実務補習で得られたもの by Mark

タキプロ14期の Mark と申します。 

過去の記事はこちらからご参照ください。

1回目:「事例Ⅳ90点のみで一発合格by Mark」について 詳細はこちら

2回目:「中小企業診断士の資格取得にまつわるコストby Mark」 詳細はこちら

 

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■はじめに

口述試験に合格された方、おめでとうございます。この記事がアップされる本日は試験合格後の最初の関門となる実務補習(2月コース)がスタートします。
今回は、5日間コースを3回受講した私のケースを紹介します。

■実務補習について

中小企業診断士として正式登録するためには、2次試験合格後に15日以上の実務補習又は、実務従事を行う必要があります。
実務補習は5日間コース(5日)と15日間コース(15日)がありますが、5日は平日日程が2日、15日は6日も組み込まれており、費用も5日が6万円、15日が約18万円かかります。時間とお金の負担は少なくありません。
しかしながら、診断業務未経験、実務従事の伝手も持たないサラリーマンの私は実務補習を選択せざるを得ませんでした。結果、いずれの回も楽しく、好奇心が満たされ、得るものの多い実務補習となりました。

■実務補習のプロセス

経営診断は、契約→診断→計画→導入→終了の手順を踏みます。その中で、実務補習は「診断」と「計画」の部分に焦点を当て実践していきます。更にこの部分は、次の7つのプロセスに分解されます。
(1)経営診断ニーズ確認・経営実態把握
(2)経営環境分析
(3)経営資源分析
(4)経営課題抽出(SWOT分析)
(5)全体最適調整
(6)経営改善提言・経営革新提言
(7)経営診断報告

この7つのプロセスにつき、実務補習の中で実践し得られたものにつき説明いたします。なお、実務補習で得られた情報については守秘義務があります。よって、以下で言及される経営者や中小企業に関する具体的内容に関しては、実務補習での経験を基に筆者が創作した架空のものであることを申し添えます。

■(1)経営診断ニーズ確認・経営実態把握

まずは、事前準備として指導員の先生からの情報を元に、業界や会社概況を業種別審査辞典や会社のホームページにて、「業界の情報」「診断先の情報」を把握します。その後、経営者へのヒアリングを通して経営者が求める診断ニーズを把握します。

ヒアリングの注意点としては、事実の確認もさることながら、問題の発見と課題の抽出を行いつつ、将来の理想像又は、あるべき姿を明確にすることが重要なポイントです。初回は、饒舌な経営者の苦労話や微細な説明に聞き入ってしまい、肝心の理想像やあるべき姿をヒアリングする時間を確保できませんでした。2回目、3回目になると、若いながらも将来の会社の姿を明確に持った経営者であったり、将来と今後のビジョンを楽しそうに語る経営者ではありましたが、まずは話の腰を折ることなく傾聴しました。その後、こちらの意図する質問を差し込むことで、戦略的に「想い」を引き出すことができました。
事前に情報を収集し、時間配分を考慮しつつ、意図が明確で気持ち良く回答してもらえるような質問を投げかける。聞き上手になること、傾聴の姿勢を持つことが、診断士に必要なスキルと学習しました。

■(2)経営環境分析

市場の成長性や業界の競争性、技術動向、環境問題などの外部環境を分析します。いわゆるPEST分析と呼ばれるものです。

まずは業種別審査辞典で業界の概況を把握します。この辞典には、Ⅰ業種の理解、Ⅱ業界の動向、Ⅲ業務内容・特性、Ⅳ業種分析のポイント、Ⅴ財務諸表の見方、Ⅵ事業性評価および取引推進上のポイント、Ⅶ関連法規制・制度融資等、Ⅷ業界団体、といった項目が並びます。その他、地域別の人口構成や産業、業種別出荷額、一人当たり賃金等の情報はRESAS(地域経済分析システム)を利用しました。小規模、地域限定の特徴を持つ中小企業を取り巻く環境分析においては、RESASを利用した地域経済動向の把握が有効でした。データ分析の基礎を学ぶ上でも有益でありお勧めします。

■(3)経営資源分析

いわゆる内部環境分析となります。製品分析、財務分析が中心となりますが、ヒアリングや内部資料の入手を通じて製品の差別化ポイント、財務の収益性、生産性、安全性・成長性を分析します。

3回の実務補習で診断した会社は、創業間もない会社、創業70年の会社、個人事業主から法人化し30年の会社と社歴も様々。それぞれに商品・製品の独自性があり、財務の強み弱みも異なりました。日々の出荷に追われ利益は二の次の会社や、利益を出して税金を払うくらいなら投資のつもりで外部開発委託に支出する会社もあれば、安定継続取引の中で堅実に利益を上げ、税引後の利益を自己資本に蓄積させる堅実な会社もありました。資金が続く限り、どのようなスタンスで経営するかは会社の方針であり、経営には正解がないことを学びました。特に中小企業は唯一無二の「個」の存在で、抽象論や一般論では語れない部分が多々あります。「個別」「具体」の世界が中心である現実を再認識しました。

■(4)経営課題抽出(SWOT分析)

2次試験でも頻出の基本的な診断手法になります。強みと機会/弱みと脅威の4つの切り口で経営課題を抽出します。ヒアリング結果と業界情報及び、企業情報を組み合わせて課題を整理します。切り口としては外部環境(PEST、3C)や内部環境(ヒト・モノ・カネ・情報)が一般的です。

この部分は比較的スムーズに進めることができましたが、やはり最初よりは2回目、3回目の方が効率的・効果的でした。これは個人の能力や経験に左右される部分もありますが、使用ツールによっても大きく変わると思います。ホワイトボードを使った整理は視覚的であり、チームの一体感醸成にも有効ですが、転記や統合作業に手間取ります。3回目の実務補習ではGoogleスプレッドシートでSWOT分析を行うことにより、左記の手間を省き時短に繋げました。VRIO分析まで行い、作業の効率化による余剰時間を分析の高度化にシフトすることができました。

■(5)全体最適調整

分析結果の分野別方向性(問題・課題・方向性)が診断先の目標・ベクトルに合った全体最適となっているか調整します。ヒアリングが十分になされていれば経営者の目標やベクトルは明確であり調整もスムーズです。SWOT分析も統合作業が効率的であれば全体調整の時間も十分に確保されます。実務補習が5~6名で行う組織的活動であることも踏まえ、リーダーシップとタイムマネジメント、ICT活用が全体最適調整を滞りなく進める為のポイントです

■(6)経営改善提言・経営革新提言

分析を踏まえどのような提言を行うか、市場戦略や製品戦略、内部資源の調達・活用、組織改善等を診断ニーズに沿って検討します。ポイントは具体的であり、すぐに取り組み可能な短期的な項目と、ありたい姿に到達する為の中長期的な項目を一貫性・整合性を持って盛り込むことです。

ここが最も知恵を出し合い、悩み、議論する難関プロセスです。初めての実務補習では、それぞれがSWOT分析から導き出される課題と提言を持ち寄り議論するスタイルを取りました。最初に軸となる経営者のビジョンや基本戦略を共有していなかった為、出てきた提言のレベルが整わず戦略骨子の作り込みに苦労しました。手戻りが増え、業務の多忙も相まってほぼ徹夜で仕上げるというメンバーも出る状態でした。
2回目は先に戦略を決め、その実現に必要な提言に展開していくという手法を採用しました。営業、生産、組織、情報、財務のそれぞれが戦略との整合を意識しながらの提言となり比較的順調に仕上がりました。一方で、中長期的な提言については、経営者のビジョン把握が不完全で、提言内容の裏付け確保に手間取りました。
3回目はその全てを踏まえ、戦略の基本観の事前共有に加え、短期・中長期の切り口を想定したヒアリングを実施することで経営ビジョンの共有ができました。

饒舌でアイデアがあふれ出る経営者でした。個性的ではあったのですが、過去から現在、将来に向けての施策と方向性に一貫性が欠ける部分もあり、整合性の確保には工夫が必要でした。とはいえ、日々の環境変化に対応する中での具体的な行動があり、計画よりも実行を重視した結果会社として生き残ってきたのも事実でした。理論と実践・実務の落としどころを見極めることも、提言立案の重要なポイントでした。

■(7)経営診断報告

診断先の経営者に対して行う経営診断報告会そのものとなります。資料作成スキルとプレゼンスキル(話す力)が求められます。

資料作成スキルについては、基本となる診断報告書のレベルを形式的、実質的な観点で一定水準をクリアさせることが重要です。

形式的とは、表紙、目次、フォントなどの体裁が整えられているか、といった観点です。ワードのインデント処理や、目次の自動作成といったテクニックが要求されます。用語の統一も形式的要素の一つでしょう。社長か経営者か、社員か従業員か、といった呼称表現は各自が原稿を作成する前に申し合わせが必要です。
実質的とは、提言の一貫性・整合性とも関連しますが、問題・課題・提言のストーリーに矛盾やダブりが無く、短期的な施策と中長期的な施策がバランス良く配置されているかの観点です。一番のポイントは、提言が経営者のお困りごとや方向性に寄り添っていることです。これは(6)の段階で一定水準を確保しておく必要があります。

プレゼンスキル(話す力)は、ワードの診断報告書に加え、プレゼン用にパワポ資料を作成する場合にはパワポのスキルも要求されるでしょう。私の場合はパワポ作成が1回、未作成が2回でした。また、話す力については話すスピード、声の大きさ、明瞭さなど個人差がありますが、相手を見ることなく下を向いたままで、原稿の棒読みに終始する、といったことがなければ及第点ではないでしょうか。ついつい早口になってしまう傾向がありますので、ゆっくり丁寧に相手の目を見て真摯な態度を心がけると良いようです。

■おわりに

以上が実務補習のプロセスとなります。得られたものを箇条書きでまとめると以下でしょうか。


先輩診断士(指導員)との出会い
同僚診断士(班のメンバー)との出会い
●実在の経営者との出会い
●診断プロセス全体像の理解
●分析・ヒアリングスキルの重要性
●理論と実務のギャップに対する現実解・落としどころの重要性
●チーム運営スキル(リーダーシップ、フォロワーシップ、プロマネ)
●ICTツール活用スキル(Googleスプレッド/Drop Box/Zoom/LINE/Word)
診断士としての自信と覚悟


なお、同じプロセスなら1回でも良いのではとの意見もありますが、時間とお金が許すのであれば3回経験すべきです。特に、指導員や班のメンバーとの交流は得るものが多く、各人の個性や多様性に刺激や学びを頂きました。人的交流はお金に代えられない財産です。診断士業界新入りの時に多くの経験を積んでおくことをお勧めします。

次回は、たく さんの登場です。 

お楽しみに! 

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