ジャムおじさんから学ぶSECIモデル by つーじー

企業経営理論

タキプロ17期の   つーじー と申します。
いつもタキプロブログをご覧いただきまして、ありがとうございます!  
1次試験まで残り3ヶ月を切りましたね。皆さん体調など崩されていませんでしょうか?
この時期私は、暗記すべき知識の量にだんだん圧倒され、覚えた端から忘れていく……。
そんな絶望感を体験し、苦しい時間を過ごしていました。

でも、安心してください。 今日お話しする企業経営理論は、「暗記」よりも「理解」です。
私は企業経営理論が比較的得意科目で、本番でも80点以上でした。
一度理解してしまえば得点源に化ける科目です。
令和3年・4年・5年と3年連続で出題された超重要論点、SECIモデルについてお話しします。

  

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■自己紹介

名前:つーじー
年代:40代
性別:男性
業種:製造業(自動車)
職種:システム開発PO
保有資格:PMP
受験歴:1次1回、2次2回
勉強時間:1次300時間、2次300時間
勉強方法:独学 (1次 スピテキ・スピ問 2次ふぞろい・全知全ノウ)
得意科目:1次 企業経営理論 2次 事例Ⅱ・事例Ⅳ

■SECIモデルってなんだ?

ナレッジマネジメントの核となるこの理論、まずは全体像から押さえましょう。
「セキモデル」と読みます。
1990年代に、日本を代表する経営学者・野中郁次郎先生と竹内弘高先生が提唱しました。 実は野中先生、システム開発の「スクラム(アジャイル開発)」の源流となる論文を書いた方でもあります
個人の「知恵」をどうやって組織全体の「力」に変えるか、そのプロセスを説いた理論です。

ここで重要なのが、知識には2つの形があるという考え方です。

暗黙知: 言葉にするのが難しい「コツ」や「勘」。

形式知: マニュアルや図解、数式など、誰でも参照できる言語化された知識。

よく「氷山」に例えられますが、海面上に見えている「形式知」はほんの一角。
海面下に沈む膨大な「暗黙知」をいかに引き出し、組織で共有するか、そこが勝負です。

■ジャムおじさんの事例で学ぶ「知の変換プロセス」

では、おなじみ「パン工場」を舞台に、SECIモデルを解剖してみましょう!

ジャムおじさんも高齢です。もしジャムおじさんが引退してしまったら、あのアンパンマンの新しい顔は焼けなくなってしまい、ばいきんまんに好き勝手やられてしまう世界になるのか?

そんな危機を救う、バタコさんへの「技術承継」ストーリーです。

①共同化(S:Socialization)

〜言葉以前の「熱量」を五感でコピーする〜

バタコさんがジャムおじさんの横で、同じ釜の熱気を感じながら生地をこねる——その場面を思い浮かべてください。

単なる見学ではありません。同じ場所(「場」)で同じ体験をすることで、力加減や湿度への「反応」など、言葉にできない「暗黙知」をバタコさんが肌で受け取っていく。それが共同化です。

②表出化(E:Externalization)

〜「主観的な感覚」を「みんなの言葉」に変える〜

ある日、バタコさんが言いました。
「ジャムおじさん、この生地、赤ちゃんのほっぺ程度の弾力までこねるんですね!」

それってあなたの感想ですよね?いいえ、ただの感想ではありません。
メタファー(比喩)を使って「自分だけの感覚」を「他者と共有できるキーワード」に変換する。それが表出化です。

「いい感じに」という曖昧な主観が、「赤ちゃんのほっぺ」という共通のモノサシ(形式知)に変わる。そこが本質です。

③連結化(C:Combination)

〜知のジグソーパズルで、新たな体系を創る〜

次に、バタコさんが生み出した「弾力の新基準」を、工場の既存レシピや「しょくぱんまん」「カレーパンマン」の製法データとガッチャンコさせます。

「アンパンマンの生地にカレーのスパイスを0.5%混ぜ、この『ほっぺの弾力』で焼き上げたら、もっと強いヒーローが生まれるかも?」——組織内のバラバラな形式知を掛け合わせて、新たな体系(マニュアルや新製品企画)を創り出す。それが連結化です。

④内面化(I:Internalization)

〜マニュアルを越え、自分自身の「実践知」にする〜

最後は、新しくなったマニュアルをもとに、バタコさんが毎日パンを焼き続ける段階です。

繰り返し実践する(Learning by doing)ことで、マニュアルという「形式知」が「体が勝手に動くレベルのコツ(暗黙知)」として染み込んでいく。

「今日の天気なら、マニュアルより2度低く焼こう」——自分なりの実践知を手に入れたとき、バタコさんは「真の職人」へと進化します。

⑤サイクルから「知の螺旋(スパイラル)」へ

ここで図をもう一度見てください。内面化(I)から、再び共同化(S)へと戻る矢印が伸びていますね。

今度はバタコさんが「教える側」として後輩と一緒に生地をこね、「この弾力だよ」と肌で伝えていく。かつてジャムおじさんから受け取ったバトンを、次の世代へと渡す番です。

組織の知識は、同じところをぐるぐる回るのではなく、回るたびに一段上のレベルへと昇っていく。これが試験でも頻出の「知の螺旋(スパイラル)」の正体です。

■なぜ今、SECIモデルなのか?

知識が動的に進化し続けるからこそ、30年以上前に提唱されたSECIモデルは今も色あせないのです。

生成AIが台頭する現代、情報の整理や要約(つまり「連結化」)はAIが爆速でやってくれます。

でも、現場で汗をかき、五感でコツを掴む「共同化」や、混沌とした感覚を言葉にする「表出化」は、人間にしかできません。

「ナレッジマネジメント」とは、単に情報をデータベース化することではなく、ジャムおじさんの「魂(暗黙知)」をどう繋ぎ、現場の知恵でどう育てるか、そんな人間臭いドラマそのものではないでしょうか。
だからこそ、診断士として現場に入るとき、この視点を持っているかどうかで、経営者へのアドバイスの深みが変わります。

■おわりに

皆さんの今の勉強も、このサイクルそのものです。
テキスト(形式知)を読み込み、問題を解く(実践)ことで、自分なりの正解への感覚(暗黙知)が育っていく。

企業経営理論は暗記ではなく、こうした理解の積み重ねが合格確率を高めます。

今日学んだ知識の中で、誰かに言葉で説明できるようになったものはありますか?

ぜひ、一歩ずつ「内面化」を進めていきましょう!

次回は、まい さんの登場です。 

お楽しみに! 

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