【事例Ⅱ】「資源チェック」— ポエム化を防ぐ3ステップ by ポッキー

事例Ⅱ

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■はじめに 事例Ⅱの落とし穴

事例Ⅱは、事例企業のマーケティング戦略を問う科目です。受験者にとっても、消費者として日常生活の中で企業のマーケティング戦略に触れる機会が多いため、他の事例よりも「なんとなく書けてしまう」科目でもあります。しかしその結果、出題者の意図から外れた、いわゆる「ポエム」のような解答に陥りやすい危険性も、実は事例Ⅱが最も高いのではないかと感じています。

実際、私自身も二次試験対策を始めた比較的早い段階で、事例Ⅱだけは解答用紙のマス目を埋められるようになりました。ただし、その解答の中には自分の消費者としての経験や仕事上の実務経験に基づいた内容が含まれ、後から見返すと「ポエム」になっていた時期がありました。

■経営資源と設問との紐づけ

この「ポエム」状態から抜け出せたのは、事例Ⅱ企業の経営資源と設問との紐づけを強く意識するようになってからです。

経営資源が限られる中小企業は、現時点で自社が内部に有する経営資源をフル活用する必要があります。事例Ⅱの与件文には、この経営資源に関する記述が数多く盛り込まれています。それらを正確に読み取り、理論的に整合性のある形で設問に紐づけることこそが、事例Ⅱ攻略のカギだと考えています。

■事例Ⅱ攻略の手順:「資源チェック」の3ステップ

事例Ⅱで「ポエム」化を防ぎ、出題者の意図に沿った解答を作成するための手順は、次の3ステップに整理できます。

ステップ1:与件文から経営資源を洗い出す

設問文・与件文の順番に読んだ後、与件文から「これは経営資源では」と思われる記述をすべて拾い出します。ヒト・モノ・カネ・情報といった典型的な区分にこだわりすぎず、以下のような観点で幅広く洗い出すのがポイントです。

  • 従業員の経歴・スキル・経験(例:競技経験、前職の経歴)
  • 技術力・ノウハウ・評判(例:「高い技術水準」「〇〇という評価」)
  • 顧客との関係性・コミュニケーション力
  • 経営者自身の経歴・人脈
  • 外部からの評価・知名度・実績

ステップ2:資源を設問に仮に紐づける

洗い出した資源それぞれについて、「この資源はどの設問の解答に使えそうか」を仮に割り振ります。この段階では正解を出す必要はなく、あくまで「解答の材料候補をどこに配置するか」の当たりをつける作業です。1つの資源が複数の設問にまたがって使えそうな場合は、両方にメモしておいて構いません。また無理にすべての経営資源を使う必要もありません。

ステップ3:紐づけをもとに解答の方向性を固め、推敲する

資源と設問の対応関係が見えたら、それを土台に解答メモを作成し、出題者の意図(設問で問われている論点)に沿う形で内容を膨らませ、文章として仕上げます。ここで初めて「自分の経験や知識」を加える余地が生まれますが、あくまで資源との紐づけという制約の中で行うことで、与件文から離れたポエム化を防ぐことができます。

■実践例:令和7年度 B社の資源チェック

ここで、令和7年度の問題を例に、ステップ1・2の実践例を具体的に解説します。

令和7年度のB社の与件文からは、以下のような経営資源が読み取れます(ステップ1)。

①従業員に(中略)サッカー、バスケットボール、バレーボール、野球の競技経験(第1段落)
②(従業員)4名に頻繁に技術指導し、社長が求める高い技術水準を維持(第1段落)
③「心のしこりももみほぐす」という評価(第4段落)
④顧客の声に耳を傾けるコミュニケーション力(第7段落)
⑤B社社長がZ社出身という経歴(第8段落)
⑥強豪運動部を擁する大学のトレーナーに選ばれているという知名度(第9段落)

これらの経営資源は、第2問、第3問、第4問に対して、それぞれ次のように紐づけができます(ステップ2)。

  • 第2問 時間ごとに繁閑差の問題をターゲット層を意識した価格戦略で解決→ ①⑤⑥
  • 第3問 B社の強みを活かして、顧客情報を蓄積、活用→ ①③④
  • 第4問 未来のアスリートを呼び込むWebサイト動画→ ③④⑥、さらに社長が大学2年生の時に負った怪我の経験(第三段落)

もちろん、経営資源と設問を紐づけただけで解答が完成するわけではありません。出題者の意図を踏まえて受験者自身が内容を膨らませ、文章を推敲する作業は必要です(ステップ3)。

■おわりに

このように、解答を書き始める前にあらかじめ経営資源と設問の対応関係を整理しておくことで、解答の方向性に一定の制約を設けることができ、大枠を外さない解答を作りやすくなります。

事例Ⅱは「なんとなく書けてしまう」科目だからこそ、その感覚が「ポエム」化の入り口にもなります。答案を書き始める前に、まず与件文の経営資源に立ち返る一手間を、ぜひ意識してみてください。

次回は、あち さんの登場です。 

お楽しみに! 

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