【伏線と回収】中小企業診断士試験、事例Ⅲが苦手な人へ by リョウタロウ

タキプロ17期の リョウタロウ と申します。
投稿テーマは、「2次試験-事例Ⅲ-」です。
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目次
■はじめに
今回は、2次試験の事例Ⅲについて書きます。特に「事例Ⅲが苦手」「与件文を読んでも何を書けばいいのか分からない」という方に向けた内容です。
私は本業で特定の機械を長く操作することがありました。現場は中小企業にありがちな機能別レイアウトです。なので、中小企業診断士試験の勉強をはじめた頃は勝手に「運営管理と事例Ⅲは得意にできるだろう」と考えていました。
しかしながら、1次試験で生産管理の分野を学ぶたびに、自分の視野が狭いことを思い知らされました。たしかに、機能別レイアウトは中小企業で主流の生産方式でしたが、他にも製品別レイアウト(飲料など)、セル生産方式(プリンタなど)、固定式レイアウト(船、高級車など)があり、知れば知るほど自分が知らないことが多いと気づき、自信が削がれていきました。(※1次試験本番の運営管理は48点!)
しかし、2次試験の事例Ⅲは63点でした。得意科目と言えるほどではありませんが、それでも、予備校の模試などの初見問題も含めて、安定して60点を超えられたのは、問題点と解決策を洗い出し各設問に紐付け、ひとつの作業として自分なりの手順に落としたからだと考えています。
事例Ⅲは、ざっくり言えば「与件文に散らばった問題点を拾って、設問という受け皿に配っていく作業」だと思っています。置かれた伏線を、残さず回収していくイメージです。難しく感じるのは、問題点と設問を別々に眺めているからで、先に全体像を作ってしまえば、切り分けで迷うことはぐっと減ります。
私が本番でやっていた手順を、3ステップでご紹介します。
■手順① 与件の問題点に「全部」線を引く
最初にやるのは、与件文に出てくる「できていないこと」に、ひとつ残らず線を引くことです。
ポイントは、マーカーや鉛筆で線を引くだけで済ませないことです。線を引くと分かった気になりますが、頭の中は意外と整理されません。私は引いた下線からさらに線をひき、その解決策を与件文の余白に書きました。(解決策の書き方例は次項)
たとえば令和6年度を例にとると、「生産統制が週1回の生産会議頼み」「製缶工程だけ残業と休日出勤が多い」「週次日程の工数見積もりが各課長の経験頼み」「見積金額が過去の契約金額の参照で、原価の裏づけがない」……といった具合です。事例ⅢのC社は、たいてい問題だらけです。数えると10個を超えることも珍しくありません。
ここは時間をかける価値があると考えます。知識やセンスはいりません。「悪いと書いてあること」を拾うだけの作業だからです。
■手順② 問題点を裏返して「改善点」に変える
次に、下線を引いた問題点に対し、ひとつずつ裏返していきます。裏返しの文は、引いた下線から線を引き、図示しながら与件文の余白に書きます。
「週1回の生産会議頼み」なら「日程計画と進捗をデータ化し、営業部・設計部と共有する」。「製缶工程だけ残業」なら「ボトルネック工程の能力を上げ、多能工化して応援できるようにする」。「課長の経験頼み」なら「標準時間を設定してITで共有する」。「原価の裏づけがない」なら「実際原価を把握して見積の根拠を作る」。
やっていることは単純で、マイナスをプラスの方向に反転させるだけです。ここで使う言葉は、1次試験の運営管理で勉強したものがほぼそのまま使えます。新しい用語を覚え直す必要はないと思います。できたら、与件文の語彙をそのまま使い、なければ1次試験で使った語彙を使い、できるだけオリジナルの造語は避けるべきと思います。
■手順③ どの設問で解決するかを「配る」
最後に、裏返した改善点を、どの設問で答えるか割り振っていきます。
令和6年度なら、設問は強み・工程改善・工程管理・価格交渉・新事業に分かれています。「ボトルネック工程の対策は第2問」「標準時間の設定は第3問」「原価の把握は第4問」と、与件文の余白に書いた解決策に設問の番号を振ります。ひとつの設問に2つくらいずつ配ると、記述量のバランスも取れました。
振り分けが決まったら、私は設問文の余白に解答骨子をまとめていきました。開始直後に問題用紙を切り離して、解答骨子用のメモ用紙を作る方法もよく紹介されています。私も試したのですが、途中でやめました。紙がバラバラになり、目線が左右に動いて落ち着かなかったからです。
ここで一番大事なのは、書き出した問題点をひとつも余らせないことだと考えています。与件文にわざわざ書かれた問題点は、どこかの設問で必ず回収されるように作られている、と私は捉えていました。物語の伏線と同じで、置かれた伏線は最後まで残さず回収する。もし使い道が見つからない問題点があれば、まだ手薄な設問に組み込めないか、今後の経営課題として拾えないかを考えます。
この「全部配り切る」意識があると、設問の切り分けは自然と決まり、答案の抜け漏れも減ります。
■本番で配り切れなかった時は
本番でも、配り切れないことはあります。私自身、2週間前まではなかなか配り切れず、直前になってようやく配り切れるようになりました。どれだけ丁寧にやっても失敗は起きるものだと考えます。大事なのは、なぜ失敗したのかを深く振り返ることです。
振り返り専用の表をエクセルで作り、OneDriveに入れてスマホでも見られるようにして、時間があるときに見直していました。
特に初見の問題では、第1問でつまずくと精神的なダメージが大きいです。ただ、第1問で盛り込めなかった強み・弱みは、私はあまり気にしないことにしていました。途中で引きずっても取り返せません。それよりも、第2問以降をいかに持ちこたえるかだと考えます。自分が抜け漏れを起こしているなら、きっと周りも漏らしている。そう思って正気を保ちます。狙いたいのは、2回目に解くときに100点を取れるような振り返りです。
■過去問の採点は、AIで時短した
その振り返りに使ったのがAIです。自分ひとりだと、配り方が合っているのか、答え合わせの相手がいないからです。
具体的には、市販のNotebookLM用プロンプトを買い、過去問と自分の答案を読み込ませて採点官として使いました。「この問題点はこの設問でよかったか」を客観的に返してくれるので、勉強会に通わなくても、個別指導に近い振り返りができたと思います。解いたその日のうちに採点が返るので、土曜にセルフ模試、翌日に振り返る、という回し方ができました。AIは忌憚なく指摘するので、すごく傷つきます。意外ですよね……。
たとえば、2025年8月22日に令和6年度の事例Ⅲを解いたときの答案はAI採点で49点でした。1次試験の直後、2次対策を始めたばかりの頃です。講評には「与件文中の事実と異なる記述があり」「新規事業の最も重要なポイントが捉えられていません」と返ってきました。人間の講師なら言葉を選ぶところを、AIは選びません。AIに「おもねらないように」と指示すれば、もっとずけずけ語っただろうと思います。
私は、旧来の勉強法である「勉強会で良かったところと今ひとつの所を指摘し合う」やり方では、1次試験から2次試験までのおよそ80日で受からないと確信していました。私がギリギリストレート合格できたのは、AIのおかげです。
■おわりに
事例Ⅲが苦手でも、大丈夫だと思います。ひらめきで解く科目ではなく、問題点を全部拾って、裏返して、設問に配り切る。また、事例Ⅱとは違い、事例Ⅲは積上げが効き、多年度生が伸びる科目だと言う予備校講師も散見されます。この手順を丁寧に回せば、点数は後からついてくると思います。
学び始めのころは、まずは1年分でいいので、与件文の問題点を全部拾い出すところから試してみてください。
次回は、くろ さんの登場です。
お楽しみに!
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