中断からのストレート合格 by AKI

読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ14期のAKIと申します。

■はじめに

今回は私の合格体験記になります。

(前回は、こんな記事を書きました。診断士試験は企業経営理論に始まり企業経営理論に終わる by AKI)

長文ですが、赤裸々に経緯を書いておりますので、是非多くの方にご参考にして頂ければと思います。

■試験勉強のはじまり

私は2022年度(令和4年)に1次試験を1回、2次試験を1回、いわゆるストレートで合格しましたが、試験に興味を持ってから初受験までの期間が長いです。

遡ること8年、中小企業診断士試験を知ったのは2014年頃です。

当時の上司(部長)から飲み会中に怒られていた流れで、あなたは診断士の勉強をしなさい、と言われ、その時初めて資格の存在を認識しました。

一般常識的に資格名は聞いたことはありましたが、理系学部の卒業で経営の勉強は関係ないと思っていたため、その時は聞き流して何らアクションを起こさず終わりました。

しかし、その5年後、玉突きの社内人事異動で、生産管理系の部署から経営企画系の部署へ異動することになります。

部署異動後はいろんな業務に携わる中で経営全般の勉強をしなければ、と感じました。

そんな時、ふと過去に当時の上長から言われた中小企業診断士のことを思い出し、本屋にてTACのスピードテキスト(以下「スピテキ」)を手に取ったことが勉強の始まりでした。

■早速の中断期

最初に目を通したのは1次試験課目の企業経営理論です。

これがとても面白く勉強できたので、次々と他課目のスピテキも購入しました。

この時点では(2019年の秋頃)まだスピテキを読んでいるだけで、過去問もまったくこなしていませんが、通勤時間等も活用してなんとか2020年度の試験を目指そう、と淡く思っていました。

しかし、2019年、私にとって大きな出来事がありました。

それは、母の入院です。

春に母が悪性リンパ腫を患っていると分かり、2019年5月からは長期入院中でした。

お見舞いに行っても元気なそぶりでしたし、まだ60歳と若いのできっと治ると信じておりましたが、病状は悪化する一方です。

2020年明けくらいから本格的に病状が悪化し、残念ながらその年5月に亡くなりました。

あっという間でした。

母の闘病と死で気持ちは完全に落ちてしまい、加えて、この間に社会はコロナウイルスによるパンデミックが起こり、仕事でも混乱が生じていました。

勉強する気力もない状況で2020年の受験は断念し、そのまま試験勉強はフェードアウトしてしまいました。

その後も、ふと診断士試験のことを思い出すものの、気持ちが落ちているためどうしても勉強再開できません。

年が明けて2021年春、中小企業診断士試験の申し込みの時期が来たことは覚えていましたが、1年以上全く勉強していないことから、2021年の受験も断念しました

そしてその後も勉強には手を付けず・・・

気持ちがようやく一区切りしたのは2022年5月です。

GWに母親の三回忌を行いました。

亡くなった2020年は、パンデミックの初期だったことから、葬式もお通夜も完全に家族のみで行いましたが、社交的で親戚付き合いも友達も多かった母親には物足りないものでした。

三回忌の頃は、コロナ禍が多少落ち着いたことから、多くの親戚を呼んで開催することができ、なんとなく気持ちに一区切りがついたのです。

その後、改めて今年中小企業診断士を受験するか否か、考えました。

実質2年は勉強していませんし、スピテキをほとんど読んでいない課目もあります。

そして過去問については全くしていません。

しかし、中小企業診断士試験の1次試験には課目合格があることから、悩んだ結果、とりあえずは課目合格狙いで、今年受験することとしました。

さて、受験は決断したもの、そもそも申し込みの方法を知りません。

ネットで調べると、受験の申し込みには「第一次試験案内」という案内書が必要なようですが、既に郵送による請求は終わっている、というか受付期間ギリギリです。

平日の昼休み、雨が降る中、銀座の協会ビルまで書類を取りに行き、即日郵便局で申し込みました

東京に住まいがなければアウトだったかもしれません。

もう既に5月下旬です。

1次試験は8月6日と7日。

え、あと2か月ちょっとしかない・・・

■実質2カ月しかない1次試験

この時点で、過去問をほとんどしておりません。

課目合格狙いといっても、どの課目が合格に近いかもわかりませんし、とりあえず全課目の受験勉強を進めた上での課目合格狙いになります。

これは大変です・・・効率的に勉強する必要があります。

手元にあるのはTACのスピテキのみ。

まずはTACの過去問を全課目購入しました。

ちなみに正式な書籍名は、「最速合格のための第一次試験過去問題集」、自分にピッタリです。

スピテキを読んで、試験時間を測り試験形式で過去問を解いていくという実践形式やっていくこととしました。

また、とある合格教本で、1次試験では膨大な知識が問われる中、知識をロジックツリー形式で纏めることが有効、といった記述があったので、勉強再開後はスピテキを読み終わると、分野ごとに手書きで紙にロジックツリーを書いて知識の脳内定着を図りました。

個人的には手を動かさないと覚えないタイプで、有効だったかと思います。

スピテキは通勤時間等のすき間時間を活用してひたすら読みました。

そして家に帰るとロジックツリーを作成します。

また、中小企業経営・中小企業政策の対策として中小企業白書も合間に読んでいました。

過去問については、時間も体力も使うので、

平日:2日に1回程度で1課目1年分

土日:1日で2課目(試験時間が90分の課目を1つと60分の課目を1つ)

くらいのペースで対応していきました。

TACの過去問は7課目それぞれ5年分掲載しており、2カ月で全課目5年分やる予定です。

当初は過去問で40点から50点くらいしか取れませんが、スピテキを読み込み、書いたロジックツリーも何度も見返して、5年目分くらいやると、課目によりますが70点くらいとれるようになりました。

7月最終週と8月1週目は、過去問がどうしてもペースから遅れてしまい、毎日のようにやっていました(結局、7課目それぞれ5年分はできませんでした)。

試験前日の金曜日は長丁場に備えて半休を取り、午後は穏やかにロジックツリーを見返し、体調を整え、1次試験に臨みました。

■1次試験

勉強を始めた2019年からずっと意識していた試験なので、感慨深くこの日を迎えました。

程よい緊張感の中で目覚め、朝ごはんにはカツサンドを食べゲンをかつぎます。

受験会場は拓殖大学で、行ったことが無いので余裕をもって到着するようにしました。

部屋もトイレも綺麗で、真夏ですが、空調も問題なさそう。

そしてラッキーなこと最後列の座席でした、これは嬉しい。

さて、課目合格狙いとはいえ、全課目本気で頑張ります。

初日は4課目でそれぞれ60分又は90分ですが、これはなかなかしんどい。

休憩にお菓子を食べながら、なんとか集中力を切らさぬようにします。

4課目、それなりには手ごたえは感じました。

初日が終わり、早めに寝ようと思ったのですが、最も不得意な中小企業経営・中小企業政策(2日目)対策でじたばたしていると、結局深夜まで起きていました。

それでも初日同様、早めに起きて、なんとか最後まで集中力を持続させて、長丁場を終わることができました。

さて、翌日に解答が発表され、早速採点してみます。

結果、企業経営理論と経営法務は共に70点台でしたが、経済学、財務・会計、運営管理、経営情報システム、中小企業経営が50点台と続きます。

なんと、課目合格は2課目です。

5課目も課目合格ラインに届かず・・・

しかし、合計で425点となんと合格しているではありませんか!? 

(その後、2課目で正解の訂正があり、結果、432点となりました)

1次試験合格することを想定していなかったので、採点し終わった後は手が震え、信じられない状況でした。

うれしい、うれしすぎる。

■あまりにもゼロスタートな2次試験

自己採点の結果、1次試験が合格しているようなので、2次試験の準備を始めました(とはいっても、ギリギリなので確信はありませんでしたが)。

さて、問題は2次試験です。

1次試験終了の時点で、どういう試験なのか知りません。

とりあえず2次試験はどういう試験なのか、を調べてみました。

情報収集で分かった最大の事実は、2次試験は筆記と口述があり、筆記が非常に難しい、とのことです。

おいおい今更・・・と感じる方も多いでしょう。

問題をまだ見たこともないので、何も見えていない状況です。

ネット検索では、「与件文」とか「ファイナルペーパー」とか「ふぞろい」とか、聞いたことが無い専門用語がいっぱいでてきます。

とりあえず、参考書を買う必要が有ります。

1次試験と同じく参考書をひたすら読み、過去問を解くというアプローチこそ合格へ最速、と考え、ネット検索をして、以下を購入。

・ふぞろいな合格答案

・2次試験合格者の頭の中にあった全知識

・2次試験合格者の頭の中にあった全ノウハウ

また、事例Ⅳは筆記に加え、計算問題のプロセスも回答に含むとのことで、実は私は簿記2級を持っているのですが、そのわりに財務会計は苦手なので追加で勉強した方がよいだろうと思い、以下を購入しました。

・TAC 第2次試験 事例IVの解き方

・中小企業診断士2次試験 事例IVの全知識&全ノウハウ

そして、1次試験が終わったらすぐに2次試験勉強に取り掛かるべし、と様々なネット記事で書かれています。

しかしながら、1次試験を短期決戦で対応した影響で、燃えつきが顕著です。

8月のお盆は、家族でゆっくり帰省、その後も一向に試験勉強へ気持ちを切り替えることができません。

結局8月は情報収集と参考書を買って受け取っただけで終わるという始末・・・!

ただでさえ出遅れているのに、これは本当にやばい。

■模試を受ける

全く勉強していない中、9月1週目の週末に模試をLECで受けることとしました。

というのも、1次試験の際、メンタルや体力、時間配分等の点から模試を活用すればよかったと反省していたためです。

9月に入り、模試に向けてようやく勉強開始です。

なるほど、これが2次試験か・・・とここでようやく2次試験に向き合います。

模試までに事例Ⅰと事例Ⅱの傾向をなんとなくつかみ、過去問も1事例やってみました。

振り返ると、ここで模試を受けたことが非常に良かったです。

第一に、2次筆記試験の時間間隔や場の雰囲気をしっかり把握できたことが最大の利点でした。

第二に、他の受験生の様子を観察することができました。

他の方々は複数のカラーペンを用いて、SWOTに該当する記述をマーキングしているじゃありませんか。

なるほど、こうやって与件分を読むのか、と大変勉強になりました。

加えて、約1カ月後に開示されるスコアの結果が事例Ⅰと事例Ⅱは50点台と、そんなに勉強していなかったのに点数が取れていて、とても自信になりました(ほぼノー勉の事例ⅢとⅣは10点台でしたが)。

模試を経て、ようやく試験勉強が波に乗ってきました。

全知識&ノウハウを読み込み、過去問で事例をこなしていきます。

事例Ⅳについては、追加で買った参考書で、なんども繰り返し計算問題をこなします。

過去問については、2年分の過去問が掲載されている、ふぞろいな答案分析を2冊追加で購入し、合計5年分を2回ずつやりました。

不思議なもので、同じ過去問でも2回目には違った角度で与件分を読むことができ、解答も変わります。

また、AAS中小企業診断士2次試験対策専門校さんのホームページから無償で試験用紙をダウンロードできるので、それを用いて、本番をシミュレーションしながら過去問を解いていきました。

そんなこんなで、あっという間に2次試験です。

もう少し前から準備していれば、と何度も悔やみますが(特に8月)、なんとか尻上がりで勉強し、力をつけられたかと思います。

後は当日、持てる力を発揮するのみです。

■2次試験(筆記試験)

1次試験と同じく、ゲン担ぎで朝はカツサンドを食べ、試験会場へ向かいます。

今回は、武蔵大学江古田キャンパスと、けっこう遠い・・・

さて会場は、1次試験と違い、設備は古い建物で、しかもトイレは非常に混んでいます。

加えて私の会場は大会場でめちゃくちゃ人が多い・・・しっかり集中できるだろうか?

暗雲立ち込める中、試験スタートです。

事例Ⅰ・事例Ⅱ・事例Ⅲと、無事に全問回答を完成させ、それなりの手ごたえです。

しかし、最後の事例Ⅳ、完全に失敗します

まず問題Ⅰで、定番の財務指標を答える問題で、「生産性に関する指標を少なくとも1つ」書け、だと?

ここで完全に思考停止。

そして、こちらも定番の投資回収期間等の投資判断を問う問題は、純粋に難しくできませんでした。

財務会計はもともと苦手ですが、個人的には過去問より難易度が高く、時間が全く足りませんでした(時間があってもできなかったと思います)。

なんとか適当に埋めたものの、はっきり言って手ごたえはゼロです。

これはやってしまった、と失意の中、試験が終わりました。

帰路につくなか、Twitterを見ていると、事例Ⅳはやっぱり難易度が高かったようで、事例Ⅳ終わったといった感想が大量につぶやかれています。

みんなにとって難しかったということは、意外に合格の可能性があるかも?と少しは期待しますが、まともに採点をすれば確実に40点以下、補正が入るか入らないか・・・

万が一の合格に向け、口述試験対策を進めるべきなのでしょうが、1次試験と同様、燃えつきが激しく、口述試験の準備は一切せずに年内を過ごしました。(再現答案すら作成しませんでした・・・)

■まさかの筆記試験合格&口述試験

さて、年が明け、ついに合格発表です。

3か月が経ち何を書いたかはほぼ忘れておりますが、事例Ⅳに手も足も出なかったことだけはしっかりとトラウマとして脳に刻まれています。

期待は全くしていないと思いつつ、もしかして奇跡が起きるかも?と期待している自分もいます。

発表の時間になり、東京地区のリンクをクリック、無機質に受験番号が並ぶだけのページで自分の番号を探します。

「2203801-04・・・」

はっ、発見・・・!

まさかの合格!?

ちょっとにわかには信じられませんが、何度見てもその番号はあります

嘘だろ、と思いページを閉じて、また東京地区のページを開き発見する、これを何度か繰り返します、どうやら本当に自分は合格しているようです。

信じられんが、本当にうれしい・・・

尚、筆記試験の点数は、事例Ⅰ:59点、事例Ⅱ:61点、事例Ⅲ:62点、事例Ⅳ:65点、と事例Ⅳが一番の出来でした。謎です。

合計で247点と、1次試験に続きギリギリでの合格でした。

しかし、これで終わったわけではありません。

10日後には口述試験があります。

そして筆記試験と同様、この時点で、どういう試験なのかを知りません

例の如く、とりあえず口述試験が一体全体どういう試験なのか、を調べてみました

情報収集で分かった最大の事実は、口述試験は欠席さえしなければ合格するらしい、とのことです。

これはおそらく事実のようですが、とはいってもその通り受け取って準備を全くしないほど勇気がある男ではございません。

ここで何の準備もしていなかったツケが回ってきます。

口述は筆記試験で問われた事例をベースに試験官が口頭で質問し、それに対して解答するという試験ですが、私は筆記試験後に再現答案を作っていないこともあり、筆記試験の内容は完全に忘れてしまっています。

更に、タキプロを含む受験支援機関が口述試験のセミナーをやっていたようですが、申し込むタイミングを逃してしまい、口述も独学で臨むことになりました。

LECで口述質問想定集というレジュメが販売されていたので、それを購入し、なんとか対策をしてみます。

そして口述試験本番です。

服装は悩みましたが、無難にスーツで行くことにしました。

欠席さえしなければ合格すると信じ、また事例Ⅳの奇跡で得た、答えが分からなくても何とか解答する、という教訓の元、いざ臨みます。

試験官は2名、私はまず事例Ⅰについて2問聞かれました。

なんとか答えてるつもりですが、試験官は満足していないそぶりをしており、挙句の果てにはもっと提案してほしいと言われ、なんとかあたふたしながら答えました。

次に、もう1名から事例Ⅲについても2問聞かれました。

事例Ⅲの方は比較的答えやすく、追加質問・コメント無く、さらっと終わりました。

そして合格発表の日。筆記試験と同じく、東京地区のリンクをクリック、無機質に受験番号が並ぶだけのページで自分の番号を探します。

「2203801-04・・・」

発見!

無事にありました。

これで晴れて合格です。

■おわりに

中断を経ていますが、受験回数は1回と、運がよく独学でストレート合格することができました。

ただ、正直ギリギリの合格で、自分自身、もっと効率的な勉強方法が確実にあったと思っております。

それは何か?

答えはタキプロのような診断士受験応援団体を活用することです。

個人的には1次試験は独学で十分かと思います。

問題は2次試験、特に筆記試験です。

筆記試験は正解がない試験です。

横のつながりで様々な方々の意見に触れ、議論し、教えてもらうことで、自分の回答がより論理的に磨かれます。

これが最速の合格になるかと思います。

タキプロでは勉強会が定期的に開催されていますので、そちらも是非活用をお薦めします!

以上、AKIの合格体験記でした。

次回はベストさんの登場です。
お楽しみに!

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