【1次財務会計】バーチャルワールドの中での「良い戦略」

おはようございます!人生ってなんだろう?つっちー@タキプロです!

直前期だし、そろそろ実戦的な内容をお伝えしようと思いましたが、つい先日行われました出張勉強会@町田でつっちーなりにとてもいい気づきになった財務ネタが有りましたので、今回はそれを書かせてください。

つっちーは昨年ありがたいことに1次を一発で突破出来ましたが、財務会計は常に苦手科目でした。そして、過去問を時間を測って実戦シミュレーションをしても常に時間切れで全問を納得ずくで解くことは出来ない状態が直前期まで続きました。捨て問選びの重要性は先日お伝えしたとおりですが、このことは裏返して言えば「解くべき問題を確実に、スピーディーに解く!」というもう一つの要素を含んでいます。

今回は財務会計の過去問を素材に、「診断士試験の作問者が推奨する戦略の方向性を感じ取る」を練習してみたいと思います。

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平成24年 財務会計 本試験問題 第17問

次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。

現在、X社は総資本10億円(時価ベース)の全額を株主資本で調達して事業活動を行なっており、その税引前総資本営業利益率は12%である。また、ここでの税引前営業利益は税引前当期純利益に等しく、また同時に税引前キャッシュフローに等しいものとする。X社は今後の事業活動において、負債の調達と自己株式の買い入れによって総資本額を変えずに負債と株主資本との割合を4:6に変化させることを検討しており、その影響について議論している。

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⇒ここでは①総資本10億円を全額株主資本(=自己資本)で調達した企業が②税引前CFを1.2億円稼いでおり、③負債調達(と自己資本買い入れ)を検討していること。また④総資本額は変化させずに、構成内容を自己資本100%から自己資本60%他人資本40%に変化させようとしていることをおさえます。

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(設問1)もし市場が完全で税金が存在しない場合、X社が資本構成を変化させたとき、ROEは何%となるか。最も適切な数値を選べ。なお、負債利子率は6%であり、資本構成の変化によって税引前総資本営業利益率は変化しないものとする。

ア 6% イ 12% ウ 16% エ 18%

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⇒ROE(株主資本利益率)の公式は当期純利益÷株主資本×100であることはこの時期ですから皆さんおさえていますよね?

計算を始める前に、今回の「資本構成を変化させる=負債調達をする」というのが「X社にとって(作問者は)良いことと考えているのか?それとも悪いことと考えているのか?」を考えてみましょう!

会社員として実務に向き合っている大半の受験生から見れば、常識的には「負債を増やすことで利子負担も上がり、倒産リスクが高くなる」と考え、負債調達のマイナス面がまず頭のなかをかすめることと思います。普通の感覚ではそうですよね?また、2次試験の定番である経営分析の問題においても負債の比率が総資本から見て、また、自己資本から見て明らかに高い場合は、倒産リスクの指摘をするのはセオリーです。

ですが、1次財務会計の答え方については、負債調達のメリット」に着眼しておくと解答をスピーディーに選び出せる可能性が高まります。

今回の設問では、「負債調達によって総資本における自己資本の比率が低くなり=ROEの分母部分が小さくなり、(負債利子により当期純利益も小さくなるものの)、ROEは(株主にとって)良化する」という方向性が示唆されており、この方向性は1次財務において何度も問われている定番の方向性です。

その観点で、まず選択肢のア(6%)、イ(12%)に素早く☓を付けましょう。←今回言いたかったのはココ!

ついでに、計算プロセスを解説しますと、R(当期純利益)=1000百万円×12% - 400百万円×6% = 96百万円

E(自己資本) =1,000百万円×60% = 600百万円

R ÷ E = 16% 正解 ウ

上記のとおりです。この設問は正答率は半分以下ですが、「負債利用によりROEが高まる=ROEを上げたければ負債利用すべき」(じゃんじゃん借りてでかい商売をしようぜ!)という1次財務の定番の戦略アドバイスの方向性を押さえておければ短時間で攻略が可能です。今回は解説までしませんが、(設問2)についても負債を利用することにより節税効果が働き企業価値が向上するという方向性を予め知っておけば選択肢は2つに絞ることが出来、大幅に時間の短縮が実現出来ます。

似たような考え方で攻略が可能な問題として、平成22年度 第14問(設問2)、負債利用による節税効果を知っていれば解ける問題として平成21年度 第15問(設問2)、平成20年度 第18問などがあります。

先に書いたように、実際の企業活動においては危険な考え方とも言える負債利用による財務レバレッジですが、理論として知っておいた上で、実務では「そう簡単に資金調達できるものではない」「そもそも現実世界は完全市場(←この概念もきっちり押さえておきましょう)ではない」などのフィルターを掛けていろいろな戦略の判断をするわけですね。まずは「基本を知っておくために、わかりやすい前提を設定できるバーチャルワールドで考える」というのは試験攻略のためには必要ではないかと思います。

直前期、初学者の人は今まで頑張ってやっていれば、ここからググッと伸びてくる時期=収穫期です。少しずつ科目間、科目内での知識のリンクが意識できてきて、問題を解くのが楽しみになってきたら合格は近いです。

最後に勉強会のお知らせです。


タキプロ勉強会のお知らせ

【今後の予定(東京)】

・7/7(日) 9時半~12時 京橋区民館 題材:H21事例3&1次対策(運営&法務)

・7/11(木) 19時~21時半 八丁堀区民館 題材:H21事例4&1次対策(財務)

・7/25(木) 19時~21時半 新富区民館 1次試験対策(相談会)

・7/28(日) 9時半~12時 八丁堀区民館 1次試験対策(相談会)

*2次試験対策では、すべての設問を議論の対象とすることは時間の都合上できません。なるべく受験生の希望を反映するため、参加申し込み時にディスカッションをしたい問題をご記載いただければと思います。
また、題材の事例について事前に解答を作成し、5部程度コピーをお持ちください。
*1次試験対策を希望される方は、参加申し込み時に対策をしたい科目と、どのようなことをしたいかを簡単にご記載ください。

お申込みはこちらから

勝手ながら各回とも開催日前日の0時に申込みを締め切らせていただきます。

〆切後に参加を希望される方はメールにてお問い合わせください。
お問い合わせ先:takipro2010(あっと)gmail.com

 

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