しっぽを仕舞え!! by szhiro

こんにちは。szhiroです。

2次試験終了後まで続くこのブログ、1次試験前の私の担当回は、今回を含めてあと4回しかありません。ということは・・・

『試験全体に関わることは、早めに伝えないと機を逸してしまう!』

と、焦りを感じ始めました。。
今回私に割り当てられたお題目は「2次試験(事例Ⅰ)」ですが、下記のような構成で進めようと思います。

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(1)  しっぽを仕舞え!!
(2)  2次試験(事例Ⅰ)について
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(1) しっぽを仕舞え!!

「しっぽ」って、なに? と思って頂けましたでしょうか。
タイトルで気を引きたかったんです。ハイ。
このパート、2次でも共通する考え方ですが、基本的に1次試験を想定して進めます。

問題集を繰り返した回数、勉強時間などの『学習量』や演習や模試の『得点』は、試験本番に向けた仕上がり具合を図る指標の一つではありますが、これらだけでは安心できないのではないでしょうか。量が多ければいいというものでもないですし、たまたまいい得点を取れただけかもしれません。

自分の現状を把握し、目指すべき方向へ適切な努力をするために、
もう少し掘り下げてみてみましょう。

演習や模試を一問一問丁寧に復習していくと、

 ・この問題は正答だけでなく残りの3つもどこが間違っているかまでスラスラ言えるな。
 ・この問題は2択まで絞れたけど、最後は運だったな。
 ・この問題は言い回しに惑わされたけど、復習してポイントは分かったから、次は大丈夫だな。

という感覚がつかめてくると思います。すると「60点」などのピンポイントではなく「同様の出題だったら50点から65点くらいの範囲だな」という幅を持って自分の実力が捉えられると思います。

演習や模試、過去問の学習の中でこうした把握を繰り返していくと、「自分の得点分布は、今だいたいこんな感じ」というイメージがつかめてくると思います。例えば「60点以上取れるかどうかは半々。出題範囲次第では40点切るかも」という状態は下の[図1]のような感じ。40%未満は足切りですから、この図の足切りリスク(しっぽ)の部分は可能な限り小さくする必要があります。

学習を重ねていった時の理想的な動きは下の[図2]です。平均点が上がり、得点のバラツキが小さくなり、左側に伸びていた「しっぽ」も高得点側に仕舞われていっています。「得点源の3科目はstep4、そのほかはstep3」くらいの仕上がりだと、かなり安心感が高いです。実際にはstep3とstep2の組み合わせで合格を手にしている人もいるかと思います。人によっては多くはstep4~5まで仕上げたけど不得意科目がstep3で、運悪く苦手な領域から出題されて足切り、、、ということもあるかもしれません。得意科目をstep4からstep5に上げるよりは、苦手科目のstepを上げるほうが優先度が高いです。

大事なことは「高得点の確率を上げること」ではなく「低得点の確率を下げること(しっぽを仕舞うこと)」だと思います。下の[図3a]をご参照ください。step3からstep4に移行するには、頻出問題や基本問題を丁寧に仕上げるなど(B)の動きを伴う学習が大切で、この動きに押し出される感じで(C)や(A)の動きが連動します。なお、油断しているとしっぽは左に伸びるので、(B)のベクトルは常に維持している必要があります。(不得意科目は特に。)

一方、高得点を取ることに執着し、(B)をないがしろにして(C)の動きに意識を向けすぎると、下の[図3b]のstep4’のようにいびつな得点分布になり、「高得点のときもあるけど、得点にばらつきがあり安定しない状態」になってしまいます。(B)のベクトルを維持していないとグラフの左側が崩れ、しっぽが小さくなるどころか悪くすると大きくなってしまうこともあります。余程の得意科目であるときは別として、(C)の動きは「(B)の動きでグラフの左側が崩れないようにしっかり支えつつ、余力の範囲で行うレベル」に留めるのが肝要ではないか、と思います。(C)の動きで右に引っ張る [図3b] のイメージではなく。(B)の動きで右に押し出す [図3a] のイメージです。

ただし、「残り1科目(ないしは2科目)で受験」という場合はstep5まで仕上げておく必要があります。自分の状況を適切に把握し、グラフの山の形を維持しながら高得点方向にスライドしていく、慎重な調整が必要となります。科目合格を重ねて1次合格を狙うことの難しさはこの図からも感じ取れるかと思います。たとえ爆弾が投下されてもstep5の形が維持できるレベルになるのは大変です。

(2) 2次試験(事例Ⅰ)について

さて、話題は変わり、事例Ⅰについてです。

令和元年の事例Ⅰは73点でした。ちょっとパニクったものの、悪くない対応ができたと思っていますが、冷静に考えたらもう少しいい対応ができたのでは、、と思っています。その状況についてお伝えしたいと思います。

第5問:

A社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100字以内で答えよ。

この設問文を読んで最初に思ったのは、

見送るのかよ! 助言を求めておいて見送るって、どういうこと?
・第1問も第5問も「最大の理由」って、今までにないパターンだな。なんか罠があるのか?
・見送る理由は、本文中に書いてないと困るなぁ。でないと「妄想解答」になっちゃうじゃん・・・

でした。 うーん、あまり建設的でないモードですね。

で、与件分を読み進めていくわけですが、そのものズバリ「見送った理由」が本文にあるわけでなく、思いついた回答は一言、

『 現状で問題ないため。 』

さすがに10文字で終わるわけにはいかないですが、この設問に対して非建設的になった思考を切り替えることができませんでした。結果、書くことがなくて困ったときの緊急対応として用意しておいた、

・基本的に本文からの「抜き」で構成する。

を発動させました。私の回答はこちら↓

最大の理由は、現体制で新事業が順調な為。当初は従前の事業や技術力を客観的に見直し、時代にあった企業として再生する事や販売チャネルの構築を図ったが、試験乾燥の成功で新事業展開の道筋が示されたから。

たぶん、この第5問は、60%の点は取れていないと思います。でも、それでいいんです。受験校やふぞろいの模範解答は、熟考を重ねて作られたものです。本番/初見/時間制約という状況ですから、5問中1問くらいはうまく行かないものがあって当然。その1問にこだわって調子を崩して全体が総崩れするよりは、そこそこに仕上げて他の問題に時間を割くほうが得策です。そう分かっていても本番でそう振舞うのは難しいですが、この設問については悪くない対応ができたと自分では思っています。

次に、どう対処すればより良かったかについてです。

「Aを選択した理由は?」と聞かれれば、AのメリットやAによる効果を語ればいいんだな、と思考がセットされますが、「Aを選択しなかった理由」という想定外の質問にパニックに陥ってしまったわけです。

でも、「Aを選択しなかった理由」と考えるから混乱するだけで、「not Aを選択した理由」を聞かれたと考えれば想定内の形に変換できます。 「Aの逆」もしくは「Aの対」になる「B」が存在するなら、単純に「Bを選択した理由」を聞かれているだけと考えて、BのメリットやBによる効果を語ればいいことになります。

「組織再編を選択しなかった」ということは「組織再編をしないことを選択した」ということ。「組織再編をしない」ということは「現状の機能性組織のまま変えない」ということです。ここで、”変える”という『変化』を意識してしまうと、「変える前」と「変えた後」について考え始めてどんどん頭の中が複雑になってきます。ですが、この設問は別に『変化』のことなど聞いておらず、要は「機能別組織を選択した理由」を聞いているだけです。

だから、単純に機能別組織のメリットや効果を語ればよかったのです。表現に惑わされず、『つまり?』『言い換えると?』、自分が理解できるフレームに置き換える必要があったのですが、一度非建設的になった思考プロセスを切り替えることができなかったのは失敗でした。そんな中で、大崩れせずに用意しておいた緊急対応を発動できたのは、悪くない対処だったと思っています。

終わりに

スポーツや音楽でも、ガムシャラな練習は一定量は必要ですが、自分の今の状況や目指す姿を確認し、ギャップを埋めるための練習メニューを考えたりボトルネックになっている部分について掘り下げたりすることも必要だと思います。でないと、不必要な筋肉や変な癖をつけてしまうかもしれません。

大手予備校のカリキュラムでは、1次対策は7科目の講義が終わり、完成演習に入る頃ですね。2次対策は演習が本格化する頃でしょうか。量や回数を重ねる学習はそれはそれで必要ですが、これからの時期は俯瞰的に見たり、掘り下げて考えたりする時間も大事になってくると思います。

では本日はここまで。

次回は「Tatchy」さんの登場です。お楽しみに!

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