事例Ⅲの得点を安定化させるスキームをご紹介

読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ14期のくおと申します。

二次試験の勉強は進んでいるでしょうか。
二次試験は一次試験とは異なり論述試験のため採点も難しく、また解説を読んでもいまいち理解が進まなかったりもやもやした日々を送っているのではないでしょうか。

今回は二次試験の科目の一つ、事例Ⅲがテーマです。

複数回受けた模試の中でも事例Ⅱが50点~17点(!)と乱高下する中60点~70点で安定する癒し枠でした。本番も64点でしたのでこの記事は【事例Ⅲを60点代で安定させるための記事】としてお読みください。

ちなみに試験本番成績は以下のとおりです。
事例Ⅰ:63点
事例Ⅱ:66点
事例Ⅲ:64点
事例Ⅳ:54点  計247点

特筆すべきことがない微妙な点数でした。

※この記事には令和4年度~令和2年度の事例Ⅲの問題を紹介していますので
 まだ解いていない方はご注意ください。

■最近の傾向

ここ最近の事例Ⅲで多い設問の傾向は何でしょうか。そうですね。課題(問題点)の指摘ですね。対応策の指摘もありますが、これは課題を特定しないと書けないため類題とします。

ここ数年で設問で「課題」「問題点」「対応策」これらの文言が出てきた設問は以下のとおりです。

令和4年度では第1問~第3問(60点分)
令和3年度では第2問~第3問(50点分)
令和2年度では第3問(40点分)
令和元年度はありませんでした。

10点ずつ増えてきていますね。
今年度は70点分、再来年はすべての設問でこれらの文言が出てくる見込みです。

では事例Ⅲにおいて「課題(問題点)」はどのように特定したらいいでしょうか。

■課題(問題点)の見つけ方

ここでは「課題」と「問題点」の違いは何でしょうか、という話はしません。
ご存じのとおり、「事例Ⅲを合格点で安定させること」が「課題」で「事例Ⅲの点数が伸びないこと」が「問題点」です。

与件文では「課題」は「問題点」として表記されているのでここから先は「問題点」にスポットを当てます。与件文の中では「問題点」は2パターンに分かれて現れます。

①現状で既に発生している状態
②変化が生じることにより発生している状態

①は文章中に書かれているので簡単に分かります。

例:欠品や過剰在庫が生じることがある。(令和3年度)
  納期の遅延が生じ C 社の大きな悩みとなっている(令和2年度)

ぶっちゃけサービス問題ですね。ペンでしるしを入れて必ずどこかの設問で対処してください。
在庫管理といえばEOQ!ABC管理!といった連想ゲームをせずに与件文にある原因を探してください。

では②はどうでしょうか。

これは文章中に書かれていないため少し難易度が上がります。
しかしC社の現状と環境の変化をきちんと追えていれば難しくありません。

具体的には次章で説明しますが、4つの観点を持って与件を読みます。

①現状は問題が発生せずに対応できている
②社内外でなんらかの変化が生じる
③その変化に対応していない(できていない)
④対応していないことで問題が発生する

この4つの観点をストーリーでつかむことができたら課題の指摘問題には対処できます。

具体的に見ていきましょう。

■課題(問題点)の見つけ方(具体例)

具体的に課題の見つけ方を解説します。今回は令和4年度事例Ⅲの第1問から。
与件文や問題文をそのまま載せると厄介なことになりそうなので過去問片手に確認してください。

問題:2020 年以降~、C 社の販売面、生産面の課題を 80 字以内で述べよ。

2020年以降に何らかの変化が生じ、販売面と生産面に課題が生じたようです。しかし問題文がふわふわ過ぎて何を書いたらいいか分かりません。そこで先ほどのスキームで整理します。①は後回しで②から入ります。

②社内外でなんらかの変化が生じる

2020年以降の変化を与件文に探しに行きます。

・新型コロナウイルスの影響で入国規制・外食産業の自粛(P.1第3段落)
・X社との取引が始まり短納期化(1週間)・小ロット化が求められる(P.3第5段落以降)
・新製品であるアウトドア系アルミニウム製プレス加工製品の生産P.3第7段落)
・情報のやり取りがデータ化(P.4第1段落)

今回は「2020年」という分かりやすいマーカーがあったので簡単でした。「自社ブランドの開発強化をする(令和3年第3問)」のように与件文から該当箇所を探すのが困難な場合もあります。

では①から考えていきます。

①現状は問題が発生せずに対応できている

C社は現状どうなっているでしょうか。②で確認した変化に関連する現状をまとめます。

・ホテル、旅館、外食産業などの調理場で使用される製品を生産(P.1第1段落)
・販売先は業務用食器・什器の卸売企業2社(P.1第1段落)
・設計開始から完成までの金型製作期間は約 2 週間~ 1 か月(P.1第5段落)
・規定のロットサイズで加工を続けている(P.3第2段落)
・情報共有は紙ベース(P.3第3段落)

これらの現状は2020年までは問題点として生じてはいません。
観光需要で売上増加してますし、納期遅れもなく、過剰在庫も生じている気配はありません。紙ベースでもなんとかやってこれています。

③その変化に対応していない(できていない

②で生じた変化に対して、①の現状はうまく対応できているでしょうか?

・雑貨、日用品の商談会に出展(P.3第4段落)

このことから、今まで調理場で使用される製品以外にも新製品開発に取り組んでいることが分かり、また2020年以降X社のアウトドア製品の開発にも着手しようとしていることがわかります。

すなわち、①での1つ目の現状で挙げた「調理場で使用される製品」以外の新製品の生産も始めた(変化に対応)ことが分かります。この現状は解答の優先順位としては下げました。てか省きました。文字数足りません。

④対応していないことで問題が発生する

変化に対応していないことでどのような問題が発生するでしょうか?

・売上が減少している(P.1第3段落)
・納期遅延、過剰在庫が生じうる(記載なし)
・データ共有がうまくいかない(記載なし)

与件文に記載がない問題もありますが、①~③を整理してきていれば容易く想像できます。

■対応方法の考え方

前章では以下の3つの問題点を把握しました。

・売上が減少している(P.1第3段落)
・納期遅延、過剰在庫が生じうる(記載なし)
・データ共有がうまくいかない(記載なし)

順に対応策を考えましょう。

・売上が減少している(P.1第3段落)

問題点の原因を現状から探り、課題を考えます。
①ホテル、旅館、外食産業などの調理場で使用される製品を生産(P.1第1段落)
②販売先は業務用食器・什器の卸売企業2社(P.1第1段落)

これらの問題点は、販売面の課題に落とし込むことができそうです。

①については、新製品を開発、販売することも課題として考えられます。しかし新製品は開発は既に行われており、また既存先2社への販売で解決するのか疑問なので解答の優先順位としてはやはり下がります。

②については、2社ともコロナで影響を受ける業界を相手とする会社であるため受注が減少しています。やはり課題としては「販売先の新規開拓」でしょう。効果は「売り上げを増やす・安定化させる」でしょうか。

・納期遅延、過剰在庫が生じうる(記載なし)
・データ共有がうまくいかない(記載なし)

同じく問題点の原因を現状から探り、課題を考えます。
①設計開始から完成までの金型製作期間は約 2 週間~ 1 か月(P.1第5段落)
②規定のロットサイズで加工を続けている(P.3第2段落)
③情報共有は紙ベース(P.3第3段落)

これらの問題点は、生産面の課題に落とし込むことができそうです。

①については短納期化によりQCDのDに応えること
②については小ロット化によりQCDのCを削減すること(製造費用、在庫費用)
③についてはデジタル化をすること

最終的な答えとしてはこんな感じです。

販売面の課題は受注減による売上を新規開拓で増加、生産面の課題は金型製作期間の短縮やデジタル化による短納期化に対応、小ロットに対応し適正在庫量を維持すること。

ちなみに当日私が書いた解答はこちら。今見たら物足りないです。

販売面の課題は偏っている販売先を分散化し売り上げを安定化させることで、生産面の課題は小ロット生産に対応することで適正在庫量を維持することである。

課題と対応策に関する記述は解答スキームを持つことで安定させられます。

■おわりに

長文読んで下さりありがとうございました。

不確実性の高い運ゲーといわれる二次試験だからこそ、何か自分の中で解答スキームを用意して確実に点を取りに行くことが大切です。私はこのような解答スキームを事例Ⅰ~Ⅲでいくつか用意することでまんべんなく60点を超えることができました。

とある参考書では「いかに多くの要素を記入するかが大切」とされていますが、私には合いませんでした。
理由は、要素を連想ゲームで解答する癖がつくため、得点率が不安定になるからです。
令和4年度の第2問で短納期化の対応策として「外段取化」を解答してしまうのもこれが原因だと思います。

受験者の大多数が同じ教材を使う中で同じ勉強法では運ゲーから抜け出せません。私は今でも二次試験は運ゲーだと思ってますが、少しでも点数を安定化させるために自分なりの解答スキームを作成してください。


次回はだちょーさんの登場です。
お楽しみに!

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