事例Ⅲの徹底解説!令和4年度過去問の解法実況&再現答案解説 by かものしか

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目次

■はじめに

 タキプロブログ読者の皆さま、こんにちは♪
 タキプロ14期のかものしかと申します。

年代/性別:50代 男性
職種:持株会社・監査
受験歴:1次1回、2次1回
勉強時間:1次700時間、2次550時間
勉強方法:1次/通信(スタディング)、2次/独学
得意科目:1次/企業経営理論、経営情報システム、2次/なし

 今回の記事は事例Ⅲの2次試験突破ノウハウということで、少しでも受験生の皆さまのお役に立てるよう、次の3部構成で多面的にお送りします。

 第一部:2次試験のポイントと事例Ⅲの特性

 第二部:令和4年度事例Ⅲの解法実況

 第三部:再現答案を用いた令和4年度事例Ⅲの解説

■第一部:2次試験のポイントと事例Ⅲの特性

 最初に、2次試験のポイントについて説明したうえで、事例Ⅲの特性について説明します。

1.2次試験(事例Ⅰ~Ⅲ)のポイント

 私が考える2次試験(事例Ⅰ~Ⅲ)のポイントはたったの2つです。

 ●ポイント①:解答の型(テンプレート)を作り、そこに内容を入れる

 ●ポイント②:設問文、与件文、1次知識から当然に言える内容を書く

 ポイント①については、2次試験ではとにかく時間がないので、時短のために解答をテンプレート化することが有効です。

 ポイント②については、設問文、与件文、1次知識から当然に言える内容を書ければ、たとえ高得点(70点以上)は取れなくても、少なくとも足切り(39点以下)にはならないと思います。

1-1.解答の型(テンプレート)

 解答の型とは、予め解答の構成をテンプレート化しておき、解答作成前に設問文の情報から使用するテンプレートを決定するものです。

 解答の型の決定要素は、以下の2つです。

 ①設問のタイプ

 ②解答の主語

 ここで大事なことは、解答の型はあくまでも初期仮説に過ぎないということです。

 与件文を読んで初期仮説を検証した後は、解答の型をベースに解答構成を柔軟にカスタマイズしても構いませんし、その方が良いと思います。

(1)設問のタイプ

 設問のタイプとは、「『まとめシート』流!ゼロから始める2次対策」(野網美帆子著、kindle電子書籍)でも紹介されている概念で、次の3タイプ(情報整理、期待効果、助言)に分類します。

①情報整理
 過去または現在の事項について問われているタイプの設問です。

 原則として「強みや弱み」について問われるため、与件文に基づく情報(与件文の抜き書き)のみを書けばよいタイプの設問です。

 ただし、令和4年度事例Ⅲの第1問のように「現在の課題」について問われている場合は、与件文の抜き書きだけでなく与件文と1次知識に基づく示唆(自分の意見)を書く必要があります。

 情報整理で使用する解答構成のテンプレート(基本形)は次のとおりです。

●主語が1つの場合

(主語)は①・・②・・。

●主語が2つの場合

(主語1)は①・・②・・、(主語2)は①・・、②・・。

 

②期待効果
 今後(未来)の事項について問われており、かつ、理由やメリット・デメリットなどを問われているタイプの設問です。

 与件文と1次知識に基づく示唆(理由やメリット・デメリットなどに関する自分の意見)を書く必要があるタイプの設問です。

 期待効果で使用する解答構成のテンプレート(基本形)も情報整理と同じです。

●主語が1つの場合

(主語)は①・・②・・。

●主語が2つの場合

(主語1)は①・・②・・、(主語2)は①・・、②・・。

 

③助言
 今後(未来)の事項について問われており、かつ、「問題点または課題」もしくは「戦略または施策(対応策)」 について問われているタイプの設問です。

 設問文に「助言せよ」、「課題・対応策を述べよ」、「○○をどのように△△するべきか」等と書いてあるものです。

 助言は、さらに「問題点または課題を答える設問」と「戦略または施策(対応策)を答える設問」の2タイプに分かれ、後者では効果まで書く必要があります

③-1:助言のうち、問題点または課題を答える設問
 与件文と1次知識から、「問題点または課題」に関する示唆(自分の意見)を書く必要があるタイプの設問です。

この場合に使用する解答構成のテンプレート(基本形)も情報整理や期待効果と同じです。

●主語が1つの場合

(主語)は①・・②・・。

●主語が2つの場合

(主語1)は①・・②・・、(主語2)は①・・、②・・。

 

③-2:助言のうち、戦略または施策(対応策)を答える設問
 与件文と1次知識から、「戦略または施策(対応策)+その効果」に関する示唆(自分の意見)を書くタイプの設問です。

この場合に使用する解答構成のテンプレート(基本形)は、効果が付け加わります。

●主語が1つの場合

(主語)は①・・②・・、により(効果)する。

●主語が2つの場合

(主語1)は①・・②・・、(主語2)は①・・、②・・、により(効果)する。

 なお、効果の記載は絶対ではありません。解答骨子を作成して書くべき内容を決めた後で、文字数がどうしても足りず、かつ問われている内容から効果よりも戦略や施策などを書く方が重要だと判断した場合は効果の記載を省略しても構いません。

(2)解答の主語

 基本的に、設問文で「何を」問われているか把握のうえ、問われている「何」を主語にします。

 問われている事項が1つで、かつ指定文字数が少ない場合は主語を省略することも可能です。一方、問われている事項が2つ以上の場合(例:強みと弱み、課題と対応策、など)は、主語を省略せずに書く必要があります。

1-2.設問文、1次知識、与件文から当然に言える内容を書く

 これは要するに、自分の経験やアイデアに基づく解答を書くのではなく、設問文(制約条件)、与件文(制約条件に合致する記載)、1次知識(設問文と与件文に関連するもの)の3つから当然に言える内容を解答として書くということです。

 このうち設問文と与件文については、いわゆる国語力(何を問われているか正しく読解して、問われていることに対して素直に答える能力)が必要です。

 また、1次知識については、いわゆる「2次試験で問われる1次試験の知識」を覚えたうえで、それを2次試験で使えるようになる必要があります。

 1次知識を2次試験で使えるようになるためには、

 ①抽象化能力

 ②論理的思考力(ロジカルシンキング)

の2つの力を身に付ける必要があります。

 また、設問文から論点を素早く特定し初期仮説を設定するためのテクニック的な要素として、「論点の層(レイヤー)」という考え方もあります。

(1)抽象化能力

 抽象化能力とは、要するに「設問文や与件文の記載から、その記載と関連する1次知識の理論に結び付けられる能力」を指します。

 事例Ⅲの場合、事例Ⅰと較べて覚える必要のある1次知識のボリュームは多くないので、1次知識をきちんと理解すればそれほど難しくはないと思います。

 抽象化能力について詳しく知りたい方には「TBC中小企業診断士試験シリーズ 速修2次テキスト」(山口正浩監修、早稲田出版)をお勧めします。

(2)論理的思考力(ロジカルシンキング)

 論理的思考力とは、抽象化能力を使って設問文や与件文と結び付けた1次知識を解答作成で使う際に必要となる能力で、具体的には次の2つに分類できます。

 ①ヨコの論理:枠組み(フレームワーク)

 ②タテの論理:因果関係
 

 ①ヨコの論理:枠組み(フレームワーク)とは、要するに「ものごとを一面だけから見ずに多面的な切り口で見る」ということで、2次試験でよく言われる「多面的な解答」とは「枠組みで考える」ということだと思います。

 事例Ⅲでよくある具体例として、受託生産の下請企業であるC社へ外部環境変化に伴う今後の生き残り戦略を助言する場合、前述の「TBC速修2次テキスト」で紹介の1次知識「下請製造業の生き残り戦略」から

  取引先への提案(超下請)

  取引先の分散(拡下請)

  独自製品の開発・販売(脱下請)

の枠組みで考えれば多面的な解答が可能になります。


 ②タテの論理:因果関係とは、通常は「Aという施策を行えば、Bという効果がある」という、1段階の因果関係を意味します。

 一方、事例Ⅲというか中小企業診断士2次試験の場合は、「Aという課題または問題点があるので、Bという施策を行えば、Cという効果がある」という2段階の因果関係を意識する必要があります。つまり、Aという課題または問題点が無い場合、Bという施策を行ってもCという効果は得られません。病気じゃないのに薬を飲んでも効果が無いといえば分かりやすいでしょうか。

 具体例として、「B:内段取りの外段取り化 → C:短納期化」は因果関係が成立する場合としない場合の2通りがあります。

●因果関係が成立する場合

 A(問題点):段取り作業が工程全体のボトルネックとなっている

B(施策):内段取りの外段取り化 → C(効果):短納期化

●因果関係が成立しない場合

 A(問題点):設計作業が工程全体のボトルネックとなっている

B(施策):内段取りの外段取り化 → C(効果)短納期化
 

 そのため、1次知識を使って施策と効果を解答する時は、問題点(設問文と与件文から決まります)との因果関係が成立するかを意識する必要があります。

(3)論点の層(レイヤー)

 レイヤーも、「まとめシート流」でも紹介されている概念で、事例Ⅲでは3つのレイヤー(経営戦略、生産管理、生産性改善)に分類します。

 レイヤーの目的は、設問で何が問われているか(論点)を大きく分類し、その分類の中で解答の論点を特定することです。

レイヤー論点の例
①経営戦略■SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)
■下請企業の生き残り戦略(超下請、拡下請、脱下請)
②生産管理■生産計画・生産統制
 進捗管理
  ・納期が遅い、または遅延する
  ・生産計画の変更に柔軟に対応できない
 現品管理
  ・資材の在庫が過剰、または不足している
  ・製品の在庫が過剰、または不足している
 余力管理
  ・一部の従業員に負担が集中している
  ・従業員の稼働が低い
③生産性改善 (IT化、業務標準化)■業務の標準化→マニュアル化→教育
■情報共有(DRINK)
 D:「データベース」で
 R:「リアルタイム」に
 I:「一元管理」して
 N:「ネットワーク」で
 K:「共有化」する

2.事例Ⅲの特性

 ここまでの前提を踏まえて、事例Ⅲの特性について説明します。

(1)事例Ⅲの大まかなストーリー

 平成25年度から令和4年度までの10年間の傾向から言える、事例Ⅲの大まかなストーリーは

 既存事業から新規事業へのドメイン再定義を、業務プロセスの改善により実現する

です。

 基本的に、事例Ⅰ~Ⅲは全てドメイン再定義がテーマだと思うのですが、それを実現するための論点が事例Ⅰ~Ⅲで異なっており、事例Ⅰでは組織・人事関係、事例Ⅱではマーケティング戦略、事例Ⅲでは業務プロセス(生産管理、生産性改善)に関する論点が問われます。

年度既存事業のドメイン新規事業のドメイン業務プロセスの改善
令和4(顧客)業務用食器・什器の卸売企業2社
(機能)プレス加工製品と板金加工製品の受託生産
(技術)難易度の高い金型制作技術
(顧客)中堅ホームセンターX社
(機能)プレス加工製品
(技術)既存事業と同じ
・プレス加工製品の新規受注の納期短縮
・発注ロットサイズの小ロット化への対応
・生産業務のデジタル化とスピードアップ
令和3(顧客)バッグメーカー
(機能)革製バッグの受託生産
(技術)加工技術、一貫受託生産
(顧客)バッグ小売店、最終消費者
(機能)自社ブランドの革製バッグ
(技術)高級仕様
・顧客ニーズの収集と企画力の向上
・受注予測の精度向上
・熟練職人の負荷軽減と若手職人への技術伝承
令和2(顧客)建築用金属製品メーカー
(機能)ビル建築用金属製品
(技術)溶接技術、研磨技術
(顧客)デザイナー
(機能)モニュメント製品
(技術)特殊加工と仕上げ品質
・制作前プロセスの改善による納期遅延改善
・工程順序・工程見積りの標準化による納期遅延改善
・社内のIT化による納期遅延改善
令和1(顧客)自動車部品メーカーX社
(機能)自動車部品の熱処理加工
(技術)熱処理加工の特殊な技術
(顧客)既存事業と同じ
(機能)自動車部品の機械加工+熱処理加工
(技術)熱処理加工の特殊な技術+機械加工が可能
・新工場計画に伴う量産加工への対応
・機械加工と熱処理との生産計画統合
・納品3日前受注確定に対応した生産計画策定頻度 ・後工程引取方式への対応
平成30(顧客)大手電気・電子部品メーカー数社
(機能)成形加工品
(技術)金型の設計・製作から成形加工まで対応、加工技術力の向上
(顧客)既存事業と同じ
(機能)インサート成形加工品
(技術)既存事業+インサート成形技術
・成形加工の段取り時間改善
・受注量に合わせた生産ロットサイズの最適化と生産計画の頻度見直し
・生産管理のコンピュータ化による金型管理と金型・材料の置き場管理
平成29(顧客)産業機械・プラント機器メーカー
(機能)金属部品の加工
(技術)顧客の要求する加工精度への対応
(顧客)木材加工企業
(機能)CNC木工加工機
(技術)加工精度や操作性、メンテナンスの容易性
・各班・各作業者間での連携体制の強化
・全社的な生産計画と生産統制の実施
・既存事業の生産性向上
・ホームページを活用した新規事業潜在顧客の獲得
平成28(顧客)惣菜・冷凍食品メーカー
(機能)調理用カット野菜
(技術) X農業法人との関係
(顧客)中小地場スーパー、最終消費者
(機能)サラダ用・調理用カット野菜パック
(技術)既存事業と同じ
・生産計画の一元管理、加工歩留まり改善、従業員の稼働率向上による収支改善
・作業の標準化によるカット形状不均一の改善
平成27(顧客)土木建設企業、各部品メーカー
(機能)マンホール蓋、農業・産業機械部品
(技術)鋳造工程の生産能力、機械加工と塗装との一貫生産体制
(顧客)自動車部品2次下請でもある取引先
(機能)自動車部品
(技術)既存事業と同じ
・自動車業界で要求される短納期への対応
・全社的な生産計画による機械加工工程の負荷軽減と段取り作業の標準化による設備稼働率の向上
・生産管理のIT化による納期遅延の解消
平成26(顧客)大手精密機器メーカーX社
(機能)超精密小型部品
(技術)超精密加工と超小型加工技術、精密部品の一貫生産体制
(顧客)既存事業と同じ
(機能)X社の国内調達部品全て+X社の精密部品の在庫管理および受注・発送業務の受託
(技術)既存事業と同じ
・切削工程での加工不良率増加への対応
・X社からの受注の短納期・小ロット化に対応した生産計画の作成頻度、ロットサイズ、資材調達計画の見直し
平成25(顧客)関西・中部地方の通信建設会社
(機能)通信用部材の生産、据付
(技術)製品の標準化、施工面の保安対策技術、製品開発力
(顧客)首都圏の通信建設会社
(機能)既存事業と同じ
(技術)既存事業と同じ
・首都圏市場への参入を目的とした、関東工場の役割変更による短納期化
・低価格化の実現
・技術部内での情報共有による対応迅速化と短納期化

(2)現在の状況に関する設問と今後の経営戦略に関する設問との一貫性

 事例Ⅲでは、「設問タイプA:現在の状況に関する設問」と「設問タイプC:今後の経営戦略に関する設問」とが、「設問タイプB:今後の課題(問題点)または対応策などに関する設問」を挟んでセットで出題される形式が多いです。

 平成25年度から令和4年度までの過去10年間では、平成29年度を除き全てこの形式となっています。

 この形式で出題された場合、現在の状況と今後の経営戦略との間に一貫性のある解答を作成すると、全体のストーリーにも一貫性が生まれます。

 具体的には、以下のストーリーを意識して解答します。

 

設問タイプAでの「強み」に関する解答

 ・設問タイプCでも活用できる強みを解答する。

 

設問タイプAでの「弱み、または課題(問題点)」に関する解答

 ・設問タイプBにも登場する弱みや課題(問題点)を解答する。

 ・設問タイプCでは、その弱みや課題(問題点)は対応される前提で解答する。

年度設問タイプA
現在の状況に関する設問
設問タイプB
今後の課題(問題点)または対応策などに関する設問
設問タイプC
今後の経営戦略に関する設問
令和4第1問
販売面、生産面の(現在の)課題
第2問、第3問、第4問第5問
X社との新規取引がC社の今後の戦略にもたらす可能性
令和3第1問
強みと弱み
第2問、 第3問(課題のみ)第4問
直営店事業を展開する上での戦略の選択と対応
令和2第1問
強みと弱み
第2問、第3問第4問
モニュメント製品事業の充実、拡大
令和1第1問
強み
第2問、第3問第4問
新工場稼働後の戦略
平成30第1問
業績が維持されてきた理由(強み)
第2問、第3問、第4問第5問
立地環境や経営資源を生かして付加価値を高めるための今後の戦略
平成29 第1問、第2問、第3問、第4問
平成28第1問
強みと弱み
第2問、第3問第4問
カット野菜の新事業の提案
平成27第1問設問1
自動車部品分野に参入する場合の(現在の)強み
第1問設問2、第2問、 第3問第4問
今後も国内生産を維持するために強化すべき点
平成26第1問
強みと弱み
第2問、 第3問(設問1、設問2)第4問
C社がX社との取引を高める一方でX社以外の販路開拓を実現するための提案
平成25第1問設問1
首都圏市場への参入で活用すべき(現在の)競争優位性
第1問設問2 第2問(設問1、設問2)第3問
過去のY社との共同事業失敗の要因と、今後の新規事業開発の留意点

(3)問題点と課題の違い

 事例Ⅲでは、年度により「問題点」について問われる場合と「課題」について問われる場合の2通りがあります。

年度問題点に関する設問課題に関する設問
令和4○(第1問、第2問)
令和3○(第2問、第3問)
令和2○(第2問(設問1・設問2))
令和1
平成30○(第2問、第3問)
平成29○(第1問、第2問)
平成28
平成27○(第2問)
平成26
平成25○(第1問)

 問題点と課題は、どちらもTo be(あるべき姿)とAs is(現状)とのギャップのことを意味しますが、その視点が逆になります。

 問題点:To be(あるべき姿)から見たAs is(現状)とのギャップ

 課 題:As is(現状)から見たTo be(あるべき姿)とのギャップ

 具体例として、平成30年度事例Ⅲの第2問設問1について、問題点を書いた場合と課題を書いた場合を比較してみます。

問われていることC社の成形加工課の成形加工にかかわる作業内容について、作業方法に関する問題点
To be(あるべき姿)・成形機の待ち時間が発生しない・または短い
・成形機の段取り作業時間が短い
As is(現状)・成形機の待ち時間が最大100分である
・成形機の段取り時間に40分を要している
問題点・成形機の待ち時間が長い
・成形機の段取り時間が長い
課題で答えた場合・成形機の待ち時間を短縮する
・成形機の段取り時間を短縮する

(4)解答字数が100字より多い問題への対応

 事例Ⅲは解答字数が100字より多い確率が高いので、120字140字の場合の感覚(どれくらいの解答要素をその字数に入れるのがベストなのか)に慣れておくことが望ましいです。

令和4第1問
80字
第2問
120字
第3問
120字
第4問
120字
第5問
100字
 
令和3第1問
40字+40字
第2問①
20字+60字
第2問②
20字+60字
第3問
120字
第4問
140字
 
令和2第1問
40字+40字
第2問設問1
60字+60字
第2問設問2
60字+60字
第3問
120字
第4問
120字
 
令和1第1問
80字
第2問
100字
第3問設問1
120字
第3問設問2
140字
第4問
120字
 
平成30第1問
80字
第2問
120字
第3問
120字
第4問
120字
第5問
120字
 
平成29第1問
140字
第2問
120字
第3問
160字
第4問
140字
  
平成28第1問
40字+40字
第2問
160字
第3問
120字
第4問
160字
  
平成27第1問設問1
40字+40字
第1問設問2
100字
第1問設問3
100字
第2問
100字
第3問
120字
第4問
140字
平成26第1問
60字
第2問
100字
第3問設問1
100字
第3問設問2
160字
第4問
160字
 
平成25第1問設問1
60字
第1問設問2
120字
第2問設問1
80字
第2問設問2
120字
第3問
140字
 

■第二部:令和4年度事例Ⅲの解法実況

 次に、第一部の内容に基づいて、実際に令和4年度事例Ⅲを解いた場合どうなるかを、実際の私の解法プロセスに沿って順に書いていきます。

 なお、ここで書く解答は令和5年4月現在で私が解いた解答であり、昨年の2次筆記試験本番の再現解答ではありません。私の再現解答は第三部で紹介します。

1.私の解答プロセスについて(事例Ⅰ~Ⅲ)

(1)解答プロセスの全体像

 解答プロセスとは、要するに「80分間の使い方」です。

 色々な流派がありますが、私の流派は「『まとめシート』流!ゼロから始める2次対策」(野網美帆子著、kindle電子書籍)のプロセスをベースに、「30日でマスターできる 中小企業診断士第2次試験 解き方の黄金手順」(黄金手順執筆チーム著、中央経済社)の要素も一部取り入れたうえで、事例演習を繰り返してカスタマイズしたものです。

 自分にとってベストの解法プロセスは人それぞれなので、できれば1次試験までには自分に合いそうな流派を見つけておくことが望ましいです。

 私の解答プロセスの特徴は「設問解釈に時間を掛けずに、解答メモへの解答骨子記入に時間を掛ける」です。

 過去問事例演習時には設問解釈に大体10分ぐらい掛けていましたが、2次試験本番では気合で高速処理することで設問解釈を5分に短縮し、稼いだ時間を解答メモへの解答骨子記入に充当しました。

解答プロセス事例演習時の目安時間2次試験本番の実績時間
①最初にやること1分(累計1分)1分(累計1分)
②設問解釈9分(累計10分)4分(累計5分)
③与件文解釈10分(累計20分)10分(累計15分)
④解答メモへの解答骨子記入25分(累計45分)30分(累計45分)
⑤解答用紙への解答記入35分(累計80分)35分(累計80分)

(2)各プロセスで行うこと

 各プロセスで行うことは次のとおりです。

解答プロセス各プロセスで行うこと
①最初にやること・解答用紙への受験番号を記入
・問題用紙から解答メモを切り離す
・与件文への段落番号を記入
・第1段落だけ読み業種を把握する
②設問解釈・設問文の制約条件に下線を引く
・設問のタイプとレイヤーを判別して設問文ページに書き込む
・設問文とレイヤーから解答の切り口として使えそうな1次知識を特定して設問文ページに書き込む
・解答の型を設問文ページに書き込む
③与件文解釈・1回目に与件文を読む時、与件文にSWOTの印を書き込む
・1回目に与件文を読む時、与件文の気になる箇所へシャープペンシルで下線を引く
・2回目に与件文を読む時、各設問に対応した色のフリクションマーカーで与件文の段落に印を付ける
④解答メモへ解答骨子を記入・解答メモ上で設問別の記入欄を区切り、各設問の解答順序を書き込む
・設問文ページへの書き込み(解答の型、制約条件、1次知識に基づく解答の切り口)と、与件文ページへの書き込み(段落番号とマーカーの印、SWOTの印)に基づき、与件文中で解答に使えそうな記載へマーカーで線を引く
・解答メモに解答骨子を書く
⑤解答用紙へ解答を記入・解答用紙に④で決めた解答順序で解答を書く

(3)解答骨子を作る際に意識する点

 私の解答プロセスでは「④解答メモへ解答骨子を記入」が最重要プロセスになります。

 解答骨子の記入時には、以下の2点を意識する必要があります。

①問われていることとの関連性と重要性

 解答には文字数の制限があるため、全ての解答要素が書けない場合があります。

 また、「問われていること(設問文の制約条件)」の答えになっていない解答要素を書いても点が付かないと考えます。

 そのため、解答骨子の作成時には、「問われていることと関連性があるか」と「C社の特性(強み、弱みなど)から考えて重要性が高いか」の2つの観点から、どの解答要素を使うかを考えながら作成します。

②設問間での一貫性

 特に令和元年度以降の2次試験では、解答要素の選択肢が多かったり、1つの解答要素が複数の設問で使えたりする傾向にあり、解答作成の難易度が上がっています。

 そのため、解答骨子の作成時は、事例Ⅲの全設問を俯瞰的に見て、「第2問以降の課題や対応策は、第1問で解答した情報整理の内容と関連があるか」や「ある設問の施策は、別の設問の施策と相反する内容になっていないか」の観点から、どの設問でどの解答要素を使うか、全設問を1つのストーリーと考えて作成します。

 ただし、現実的に初見問題で80分の制限時間内に設問間での一貫性まで意識するのはかなり難しいです。そのため、日頃から過去問演習の復習時に設問間の一貫性を意識することが重要です。そうすることで、本番で一貫性のある解答を書ける可能性が少しでも上がると思います。

2.令和4年度事例Ⅲの解法実況

 それでは、私の解答プロセスに沿って、令和4年度事例Ⅲの解答を作成していきます。

2-1.最初にやること

 最初にやることは、所要時間1分ぐらいを目安に行います。

(1)解答用紙へ受験番号を記入、問題用紙から解答メモを切り離す

 試験開始後、最初に解答用紙へ受験番号を記入します。

 次に、問題用紙の裏表紙にあたる部分の紙を、折り目に沿って手で切り離して解答メモを作ります。

(2)与件文へ段落番号を記入

 次に、与件文の各段落へ赤ペンで段落番号を記入します。段落番号を振る意味は、後述の与件文解釈の際に段落単位で与件文と設問文を紐付けしやすくするためです。

(3)第1段落だけ読み業種を把握する

 与件文の第1段落にはC社の業種と中小企業の要件(資本金、従業員数)が記載されています。設問解釈をスムーズに行うため、第1段落を読んで業種を把握します。

C社は1964年創業、資本金2,500万円、従業員60名の金属製品製造業である。製品は、売上の7割を占めるアルミニウムおよびステンレス製プレス加工製品(以下「プレス加工製品」という)と、残り3割のステンレス製板金加工製品(以下「板金加工製品」という)である。プレス加工製品は金型を使用して成形する鍋、トレー、ポットなどの繰返受注製品で、板金加工製品は鋼材を切断や曲げ、溶接加工して制作する調理台、収納ラック、ワゴンなどの個別受注製品である。どちらもホテル、旅館、外食産業などの調理場で使用される製品で、業務用食器・什器の卸売企業2社を販売先としている。

https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/2ji2022/c2ji2022.pdf

2-2.設問解釈

 いよいよここからが解法プロセスの本番です。設問解釈は所要時間4~9分ぐらい、累計5~10分ぐらいで行います。

 2次試験の過去問を解く際、設問文から読む人と与件文から読む人の2通りがありますが、私は設問文から読む方をお勧めします。

 理由は、与件文には解答との関連の薄い情報も含まれており、先に設問文を読んで解答の初期仮説を立てて、仮説を検証するという流れで与件文を読む方が効率が良く、80分の持ち時間を有効に使えるためです。

(1)設問文の制約条件に下線を引く

 まずは、何の内容について解答することを求められているのかを把握するため、設問文を読んで制約条件となる部分に下線を引きます。

 制約条件は、①誰が(主語)②いつ(When)③どこで(Where)④誰に(Who)⑤なぜ(Why)⑥何を(What)、の6つ(主語+5W)に分類できます。

(2)設問のタイプとレイヤーの判別

 設問のタイプとレイヤーを判別して設問文ページに書き込みます。

 設問のタイプについては、事例Ⅰや事例Ⅱの助言問題では設問文に「助言せよ」と書かれていることが多いのですが、事例Ⅲの助言問題では「助言せよ」以外に「課題を述べよ」「対応策を述べよ」「○○をどのように△△するべきか」などと書かれている場合もあります。

 そのため、事例Ⅲでは設問のタイプの大まかな分類として、過去または現在の事項について問われていれば「情報整理」、今後(未来)の事項について問われていれば「助言」と単純化して判別してもよいです。

(3)解答の切り口として使えそうな1次知識の特定

 設問文とレイヤーから解答の切り口(フレームワーク)として使えそうな1次知識を特定して設問文ページに書き込みます。

(4)解答の型を設問文ページに書き込む

 解答の型は、設問解釈時に一旦初期仮説として決めますが、実際に解答を書く際には内容に応じて構成を見直してもよいと思います。

 解答の型を作成する際、複数の解答要素を列挙する場合は「①・・②・・」と、丸囲い数字を用いた箇条書きを用いる人が多く、私もこの書き方で合格点を取れました。

 なお、「①・・」と「②・・」の間の句点「、」は、有りでも無しでもどちらでも構いません。
 

【設問解釈の結果まとめ】

■第1問

2020年以降今日まで外部経営環境の変化の中でC社販売面、生産面の課題を 80 字以内で述べよ。

●制約条件:

2020年以降今日まで「②いつ(when)」の制約
外部経営環境の変化の中で「⑤なぜ(why)」の制約
C社「①誰が(主語)」の制約
販売面、生産面の課題「⑥何を(what)」の制約

●設問のタイプ:情報整理(現在の状況について問われているため)
●論点のレイヤー:経営戦略
●1次知識による解答の切り口:なし
●解答の型:(課題は、)販売面は①・・②・・、生産面は①・・②・・。
 

■第2問

C社の主力製品であるプレス加工製品の新規受注では、新規引合いから量産製品初回納品まで長期化することがある。しかし、プレス加工製品では短納期生産が一般化している。C社新規受注の短納期化を図るため課題とその対応策を120字以内で述べよ。

●制約条件:

プレス加工製品の「⑤なぜ(why)」の制約
C社「①誰が(主語)」の制約
新規受注の短納期化を図るため「⑤なぜ(why)」の制約
課題とその対応策「⑥何を(what)」の制約

●設問のタイプ:助言(今後の課題と対応策について問われているため)
●論点のレイヤー:生産管理
●1次知識による解答の切り口:なし
●解答の型:課題は①・・②・・、対応策は①・・②・・、により(  )する。
 

■第3問

C社の販売先である業務用食器・什器卸売企業からの発注ロットサイズが減少している。また、検討しているホームセンター X社の新規取引でも、1回の発注ロットサイズはさらに小ロットになる。このような顧客企業の発注方法の変化に対応すべきC社生産面の対応策を 120字以内で述べよ。

●制約条件:

発注ロットサイズが減少「⑤なぜ(why)」の制約
1回の発注ロットサイズはさらに小ロットになる「⑤なぜ(why)」の制約
顧客企業の発注方法の変化に対応「⑤なぜ(why)」の制約
C社「①誰が(主語)」の制約
生産面の対応策「⑥何を(what)」の制約

●設問のタイプ:助言(今後の対応策について問われているため)
●論点のレイヤー:生産管理
●1次知識による解答の切り口:なし
●解答の型:対応策は①・・②・・③・・、により(  )する。
 

■第4問

C社社長は、ホームセンターX社との新規取引を契機として、生産業務の情報の交換と共有についてデジタル化を進め生産業務のスピードアップを図りたいと考えている。C社優先すべきデジタル化の内容と、そのための社内活動はどのように進めるべきか、120字以内で述べよ。

●制約条件:

生産業務の情報の交換と共有についてデジタル化を進め「⑤なぜ(why)」の制約
生産業務のスピードアップを図りたい「⑤なぜ(why)」の制約
C社「①誰が(主語)」の制約
優先すべきデジタル化の内容「⑥何を(what)」の制約
そのための社内活動はどのように進めるべき「⑥何を(what)」の制約

●設問のタイプ:助言(今後の施策について問われているため)
●論点のレイヤー:生産性改善
●1次知識による解答の切り口:DRINK、標準化→マニュアル化→教育
●解答の型:デジタル化の内容は①・・②・・。社内活動は①・・②・・。
 

■第5問

C社社長が積極的に取り組みたいと考えているホームセンターX社との新規取引に応えることはC社今後の戦略どのような可能性を持つのか、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。

●制約条件:

X社との新規取引に応えることは「⑤なぜ(why)」の制約
C社「①誰が(主語)」の制約
今後の戦略「⑤なぜ(why)」の制約
どのような可能性を持つ「⑥何を(what)」の制約

●設問のタイプ:助言(今後の戦略について問われているため)
●論点のレイヤー:経営戦略
●1次知識による解答の切り口:下請製造業の生き残り戦略(超下請、拡下請、脱下請)
●解答の型:X社との新規取引により①・・②・・③・・、の可能性を持つ。

 第5問の設問文では「今後の戦略」が重要キーワードだと思います。ここに線を引くなどして、与件文を読む時に「今後の戦略」とは何かを探すことをお勧めします。

【設問文ページへの書き込み】

2-3.与件文解釈

 与件文解釈は、所要時間10分ぐらい、累計15~20分ぐらいで行います。

 私の解法プロセスでは、与件文を2回通しで読みます。

 1回目は全体構成の把握とSWOTのチェック、2回目は設問文と与件文との大まかな対応付けを目的としています。

(1)1回目の通読(SWOTのチェック)

 1回目の通読では、各段落に何が書かれているかをザクッと把握することで全体の構成とストーリーを把握します。

 また、与件文の中で「強み、弱み、機会、脅威」について書かれている箇所に赤ペンS、W、O、Tの印を振り、2回目に読む際の助けとしていました。これは「解き方の黄金手順」で紹介されていた方法で、個人的には線を引くよりも印を振る方がしっくり来たのでこれを採用していました。

 また、特に気になる箇所はシャープペンシルで下線を引いていました

 SWOTの印を付けた結果は以下のとおりとなりました。

 なお、令和4年度の事例Ⅲでは強みと弱みについて聞かれる設問はありませんが、強みは第5問、弱みは第1問から第4問までで必要となるので、SWOTのチェックは行っておいた方がよいと思います。

【S:強み】

●第2段落
・難易度の高い金型製作技術の向上に努めて、ノウハウを蓄積

・コスト低減や生産性向上に結びつく提案などが可能

●第8段落
・「金型組立」、「金型仕上」は、プレス加工技術にも習熟するベテラン技能者が担当

【W:弱み】

●第7段落
・2次元CAD(注:令和2年度事例Ⅲの過去問演習の結果から、立体造形である金型設計に2次元CADを使用することは弱みであると考えました)

・発注元との仕様確認が遅くなることや、発注元からの設計変更、仕様変更の要請があり、設計期間が長くなることもある

・個別受注の板金加工製品の製品設計も担当

・設計業務の混乱が生じ金型製作期間全体に影響することもしばしば生じている

●第8段落
・高齢化している

●第10段落
・生産能力に制約があり、C社全体の生産進捗に影響している

・プレス加工機ごとに担当する作業員が材料の出し入れと設備操作を行い

・加工製品を変えるときには、その作業員が金型交換作業と材料準備作業など長時間の段取作業を一人で行っている

●第11段落
・プレス加工製品の生産計画は「プレス加工」の計画だけが立案され

・基準日程によって設定しているロットサイズで加工を続け、確定受注量以外はC社内で在庫している

●第12段落
・情報の交換と共有はいまだに紙ベースで行われている

【O:機会】

●第3段落
・近年は観光需要で受注量は毎年増加していた

●第13段落
・中堅ホームセンターX社から品質を高く評価された

●第14段落
・その要因の一つとしてアウトドア商品売上の貢献がある

・生産委託先をC社へ変更することについてC社と相互に検討を行った

【T:脅威】

●第3段落
・2020年からの新型コロナウイルス感染拡大による外国人の新規入国規制や、外食産業の営業自粛による影響

●第11段落
・最近は発注元の在庫量削減方針によって設定している発注ロットサイズが減少している

 また、第5問の重要キーワード「今後の戦略」に関係しそうな記述があれば、後で見つけやすいようシャープペンシルで下線を引いておきます。

【第5問の「今後の戦略」に関係しそうな記述】

●第13段落
・受注拡大を狙って、雑貨・日用品の商談会に出展

●第15段落
・C社社長は、当該事業の市場成長性と自社の強みを考慮して戦略とビジネスプロセスを見直し、積極的にこの事業に取り組むこととした

●第16段落
・C社社長は、今後高価格な製品に拡大することも期待している

(2)2回目の通読(設問文と与件文との対応付け)

 私の解法では、2回目に与件文を読む際、6色フリクションマーカーを用いて、与件文の各設問に関係のある段落に各設問と対応付けた色の印を付けて、解答メモに解答骨子をまとめる際に与件文の読み込むべき段落が直感的に分かるようにしていました。

 ここでポイントとなるのは、段落番号にマーカーで印を付けることで、段落単位で設問文と与件文を対応付けしておくことです。

 

【第1問:(販売面):バイオレット

 販売や受注に関連する内容の段落に印を付けます。

●マーカーで段落番号に印を付けた段落:第3・13段落

【第1問(生産面):ピンク

 このプロセスではあまり深く考えずに、生産面での「As is(現状)」と、「To be(あるべき姿)」のうちW(弱み)について記載されている段落に幅広く印を付けておきます。

●マーカーで段落番号に印を付けた段落
(As is:現状)第7・8・10・11・12段落

(To be:あるべき姿)第17段落

【第2問:オレンジ

 制約条件から、「プレス加工製品の新規受注の短納期化」について記載されている段落に印を付けます。

●マーカーで段落番号に印を付けた段落:第5・6・7・8段落

【第3問:イエロー

 制約条件から、ロットサイズについて記載されている段落に印を付けます。

●マーカーで段落番号に印を付けた段落:第11・17段落

【第4問:グリーン

 制約条件から、「生産業務の情報の交換と共有」と「生産業務のスピード」について記載されている段落に印を付けます。

●マーカーで段落番号に印を付けた段落:第6・7・9・10・11・12・17段落

【第5問:ブルー

 制約条件から、「X社との新規取引」と「C社の今後の戦略」について記載されている段落に印を付けます。

 また、1回目の通読で「今後の戦略」に関係しそうな記述として下線を引いた箇所の記述から、「当該事業の市場成長性」と「S:自社の強み」について記載されている段落に印を付けます。

●マーカーで段落番号に印を付けた段落:第2・8・13・14・15・16・17段落
 

【与件文解釈での与件文への書き込み】

2-4.解答メモへの解答骨子作成

 私の解法プロセスでは、このプロセスを重要視しています。所要時間25~30分ぐらい、累計45分を目安に行います。

 ここでは、設問解釈で立てた初期仮説を基に与件文の情報から仮説検証を行い、各設問に対応した解答要素を選択して解答メモ上に解答骨子を作成します。

(1)解答メモ上で設問別の記入欄を区切る

 令和4年度の事例Ⅲは設問数が全部で5つなので、シャープペンシルで解答メモのエリアを大体5等分します。

 なお、2次試験本番の問題用紙はB5サイズなので、事例演習を行う際は同じくB5サイズの紙を用意して解答メモにしましょう。

(2)設問間の大まかな関連を把握し解答順序を決める

 事例Ⅰ~Ⅲでは、基本的に設問文と与件文は一つの大きなストーリーを構成しています。
 第一部でも解説したとおり、事例Ⅲでは「既存事業から新規事業へのドメイン再定義を、業務プロセスの改善により実現する」というストーリーになっていることが多いです。ただし、令和5年度では傾向が変わっていることもありえます。

 令和4年度の事例Ⅲでは、次の図のような全体像をイメージしてみました。

 解答順序については、第1問~第3問は比較的抽象度が低く、第4問と第5問は比較的抽象度が高いことから、問題順どおり、①第1問、②第2問、③第3問、④第4問、⑤第5問、の順番とします。

(3)第1問の解答骨子作成

 まずは、販売面の課題から考えます。

 マーカーで印を付けた第3段落と第13段落で、次の記載にマーカーで線を引きます。

●第3段落
・受注量

・2020年からの新型コロナウイルス感染拡大

・減少している

●第13段落
・受注拡大
 

【解答骨子の作成】
 以上の記載を元に、解答骨子を解答メモに書いてみます。

●販売面の課題の解答骨子
コロナ禍による業務用食器・什器の受注減少を補うための受注拡大

※(注)試験中は時間が無いので、実際には自分だけに分かるよう殴り書きで書いてますが、ここでは分かりやすく丁寧に書いています(以下同じ)。

 次に、生産面の課題を考えます。

 マーカーで印を付けた各段落から、経営戦略レベルでの課題となりそうな記載にマーカーで線を引きます。ただし、SWOTの印を付けてある記載については、その印にマーカーで色を付けることで線を引く代わりとします(以下同じ)。

●第11段落
・基準日程によって設定しているロットサイズで加工を続け

●第12段落
・情報の交換と共有はいまだに紙ベースで行われている

●第17段落
・毎週月曜日

・X社の発注データがC社に送付される

・納期は発注日から7日後の設定

・1回の発注ロットサイズは、現状のプレス加工製品と較べるとかなり小ロット

・次に、第17段落の記載に対応するAs is(現状)の記載を探してマーカーで線を引きます。

●第9段落
・前月月末までに「月度生産計画」を作成

・通常月1回発注元へ納品
 

【解答骨子の作成】
 以上の記載を元に、制約条件である「外部経営環境の変化の中で」を意識しながら解答骨子を解答メモに書いてみます。

●生産面の課題の解答骨子
X社との新規取引に伴う短納期化や発注小ロット化への対応

情報の交換と共有のデジタル化

(4)第2問の解答骨子作成

 マーカーで印を付けた各段落から、問われている事項である「プレス加工製品の新規受注の短納期化」に関する課題となりそうな記載にマーカーで線を引きます。

●第7段落
・2次元CAD

・発注元との仕様確認が遅くなることや、発注元からの設計変更、仕様変更の要請があり、設計期間が長くなることもある

・個別受注の板金加工製品の製品設計も担当するため、設計業務の混乱が生じ金型製作期間全体に影響

●第8段落
・ベテラン技能者が担当しているが、高齢化している

・若手の養成を検討している
 

【解答骨子の作成】
 以上の記載から、まずは課題から箇条書きで書いてみます。なお、第8段落の内容については、納期に関係する記載が無いため、採用しませんでした。

●課題の解答骨子
①発注元との仕様確認や設計変更、仕様変更への対応期間を短縮し設計期間を短縮する

②設計課での設計業務の混乱を発生させず金型製作期間を短縮する

・次に、課題への対応策を箇条書きで書きます。

●対応策の解答骨子
①3DCADの導入により発注元とデータ共有し設計期間を短縮する

②設計課内でプレス加工と板金加工の担当を分離し、金型製作期間を短縮する

(5)第3問の解答骨子作成

 マーカーで印を付けた各段落から、問われている事項である「顧客企業の発注方法の変化(発注ロットサイズの小ロット化)」への対応策に関連しそうな記載へマーカーで線を引きます。

●第11段落
・プレス加工製品の生産計画は「プレス加工」の計画だけが立案され、「製品部品組付」、「製品仕上」はプレス加工終了順に作業する

・生産計画は、各製品の1日間の加工数量でそれぞれの基準日程を決めて立案する

・C社では、基準日程によって設定しているロットサイズで加工を続け、確定受注量以外はC社内で在庫している

また、小ロット化とそれに伴う生産計画柔軟化への対応として、第9段落と第10段落からも解答要素となりそうな記載にマーカーで線を引きます。

●第9段落
・「月度生産計画」を作成

●第10段落
・プレス加工機ごとに担当する作業員が材料の出し入れと設備操作を行い、加工製品を変えるときには、その作業員が金型交換作業と材料準備作業など長時間の段取作業を一人で行っている
 

【解答骨子の作成】
 次に、上記の解答要素への対応策を箇条書きで書きます。

●対応策の解答骨子
①発注ロットサイズに合わせた加工ロットサイズを設定する

②ロットサイズの柔軟化に対応できるよう、生産計画はプレス加工と製品部品組付、製品仕上との一括計画を立案する。また、生産計画の作成頻度を月次から短サイクル化する

③プレス加工機の製品変更時に、段取作業の手順見直しや外段取化により段取時間を短縮する

→(効果)発注小ロット化に対応した体制とする

(6)第4問の解答骨子作成

 マーカーで印を付けた各段落から、問われている事項である「優先すべきデジタル化の内容」と「そのための社内活動」に関連しそうな記載にマーカーで線を引きます。

●第12段落
・C社の受注から納品に至る社内業務では、各業務でパソコンを活用しているが、情報の交換と共有はいまだに紙ベースで行われている

●第17段落
・四半期ごとにX社が商品企画と月販売予測を立案し、C社に情報提供される

・毎週月曜日に

・発注点に達した製品についてX社の発注データがC社に送付される

・納期は発注日から7日後の設定である。
 
  
 また、与件文の図からも「優先すべきデジタル化の内容」に関連しそうな記載へマーカーで線を引きます。

●図 C社のプレス加工製品の生産プロセス
・デザイン図(顧客)

・金型設計(設計課)

・月度生産計画(生産管理課)

・資材発注(資材課)
 
【解答骨子の作成】
 以上の記載を元に、まずは「優先すべきデジタル化の内容」を箇条書きで書いてみます。

●優先すべきデジタル化の内容の解答骨子
①発注元からの商品企画

②設計課のCADデータ

③生産計画および在庫情報

④X社からの月販売予測と発注データ
 

 次に、デジタル化の内容から、そのための社内活動について検討します。

 ここでは、生産性改善の2つの切り口であるIT化(DRINK)と標準化に分けて書いてみます。

●そのための社内活動の解答骨子
①情報のデータベース化

②情報の交換と共有のパソコン使用

③運用を標準化のうえマニュアル化し、教育を行う

(7)第5問の解答骨子作成

 まずは、先に下線を引いていた「C社の今後の戦略」に関係しそうな記載を再度確認します。

●第13段落
・受注拡大を狙って、雑貨・日用品の商談会に出展

●第15段落
・C社社長は、当該事業の市場成長性と自社の強みを考慮して戦略とビジネスプロセスを見直し、積極的にこの事業に取り組むこととした

●第16段落
・C社社長は、今後高価格な製品に拡大することも期待している
 
 次に、マーカーで印を付けた各段落から、問われている事項である「X社との新規取引に応えること(=第1問の生産面の課題を克服すること)により、C社の今後の戦略に与える可能性(打ち手)」に関係しそうな記載へマーカーで線を引きます。

●第14段落
・X社では、コロナ禍の2020年以降も売上が順調に推移しているが、その要因の一つとしてアウトドア商品売上の貢献がある

●第15段落
・C社社長は、当該事業の市場成長性と自社の強みを考慮して戦略とビジネスプロセスを見直し、積極的にこの事業に取り組むこととした。

●第16段落
・中価格帯の

・C社社長は、今後高価格な製品に拡大することも期待している。
 

 ここで、「自社の強み」に関する記載へマーカーで線を引きます。

●第2段落
・難易度の高い金型製作技術の向上に努めて、ノウハウを蓄積してきたため、コスト削減や生産性向上に結びつく提案などが可能である

●第8段落
・「金型組立」、「金型仕上」は、プレス加工技術にも習熟するベテラン技能者が担当
 

【解答骨子の作成】
 以上の記載を元に、解答骨子を解答メモに書いてみます。

 ここでは、思考の枠組み(フレームワーク)として、「TBC速修2次テキスト」で紹介の1次知識「下請製造業の生き残り戦略」から

  ①超下請:取引先への提案(取引先との関係強化)
  ②拡下請:取引先の分散
  ③脱下請:独自製品の開発・販売

 を使ってみます。

 ここで注意する事項は、設問文の制約条件である「X社との新規取引に応えること」との因果関係を意識することと、第1問との一貫性を意識することの2点です。

●解答骨子
①技術の高さを生かしたX社からの高価格製品の受注および受注の拡大

②短納期化や発注小ロット化への対応による、X社以外の新規取引先からの受注の拡大

③アウトドア商品生産ノウハウの獲得による、自社ブランド製品開発・販売
 

【解答骨子作成時の与件文と設問文】

【解答メモのイメージ】

 ※注:本番での解答メモは、時短のため自分だけに分かるような殴り書きで書いています。

2-5.解答用紙への解答記入

 このプロセスでは、解答メモの解答骨子を基に、指定字数で解答用紙のマス目に解答を記入します。所要時間35分、累計80分を目安に行います。

 解答記入の順序も、解答骨子と同じく①第1問、②第2問、③第3問、④第4問、⑤第5問、の順番とします。

(1)第1問の解答(80字以内)

 販売面と生産面の課題について書くことを求められていますので、販売面約40字、生産面約40字の配分で、それぞれの解答要素1つぐらいで書いてみます。

 解答骨子に記載の解答要素のうち、生産面の課題の「情報の交換と共有のデジタル化」は文字数の関係から記載を省略しました。

●解答
販売面の課題は、コロナ禍による業務用食器・什器の受注減少を補う為の受注拡大である。生産面の課題は、X社との新規取引に伴う短納期化や発注小ロット化への対応である。(80字)

(2)第2問の解答(120字以内)

 課題とその対応策について書くことを求められていますので、課題約60字、対応策約60字の配分で、解答骨子に記載の解答要素各2つで書いてみます。

●解答
課題は①発注元との仕様確認や設計・仕様変更の期間短縮と②設計課での設計業務の混乱解消である。対応策は①3次元CAD導入で発注元とデータ共有により設計期間を短縮し②設計課内のプレス加工と板金加工の担当を分離して、金型製作期間の短縮を図る。(118字)

(3)第3問の解答(120字以内)

 120字で生産面の対応策のみ書くことを求められていますので、解答骨子に記載の解答要素3つで文字数に合わせて書いてみます。

●解答
対応策は①発注ロットサイズに合わせた加工ロットサイズを柔軟に設定し②生産計画は全社一括で立案のうえ計画作成頻度を短サイクル化し③プレス加工機の製品変更時に段取り作業の手順を見直して段取り時間を短縮することで、発注小ロット化に対応する。(117字)

(4)第4問の解答(120字以内)

 120字で「優先すべきデジタル化の内容」と「そのための社内活動はどのように進めるべきか」について書くことを求められていますので、前半約60字、後半約60字の配分で、解答骨子に記載の解答要素を文字数に合わせて書いてみます。

 文字数と内容の関係から、効果の記載は省略することにしました。

●解答
デジタル化の内容は①発注元からの商品企画②設計課のCADデータ③生産計画および在庫情報④X社からの月販売予測と発注データである。社内活動は①情報をDB化し②情報の交換と共有にパソコンを使用し③運用を標準化のうえマニュアル化して教育を行う。(119字)

(5)第5問の解答(100字以内)

 100字で「C社の今後の戦略に持つ可能性」のみ書くことを求められていますので、解答骨子に記載の解答要素3つで文字数に合わせて書いてみます。

 100字に収まるよう、設問解釈時の解答の型とは違う構成に変えています。

●解答
今後の戦略に持つ可能性は①X社からの高価格製品の受注拡大②短納期化や発注小ロット化への対応によるX社以外の新規取引先からの受注③アウトドア商品の生産ノウハウ獲得による自社独自製品の開発・販売、である。(100字)

■第三部:再現答案を用いた令和4年度事例Ⅲの解説

 最後に、私を含めた令和4年度の中小企業診断士2次試験受験者の方々からご提供いただいた再現答案を分析して、実際にどれくらい書ければ合格点(60点以上)を取れるのか解説したいと思います。

 私(かものしか)の令和4年度事例Ⅲの得点は64点でした。そこで、「超高得点の人(80点以上)」と「59点以下の人」を条件に再現答案提供をお願いしたところ、計4人の方からご提供いただきました。この5人の解答を比較して解説します。

 なお、第二部で書いた解答は解答プロセスの説明のために新たに書いた解答のため、私の再現解答とは別物です。混同しないようお願いいたします。

①UAさん開示得点81点超高得点答案
②かものしか(筆者)開示得点64点ギリギリ合格答案
③JBさん開示得点58点ギリギリ不合格答案
④KOさん開示得点56点ギリギリ不合格答案
⑤YKさん開示得点55点ギリギリ不合格答案

1.再現答案のタテの比較(第1問~第5問の一貫性チェック)

 再現答案の比較方法として、次の2つがあります。

①タテの比較
・1人の解答について、一貫性のある解答ができているか、同一事例内で複数の設問の解答を比較する。

②ヨコの比較
・個別の設問について、複数人の設問を比較する。
 

 通常、勉強会では「②ヨコの比較」しかしないことが多いですが、私の意見として、タテの比較とヨコの比較はどちらも実力アップに役立つと思います。

ということで、まずはタテの比較から行っていきます。

(1)超高得点答案(81点:UAさん)

●第1問
販売面はコロナの影響で低迷する卸売企業2社以外の販売先をコスト低減や生産性向上提案で開拓。生産面はPB商品で蓄積したノウハウを活用して独自商品開発を行うこと。(78字)

●第2問
課題は金型製作期間の短期化である。対応策は①3DCADを導入して発注元とデータ共有し確認や変更を減らし②プレス加工と板金加工の設計担当を分けて設計期間を短縮③ベテラン技術者からOJTで若手に技術承継して生産性を向上することで短納期化する。(119字)

●第3問
対応策は①基準日程から確定受注量にあわせてロットサイズを決定②小ロット化で増加する段取り作業の見直しと人員補強③プレス加工のみの生産計画を全社化、短サイクル化して生産統制を実施する。以上で生産能力の効率化を図り、在庫適正化する。(114字)

●第4問
優先すべき内容は①発注元からの受注情報と設計・仕様変更情報②全社的な生産計画と在庫情報。社内活動は①受注から納品に至る社内業務情報をDB化しリアルタイムで全社共有し②生産プロセスの同時進行化と調達・在庫管理適正化で効率化と納期短縮を図る。(119字)

●第5問
売上拡大することで経営を安定化し、蓄積した最終消費者向け製品のノウハウと強みの金型製作技術を活用して高付加価値な独自製品を開発することができる。卸売企業2社依存の脱却を図りながら新市場で受注拡大する。(100字)
 

タテの比較では各設問の解答の一貫性を見るので、設問文無しの解答のみを並べて比較します。まずは超高得点のUAさんからです。

UAさんが超高得点であるポイントは以下の3点だと思います。

 ①第1問と第5問との間で解答の一貫性が取れていること。

 ②各設問で問われていることに対して的確に答えていること。

 ③第2問~第4問で対応策の効果がきちんと書けていること。

このうち②と③については、詳しくはこの後の「再現答案のヨコの比較」で解説しますが、他の人と較べて解答の精度が高いです。

①については、具体的には第1問の生産面の課題を指します。UAさんの解答の「PB商品で蓄積したノウハウを活用して独自商品開発を行うこと」は直接的には与件文には基づかない記載ですが、第5問の解答で繰り返し記載することで解答全体のストーリーを一本筋の通ったものとしています

また、「PB商品で蓄積したノウハウを活用して独自商品開発を行うこと」という記載自体も、与件文の第15段落の「C社社長は、当該事業の市場成長性と自社の強みを考慮して戦略とビジネスプロセスを見直し、積極的にこの事業に取り組むこととした」との整合性が取れていることから、加点につながったものと考えられます。

ただし、ここで注意して欲しいことは、今回のUAさんの第1問と第5問の解答はたまたま令和4年度の採点基準に上手くハマって加点された可能性もあり、令和5年度の2次試験で同じような解答を書いても採点基準にハマらないかも知れないということです。

(2)ギリギリ合格答案(64点:かものしか)

●第1問
販売面の課題は、コロナ禍による業務用什器の受注減少を補うための、新規の受注拡大。生産面の課題は、ベテラン技能者の高齢化に伴う若手への技能伝承。(71字)

●第2問
課題は①発注元との仕様確認、設計変更、仕様変更の期間を短縮し②設計課での設計業務の混乱を解消すること。対応策は①3次元CAD導入により発注元とのデータ共有を図り、設計期間を短縮し②設計課内でのプレス加工と板金加工の担当を分離すること。(117字)

●第3問
対応策は①生産計画について、プレス加工と製品部品組付、製品仕上との一括計画を立案し②発注ロットサイズに合わせた加工ロットサイズを設定し③プレス加工機の製品変更時に、段取り作業の手順見直しや外段取り化により段取り時間を短縮すること。(115字)

●第4問
デジタル化の内容は①発注元からのデザイン図②設計課のCADデータ③生産計画及び在庫情報④X社からの月販売予測と発注データ。社内活動は①X社からの予測と発注に応じた生産計画の週次化と在庫量の設定②情報のデータベース化と共有・管理のパソコン使用。(120字)

●第5問
今後の戦略の可能性は①X社からの新たな雑貨用品の受注②技術の高さを生かした高価格製品の受注の拡大③コスト削減と生産性向上に結びつく提案により、X社以外からの新規取引先からの受注の拡大。(92字)
 

 次は私の再現答案です。何とか60点は確保しましたが、UAさんの超高得点答案と比較すると、以下のような要改善ポイントが見えてきました。

 ①第1問の生産面の課題で、外部経営環境の変化と関係ないため選んではいけない解答要素(若手への技能伝承)を選んでしまっており、しかも第2問以下との一貫性が取れていないこと。

 ②第2問~第4問で対応策の効果がほとんど書けていないこと。

 このうち①については、何となく与件文から選びやすかったことと、前年度(令和3年度)の事例Ⅲ(革バッグの製造・販売業)では若手への技能伝承が重要論点であり、過去問演習のやり過ぎでそれに影響されたことが理由だと思います。こういう失敗を防ぐには、きちんと設問文と与件文を読んで全体の構造を把握することが大事だと思います。

 ②については、効果については第2問~第4問では設問文に書いてあるので、私のように解答に効果を書けてなくても60点は取れるかも知れませんが、UAさんの解答と比較した結果の考察として、効果を書けばその分加点される可能性もあります。

(3)ギリギリ不合格答案(58点:JBさん)

●第1問
販売面は①観光需要減少に対し新規顧客を獲得すること、②雑貨・日用品のBtoC市場開拓。生産面は①ロットサイズ適正化②ベテラン技能者の高齢化対応として若手育成。(78字)

●第2問
課題は①金型制作短縮化②生産の効率化。対応策は①CADを発注元と共有し、仕様確認を行う、個別受注の設計を標準化し担当を分ける、②生産計画を短サイクル化し、複数人で段取りを行い、ロットサイズを小さくする。以上により短納期化図る。(111字)

●第3問
対応策は①月1回の生産計画を短サイクル化し、全社的に行い②生産統制により現品管理を行い在庫適正化を図る③発注情報を早期に顧客から入手し計画のスピード向上を図り、ロットサイズの適正化を図る。(94字)

●第4問
デジタル化の内容と社内活動は①紙でやりとりしている社内業務のデジタル化と社内プロセス改善する活動②受注、生産、在庫情報のデータベース化、一元管理して共有する活動③生産システムを使用し生産計画を高度化させる活動を行い、X社との情報共有に備える。(120字)

●第5問
今後は①強みの金型制作ノウハウを生かし、差別化した高付加価値商品を販売②X社の物流、販売機能を利用し、生産に注力③多角化により新たなBtoC市場の開発を行う。以上により経営リスクの分散と売上増加を図る。(100字)
 

 次はギリギリ不合格答案です。対象となる3人のうちJBさん1人だけを代表として取り上げます。

 JBさんに関しては、Goodポイントと要改善ポイントの両方について書きます。

 主なGoodポイントは以下の3点です。

 ①第1問の販売面の課題のうち「BtoC市場開拓」について、第5問との一貫性が取れていること。

 ②第1問の生産面の課題のうち「ロットサイズ適正化」について、第3問との一貫性が取れていること。

 ③第2問~第4問について、対応策の効果がきちんと書けていること。

 主な要改善ポイントは以下の2点です。

 ①第1問の生産面の課題で、外部経営環境の変化と関係ないため選んではいけない解答要素(若手育成)を選んでしまっており、しかも第2問以下との一貫性が取れていないこと。

 ②UAさんと較べると、各設問で問われていることに的確に答えられていないこと。

要改善ポイントのうち②については、KOさんやYKさんも同じような感じでした。具体的なことについては、次の「再現答案のヨコの比較」で個別に説明します。

2.再現答案のヨコの比較(個別の設問に対する解答内容の違いのチェック)

 それではいよいよ、5人の解答を設問毎に比較します。

2-1.第1問

2020 年以降今日までの外部経営環境の変化の中で、C 社の販売面、生産面の課題を 80 字以内で述べよ。
(中小企業診断協会による出題の趣旨) 新型コロナウイルスのパンデミックや急激な円安など 2020 年以降今日までの外部経営環境変化の中で、C 社に生じている販売面と生産面の課題について、分析する能力を問う問題である。

●UAさん(開示得点81点)
販売面はコロナの影響で低迷する卸売企業2社以外の販売先をコスト低減や生産性向上提案で開拓。生産面はPB商品で蓄積したノウハウを活用して独自商品開発を行うこと。(78字)

●かものしか(開示得点64点)
販売面の課題は、コロナ禍による業務用什器の受注減少を補うための、新規の受注拡大。生産面の課題は、ベテラン技能者の高齢化に伴う若手への技能伝承。(71字)

●JBさん(開示得点58点)
販売面は①観光需要減少に対し新規顧客を獲得すること、②雑貨・日用品のBtoC市場開拓。生産面は①ロットサイズ適正化②ベテラン技能者の高齢化対応として若手育成。(78字)

●KOさん(開示得点56点)
販売面は、コロナによる受注量減少を補うための新規受注先の確保である。生産面は、①技能者高齢化に伴い若手の育成②全社生産計画立案による生産効率化である。(75字)

●YKさん(開示得点55点)
販売面はX社との取引拡大で卸売企業2社依存への売上依存からの脱却を図ること。生産面は生産計画立案を週次化し、X社の発注7日後納品に対応すること。工程負荷平準化。(80字)

(1)UAさん(開示得点81点)

販売面はコロナの影響で低迷する卸売企業2社以外の販売先をコスト低減や生産性向上提案で開拓。生産面はPB商品で蓄積したノウハウを活用して独自商品開発を行うこと。

●販売面
 UAさんの解答は、5人で唯一「卸売企業2社以外の販売先をコスト低減や生産性向上提案で開拓」と書いていますが、X社からは品質を高く評価されており、また第5問の解答との一貫性も無いため、この記載が加点につながったか否かはよく分かりません。

●生産面
 UAさんの解答は、直接的には与件文に基づかない記載ですが、第5問の解答と一貫性を持たせており、それが令和4年度の採点基準に上手くハマって超高得点につながったのではないかと思います。

(2)かものしか(開示得点64点)

販売面の課題は、コロナ禍による業務用什器の受注減少を補うための、新規の受注拡大。生産面の課題は、ベテラン技能者の高齢化に伴う若手への技能伝承。

●販売面
 私(かものしか)の解答は、与件文の第3段落と第13段落から当然に言える内容であり、良いと思います。

●生産面
 私(かものしか)の解答は「ベテラン技能者の高齢化に伴う若手への技能伝承」と書いていますが、設問文には「2020 年以降今日までの外部経営環境の変化の中で」と書いてあり、内部的要因である「ベテラン技能者の高齢化に伴う若手への技能伝承」は書くべきでない解答要素となります。
 

 なお、第1問の解答における私と他の4人との最大の違いは、私だけが設問のタイプ「情報整理」に囚われて与件文の抜き書きに徹していますが、他の4人は与件文の情報だけではなく課題に関する示唆(自分の意見)を書いており、その結果としてUAさんには81点が付いていることです。

 つまり、「設問のタイプ」は単なる時短のためのテクニックに過ぎず、それに囚われ過ぎずに設問文と与件文をよく読んで素直に答えることが重要です。

(3)JBさん(開示得点58点)

販売面は①観光需要減少に対し新規顧客を獲得すること、②雑貨・日用品のBtoC市場開拓。生産面は①ロットサイズ適正化②ベテラン技能者の高齢化対応として若手育成。

●販売面
 JBさんの解答のうち「①観光需要減少に対し新規顧客を獲得すること」については良いと思います。

 また、「②雑貨・日用品のBtoC市場開拓」についても、「BtoC市場開拓」の部分が第5問との一貫性が取れており良いと思います。

●生産面
 JBさんの解答のうち「①ロットサイズ適正化」は、第3問との一貫性が取れているため良いと思います。

 一方、「②ベテラン技能者の高齢化対応として若手育成」については、外部環境変化ではなく内部的要因であるため、書くべきではないと思います。

(4)KOさん(開示得点56点)

販売面は、コロナによる受注量減少を補うための新規受注先の確保である。生産面は、①技能者高齢化に伴い若手の育成②全社生産計画立案による生産効率化である。

●販売面
 KOさんの解答は、与件文の第3段落と第13段落から当然に言える内容であり、良いと思います。

●生産面
 KOさんの解答のうち「②全社生産計画立案による生産効率化」は、第3問との一貫性があり良いと思います。ただし「生産効率化」というワードはやや漠然としている気がしました。例えば、①を書かずに②の字数を確保して「生産面は、情報のデジタル化や全社生産計画立案による、短納期化や発注小ロット化への対応である」みたいな解答に置き換えてみてはどうかと思いました。

(5)YKさん(開示得点55点)

販売面はX社との取引拡大で卸売企業2社依存への売上依存からの脱却を図ること。生産面は生産計画立案を週次化し、X社の発注7日後納品に対応すること。工程負荷平準化。

●販売面
 YKさんの解答は、コロナ禍ではなくX社との取引のことを記載しており、良いと思います。

●生産面
 YKさんの解答のうち「生産計画立案を週次化し、X社の発注7日後納品に対応すること。」は、論点が細かすぎて「課題はそれだけ?」と思ってしまいました。

 また「工程負荷平準化」の解答は設問文や与件文に根拠となる記述が無く、字数を埋めるためにありがちなワードを書いたように感じました。

(6)第1問まとめ

 販売面の課題は比較的難易度が低く差は付いてないと思います。一方、生産面の課題は結構難しく、第2問以降の解答との一貫性を意識することと、「ベテラン技能者の高齢化に伴う若手育成」を選ばないことがポイントだと思います。

2-2.第2問

C社の主力製品であるプレス加工製品の新規受注では、新規引合いから量産製品初回納品まで長期化することがある。しかし、プレス加工製品では短納期生産が一般化している。C社が新規受注の短納期化を図るための課題とその対応策を120字以内で述べよ。
(中小企業診断協会による出題の趣旨) プレス加工製品の金型製作工程と製品量産工程の生産プロセスにおいて、新規受注の際に長期化する要因を整理し、短納期化するための課題とその対応策について、助言する能力を問う問題である。

●UAさん(開示得点81点)
課題は金型製作期間の短期化である。対応策は①3DCADを導入して発注元とデータ共有し確認や変更を減らし②プレス加工と板金加工の設計担当を分けて設計期間を短縮③ベテラン技術者からOJTで若手に技術承継して生産性を向上することで短納期化する。(119字)

●かものしか(開示得点64点)
課題は①発注元との仕様確認、設計変更、仕様変更の期間を短縮し②設計課での設計業務の混乱を解消すること。対応策は①3次元CAD導入により発注元とのデータ共有を図り、設計期間を短縮し②設計課内でのプレス加工と板金加工の担当を分離すること。(117字)

●JBさん(開示得点58点)
課題は①金型制作短縮化②生産の効率化。対応策は①CADを発注元と共有し、仕様確認を行う、個別受注の設計を標準化し担当を分ける、②生産計画を短サイクル化し、複数人で段取りを行い、ロットサイズを小さくする。以上により短納期化図る。(111字)

●KOさん(開示得点56点)
課題は①設計工程の仕様確認遅れと設計の混乱をなくす②金型工程のLTの短期化である。対応策は①発注元とのオンライン化でタイムリーは仕様変更を行えるようにすること、担当者を専任で混乱を防ぐこと②熟練職人の技術を標準化し教育で負荷の平準化を図る事。(120字)

●YKさん(開示得点55点)
課題は①発注元とのやり取り効率化②ベテラン作業員のノウハウ承継である。対応策は①3DCAD導入で変更のやり取りを少なくし②ベテラン作業員のノウハウを標準化マニュアル化しOJTで教育を行う。以上でプレス加工製品の短納期化を図る。(113字)

(1)UAさん(開示得点81点)

課題は金型製作期間の短期化である。対応策は①3DCADを導入して発注元とデータ共有し確認や変更を減らし②プレス加工と板金加工の設計担当を分けて設計期間を短縮③ベテラン技術者からOJTで若手に技術承継して生産性を向上することで短納期化する。

●課題
 UAさんは「金型製作期間の短期化である」と簡潔に解答しています。設問文には「新規受注の短納期化」と書いてあり、新規受注に限定するのであればこれで正解だと思います。

●対応策
 UAさんの解答は、「①3DCADを導入して発注元とデータ共有し確認や変更を減らし」と「②プレス加工と板金加工の設計担当を分けて設計期間を短縮」については良いと思います。

 2次元CADを3次元CAD化して発注元とのやり取りを効率化する話は令和2年度の事例Ⅲでも登場済であり、それを踏襲して解答を作成して良いと思います。

 一方で「③ベテラン技術者からOJTで若手に技術承継して生産性を向上する」については、与件文の第8段落に課題の根拠となる記述(金型工程で時間がかかっている)が無いため、点が付いていない可能性があります。

(2)かものしか(開示得点64点)

課題は①発注元との仕様確認、設計変更、仕様変更の期間を短縮し②設計課での設計業務の混乱を解消すること。対応策は①3次元CAD導入により発注元とのデータ共有を図り、設計期間を短縮し②設計課内でのプレス加工と板金加工の担当を分離すること。

●課題
 私(かものしか)は、「発注元とのやりとり」と「設計課での設計業務の混乱」の2つの解答要素について書いており、解答要素的には外していないと思います。ただし、UAさんのように「金型製作期間の短期化」まで書けていればさらに良かったと思います。

●対応策
 私(かものしか)の解答は、「①3次元CAD導入により発注元とのデータ共有を図り、設計期間を短縮し」「②設計課内でのプレス加工と板金加工の担当を分離する」の両方とも良いと思います。ただし、「対応策の効果」が書けておらず、「短納期化する」みたいなことが書けていればもう少し点が伸びた可能性があります。

(3)JBさん(開示得点58点)

課題は①金型制作短縮化②生産の効率化。対応策は①CADを発注元と共有し、仕様確認を行う、個別受注の設計を標準化し担当を分ける、②生産計画を短サイクル化し、複数人で段取りを行い、ロットサイズを小さくする。以上により短納期化図る。

●課題
 JBさんの解答は、「①金型制作短縮化」については良いと思います。一方で「②生産の効率化」については新規受注に限定されない解答要素であり、書いてダメとまでは言いませんが、第3問で書く方が得点につながった可能性があります。

●対応策
 JBさんの解答は、課題と同じく「①CADを発注元と共有し、仕様確認を行う、個別受注の設計を標準化し担当を分ける」については良いと思います。一方で「②生産計画を短サイクル化し、複数人で段取りを行い、ロットサイズを小さくする」については新規受注に限定されない解答要素であり、第3問で書く方が得点につながった可能性があります。

(4)KOさん(開示得点56点)

課題は①設計工程の仕様確認遅れと設計の混乱をなくす②金型工程のLTの短期化である。対応策は①発注元とのオンライン化でタイムリーは仕様変更を行えるようにすること、担当者を専任で混乱を防ぐこと②熟練職人の技術を標準化し教育で負荷の平準化を図る事。

●課題
 KOさんの解答は、「①設計工程の仕様確認遅れと設計の混乱をなくす」については良いと思います。一方で「②金型工程のLTの短期化」については、与件文の第8段落に根拠となる記述(金型工程で時間がかかっている)が無く、点が付いていない可能性があります。

●対応策
 KOさんの解答は、「①発注元とのオンライン化でタイムリーは仕様変更を行えるようにすること」は良いと思います。ただし、記載がやや漠然としており、「発注元とのCADデータの共有」まで書けていれば更に良いと思います。

 一方で「②熟練職人の技術を標準化し教育で負荷の平準化を図る事」については、課題と同様に与件文に根拠となる記述が無く、点が付いていない可能性があります。恐らくは、この記載は私と同様、令和3年度事例Ⅲの過去問に影響されて書いてしまったのではないかと思います。

(5)YKさん(開示得点55点)

課題は①発注元とのやり取り効率化②ベテラン作業員のノウハウ承継である。対応策は①3DCAD導入で変更のやり取りを少なくし②ベテラン作業員のノウハウを標準化マニュアル化しOJTで教育を行う。以上でプレス加工製品の短納期化を図る。

●課題
 YKさんの解答は、「①発注元とのやり取り効率化」については良いと思います。一方で「②ベテラン作業員のノウハウ承継」については、KOさんと同様与件文の第8段落に根拠となる記述が無く、点が付いていない可能性があります。

●対応策
 YKさんの解答は、「①3DCAD導入で変更のやり取りを少なくし」については良いと思います。ただし、「3DCAD導入→発注元とのデータ共有→変更のやり取りを少なくし」みたいな論理展開で書けていれば更に良かったと思います。

 一方で「②ベテラン作業員のノウハウを標準化マニュアル化しOJTで教育を行う」については、前述のとおり与件文に根拠となる記述が無く、点が付いていない可能性があります。

 また、最後の「以上でプレス加工製品の短納期化を図る」については、設問文の制約条件である「新規受注の短納期化」が反映されていないようにも読めるので、「以上で新規受注の短納期化を図る」と書いた方が良かったと思います。

(6)第2問まとめ

 80分の制限時間の中で設問文と与件文を読んで正しく解釈したうえで解答要素を的確に選択することは意外と難しく、そこが合格答案と不合格答案の分かれ目になっていたと感じました。

2-3.第3問

C社の販売先である業務用食器・什器卸売企業からの発注ロットサイズが減少している。また、検討しているホームセンター X社の新規取引でも、1回の発注ロットサイズはさらに小ロットになる。このような顧客企業の発注方法の変化に対応すべきC社の生産面の対応策を 120字以内で述べよ。
(中小企業診断協会による出題の趣旨) 顧客企業の発注ロットサイズの小ロット化への変化に対応するためのC社の製品量産工程の課題を整理し、その対応策について、助言する能力を問う問題である。

●UAさん(開示得点81点)
対応策は①基準日程から確定受注量にあわせてロットサイズを決定②小ロット化で増加する段取り作業の見直しと人員補強③プレス加工のみの生産計画を全社化、短サイクル化して生産統制を実施する。以上で生産能力の効率化を図り、在庫適正化する。(114字)

●かものしか(開示得点64点)
対応策は①生産計画について、プレス加工と製品部品組付、製品仕上との一括計画を立案し②発注ロットサイズに合わせた加工ロットサイズを設定し③プレス加工機の製品変更時に、段取り作業の手順見直しや外段取り化により段取り時間を短縮すること。(115字)

●JBさん(開示得点58点)
対応策は①月1回の生産計画を短サイクル化し、全社的に行い②生産統制により現品管理を行い在庫適正化を図る③発注情報を早期に顧客から入手し計画のスピード向上を図り、ロットサイズの適正化を図る。(94字)

●KOさん(開示得点56点)
対応策は①全社を通しての生産計画を立案・DB化、見直しの短サイクル化を行うことで、タイムリーに受注を生産計画に反映②進捗管理・在庫管理情報を反映し、適切な生産ロットサイズに見直しを行うこと、である。(99字)

●YKさん(開示得点55点)
対応策は①プレス加工工程だけでなく全体を考慮した生産計画を策定し管理等統制し②月度生産計画を改め生産計画立案を週次日次等に短サイクル化し、適正な資材発注と加工ロットサイズで顧客要望である小ロット生産に対応していく。(107字)

(1)UAさん(開示得点81点)

対応策は①基準日程から確定受注量にあわせてロットサイズを決定②小ロット化で増加する段取り作業の見直しと人員補強③プレス加工のみの生産計画を全社化、短サイクル化して生産統制を実施する。以上で生産能力の効率化を図り、在庫適正化する。

 UAさんの解答は素晴らしいです。

 3つの解答要素である「確定受注量に合わせたロットサイズの設定」「段取り作業の見直しと人員補強」「生産計画の全社化と短サイクル化」は全て与件文に根拠があり、漏れなく的確な記載だと思います。また、最後に在庫の適正化について書けているところも加点につながっていると思います。

(2)かものしか(開示得点64点)

対応策は①生産計画について、プレス加工と製品部品組付、製品仕上との一括計画を立案し②発注ロットサイズに合わせた加工ロットサイズを設定し③プレス加工機の製品変更時に、段取り作業の手順見直しや外段取り化により段取り時間を短縮すること。

 私(かものしか)の解答もUAさんと同じ3つの解答要素を書けていますが、与件文に記載のある要素である「段取り作業の人員補強」「在庫適正化」「生産計画の短サイクル化」の要素が書けておらず、また「対応策の効果」が書けていないことがUAさんとの得点差につながっていると思います。

(3)JBさん(開示得点58点)

対応策は①月1回の生産計画を短サイクル化し、全社的に行い②生産統制により現品管理を行い在庫適正化を図る③発注情報を早期に顧客から入手し計画のスピード向上を図り、ロットサイズの適正化を図る。

 JBさんの解答は、「①月1回の生産計画を短サイクル化し、全社的に行い」については良いと思います。

 また、「②生産統制により現品管理を行い在庫適正化を図る」についても悪くはないですが、与件文第11段落には「C社では、基準日程によって設定しているロットサイズで加工を続け、確定受注量以外はC社内で在庫している」と書いてあり、在庫適正化のためには「生産ロットサイズの適正化」の方が効果は大きい気もするため、点数が付くかどうかはよく分かりません。

 また、「③発注情報を早期に顧客から入手し計画のスピード向上を図り、適切な生産ロットサイズに見直しを行うこと」については、与件文の第17段落で「納期は発注日から7日後の設定」と書いてあり、むしろ納期の7日前発注への対応を求められていると考えられるため、「発注情報を早期に顧客から入手」の部分は点が付かない可能性があります。

 また、JBさんの解答には与件文第10段落に記載のある「段取り作業の見直しと人員補強」の解答要素が書かれておらず、代わりに第2問の解答要素となっているため、第3問ではその分の点数が付いていないと思います。

(4)KOさん(開示得点56点)

対応策は①全社を通しての生産計画を立案・DB化、見直しの短サイクル化を行うことで、タイムリーに受注を生産計画に反映②進捗管理・在庫管理情報を反映し、適切な生産ロットサイズに見直しを行うこと、である。

 KOさんの解答は、「①全社を通しての生産計画を立案・DB化、見直しの短サイクル化を行うことで、タイムリーに受注を生産計画に反映」「②進捗管理・在庫管理情報を反映し、適切な生産ロットサイズに見直しを行うこと」ともに良いと思います。

 ただし、JBさんと同じく「段取り作業の見直しと人員補強」の解答要素が抜けているため、その分の点数が付いていないと思います。

(5)YKさん(開示得点55点)

対応策は①プレス加工工程だけでなく全体を考慮した生産計画を策定し管理等統制し②月度生産計画を改め生産計画立案を週次日次等に短サイクル化し、適正な資材発注と加工ロットサイズで顧客要望である小ロット生産に対応していく。

 YKさんの解答は、「①プレス加工工程だけでなく全体を考慮した生産計画を策定し管理等統制し」「②月度生産計画を改め生産計画立案を週次日次等に短サイクル化し」「適正な資材発注と加工ロットサイズで」までは良いと思います。

 「顧客要望である小ロット生産に対応していく」については、あくまで顧客の要望は小ロット発注・納品であり、小ロット生産は顧客要望ではない可能性もありますが、点数的には大した差はないかも知れません。

 また、KOさんと同じく「段取り作業の見直しと人員補強」の解答要素が抜けているため、その分の点数が付いていないと思います。

(6)第3問まとめ

 「生産ロットサイズの小ロット化 → 段取り作業の増加→ 段取り作業の見直し」の因果関係に気付くのが意外と難しく、そこが合格答案と不合格答案の分かれ目になっていたと感じました。

2-4.第4問

C社社長は、ホームセンター X 社との新規取引を契機として、生産業務の情報の交換と共有についてデジタル化を進め、生産業務のスピードアップを図りたいと考えている。C社で優先すべきデジタル化の内容と、そのための社内活動はどのように進めるべきか、120字以内で述べよ。
(中小企業診断協会による出題の趣旨) 生産業務のスピードアップを図り、生産リードタイムを短縮するためのC社の生産業務の課題を整理し、そのために優先すべきデジタル化の対象、業務内容と、デジタル化構築のために必要となる社内活動について、助言する能力を問う問題である。

●UAさん(開示得点81点)
優先すべき内容は①発注元からの受注情報と設計・仕様変更情報②全社的な生産計画と在庫情報。社内活動は①受注から納品に至る社内業務情報をDB化しリアルタイムで全社共有し②生産プロセスの同時進行化と調達・在庫管理適正化で効率化と納期短縮を図る。(119字)

●かものしか(開示得点64点)
デジタル化の内容は①発注元からのデザイン図②設計課のCADデータ③生産計画及び在庫情報④X社からの月販売予測と発注データ。社内活動は①X社からの予測と発注に応じた生産計画の週次化と在庫量の設定②情報のデータベース化と共有・管理のパソコン使用。(120字)

●JBさん(開示得点58点)
デジタル化の内容と社内活動は①紙でやりとりしている社内業務のデジタル化と社内プロセス改善する活動②受注、生産、在庫情報のデータベース化、一元管理して共有する活動③生産システムを使用し生産計画を高度化させる活動を行い、X社との情報共有に備える。(120字)

●KOさん(開示得点56点)
デジタル化の内容は①紙で行われている受注情報・納期情報②生産計画情報③生産統制情報等である。社内活動は①DB化し一元管理を行い全社で共有すること②週次の定例会を行い共有、コミュニケーションを図ること。以上により、生産性向上と生産効率化を図る。(120字)

●YKさん(開示得点55点)
優先内容は①四半期ごとのX社からの商品企画と月販売予測②確定納品情報③これまでの受注内容である。社内活動は①それらをデータベース登録し②リアルタイムで更新し③社内で誰でも閲覧可能にし④チーム間やりとりをパソコンにし、生産業務の効率化を図る。(120字)

(1)UAさん(開示得点81点)

優先すべき内容は①発注元からの受注情報と設計・仕様変更情報②全社的な生産計画と在庫情報。社内活動は①受注から納品に至る社内業務情報をDB化しリアルタイムで全社共有し②生産プロセスの同時進行化と調達・在庫管理適正化で効率化と納期短縮を図る。

●優先すべきデジタル化の内容
 UAさんの解答は「①発注元からの受注情報と設計・仕様変更情報」「②全社的な生産計画と在庫情報」となっており、簡潔ながら必要な内容が含まれており良いと思います。

●社内活動
 UAさんの解答は「①受注から納品に至る社内業務情報をDB化しリアルタイムで全社共有し」「②生産プロセスの同時進行化と調達・在庫管理適正化」ですが、3点気になる事項があります。

 1点目は「生産プロセスの同時進行化」という記載について、いわゆるコンカレントエンジニアリングのことだと思うのですが、問題文や与件文に関連する記載が無く、例えば与件文のプレス加工製品の生産プロセスで言えばどのプロセスとどのプロセスとが同時進行するのかイメージしにくく、ポエムっぽく感じました。

 2点目は、「調達・在庫管理適正化」という記載について、第4問ではなく第3問の解答要素にした方がより的確で高い点が付くようにも感じました。

 3点目は、与件文の第12段落に記載のある「情報の交換と共有が紙ベース」の電子化に関する記載が無い点ですが、これは解答の「社内業務情報をDB化しリアルタイムで全社共有し」の中に含まれると解釈できるかも知れません。

(2)かものしか(開示得点64点)

デジタル化の内容は①発注元からのデザイン図②設計課のCADデータ③生産計画および在庫情報④X社からの月販売予測と発注データ。社内活動は①X社からの予測と発注に応じた生産計画の週次化と在庫量の設定②情報のデータベース化と共有・管理のパソコン使用。

●優先すべきデジタル化の内容
 私(かものしか)の解答もUAさんに近いですが、UAさんと較べると記載内容が細かくてやや分かりにくく感じます。

●社内活動
 私(かものしか)の解答は、「②情報のデータベース化と共有・管理のパソコン使用」については良いと思いますが、「①X社からの予測と発注に応じた生産計画の週次化と在庫量の設定」については、第4問ではなく第3問の解答で書いた方がより高い点が付くように感じました。

 また、他の人と比較すると「施策の効果」が一切書かれておらず、その分の点数が付いていないように感じました。

(3)JBさん(開示得点58点)

デジタル化の内容と社内活動は①紙でやりとりしている社内業務のデジタル化と社内プロセス改善する活動②受注、生産、在庫情報のデータベース化、一元管理して共有する活動③生産システムを使用し生産計画を高度化させる活動を行い、X社との情報共有に備える。

●優先すべきデジタル化の内容
 JBさんの解答は、デジタル化の内容と社内活動が明確とに分けて書かれておらず、どの記載がデジタル化の内容なのかがやや分かりにくく感じました。

 また、「受注、生産、在庫情報」は書かれていますが、X社を含む発注先との間の設計や仕様に関する情報が書かれておらず、その分の点数が付かないように感じました。

●社内活動
 JBさんの解答は、「①紙でやりとりしている社内業務のデジタル化と社内プロセス改善する活動」と「②受注、生産、在庫情報のデータベース化、一元管理して共有する活動」については良いと思います。

 一方、「③生産システムを使用し生産計画を高度化させる活動」については、具体的に何を行ってどのような効果が期待できるのか分かりにくく感じました。

(4)KOさん(開示得点56点)

デジタル化の内容は①紙で行われている受注情報・納期情報②生産計画情報③生産統制情報等である。社内活動は①DB化し一元管理を行い全社で共有すること②週次の定例会を行い共有、コミュニケーションを図ること。以上により、生産性向上と生産効率化を図る。

●優先すべきデジタル化の内容
 KOさんの解答は「①紙で行われている受注情報・納期情報」「②生産計画情報」「③生産統制情報等」となっており、良いと思います。

 ただし、JBさんと同様、X社を含む発注先との間の設計や仕様に関する情報が書かれておらず、それも書かれていれば更に良いと思いました。

●社内活動
 KOさんの解答は、「①DB化し一元管理を行い全社で共有すること」については良いと思います。

 一方、「②週次の定例会を行い共有、コミュニケーションを図ること」については、設問文、与件文、1次知識に基づく解答とは思いにくく、実務に基づいたアイデア解答と採点者に解釈されて点が付きにくい可能性があると思いました。

(5)YKさん(開示得点55点)

優先内容は①四半期ごとのX社からの商品企画と月販売予測②確定納品情報③これまでの受注内容である。社内活動は①それらをデータベース登録し②リアルタイムで更新し③社内で誰でも閲覧可能にし④チーム間やりとりをパソコンにし、生産業務の効率化を図る。

●優先すべきデジタル化の内容
 YKさんの解答は「①四半期ごとのX社からの商品企画と月販売予測」「②確定納品情報」「③これまでの受注内容」となっており、全てX社を含む発注先からの情報であり、C社の設計情報や生産計画、在庫情報等が書かれていないことが気になりました。

●社内活動
 YKさんの解答は、①~④の全てについて良いと思います。ただし、①~④は全ていわゆるDRINKの切り口による解答であり、他の4人はそれ以外の解答要素についても書いているため、他の4人と比較して点数自体はあまり付かない可能性があります。

(6)第4問まとめ

 「優先すべきデジタル化の内容」は、5人とも書こうとしていた内容は同じでしたが、いかに漏れなく書けたかが点数の差になっていたと思います。

 「そのための社内活動」は、情報の交換・共有のパソコン利用とDRINKの切り口については皆概ね書けており、それ以外の解答要素で差が付いていた感じでした。

 超高得点答案は、他の答案と較べて文章が読みやすくなっていると思います。

2-5.第5問

C社社長が積極的に取り組みたいと考えているホームセンターX社との新規取引に応えることは、C社の今後の戦略にどのような可能性を持つのか、中小企業診断士として100字以内で助言せよ。
(中小企業診断協会による出題の趣旨) ホームセンターX 社との新規取引に応えることによって、C 社の今後の戦略に影響する製品や市場、業績などに生じる新たな可能性について、助言する能力を問う問題である。

●UAさん(開示得点81点)
売上拡大することで経営を安定化し、蓄積した最終消費者向け製品のノウハウと強みの金型製作技術を活用して高付加価値な独自製品を開発することができる。卸売企業2社依存の脱却を図りながら新市場で受注拡大する。(100字)

●かものしか(開示得点64点)
今後の戦略の可能性は①X社からの新たな雑貨用品の受注②技術の高さを生かした高価格製品の受注の拡大③コスト削減と生産性向上に結びつく提案により、X社以外からの新規取引先からの受注の拡大。(92字)

●JBさん(開示得点58点)
今後は①強みの金型制作ノウハウを生かし、差別化した高付加価値商品を販売②X社の物流、販売機能を利用し、生産に注力③多角化により新たなBtoC市場の開発を行う。以上により経営リスクの分散と売上増加を図る。(100字)

●KOさん(開示得点56点)
①PB商品の受託で安定した受注を得られる反面中国の復活や競合他社の参入で、コスト競争に巻き込まれ低価格になる可能性②自社高付価値製品の開発を行い、構築したX社との関係で販売を行い、売上拡大の可能性。(98字)

●YKさん(開示得点55点)
助言は①X社の受注に応えノウハウ蓄積や稼働率向上し短納期化・小ロット化に対応した体制構築で差別化②コスト低減や生産性向上提案で高付加価値化。成長市場を捉えて卸売企業への売上依存から脱却し事業発展を図る。(100字)

(1)UAさん(開示得点81点)

売上拡大することで経営を安定化し、蓄積した最終消費者向け製品のノウハウと強みの金型製作技術を活用して高付加価値な独自製品を開発することができる。卸売企業2社依存の脱却を図りながら新市場で受注拡大する。

 UAさんの解答は、「最終消費者向け製品のノウハウを活用した独自製品の開発」と「新市場(アウトドア商品市場)での受注拡大」の2点について書かれており、どちらも設問文の制約条件である「X社との新規取引に応えること」との因果関係が成立しているのが良い点です。

 また、「独自製品の開発」と「卸売企業2社依存の脱却」はそれぞれが第1問の「生産面の課題」と「販売面の課題」の解答と一貫性を持っているのも良い点です。

(2)かものしか(開示得点64点)

今後の戦略の可能性は①X社からの新たな雑貨用品の受注②技術の高さを生かした高価格製品の受注の拡大③コスト削減と生産性向上に結びつく提案により、X社以外からの新規取引先からの受注の拡大。

 私(かものしか)の解答は3つの可能性について書いており、「②技術の高さを生かした高価格製品の受注の拡大」はX社からの受注なのかが不明確であるので、①と②を合体して1つにした方が良かったかもしれません。

 また、「③コスト削減と生産性向上に結びつく提案により、X社以外からの新規取引先からの受注の拡大」については、設問文の制約条件である「X社との新規取引に応えること」との因果関係が無いように見えます。これらがUAさんとの点差につながっていると思います。

(3)JBさん(開示得点58点)

今後は①強みの金型制作ノウハウを生かし、差別化した高付加価値商品を販売②X社の物流、販売機能を利用し、生産に注力③多角化により新たなBtoC市場の開発を行う。以上により経営リスクの分散と売上増加を図る。

 JBさんの解答は「高付加価値商品の販売」「(X社からの受注により)生産に注力」と「新たなBtoC市場の開発」の3つについて書いており、「新たなBtoC市場の開発」については第1問との一貫性があるのが良いと思いました。

 UAさんの解答と比較して気になった事項は、「①強みの金型制作ノウハウを生かし、差別化した高付加価値商品を販売」について、設問文の制約条件である「X社との新規取引に応えること」との因果関係が少し分かりにくい気がしました。「アウトドア商品生産ノウハウの蓄積」みたいなワードが含まれていればもっと良くなると思いました。

(4)KOさん(開示得点56点)

①PB商品の受託で安定した受注を得られる反面中国の復活や競合他社の参入で、コスト競争に巻き込まれ低価格になる可能性②自社高付価値製品の開発を行い、構築したX社との関係で販売を行い、売上拡大の可能性。

 KOさんの解答は、①はいわゆるリスクについて書いていますが、この設問で問われている可能性とはリスク(受動的なもの)ではなく「戦略の打ち手の選択肢」(主体的なもの)のことであると思います。そのため、①については点が付きにくいのではないかと思いました。

 一方、②については「自社高付価値製品の開発」という主体的な記載ができているのは良いですが、JBさんと同様、設問文の制約条件である「X社との新規取引に応えること」との因果関係が分かりにくく感じました。

(5)YKさん(開示得点55点)

助言は①X社の受注に応えノウハウ蓄積や稼働率向上し短納期化・小ロット化に対応した体制構築で差別化②コスト低減や生産性向上提案で高付加価値化。成長市場を捉えて卸売企業への売上依存から脱却し事業発展を図る。

 YKさんの解答は、①が差別化、②が高付加価値化について書いており、それにより「成長市場を捉えて卸売企業への売上依存から脱却し事業発展を図る」としていますが、UAさんの解答と比較すると、具体的にどうやって卸売企業への売上依存から脱却するのかの打ち手の選択肢(例:自社独自製品の開発・販売)まで書ければ更に良かったと思います。

(6)第5問まとめ

 超高得点答案では、設問文の制約条件である「X社との新規取引に応えること」との因果関係がきちんと成立しており、また第1問の解答との一貫性も確保できていたのが、他の答案との違いとなっていました。

■おわりに

 総文字数3万字超のブログ記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 初めて書いたブログ記事だったため、読みにくい部分もあったかと思いますが、何卒ご容赦いただくようお願いたします。

 このブログ記事が、令和5年度中小企業診断士試験受験者の皆さまのお役に少しでも立てれば幸いです。

 次回は ふぃっしゅんさん の登場です。
 お楽しみに!

●参考文献リスト

・『中小企業診断士試験 一発合格: 独学では辿り着けない、予備校では教えてくれない、診断士試験の真実とノウハウ』(「一発合格道場」9代目執筆メンバー著、kindle電子書籍)

・『「まとめシート」流!ゼロから始める2次対策』(野網美帆子著、kindle電子書籍)

・『TBC中小企業診断士試験シリーズ 速修2次テキスト』(山口正浩監修、早稲田出版)

・『30日でマスターできる 中小企業診断士第2次試験 解き方の黄金手順』(黄金手順執筆チーム著、中央経済社)

・『ロジカル・プレゼンテーション――自分の考えを効果的に伝える戦略コンサルタントの「提案の技術」』(高田貴久著、英治出版)

・『グロービスMBAクリティカル・シンキング』(グロービス経営大学院著、ダイヤモンド社)

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