【7科目共通】1次試験/戦略的リソースアロケーション術 by おま

前回に引き続き、今回も17期の おま が担当いたします。
おそらく私の合格までの道のりは、やや一般的な学習スタイルとは少し異なる部分があるのではないか?と考えています。
周りに受験仲間もおらず、孤独に独学を行なっていたので、客観的に語れないところはありますが、自分自身が「持たざる人間」であることを強く自覚した上で、「どのように1次試験を戦い抜くか」、その思考を改めてトレースして言語化してみましたので、一つの考え方としてご参考いただけますと幸いです。
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目次
■ 勉強時間を競い合う「サンクコスト」の沼
資格受験の世界には、不思議な宗教があります。
「累計〇〇〇時間捧げました」「昨日も深夜までペンを握り、睡眠を削りました」「たった〇〇時間で合格しました」
正直に言うと、私はそこにこれまで、そして今もとてつもない違和感を抱いています。
ビジネスの現場で、リソース(時間・予算・人員)を無尽蔵に投入して成果を出すのは、プロの仕事ではありません。ましてや、ビジネスの成果において、そこに費やした労力を成果の文脈の中で語ることはないと思います。
「大変だった」とか、「コストがかかった」とかは、当然ありますが、抽象度の高い議論において、そこは重要ではなく、むしろ「限られたリソースの中で再現性の高い、効率的な成果の創出を実現」するための戦略的な視点が重要です。
ましてや、私たちが将来支援する中小企業は、常に「持たざる」存在。
全方位に手を広げれば、あっという間に倒産です。
だからこそ、私は1次試験を「限られたリソースで合格証書をもぎ取る、経営シミュレーション」として定義することから始めました。
■ 第一工程:無勉強で挑む「初期監査(AS-IS分析)」
戦略の第一歩は、現状の棚卸しです。
「現状把握→課題抽出→解決策→実行」はコンサルティングだけではなく、あらゆるビジネスにおける基本だと考えています。
そのため私はまずは「現状把握」を目的に、診断士の勉強を開始する前に、まずは直近の1次試験過去問を1年分、解いてみました。
- 既存資産
広告・IT・SaaS業界で揉まれた経験から、「企業経営理論」と「経営情報システム」は初見で5〜6割取れることが判明。 - 不良債権
「財務・会計」と「法務」。ここは基礎から再建しないと、足切りという名の「不渡り」を出すリスクが高い。また、「財務・会計」は2次試験の鬼門とも言われており、将来的な経営支援を視野に入れた場合にも基礎力確立は必須と考えたため、
この診断結果をもとに、私は、「引き算の戦略」を立てました。既に持っている知識(資産)には追加投資せず、合格ラインまでの「差分」だけにリソースを全振りすることにしました。
なぜならば1次試験は、構造的に「合格ライン(7科目420点)」と「科目の足切り(40点)」があるものの、極論「満点」とっても「ギリギリ合格点」でも、試験制度上は同じ「合格」だからです。
ちなみに、上記以外の「運営管理」「経済学・経済政策」「中小企業経営・政策」は完全に未知の領域でしたが、まずは「財務・会計」「法務」の基礎力を高めることにしたため、初期段階での取り組み優先度を意図的に下げることにしました。
■ 第二工程:財務を「金の成る木(稼ぎ頭)」に育てる先行投資
戦略が最も美しく機能したのは、鬼門と言われる「財務・会計」でした。 いきなり診断士のテキストから入らず、最初の3ヶ月間は、周辺資格という「子会社の買収」から始めました。
なんといっても、知識のインストールを行うと同時に資格まで得られるので、貧乏性な私にとってはあまりにも「お得」としか考えれなかったためです。
- 財務のOSをインストール: 簿記2級、ビジネス会計検定2級
この先行投資が大当たりしました。
本格的な対策が始まった頃、財務はもはや、最小限のメンテナンスで高得点を叩き出す「金のなる木(稼ぎ頭)」になっていたのです。
ここで浮いた「時間」という名の資本が、後に私を絶望から救うことになります。
■ 第三工程:誤算――法務という「泥沼の防衛戦」
しかし、経営(試験)は計画通りにはいきません。
最大の誤算は「法務」でした。 会計と同様に最初の3ヶ月間でビジネス実務法務検定2級を受験することにしたものの「一点足らず」で不合格。
しかし、ここで知財/会社法/民法(債権・債務)etcといった実務的な法律の全体像を改めて認識することに一定成功したものの、「本質的に苦手科目であること」を認識しました。
したがって、以降の戦略においては「如何に足切りを回避しながら、60点に近づける」ことが法務における大方針として、以降のリソース配分に大きく影響を及ぼすことになりました。
これも、「己を知る」という意味では、非常に大きな成果ではあったと考えております。
一方で、「財務・会計」で強みを作ることができたことによって、弱みとして明らかになった法務に対するリソースアロケーションを可能にすることができたため、経営リスクの分散という意味では最初期段階のプロセスとしては、戦略的成功を納めたとも言えるかもしれません。
なお、最後の最後まで、「法務」に苦労することになるとは、この時は知る由もありませんでした。
■ 第四工程:更なる選択と集中。
そこまで認識ができたところで改めて、1次試験対策に着手しました。
が、各科目テキストを頭から順に…といったことは一切していません。
なぜならば「合格確度が低いものに学習リソースを割くのは非効率」だと考えていたからです。
わかりやすく言えば、「10年に一度しか出題されないニッチな論点と、毎年のように出題される頻出論点に等しく学習リソースを割く」よりも「毎年のように出題される頻出論点に集中」したほうが、確率論的にも確実に得点する可能性を高めることができるからです。
こんなことを書くと「体系的な理解が重要であり、試験突破のためのゲームのような学習方法」と断罪する方もいると思います。
しかし、出題者の立場で考えると、問題として頻出するということは「有資格者として必ずおさえてもらいたい論点」という見方もできます。
科目合格が60点というのも、「2:6:2の法則」で考えると、「2=優秀層におさえてもらいたい論点、6=合格者として必ずおさえてもらいたい論点、2=試験難易度を調整するための高難度論点」といった仮説で考えました。
逆を言えば、「落とさなければいけない試験」であるからこそ、逆にそこを取りにいくことは「むしろ資格試験のゲームに乗ってしまうこと」と、私自身は考えました。
難易度調整のための『捨て問』を追うことをやめる。
それは経営で言えば、「ニッチすぎて利益の出ない市場に固執するようなもの」とも言えるでしょう。
そのため、このフェーズでまず初めに行ったのは、過去10年分の出題論点の抽出です。
今であれば、AIに過去問を食わせて分析することも容易くできると思いますが、私が1次試験の学習を始めた当時(2023年秋頃)はまだ個人的に生成AIの性能を信用していなかったため、地道に過去問を分析していました。(スピードテキストなどの巻末の情報なども使いましたが)
そこである程度、各科目における頻出論点が浮き彫りになってきたため、そこを重点的に過去問とSTUDYingで磨き上げていくことに。
また、科目毎にも更に特徴があります。
例えば、法務や中小企業経営・政策、企業経営理論、経営情報システムについては、法改正やマクロなトレンドなどが出題として盛り込まれることも多いため、各科目の中で「普遍的な論点」にまずはスポットを当て、そこを重点的に磨き込んでいき、法改正や中小企業白書の情報が出揃う時期までは出題に絡みそうな内容には手をつけませんでした。
加えて、試験時期が8月であることから、逆算すると5月〜6月頃に試験問題を作成していると考えられること、出題者の気持ちを考えると法改正やトレンド(当時で言えば生成AIのハルシネーションが話題になっていた)は出題したくなることから、仕上げ時期にそれらのキャッチアップを行う戦略を取りました。
これこそが、戦略的なリソース配分(アロケーション)の真骨頂です。
■ 「全方位戦略」は禁じ手
人によって、これまでのキャリアも、脳内の既存在庫もバラバラです。だからこそ、画一的な「全方位へのリソース投下」を目指すのは、戦略の放棄に等しいと考えました。
改めて、当時の戦略を分析すると以下の通りとなります。
- 強み(経営・情報): 最小限の投資で合格点を維持する「維持管理モード」
- 鬼門(財務): 早期にOSを入れ替え、中盤以降の貯金にする「先行投資モード」
- 弱点(法務): 浮いたリソースを活用し、足切りを死守する「泥沼防衛モード」
- 作戦(全般):頻出論点による60点獲得をターゲットに「選択と集中モード」
- 不確実性(時流):法改正やトレンドなど、受験日から逆算した「チャンス問題への重点対応モード」
■ おわりに:あなたは「自分の経営者」であれ
全科目を全力疾走すれば、本番前にガス欠を起こします。(というか、自分にはとてもじゃないですが、できないと考えました)
どこで「サボり」、どこで「汗をかく」か。
その冷徹な意思決定こそが、1次試験という名の経営シミュレーションを突破する唯一の鍵だったと考えております。
「楽をする」のは手抜きではありません。「確実に勝つために、どこに力を残しておくか」を考えることこそ、診断士に求められる最初の『診断能力』なのだと私は確信しています。
……あ、ちなみに私はこの戦略のおかげで、1次試験を本当にギリギリの点数で一発合格しました。これも一種の「過剰在庫を持たないためのジャストインタイム合格」ということで、2次試験やその後の診断士としての活動に向けた仕掛かり在庫の適正化という意味で、リソースを戦略的に効率配分したと私自身は考えています。
次回は、けんまつ さんの登場です。
お楽しみに!
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