【実務補習】実務補習という名のブートキャンプ:AIと共に戦う新時代の診断士像 by おま

タキプロ17期の おま と申します。
「……足が、ガクガクする」
合格発表の歓喜から数週間。意気揚々と乗り込んだ「実務補習」の初日を終え、帰りの電車で私が漏らした本音です。
中小企業診断士試験という「知識の山」を登りきった先に待っていたのは、さらに険しく、しかし最高にエキサイティングな「実地という名のブートキャンプ」でした。今日は、その恐怖(?)と感動の記録を共有したいと思います。
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目次
■異種格闘技戦:バラバラな個性が「診断」で一つになる
実務補習の醍醐味は、なんといっても「チーム」です。
私の班は、まさにダイバーシティの極みでした。
超大企業出身の重鎮、冷静沈着な社労士、難関資格を網羅する医師……
「えっ、先生(医師)なのに生産管理にめちゃくちゃ詳しいんですか?」
そんな驚きからスタートした実務補習8日間コース。
それぞれの強みを持ち寄り、一つの診断報告書を作り上げる過程は、まるでオーケストラのようでした。
私は人事の端くれとして「組織人事」を担当したかったのですが、百戦錬磨の社労士さんにそこは譲り、「マーケティング」の指揮棒を振ることになりました。
■ヒアリングの深淵:ファクトの裏に隠された「社長の祈り」
「実務補習はヒアリングが全て」
先輩方が口を揃えて言うこの言葉の意味を、身をもって知ることになります。
訪問した企業の社長から語られる数値や事実(ファクト)。
それ自体も重要ですが、本当に大事なのは「言葉にされない行間」を読み取ることでした。
社長がなぜこの事業を守り続けているのか。
社員に対して本当はどう思っているのか。
初対面の、まだ「診断士」とも名乗れない補習生に対して、社長が本音をすべて話してくれるわけではありません。
何気ない会話の中にある「社長の価値観」や、あえて口をつぐむ瞬間の空気。
そこを察して、寄り添う提案ができるか。
AIにはまだ到達できない、極めて人間臭い「翻訳の技術」が問われる場面でした。
当然、報告書を作成していく上では「ファクト」ベースでの分析と提言がベースにはなってきます。
しかし、社長の心の奥底にある、決して「額面通りの言葉で語られない」思いや価値観といったものを軽んじた瞬間に、その提案は「否定的」なものになってしまう。
忖度をして臭いものに蓋をするのでもなく、かといってストレートに否定をするのでもなく、また頭では「正しい」とわかっているけど言語化できない感情で「違う」と思っていることへの踏み込み方など、これらはやはり「行間に隠れた社長の思いや価値観」を汲み取った上で、提案ストーリーを組み立てていくためにとても大事な情報になりました。
■AIエージェントと走る:Gemini Notebook(旧NotebookLM)とClaudeが「救世主」に
マーケティング担当として、見知らぬ業界の「市場調査」という壁にぶち当たった私を救ってくれたのは、やはりAIでした。
SWOT、VRIO、PEST……フレームワークの枠組みを埋めるためのマクロデータを、Gemini NotebookやClaudeを駆使して徹底的にディープリサーチしました。
詳しいことはお話できませんが、世界的な市場変化、日本成長戦略会議で示された重点領域やその背景にある地政学的リスクを踏まえたサプライチェーン強靭化の文脈なども絡めながら、希少性/模倣困難性などの競争優位に立てる市場探索など、小手先論に頼らず、深いレベルでのマーケティング戦略を組み立てていく上では、非常に協力な武器になりました。
今の時代、診断士の武器は「知識」だけではありません。
「AIという相棒をいかに使いこなし、思考の深さを拡張するか」
中小企業のAI導入率は、まだ5%から40%程度とばらつきがあるとのこと。(出典:各種AI導入状況調査 2024-2025より)。
だからこそ、我々診断士こそがその「実装力」を見せるべきだ、と強く感じた瞬間でした
■最後に立ちはだかった壁は「Wordの書式崩れ」だった
前半で全体戦略の方向性と、かなり緻密な財務シミュレーションが財務パートから上がってきたことで、提言骨子のすり合わせと全体的な提案の拠り所ができたことで、全体としては非常に順風満帆に進めることができたと思っております。
よく中日の期間にWEB MTGなどで集まって深夜まで議論する、といった話も聞きますが、LINEグループ内のコミュニケーションも比較的穏やかで、かなり個々人の作業に集中して進めることができ、中日明け全体整合性チェックについても大きく軌道修正を行うことなく、スムーズにマージが進みました。
しかし、提案日前日に最大の敵が立ちはだかりました。
それは、「Wordのマージ作業」です。
Googleドライブで共有していたファイルが、Wordに落とした瞬間にガタガタに崩れる……
「フォントが違う!」
「図がはみ出している!」
提案日前日に発生したこの「付随作業」こそが、実務補習で最も体力を削られるブートキャンプでした(笑)。
これから受講される皆さんへのアドバイスはただ一つ。
「OneDriveで共同編集を徹底するか、最初からAIに書式崩れの修正を任せるつもりでいなさい」ということです。
■結びに:実務に勝る師なし、診断士の覚悟
実務補習を終えて、今、私の手元には一枚の修了証があります。
でも、それ以上に重いのは、あの時目にした「企業の生々しい財務諸表」と「社長の眼差し」です。
教科書通りの正解なんて、現場にはありません。
でも、必死に会社を守り、成長させようともがいている一人の経営者が目の前にいる。
その人に対して、無責任なことは絶対に言えない。
「この人の力になりたい」という真摯な思い。
そして、そのために自らを磨き続ける覚悟。
それこそが、実務補習という過酷なブートキャンプを乗り越えた先に得られる、最も尊いライセンスだったのだと思います。
次回は、もりぞー さんの登場です。
お楽しみに!
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