【事例Ⅰ】SECIモデルを深掘りする by うえぬ

事例Ⅰ

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■はじめに

2次試験の事例Ⅰでは、ベテランへの依存(属人化)や技能承継の遅れがたびたび題材になります。

こうした設問に対しよくある解答は「OJT、マニュアル化、標準化」などであり、私を含め受験生は丸暗記しているのではないでしょうか。
その解答のベースとなっている理論の一つが、野中郁次郎氏らのSECIモデルです。
経験を共有し(S:共同化)、言葉にし(E:表出化)、体系化し(C:連結化)、実践で身につける(I:内面化)ですね。

ところで、なぜSECIモデルは有効なのでしょうか。疑問に思ったので原著である野中郁次郎氏・竹内弘高氏の『知識創造企業』を(全部ではないですが)読みました。すると、SECIモデルの背景には単なるナレッジマネジメントの手法ではなく、西洋や日本での「知識とは何か」という問いがあることが分かりました。面白かったので紹介します。

■西洋における知識

本書では最初に西洋哲学が知識をどう捉えてきたかを扱っています。

西洋では、知識は「明白で、形式的・体系的なもの」つまり形式知として捉えられてきました。その背景として西洋哲学を参照し、プラトンやアリストテレスから始まり、デカルトとロックの対立、カントによる統合、その後の近代・現代哲学まで語られます。

私が特に面白いと感じたところは、デカルト的な分割(心と体、主観と客観を分ける二元論)が現代の知識の捉え方まで強く影響している点です。これにより対象や問題を分割して考える抽象的な思考が可能になり、科学の発展に貢献しました。

例えば2次試験の勉強において「知識は教科書として言葉や数字で“明白”にまとまっており、それを学習していく」「解答が正しい理由を“体系的”に判断し、論理立てて解答を作成する」「フレームワークに従い“形式的”に解答を作成する」ということはこれにあたると思います。

一方で、客観的に計測・言語化できるものだけが「知識」とみなされ、身体知や主観は知識としては軽視されていたとのことです。

■日本における知識

日本の思想では、西洋とはまた違ったアプローチをとります。禅仏教や日本語の特徴、西田幾多郎氏の哲学などから着想を得て、本書では以下3つのキーワードが語られています。

  • 主客一体:人間(主体)と自然(客体)は一体である
  • 心身一如:身体と精神は不可分である
  • 自他統一:自己と他者はひとつの共同体である

これらの思想から生まれた知識観は、組織内部から知識を創出しイノベーションを発生させる要因となっていますが、一方で言語化・体系化しにくいという弱点もあるとされています。

こちらも2次試験の勉強で例えると、「問題を何度も解くことで“問題と一体化する経験”をし、新しい問題でも直感的に解答の方向性が分かるようになる」「ペンを走らせていくという“行為を体が覚える”ことで、字数を数えなくても大体100文字になっている」「勉強会で“他の人と場所を共有する”ことで、知識が伝わりいい解答が書けるようになっていく」ということかと思います。

■SECIモデルがなぜ有効か

SECIモデルの魅力は、こっちのほうがいい、と決めるのではなく、西洋と日本の考え方を統合して知識の変換プロセスをモデル化したことと考えています。

  • S(共同化):暗黙知→暗黙知 経験を共有し、言葉にならない感覚を伝え合う
  • E(表出化):暗黙知→形式知 感覚を概念化・言語化する
  • C(連結化):形式知→形式知 形式知同士を組み合わせ、マニュアル化・標準化する
  • I(内面化):形式知→暗黙知 実際にやってみて体で覚える

こうまとめると、Sが日本的、Cが西洋的、EとIがその橋渡しをするように見えます。両方の考え方を融合し、形式知と暗黙知を循環させることで、知識が組織内に広がり属人化解消や技能承継につながるのだと思います。

■おわりに

一つ理論を深掘りしてみると愛着が湧き、しっかり身につくかもしれません。

ところで、このSECIモデルを簡単に実感できる場所があるんです。「タキプロ勉強会」というんですけど、いかがでしょうかねえ?

次回は、まい さんの登場です。 

お楽しみに! 

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