売上)
  • 変動費 (原材料/買掛金など)
  • 固定費 (減価償却費など)

これらの仕訳の意味と業務を対応させると、「どれが変動費で、どれが固定費か」が感覚的に理解でき、損益分岐点の計算や経営判断問題を現実に即した視点で解けるようになります。

NPV(正味現在価値)

NPVでは、将来のキャッシュフローが中心ですが、仕訳ベースで見ると、

  • 設備購入 (機械装置/現金) → 初期投資
  • 減価償却 (減価償却費/機械装置) → 非現金項目

このように、簿記の損益とキャッシュフローの違いをERP仕訳の流れから掴めば、NPVの構造もクリアになります。

財務分析

財務分析では、財務諸表上の数値を用いて企業の財政状態や経営成績を分析します。

  • 棚卸資産回転率 (売上原価/棚卸資産)
  • 売掛金回転率 (売上高/売掛金)

これらも、「仕訳がどの業務で生まれたか」「どのくらい滞留しているか」という視点があると、定義が単なる公式ではなく業務と直結したものになります。

■業務と数字がつながると、学びが深まる

ERPにおける仕訳は、単なる記録ではなく、業務プロセスの足跡です。
この視点を持って簿記や財務を学ぶと、「なぜこの費用が発生したのか」「この利益はどう作られているのか」が自然と見えてきます。

とくに診断士試験のように、経営全体を読み解く力が問われる場では、仕訳を起点に「業務→数値→判断」へとつなげる感覚は大きな武器になります。

簿記の仕訳を暗記で終わらせず、「この仕訳はどの業務から生まれたのか?」というERP的視点で捉えることで、財務・会計の学習は一段と深みを増します。
中小企業診断士試験の受験者にとっても、合格後に診断士として第一歩を踏み出そうとする方にとっても、この視点は確かな武器になるはずです。

■おわりに

次回は、なんざん さんの登場です。 

お楽しみに! 

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