パンパースもファブリーズも、ぜんぶ同じ会社?〜ブランド戦略、これで迷わない〜 by つーじー

タキプロ17期の つーじー と申します。
いつもタキプロブログをご覧いただきまして、ありがとうございます!
今日はブランドのお話をしたいと思います。
皆さんは「パンパース(おむつ)」「ファブリーズ(消臭)」「ジレット(髭剃り)」の3つの商品が、ぜんぶ P&G という1つの会社の商品だとご存じでしたか?
しかも、どの商品のパッケージにも「P&G」とは大きく書いていません。 わざわざ会社名を隠しているのです。なぜでしょう?
実はこれ、企業経営理論「ブランド戦略」のド真ん中の話なんです。
受験生時代の私は、当初この分野が大の苦手でした。
「ライン拡張、ブランド拡張、マルチブランド、新ブランド、ファミリーブランド、ダブルブランド……ぜんぶ似てて、もう無理!」
テキストの用語が頭の中でぐるぐる回り、「なんとなく」で解いていました。
しかし、ブランドには「2つの問い」があると気づいてから、すっきり解けるようになりました。
今日はその考え方と、実際の過去問の解き方をセットでお届けします!
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目次
■結論:ブランド戦略の問いは2つだけ
問い①:新商品ができた! 既存のブランドを使う? それとも新ブランドを作る?
→ ライン拡張/ブランド拡張/マルチブランド/新ブランド
問い②:自社ブランドの “家系図” を、どう作る?
→ ファミリーブランド/ダブルブランド/個別ブランド…
問い①は「1つの新商品に、どの名前をつけるか」で、ブランド基本戦略の話。
問い②は「会社全体のブランドを、どう束ねて管理するか」で、ブランド採用戦略の話。

この2つを区別できていなかった私は、頭が混乱していました。
(ちなみに問い①は、テキストによって「ブランド基本戦略」と呼ばれたり「ブランド拡張戦略」と呼ばれたりします。
名前が違うだけで中身は同じ。ここも私がハマった混乱ポイントなので、先にお伝えしておきますね。)
■問い①:既存ブランドを使う? 新ブランドを作る?〜ブランド基本戦略(コトラーの4分類)〜
タテ軸「ブランド名(既存/新規)」× ヨコ軸「カテゴリ(既存/新規)」の2×2です。 身近な例で一気にいきましょう。
◆ライン拡張(既存ブランド × 既存カテゴリ) 例:ポッキー
- 特徴: 同じ「ポッキー」のまま、いちご味・抹茶味・極細…と味や形のバリエーションを増やす戦略。
- ポイント: 築いた信頼をそのまま使えるので、4つの中で最もリスクが低いやり方です。
◆ブランド拡張(既存ブランド × 新規カテゴリ) 例:ダイソン
- 特徴: 掃除機で築いた「ダイソン=吸引や送風の技術がすごい」という信頼を、ドライヤーや空気清浄機という別カテゴリの商品に持ち込む戦略。
(ちなみに我が家ではダイソンのドライヤーを使っていますが速攻で髪が乾くのでお勧めです!) - ポイント: 既存ブランドの力で新市場に入りやすい反面、新商品がコケると元のブランドイメージまで傷つくリスクもあります。
◆マルチブランド(新規ブランド × 既存カテゴリ) 例:花王の洗剤
- 特徴: 同じ洗剤の棚に、同じ会社が「アタック」「ニュービーズ」など “あえて別ブランド” を並べる戦略。
- ポイント: 棚を広く取り、いろんな好みのお客さんを逃さないのが狙いです。
◆新ブランド(新規ブランド × 新規カテゴリ) 例:ソニー → PlayStation
- 特徴: 電機メーカーのソニーが「家庭用ゲーム機」という新分野に進出するとき、あえて「ソニー」を前面に出さず「PlayStation」という新ブランドを立ち上げた戦略。
- ポイント: 自由度は高いけれど、ブランドをゼロから育てるコストとリスクは最大です。
【覚え方】私の愛用した語呂は「ライブランドマシン」!
この4つ、私が受験生時代に使っていた覚え方があります。マトリクスを左上から「Z」の形に読むんです。
ライン拡張 → ブランド拡張 → マルチブランド → 新(シン)ブランド
つなげると「ライ・ブランド・マ・シン」=「ライブランドマシン(LIVE LAND マシン)」。
「ライブをやる会場(ランド)を量産するマシン」というイメージをしてください。
こじつけですが…(笑)
ちなみに、最もリスクの低い「ライン拡張」の次に、「ブランド拡張」と「マルチブランド」のどちらを優先するかですが、中小企業が圧倒的に重視すべきなのは「ブランド拡張」です。
ゼロから新ブランドを育てるマルチブランドは莫大なコストがかかり資金が分散してしまいますが、既存の看板を活かすブランド拡張戦略なら、費用を抑えつつ、確立された信用を武器に戦えるからです。
■問い②:ブランドの “家系図” をどう作る?〜ブランド採用戦略〜
今度は「自社の商品に、どうブランド名を割り当てるか」の話です。 軸は「ターゲット市場(客層)の似ている度(同質性と言います)」×「製品ラインの似ている度」で決まります。 本来は5種類ありますが、まずは試験でよく問われる3つを押さえましょう。
◆ファミリーブランド(客層も製品ラインも同質) 例:スターバックス
- 特徴: すべての商品を「スターバックス」という1つの名前で包み込む戦略。
- ポイント: コーヒー、フード、タンブラーなど、扱う製品がすべて「カフェの空間・世界観(=同質なジャンル)」に収まっているため、1つの看板で信頼を横展開できます。
- ※ここがポイント: 「スターバックスラテ」の “ラテ” は単なる商品の種類名。看板は「スターバックス」1枚だけです。
◆ダブルブランド(客層は同質・製品ラインは異質) 例:明治ブルガリアヨーグルト
- 特徴: 「明治(会社)」と「ブルガリアヨーグルト(商品)」、2つの独立したブランドを同時に見せる戦略。
- ポイント: 「明治」という1つの傘の下に、ブルガリアヨーグルト・おいしい牛乳・北海道十勝チーズ…と中身の異なる商品(=製品ライン異質)がぶら下がっています。お客さんは「明治」共通で安心しつつ(=ターゲット同質)、商品ごとの個性も見分けられる。会社の安心感と個性を両取りできる戦略です。
- ※スタバとの違い: ポイントは「会社名の後ろにつく言葉」。”ラテ” のようなただの種類名ならファミリーブランド。”ブルガリアヨーグルト” のようにそれ自体が育てられたブランド名なら、「明治」+「ブルガリアヨーグルト」の2枚看板=ダブルブランドです。
◆個別ブランド(客層も製品ラインも異質) 例:P&G(パンパース・ファブリーズ・ジレット)
- 特徴: 冒頭にも出てきました。あえて会社名を隠し、商品ごとに完全に独立したブランドにする戦略。
- ポイント: おむつ・消臭剤・髭剃りと製品も客層もバラバラなため、1つに束ねると混乱します。1つの商品でトラブルが起きても、他のブランドに飛び火しない(リスク分散)メリットもあります。
(このほかに「ブランド・プラス・グレード」「分割ファミリーブランド」もありますが、まずは上の3つから固めましょう。)
【覚え方】語呂より “2つの軸” で導く
問い②には、問い①の「ライブランドマシン」のような語呂が思いつきませんでした…。 でも、ご安心を。
こちらは無理に語呂で覚えるより、2つの軸で考えれば自然に導けます。
~似ているほど同じ名字、違うほど他人のフリ~
・お客さんも製品も 似ている → 同じ名字でいこう(ファミリーブランド)
・お客さんも製品も バラバラ → いっそ他人のフリ(個別ブランド)
・お客さんは同じだが、製品の中身が違う → 名字は見せつつ個性も出す(ダブルブランド)

「家族としてまとめた方が得か、それとも別人として独立させた方が得か」。
この視点で選択肢を読むと、用語を丸暗記していなくても答えにたどり着けます。
■実際の過去問を解いてみよう
知識が整理できたところで、令和6年度 第28問に挑戦です。
令和6年第28問ブランド・マネジメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア ある企業が既存事業とは異なる新たな事業領域に進出する際に、既存事業で構築してきた既存のブランドを新事業でも用いることを、ブランドのリポジショニングと呼ぶ。
イ 企業が既存製品と同一カテゴリーに新製品を投入する際には、そのカテゴリーの既存製品に用いてきたブランドを用いることも多いが、あえて新しいブランドをつけることがあり、これをマルチ・ブランド戦略と呼ぶ。
ウ ブランドや企業の創業者の物語、目指す大きな方向性、専門性などをコーポレート・ブランドによって示し、その下に個々のプロダクト・ブランドが位置づけられることも多いが、これら2種類のブランドを同時に冠することをダブルチョップ戦略と呼ぶ。
エ マーケティングにおいては、自社のブランドが消費者の想起集合に含まれるようにすることが極めて重要である。このためには、すでに想起集合に入っている競合ブランドと比較して際立った異質性を自社ブランドにもたせることが、まず最初に必要である。
いかがでしょう? さっきの「2つの問い」の整理ができていれば、見え方が変わるはずです。
正解は「イ」です。
「同じカテゴリーに、あえて新しいブランドをつける」—— まさに問い①で学んだマルチブランド戦略ですね。
では、他の選択肢のどこが違うのかも確認していきましょう。
- ア:既存ブランドを新事業にも使うのは「ブランド拡張」です。リポジショニング(市場での立ち位置を変えること)とは別物。用語のすり替えです。
- ウ:会社ブランドと商品ブランドを重ねるのは「ダブルブランド」。「ダブルチョップ」はメーカーと小売の2つのブランドを併記する別の言葉で、ここがひっかけです。
- エ:まずブランドを広く知ってもらう(ブランド認知)ことが前提で、その上で選択肢の候補として頭に浮かぶ(想起集合入り)という順番が正しい流れです。
ウの「ダブルブランド」と「ダブルチョップ」、まさに私が受験生時代に混同したところ。ダブルチョップはブランド採用戦略の分類ではなく、メーカーと小売業者のブランド表示に関する別論点です。 試験はこういう “似た用語” を狙ってきます。
■ 最近の傾向:ブランドは「気持ち」も問われる
令和7年度第38問では、ブランドに対する消費者の心理に踏み込んだ出題もありました。
近年は、ブランドの名前のつけ方だけでなく、消費者がブランドに愛着を持っていくプロセスも問われています。
ブランドパーソナリティ(人格的な魅力)→ ブランドアタッチメント(愛着)→ ブランドロイヤルティ(繰り返し選ぶ)→ ブランドリレーションシップ(絆)

ブランドってまるで恋愛みたい…。私の恋愛は、はるかの忘却の彼方ですが…。
こうした用語と流れも、余裕があれば押さえておきましょう!
■おわりに
ブランド論は、本気で学べば本が1冊書けるほど奥深いテーマです。
でも試験で問われることの多くは、「2つの問い」で整理できます。
新商品に既存ブランドを使うか・新ブランドを作るか(問い①)。
そして、会社全体のブランドの家系図をどう作るか(問い②)。
この2つの視点を持っておくだけで、選択肢を見て迷子になることがぐっと減るはずです。
今日の帰り道、ドラッグストアやコンビニに寄ってみてください。
棚に並ぶ商品の名前を見て、「お、これはマルチブランドだ」「これは会社名を隠した個別ブランドだな」と気づけたら、もう、ブランド戦略マスターです。
試験勉強大変だと思いますが、体調に気を付けて1次試験まで残り2カ月弱を乗り切ってください!
次回は、まこはや さんの登場です。
お楽しみに!
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
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