【4事例共通】得点の正体は「偏差値」!? by マサル

タキプロ17期の マサル と申します。
普段は、Zoom勉強会班のリーダーをしています。
解答分析等をしている中で、考えた事をお伝えします。
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■はじめに
各事例の採点内容の詳細や、平均点や最高得点は公開されていません。人伝等で収集できた情報をベースにしたり、他試験の情報を参照したりしています。本記事は個人的なデータ分析と推測に基づく考察であり、試験元の公式見解ではありません。ひとつの考え方として参考にしていただければ幸いです。
■点数の疑問
2次試験を受験された方なら、こんな疑問を抱いたことがないでしょうか?
「事例Ⅳでは90点台の高得点を耳にするのに、事例Ⅰ〜Ⅲで80点以上をとった人をほぼ見かけないのはなぜだろう?」
私自身の体験でも、手応えのあった事例Ⅱは75点でした。25点はどこで引かれたのか?と疑問が残っていました。
■結論
本記事では、分かりやすく整理するために点数を以下のように呼び分けます。
素点:答案の採点基準に基づいてついた「素の点数」
通知得点:自身の合格発表サイト(以前は葉書)に記載された「最終的な点数」
その上で、私が立てた結論は以下です。
「通知得点」は、事例Ⅰ〜Ⅲは「偏差値」、事例Ⅳは「素点」
事例Ⅰ〜Ⅲの通知得点は、偏差値をそのまま点数として扱っている。
事例Ⅳは、計算問題が多く、明確な正誤の判断がつきやすいため、素点のまま扱っている。
■偏差値を点数として扱う妥当性
もし事例Ⅰ〜Ⅲの通知得点に偏差値を用いているとすれば、出題・採点側には大きなメリットがあります。
・記述式試験における点数調整をしなくてもよい
事例Ⅰ〜Ⅲのような定性的な記述試験は、キーワードが多少違っていても合格レベルの解答が成り立ちます。受験生の解答が多岐にわたるなかで、素点だけで採点格差を埋めるのは至難の業です。
・上位15〜20%を機械的に抽出できる
統計上、正規分布であれば偏差値60以上は約15.87%になります。全体の出来が良すぎても悪すぎても、自動的に一定割合の上位陣を合格水準(通知得点60点以上)に乗せられるため、事例間の難易度や採点基準のブレを吸収できます。
・事例Ⅳで全体の合格者数をコントロールできる
正解・不正解が明確な事例Ⅳだけを素点ベース(または傾斜配点)にしておけば、全体の合否調整弁として非常に機能させやすくなります。
■ここに潜む「大きな問題」
この仮説が正しいと仮定すると、受験生にとって非常にシビアな問題が浮き彫りになります。
素点で6割取れても、通知得点が60点になるとは限らない。
当たり前の話ですが、みんなが平均して素点60点を取れる難易度だった場合、自分が素点60点の出来栄えだったとしても偏差値は「50(=通知得点50点)」にしかなりません。
■何点とればいい?
偏差値は以下の式で表されます。
T = (x-μ)/σ × 10 + 50
T:偏差値(通知得点)、x:素点、μ:平均点、σ:標準偏差
偏差値(通知得点)が60となるような、素点を求めることが出来そうですが、平均点も標準偏差も公開されていません。生成AIと相談していると、各種試験は概ね、平均点が50~60点、標準偏差が15~20点となるようです。そのため、平均点が50~65点、標準偏差が10~25点の範囲に広げて素点を求めてみました。(以下、正規分布を仮定しています)

結果は、偏差値(通知得点)が60になるには、70点ぐらいは必要そうです。
■本当に?
諸々の伝手を頼りに情報を収集すると、各事例の最高得点(通知得点)は
事例Ⅰ:81点、事例Ⅱ:77点、事例Ⅲ:78点でした。
(注:個人的な情報収集なので、実際の最高得点がもっと上になる可能性もあります)
各事例でトップクラスの受験生は、配点に対して満点に近い出来栄えだったとします(ここでは現実的な上限として素点95点と仮定)。また、標準偏差も15点と仮定すると、平均点(素点)を推定することができます。
【平均点(素点)推定値】 事例Ⅰ:48.5点、事例Ⅱ:54.5点、事例Ⅲ:53点
これをもとに、素点が60の時の通知得点を求めると
【通知得点】 事例Ⅰ:57.7点、事例Ⅱ:53.7点、事例Ⅲ:54.7点
となります。6割できたつもりでも、通知得点としては60点を下回る結果となります。
逆に通知得点が60を取るのに必要な素点を求めると
【素点】 事例Ⅰ:63.5点、事例Ⅱ:69.5点、事例Ⅲ:68点
となります。難しい場合(平均点が低い場合)は、60点プラスアルファでよいですが、標準的な難易度だと70点近くとらないといけないことになり、前章の結果は概ね妥当だと言えます。
■戦略的にどうするか?
この仮説から導き出される合格戦略は、極めてシンプルです。
1. 事例Ⅰ〜Ⅲは素点6割狙いではなく、7割を目指す
「60点でいいや」という守りの意識で臨むと、平均的な答案(偏差値50=通知得点50点台半ば)に埋もれてしまいます。周りと同じキーワードを書くだけでなく、因果関係の明瞭さや設問要求への正確な対応を突き詰め、1点でも多く積み上げる意識が不可欠です。
2. やっぱり事例Ⅳは「最大の武器」にしておく
仮に事例Ⅰ〜Ⅲが素点60点(通知得点55点前後)に留まったとしても、事例Ⅳで75点を確保できれば、合計240点(合格ライン)にしっかりと届きます。また、仮説が正しい場合、事例Ⅰ〜Ⅲで通知得点70点をとるには、素点で85点をとるという非常にハードルが高いことになり、事例Ⅳで70点を取ることの方が相対的に容易です。
■おわりに
今回の考察はデータと推測に基づくひとつの仮説ですが、導き出される学習方針は、仮説の真偽に関わらず極めて本質的なものです。
・事例Ⅰ〜Ⅲは「守りの答案作成」を徹底する
奇をてらった解答でホームランを狙うのではなく、徹底した過去問・解答分析を通じて「外してはいけない論点」を確実に拾うこと。大減点を防ぎ、相対的に上位に食い込む仕組みを自分の中に作り上げることです。
将棋の羽生善治九段は、数ある候補手の中から「最もリスクが低く、形勢を損ねない手(=負けない手)」を消去法で選んでいくといいます。プロの世界でも、派手な妙手を連発するより「悪手を徹底的に避けること」が勝率を高める鉄則です。2次試験も全く同じで、大崩れしない答案を愚直に作成することこそが、結果として合格ゾーンに抜け出す最大の武器になります。
・事例Ⅳは「努力を裏切らない得点源」にする
事例Ⅰ〜Ⅲで通知得点60点(素点70点)を狙いに行くのは難易度が高くブレも大きいですが、事例Ⅳで70点以上を狙うのは「反復練習と解法プロセスの確立」という明確な努力で確実に手に入ります。(事例Ⅳの勉強法の投稿も参考にしてください)
2次試験は「相対評価の戦い」だからこそ、やるべきことは「再現性の高い地道な積み重ね」に尽きます。
皆さんが本番で実力を出し切り、合格を勝ち取られることを心より応援しています!
次回からは、特別企画として、過去の名作シリーズを6回に渡ってお送りします。
お楽しみに!
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