受験生の皆様へ:診断士は資格じゃない! by しの

 読者のみなさん、こんにちは。タキプロ14期しのと申します。TPKエイジレス会員6番です。今回で6回目の投稿であり、私の最後の投稿になります。1年間、タキプロをご愛読いただきありがとうございました。  

タキプロ15期メンバー募集! ↓概要、申込みはコチラから↓

■はじめに

 受験生の皆様に伝えたいことがあります。それは、中小企業診断士は一般的な意味での所謂「資格」とは異なるということです。辞書的な定義における「資格」とは、「これを持つことで何かが出来るようになる」という意味です。中小企業診断士は、この意味での「資格」ではありません。業務独占資格ではなく、名称独占資格、ということは、タキプロ読者の皆さんは既にご存じのことかと思います。ただ名乗れるだけということですね。

それって何なのでしょう?

■なぜ診断士なのか?

 診断士を名乗れたら、どうなるのか。きっと明確な答えはないのだと思います。だからこそ、色々な角度から様々な議論があります。なんと言うか、本当に面白い世界です。多くの先輩方が異なる意見や体験を発信しています。仲間が増えた、視野が広がったとか、楽しい世界が待っているとか、意味がないとか。タキプロの受験生の皆様へのメッセージを是非ざっと読んでみてください。
https://www.takipro.com/category/message/
 これらは直接的な合格ノウハウではありませんが、皆さんなりのイメージを膨らませ、勉強へのモチベーションを高めるきっかけになるはずです。この世界をどう表現すれば受験生の皆さんに伝わるのか、私も考えました。例えば、学歴みたいなものと言えそうです。その学校を卒業して学歴を得ても直ぐに何か出来る訳ではない。でも何かを得たような気がする。それを名乗ることが出来る。でも、そこからどんなキャリアを積んでいくかは個人次第。同窓には仲間意識を持てる。同窓と集まれば、どう人生設計をしていくかの議論が盛り上がる。色々な形で活躍する先輩がいる。様々な同窓会やクラブ活動が盛んに行われている。というものです。

■診断士の型とは

 2次試験合格から約1年が過ぎ、その間診断士の世界の一端に触れ、様々な形での診断士がいることが分かってきました。よく言われる働き方での切り口(企業内、独立など)も色々ありますが、仕事の「型」でも分類しても多種多様です。以下は小生の独自分類です。

講演型:専門知識やトレンドを大勢に伝える、情報の提供者。Youtube等での発信者もこのタイプの派生かと思います。専門知識に自信があり、特に話すのが得意な人。人を魅了する話し方が出来る人。
講師型・教師型:スキルや知識を伝授する。受験生を対象にするものから、経営者を対象にするもの。診断士を対象にする人もたくさんいます。専門性に自信があり、やはり話すこと・教えることが得意な人。
執筆型・クリエータ型: 書籍出版、雑誌投稿、やオンラインコンテンツを通じて情報整理・発信をする人。書くことが得意な人。
顧問型:経営者の相談相手となり、経営全般について企業に入り込んでサポートをする人。経営者の話を聞くことが得意な人、経営者と仲良くなることが出来る人、経営者から信頼を得ることが出来る人。
伴走支援型:具体的な分野で立案から実施までの企業の手助けをする。目標達成の伴走者。補助金申請もこの型ですね。他人の為に頑張れる人。専門分野での実践が得意な人。実務型の人。
コーチング/ファシリテーション型:企業研修や人材育成での指導役。企業側の人間の成長を促し、自主的な問題解決能力を高めるように導く。人の話を聞き、整理して人を導くことが出来る人。人を応援することが得意な人。
よろず相談窓口型:公的機関などの専門家窓口として、幅広いテーマに対応する。専門家を紹介するなど多角的な対応をする。人の話を聞ける人、幅広い知識で柔軟に対応できる人。

他にも色々なタイプがあるかも知れません。弟子型とでも言うべきか、先輩診断士にただ付いて行って、言われたことを執事のようにこなしているという人もいました。当然複数やっている人もたくさんいると思います。中小企業診断士としてどう仕事をしていくか?を考える時、こんな風に分類した上で、自分はどんな「型」をもって仕事をするとしておくと、より具体的に自分のキャリアパスを考えやすいかと思います。
 中小企業診断士になると、よく何が出来るの?得意分野は?と聞かれるようになります。聞かれない迄も、自分の得意なことを端的に表現できた方がよいと思う場面がよくあります。その時に、所謂業界・職種に加えて、上記「型」で自分の得意なことを説明できるとよいと思うのです。
皆さんが考える時の一助になれば幸いです。

■診断士のポジショニング

 で、自分はどんな型を目指すべきなのでしょうか?この1年間診断士の世界の一端に触れてきた中で感じたのですが、診断士(供給)側の情報があふれている一方で、需要側の情報が少なく、なかなか見つかりません。協会のアンケート資料ぐらいです。
https://www.j-smeca.jp/contents/data2016/p05.html
 もしどこかに他に情報あれば是非おしえいただきたいです。
 例えば、コンサルティング業界の情報を見ても、あまり診断士の情報は見つけられません。ほとんどが外資系中心のコンサルファームの情報で占められています。例えば、このサイト
https://www.consul.global/post11805/
では、コンサルティング市場規模は約2兆円/年とされています。ここに診断士の情報は記載されていません。中小企業向けの市場規模が約500億円/年程度あるという情報はあります。これを中小企業診断士の市場全体とみなして良いのかは疑問です。一般のファーム所属のコンサルタントと違って、中小企業診断士には公的機関の仕事とか、個人や副業でやっている仕事とか。コンサルティング市場規模に含まれていないと思われる仕事が多く存在します。その為、全体像を掴むのが難しいのだと思います。
 更に、どんな仕事にどんな市場価格が設定されているのか。講演や講師にどれだけ需要があって、執筆活動などでどのくらいの収入が得られるのか。公的機関の仕事はどうなのか。これら色々な仕事の相場がいくらで、需給バランスがどうなっているのか。個別の情報は公開されておらず、人それぞれというのが実情です。“この方が儲かる”という類の話も人それぞれ。結局はその人にとっての話にすぎないことも多いです。よくわからないので、何を目指すべきなのか?と考えると迷子になってしまうのかなと思います。
 中小企業診断士って本当に特殊な存在である為か、他国に同様の制度がないそうです。日本にしかないのです。間違っていたらすみません。諸先輩型が他国に診断士の制度を普及させようとしたが、定着しなかった、とも聞いたことがあります。

■おわりに。結局自分でやりたいことを見つけていくしかない

 中小企業診断士の仕事の仕方って、本当に多様です。下記協会の統計情報を見ると働き方の多様さがよく分かります。
https://www.j-smeca.jp/attach/enquete/kekka_r3.pdf
だからこそ、結局は、自分がやりたいこと、楽しいと感じること、得意なことは何か?を考えていくしかないというのが最近強く思うことです。Shouldではなく、Will/Canから考える。上で見た通り、診断士には、話す・書くなど色々な形での仕事の取り組み方があります。皆さん各自得意不得意があると思います。診断士の仕事は、最低限1次2次試験を通る基礎があれば、そこから先は、どれがないとダメ、というものがないのです。
自分の得意はなんだろう?と考えてしまう人。過去の自分を、例えば小学校時代から思い出してみてください。話す、書く、聞く、議論する、自分はどれが得意か、どれを楽しいと感じていたか。何か少しでも思い出せることがあれば、それを生かして仕事をしていけばよいのです。先日ある教育の専門家が言っていました。受験勉強が終わった日、その子が最初に何をしたか?それがその子が本当にやりたいことだ。それを職業にするのがよい、と。


果たして、あなたは診断士試験が終わったその日、何を一番したいと思いますか?

以上、皆さんのご検討をお祈りいたします。

次回は、うじょん さんの登場です。 

お楽しみに! 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
↓下のボタンを押して、読んだよ! と合図していただけると、とっても嬉しいです。
(診断士関連ブログの人気ランキングサイトが表示されます[クリックしても個人は特定されません])

 

にほんブログ村

皆様の応援がタキプロの原動力となります。
ぽちっと押して、応援お願いします♪

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です