事例Ⅳ90点のみで一発合格 by Mark

読者のみなさん、こんにちは。 タキプロ14期のMarkと申します。初めてのブログ投稿となりますが、中小企業診断士を受験している方や、これから受験予定の方に少しでもこの合格体験記がお役に立てば幸いです。

■はじめに

2次試験まで2カ月を切ったタイミングですので、特に2次試験攻略方法を中心に展開いたします。

■自己紹介

属性:地方都市在住の50歳男性

受験歴:1次試験1回、2次試験1回(一発合格!)

勉強時間:1次 5か月で283時間
     2次 3か月で300時間

勉強方法:1次 独学
     2次 独学

得意科目:1次 財務会計
     2次 事例Ⅳ

苦手科目:1次 経営法務、中小企業経営・中小企業政策
     2次 事例Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ

保有資格:簿記1級、建設業経理事務士1級、証券アナリスト試験(1次)など

■1次試験の勉強方法

 1次試験の7科目のうち、企業経営理論は大学(院)での知識、財務・会計は簿記1級、経済は証券アナリストで受験知識あり、運営管理、経営情報システムは業務経験からの知識、で5科目は基礎的知識ありと判明。残りの法務、中小企業経営・政策の2科目は直前の詰め込み暗記で対応可能と判断し、4月学習スタート8月受験を決意しました。

 ネットの情報で最初に手にした「まとめシート」のまとまり具合に感動しました。これだけで合格できる、というアマゾンのコメントを信じ、まとめページのインプットと単元ごとの過去問を解く、というサイクルを7科目全てを対象に3回ほど愚直に回しました。その後TAC問題集を3回ほど回しました。

 後回しにしていた暗記科目はネットにある無料のアプリ単語カードで通勤途中に覚えることで弱点補強に努めました。

 結果、自己採点438点で合格することができました。苦手の経営法務が易化した年にハマったことも有利に働きました。

■2次試験の勉強方法(はじめに)

 2次試験は詳細はおろか、概要さえも1次試験が終了するまで把握していませんでした。1次試験が終了した令和4年8月7日(日)の夜、そこで改めて2次試験対策に残された時間が3カ月(12週)しかない!ということを現実問題として再認識しました。が、不思議と焦りや不安を感じることもなく、冷静にこれからやるべきことをメモに認めていました。

【メモ】~2次試験まで12W(週)でやるべきこと~

①日程確認:1次発表9/6(火)、2次筆記10/30(日)

②やること
 ●支援団体、一発、ふぞろい
 ●方向性を決める
 ●計画を立てる

③概略スケジュール
8月・・キソ
 →1次の振り返り、プロセス身につける80分で解く力(一度解いてみる)、2次に慣れる
9月・・応用
 →過去問演習、5年分解く+それ以外も
10月・・応用
 →(空白)

 1次試験が終了したその日に方針を決めたことで安心したのか、翌日は年休を取得して海水浴に出かけたり、お盆休みには関西方面へフェリーで出かけたりもしました。長い受験期間を乗り切るには適度な息抜きも必要かもしれません。

■2次試験の勉強方法(8月)

 1次試験の受験会場出口で受け取ったチラシを頼りにKECセミナーに参加したり、ネット情報を収集することで試験の特徴や注意すべきポイント把握に努めました。結果、2次対策の方向性、使用ツールを以下の通り決定しました。

【基本方針】

(1)1次試験は自律的、計画的にコストミニマムで学習できた。KECセミナーで2次試験特有の MECE(もれなくダブりなく)、ロジカル思考、文章力、与件文ファースト等の特殊なスタイルを身に付けることが必要と理解した。この2点に最も適合すると判断した「まとめシート流」を採用する。但し、その手法が合わない場合も考慮し、8月末(2W後)に中間レビューを行う。
(2)メインテキストとして「イケカコ」を回す。サブテキストとして「事例Ⅳの全知識&全ノウハウ」を使用する。
(3)8月を基礎強化月間、9~10月を応用月間としておおまかなスケジュールをたてる。

【キーワード】
・プロセス重視、知識よりロジック、最終的にはパターン化した流れ作業
・計算は強みに(得点源として強化)、PDCA、インプット→アウトプット
・時には武者修行(模試)、情報収集(ブログ等)

 事例Ⅰ~Ⅲは、「「まとめシート」流!ゼロから始める2次対策」と「「まとめシート」流!解法実況(事例Ⅰ~Ⅲ)令和3年度版」を読み込んで解法の理解と把握に努め、過去問に取り組みました。結果、知識不足や論理的でない文章、制限時間内で書く解答の文字が想像以上に乱雑などの実力不足が次々と露呈しました。訓練あるのみと悟りました。

 事例Ⅳは「イケカコ」と「事例Ⅳの全知識&全ノウハウ」を同時に回しました。全知識&全ノウハウは丁寧で過去問に沿った内容の為、基礎的な力を付けるには十分ですが、財務・会計として本来理解すべき内容を端折った部分も散見され、章によっては物足りない部分も見受けられました(診断士試験に効率的に寄り添うスタイル、理論説明省略型)。一方、イケカコは生粋の会計学者の著書であり、理論の説明は簡潔ながら的を射ており、かつ、その想定する資格試験には公認会計士試験も含まれている等、手応え十分な内容でした。激しく難しいテキストですが、中小企業診断士試験が毎年新たな切り口での問題を投入する近年の傾向を踏まえると、イケカコも同時進行で進める意義は十分にあると考えます。

■2次試験の勉強方法(9月)

 8月を基礎強化月間と設定し、プロセス身につけ2次に慣れる作業を繰り返してきました。9月4日に振り返りを行い、弱点克服の為に設定した9月ノルマをひたすら繰り返すことで弱点補強に努めました。

【振り返り】
当初予定した「最初の1カ月で事例Ⅰ~Ⅳのインプットとアウトプットを一通り行い全体像を掴む」、という目標は達成できました。また、自分の実力レベルを把握し、現時点では合格レベルに達していない点を認識できた点は良かったと思います。基礎理論の理解と、文章展開力、時間配分が弱く、また、事例Ⅳではケアレスミスが目立つ状態でした。これらの弱点克服の為、以下のノルマを課しました。

【9月のノルマ】

(1)事例Ⅰ~Ⅲのいずれかを1日1問解く
(2)事例Ⅳのいずれかを1日1問解く
(3)Web勉強会、公開模試、セミナーへ参加する

【実施状況】
(1)概ね達成だが、振り返りコメントから強化すべきポイントは以下
 ・与件文を丁寧に読み込んでいない(3件の指摘)→与件文ファーストで!
 ・因果の記述が不完全で思考が解答に未反映(3件の指摘)→ロジカルシンキングを!
 ・文章の体を成していない、文字判別不能(8件の指摘)→国語の再復習を!
 ・事例Ⅰ~Ⅲの知識不足(5件の指摘)→1次試験の振り返りを!
 ・解答時間が足りない→解答骨子を作成しない
(2)概ね達成だが、ケアレスミス減らず
(3)一発合格道場主催「秋勉強会」に参加、初めて他の受験生と交流

■2次試験の勉強方法(10月)

 紆余曲折ありながら型が完成しつつあると判断し、本番を想定したセルフ模試を10月2日に行いました。当日のスケジュールは本番通りとはいかず、所用が入り込んだため昼休みがやたらと長い時間割となってしまいました。とはいえ、初めての4科目同日のセルフ模試。疲れはあったものの、全ての事例で解答欄を全て埋めることができ、それなりの達成感を得ることができました。文字の見易さ等、形式的な観点から振り返った結果は次の通りです。

【形式的評価】

  • 文字の判読しやすさ・・概ね判読できるレベル。誤字脱字はなし
  • 解答の型・・設問の名詞化(理由はXX、風土はXX、要因はXX)で主語を統一できていた。理由が複数の場合は①、②などのナンバリングもできていた
  • 事例Ⅳの精度・・単位の誤認識はなかったが、足し算ミスや計算用紙から解答用紙への転記ミスが散見された(営業利益率を転記すべきところ総利益率を転記)

 また、設問解釈や論理展開、理論展開の妥当性など実質的な観点から振り返った結果は次の通りです。

【実質的評価】

  • 事例Ⅰ・・概ね対応できていた。”リーダーシップ”、”改革途中”など、与件文から具体例を抽出し確実に転記できる能力(解答直結キーワード抽出)の向上が課題。社長の思いの把握が課題。
  • 事例Ⅱ・・概ね対応できた。効果を簡潔に記述する為のキラーワード(愛顧向上、固定客化)を使えるようになればベター。
  • 事例Ⅲ・・因果が不十分(生産増は原因、効果は稼働率向上やノウハウ獲得とすべき)。設問解釈ミスと思われる解答の撲滅を(生産管理上の検討内容に対しIT上の方策DRINKで解答)。また、戦略面への言及が弱い(営業と生産に切り分けた施策と効果(新規受注による売上依存回避、保有技術による差別化))

主観ベースですが自己採点の結果は以下の通りです。

【得点(自己採点)】

事例Ⅰ 45-50(足切りライン40点)

事例Ⅱ 50-55(同上)

事例Ⅲ 45-50(同上)

事例Ⅳ 65-70(同上)

総得点:205-225(合格ライン240点)

現時点での得点結果から自身の強み・弱みが明確になりました。総得点は合格レベルの240点には到達しておりません。特に、経営戦略や施策を論理展開する要素が強い事例Ⅰ及びⅢの得点が低く弱点となっています。

 戦略や論理展開の余地が比較的少なく、与件文からの読み取りがメインの事例Ⅱは相対的に得点が高く、元々得意としていた事例Ⅳはケアレスミスがありながらも合格水準以上は得点できており、強みとなっていることが明らかになりました。これらの強み・弱みを、戦略立案に繋げるフレームワークであるクロスSWOTを用いて分析してみました。

表:2次試験対策クロスSWOT分析

 強み(事例Ⅱ・Ⅳ)弱み(事例Ⅰ・Ⅲ)
機会(論理展開・因果強化)(積極化戦略)・事例Ⅱでの論理展開をより因果の明確なものとする(弱点強化戦略)・足切り40点を回避すべく、経営戦略、人事組織戦略、生産管理・統制施策を確実に理解し定着させる・因果と効果の繋がりを常に意識し、具体→抽象→具体の展開に沿った記述スタイルを確立する
脅威(ケアレスミス・設問解釈ミス)(差別化戦略)・ケアレスミスを撲滅し、圧倒的な強みを事例Ⅳで確立させる(防衛策)・設問解釈ミスを削減する

(強みを伸ばす差別化戦略)

強みを更に伸ばす為、事例Ⅳでのケアレスミス撲滅に注力します。これにより事例Ⅳでの圧倒的優位性を確立し他の受験生との差別化を図ります。

(弱みを補う弱点強化戦略)

一方、弱みである論理展開や理論の定着化、レベルアップにはそれなりの時間が要求されます。

弱みとなる事例Ⅰ・Ⅲに関しては、目標を足切り40点を回避するという戦略を採用し、経営戦略、人事組織戦略、生産管理・統制理論の確実な理解と定着化に努めます。事例演習、設問解釈演習を通じた因果と効果の繋がりを常に意識した具体→抽象→具体の展開に沿った記述スタイルを確立します。

 以上2点を軸とした戦略で残り4週間に臨むことにしました。

 それから4週間後。ケアレスミスを撲滅し、圧倒的な強みを事例Ⅳで確立させるという差別化戦略を採用したこともあり、事例Ⅳのファイナルペーパーに力を入れて作成しました。他の事例は先人の成果物に自身のポイントを追記したレベルですが、事例Ⅳのファイナルペーパーはオリジナル要素満載でした。但し、知識関連に全く触れておらず、心構えや注意点に特化したものでした。主な項目は以下の通りです。

【事例Ⅳ:ファイナルペーパー】

■はじめに・・

 ①まずは答案用紙に受験番号を書くこと
 ②次に答案用紙をざっと眺め問題数、文字数、配点(イメージ)を確認すること

■ミス防止・・

 ①ケタ金額、月度の範囲・・円、千円、万円、百万円、削減額は月当たり、CF計算は年間12カ月分
 ②端数処理・・四捨五入か?小数点以下何位か?〇〇円以上か?以下か?未満か?超か?
 ③転記ミス・・(例)売上高利益率とすべきところを行を一段下の売上高営業利益率としてしまった→(対策)答えはマーカーで〇かラインを引くこと
 ④単純な計算ミス・・(例)40+10=40、50+20=60
 →(対策)極力計算プロセスを文字と共に書く。例 変動製造原価40+固定製造原価60=売上原価100
 →特に、意思決定会計DCFのボックス図!
 ⑤符号付け忘れミス・・マイナスの表記は△で統一させたい。解答への転記もあり
 ⑥単位の記載to解答欄・・計算過程を記述する設問は(単位:万円)などを右上に記載すること
 ⑦解答記入欄錯誤・・設問3をスキップした場合、解答欄もスキップさせる。記入場所を間違えての再記入による時間ロス回避

■極意

  1. これは財務会計のテストを装ったタイムマネジメントのテスト
  2. 解く順は設問順に。但し予め設問毎の時間配分を決めておき、時間が来たら途中でも次の設問に移る
  3. 一計算、一見直し
  4. 固変分解を間違えたら試験に落ちたと思え。率ではなく額の場合もある、検算注意
  5. 単位、桁数、要注意

■自分へのファイナルメッセージ

時間はある、余裕を持って丁寧・確実に美しい数値と文字を心がける

 最終的に、イケカコ36日(3周)、全知全ノウ23日(3周)、事例Ⅰ過去問34回、事例Ⅱ21回、事例Ⅲ24回、事例Ⅳ19回を解いて本番に臨みました。

■2次試験結果

 以上の対策を持って臨んだ初めての2次試験でしたが、最後まで気力体力十分な状態を維持できた結果、事例Ⅳ含め全事例の全解答欄を埋めることができました。

事例Ⅰ終了後、隣の方に消しゴム使い過ぎて机が揺れて困るとの指摘を受けるも、丁寧に謝罪し、事例Ⅱからは消しゴムを静かに前後させ軌道修正しました。隣の方からは静かになったよ、とお褒めの言葉も頂けました。事例Ⅳの生産性の問題も初見ながら、一人当たり売上高で指標(計算)と指摘(記述)を一貫させました。

 結果、合計243点でぎりぎり合格、そのうち事例Ⅳが90点でした。

■おわりに

 合格には一定の努力が必須ですが、「運」の要素が同じくらい必要と感じました。自身の場合、コロナや働き方改革で在宅勤務や年休取得が容易であったこと、1次試験では苦手の経営法務の難易度が低い年にハマり足切りを回避できた一方、財務・会計の難化にもかかわらず高得点を取れたこと。2次試験でも得意の事例Ⅳが難化した中で全ての欄を記入した結果、90点の高得点で他の事例をカバーし合格ラインを超えることが出来たこと。これらの要素が一つでも狂うと合格できなかったと考えます。

 各人の得意、不得意や学習に投入できる時間、仕事との兼ね合い、年度毎の難易度の変化等、複数の条件が複雑に絡み合う試験ではありますが、日々の努力と学習方針の正しさを信じ最後まで粘り強くPDCAを回せ合格できます。皆様の合格を祈念します。

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次回はおーちゃんさんの登場です。
お楽しみに!

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