事例Ⅰで合格点を確保するためのヒント by 白湯

読者の皆様はじめまして。タキプロ12期@名古屋の白湯(さゆ)と申します。

■はじめに

まずは、私「白湯」の自己紹介です。

年代/性別:30代 / 男性
職種:金融系の営業
受験歴:1次1回、2次2回(①令和元年、②令和2年)
勉強時間:1次 780時間、2次① 360時間、2次② 760時間
勉強方法:1次 通信、2次①予備校、2次②勉強会
得意科目:2次事例Ⅱ

ハンドルネーム「白湯」の由来は、受験勉強中に身についたルーティンで、毎朝起き抜けに一杯の白湯を飲むことです。
長期間にわたる中小企業診断士の学習も、意識的にルーティン化することで乗り越えられた自負がありますので、そんな話題も別の機会に触れたいと思います。

■事例Ⅰで合格点を確保するという考え方

はじめに、私の令和2年度の事例Ⅰの得点開示結果は60点でした。

試験後に他の優秀な受験生の再現答案を見たり、予備校の模範解答を見て、入れるべき論点やキーワードがけっこう抜けてしまったな、という反省が残りました(再現答案を最後に載せます)。
とはいえ、作問者の意図を大きく外す「大事故」を起こさず、合格点に留まれた点数だと思います。

本日の記事は、事例Ⅰで大きな失点をしないためのヒントを提供することを目標にしています。
高得点を獲得するための「攻め」ではなく、合格点を下回らないための「守り」の考え方かもしれません。

この時期に本記事をご覧頂く方は、2次試験の再チャレンジ組の方が多いと思います。
皆様は、すでに過去問に取り組んでいて、中には、同じ年度の過去問を何度か繰り返し解いた、という方も多いと思います。

私自身、2度目の2次試験にあたり、過去12年分の事例を各3回ずつ解いたため、試験の1か月ほど前になると、すでに与件のストーリーや経営課題、論点を覚えてしまっていました。もし過去問と全く同じ切り口の事例が出題されたら、本試験でも余裕をもって解答できていたことでしょう。

しかし、当然ながら、試験当日に出題される事例は初めて世間に公開される、ピカピカの新作事例です。
過去問はもちろん、予備校の模試すらも本試験の過去問を参考に作られていることを考えると、受験年度の本試験だけが正真正銘の新作問題と言えると思います。
新作問題では、過去問に似た問題も数問出題されますが、逆に過去問では問われたことのない、まったく新しい(ように見える)切り口の設問が出題され、受験生は戸惑うことになります。

その結果、過去問はほぼ完璧に対応できるまで磨き上げたのに、本試験では上手く対応できなかった・・・という感想を持つ方が多いのだと思います。でも、それがレベルの高い2次試験受験生をフルイにかけるための、作問者の狙いでもあるはずなので、完璧に対応できないことが当たり前といえば当たり前です。

そんな厳しい本試験において、作問者が意図した論点やキーワードを全て押さえて高得点を獲得し、安全圏で合格する・・・初めて見る事例で、誰しもができることではないと思います。
解答に論点やキーワードを十分に盛り込めなかったとしても、失点を防ぎ合格点に留まることができた経験をもとに、私が拠り所としていた事例Ⅰのヒント(心がけ)をお伝えできればと思います。

■合格点を確保するためのヒント

前置きが長くなりました。
以下に、事例Ⅰにおいて合格点を確保するための、私なりのヒント(心がけ)を記載します。
私は以下の3つを心がけながら過去問演習をすることで、「何を書いたら良いか分からない」状態から、「書くべきことはある程度絞れる」ようになりましたので、ご参考になれば幸いです。

ヒント① 事例を貫くストーリー、方向性、企業の特徴、経営課題に基づいて考える

解答手順確立のための最重要事項として、過去問を演習する際には、どの事例においてもまず以下2点の把握に努めました。
・事例企業の経営課題や、社長の考えは何か
・どんな環境変化があり、それに対する経営戦略は何か

目の前の事例から経営課題や社長の考え、SWOT等を把握し、環境変化を踏まえた経営戦略をストーリー立てて把握し、解答に一貫性を持たせることで、上位20%の解答(=合格点)となるのだと思います。

この際特に注意すべきは、必ず当該年度の与件に基づいて考えることです。過去問に引きずられたキーワードを選択したり、パターン化された論点を無理矢理入れ込もうとすることで、大外しの危険性が高まるため、注意した方が良いと思います。

ヒント② 設問間の関連性を意識する

各設問につき、以下2点を意識して進めることで、設問間の重複を避け、設問と与件の対応付けを安定して行うことが可能になります。
・設問のレイヤー(SWOT分析 / 経営戦略 / 事業戦略 / 組織構造・組織戦略 / 人事戦略・戦術)を把握する
・(ヒント①で把握した)事例のストーリーの中での位置づけを把握する

事例ごとの設問構造をしっかり分析することで、設問と与件との対応付けが明確になり、初見の事例で大外ししない対応が可能になると思います。

ヒント③ 与件の言葉を使い倒し、一般論を避ける
・与件文を抽象化し、メモを与件文の行間に書き込む

与件や設問に書かれていることを、中小企業診断士的には「つまりこういうこと」と言い換えて、与件文中に簡単なメモを記入していました。与件のフレーズは因果の「因」言い換えた内容は因果の「果」と整理して考えることで、与件文を使い倒して具体的に記述することを意識しました。また、この方法では与件文の中で解答骨子を作り上げるため、骨子を別途メモする時間を減らし、考える時間を長くとれるという副次的効果もありました。

■令和2年度事例Ⅰの再現答案

最後に、上記の心がけに基づいて解いた再現答案を掲載します。
論点やキーワードの抜けはあるものの、大外れの内容は書かなかった(はず)と思っております。
また、与件文をなるべく活かして、矛盾のない内容にした(つもり)です。
決して完璧ではない、及第点の再現答案としてご参考になれば幸いです。

◇第1問設問1
経営ビジョンは①地元の蔵元の老舗ブランドを生かし高級な蔵元として発展させ立て直す
②ベテラン従業員の雇用維持と事業継続により地元経済を活性化することで、A社企業グ
ループ全体の発展を図ったこと。
★A社長を育成する論点や、インバウンド需要取り込みといったキーワードが抜けていますね。

◇第1問設問2
理由は①旧家の屋号に対する強い思いや従業員への雇用責任を引継ぐことで前経営者から
の強い協力が期待できるため、②ベテラン従業員を雇用継続し安心して能力を発揮させ、
酒造りの精度を高めるため、である。
★ブランドの復活や、酒造のノウハウ指導を受けるといった論点が入っていないですね。

◇第2問
手順は①前任の事務員の知識・経験を引き継ぎながら、②正規・非正規社員、杜氏からの
聞き取りを進め、現場のルールやノウハウを明文化し、DBとして整理し➂社員全員が閲
覧可能な状態にしたこと。
★暗黙知、形式知というキーワードを入れられていませんね。

◇第3問
能力は①日本酒バーやレストランの従業員と杜氏との橋渡し役を担い、消費者のニーズを
製品開発に生かすこと、②わが国を代表する観光地の老舗蔵元としてのブランドを使い、
適切な情報発信手段で消費者に訴求する事。

◇第4問
留意点は①地域活性の共通目的をA社グループ全体へ浸透させ②飲食店、旅館、蔵元の業
務の違いを考慮し公平な評価を行い➂人事制度を丁寧に説明し納得感を高めることで、グ
ループ全体のバランス向上を図ること。

■おわりに

2次試験は正答がないだけに、キーワードやフレームの引き出しをたくさん増やして、パターンに当て嵌めることで不安を減らしたくなりますね。もちろん、自分なりの解答パターンをもつことは決して間違いではないと思います。ただし、本試験では必ずその年度の事例企業の経営課題や社長の考え、環境変化とそれに対する経営戦略、といったストーリーと整合するように注意して頂くと、書くべき論点が絞れるとともに、大外れしない解答になるのではないかと思います。

引き続き、頑張ってください!

次回はミンターさんの登場です。
お楽しみに!
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