で、結局CAMってなんだったん? CAM導入について深掘りする by うえぬ

タキプロ17期の   うえぬ と申します。  

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■はじめに

運営管理の製造ITシステムで出てきた、あの、CAから始まる三兄弟。覚えていますでしょうか。

そう、CAD/CAM/CAEですね。

「CADはPC上で図面を書くもの、CAEはPC上で強度などを解析するもの、CAMはPC上で…何か製造を効率化する…もの?」という人が多いのではないでしょうか。

CAMの導入推進に関わった経験から、今回はCAM導入に注目して解説をしたいと思います。

■CAM導入のBefore・After

そもそもCAMってなんなのか、CAMありなしの業務を比較して説明します。

業務の流れは一例です。また、CAMは3DのCAM、機械としてはマシニングセンタを取り上げています。

※画像はAIで生成。

Before

まずCAMがない場合はどのような業務なのかを説明します。

全体の流れは図のとおりです。

(1)設計担当が2D図面を書く

2D CADもしくは3D CADを使い、最終的に2D図面を作成します。

(2)加工担当が図面を見ながらNCプログラムを作る

設計担当から紙またはデータで2D図面が渡ってきたら、加工担当はNCプログラムというCNCで使えるプログラムを作ります。このプログラムに従い、CNCが機械を動かします。

NCプログラムの例:

加工担当者は2D図面を見ながらPC上(メモ帳やエクセルなど)、もしくはCNCの専用画面上でNCプログラムを作成します。

(3)加工担当がNCプログラムを実行する

CNC装置にメモリカードなどでNCプログラムを転送し、実行します。

※画像はAIで生成。あくまで参考イメージで。

After

変更点を書きます。

(1)設計担当が3D CADで3Dモデルを描く

2D図面ではダメです。CAMを使うためには基本的に3Dモデルが前提となります。

(2)CAMオペレータがCAMに3Dモデルを取り込みNCプログラムを作る

CAMに3Dモデルを読み込ませ、画面上で「どの刃物を使って、どういう順番で削るか」を設定します。また、動作をシミュレーション機能で確認します。

(3)加工担当がNCプログラムを実行する

ここは変更ありません。

■なぜCAMが必要なのか?

昨今の外部環境の変化により、CAMの需要が高まってきています。

(1) 工程集約による多品種少量生産への対応

中小企業白書でも指摘されているように、顧客ニーズの多様化により多品種少量生産が増加し、段取り替え増加への対策が課題となっています。その解決策として、マシニングセンタの種類のうち、1方向からのみ加工できる「3軸加工機」から、複数の角度から加工できる「5軸加工機」に変更して工程集約する――ECRSにおけるCombine:まとめる――ことで段取り替えを減らす流れになっています。

5軸加工機ですが、NCプログラムがかなり複雑になるので人手でプログラムを作ることが困難です。そこでCAMを使ってNCプログラムを作成する必要性が発生します。

(2) 勘コツ標準化による技術伝承・ムラの排除

人口減少により技術伝承が課題になっています。熟練工の頭の中にしかなかった「加工する順番」「削る速度(送り速度や回転数)」といった「勘とコツ」を、CAM上のデータ(工具設定や加工テンプレート)として定義できます。それにより、暗黙知をCAMデータとして形式知化、それを教育することで技術伝承を促進でき、さらに標準化によって作業のムラが排除され、品質向上を見込めます。

(3) フロントローディングによるリードタイム短縮

製品ライフサイクルの短期化により、顧客からの要求は厳しくなりリードタイム短縮が求められています。
手打ちNCプログラムの場合、現場で機械を止めてテスト運転や修正を行うため、それがボトルネックとなり納期が延びていました。CAMのシミュレーションを活用すれば、現場で機械を動かす前にPC上で事前に問題を潰し込むこと(フロントローディング)が可能です。現場での手戻りや機械の待機時間を最小限に抑えることで、厳しい短納期要求に応えることができるようになります。

■CAM導入のハードル

このように魅力のあるCAMですが、実際に導入しようとすると以下のようなハードルが存在しました。

(1) 高額な導入費用

高機能な3D CAMは、ソフトウェア本体や専用のPC環境、自社の機械に合わせてNCプログラムを出力するための初期設定(ポストプロセッサ)などで1ライセンスあたり数百万円規模の初期費用がかかり、毎年の保守費用も発生します。
さらに、この投資判断を難しくしているのが「スイッチングコスト」の存在です。CAM操作スキルはソフトに依存しており、またCAMデータは互換性がありません。万が一「自社に合わなかった」となっても他ソフトへの乗り換えが困難になります。これにより導入へ踏み切れない大きな壁となっているように思えます。

※なお、中小企業であれば補助金の活用ができるようです

(2) 形式知化の限界とオペレータへの負荷集中

CAMにノウハウを入力するためには、熟練工の「勘とコツ」の数値化が必要です。しかし、実際の加工は素材のバラつきや刃物の摩耗など不確定要素が多く、すべてを標準化することは困難です。
結果として、標準化しきれない部分は「CAMオペレータ自身が現場の知識で補正・調整する」ことになり、特定の担当者に負担と属人化が集中してしまいます。

(3) 高スキル人材の育成・確保の難しさ

CAMオペレータには「ITスキル」「加工知識」そして「CAM自体の操作スキル」が求められます。
しかし、PC操作に強い若手には削る音や振動といった「加工の暗黙知」がなく、逆に加工を知るベテランは3D空間のPC操作や幾何学的な機能に抵抗を示すケースが少なくないように思えます(相対座標とか法線ベクトルとかサーフェス / ソリッド / メッシュとか…)。さらにCAMの独特な操作や大量のパラメータを使いこなす必要があります。このすべてを兼ね備えた人材の育成や確保は困難です。

■おわりに

実際にCAMの導入検討をして、とりあえず導入すれば業務改善できる魔法のツール、ではないことが身にしみて感じました。

「CAM投資に対する効果の試算と補助金の提案」「加工技術をいかに標準化・データ化するか」「加工とITに強い人材を育成するための制度作り」といった、生産だけでなく他レイヤーと合わせて提案できるようになれば、より深みのあるコンサルティングができるようになると考えています。

次回は、こう さんの登場です。 

お楽しみに! 

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