【2次対策】具体化と抽象化を使いこなす! by ぶらんち

こんにちは。タキプロ12期の「ぶらんち」です。前回の記事から約3ヵ月ぶりの登場です。

皆さまは2次試験の模範解答を見て、「ここまで細かく書くの?」「こんなに抽象的でいいの?」と回答の粒度(レベル感)に悩むことはありませんか?設問文や予件文から回答要素を抽出したのはいいけども、どこまで書けばいいか分からないってやつです。

この問題を解決するために、今回は具体と抽象という概念について掘り下げたいと思います。

具体と抽象

まず「具体」「抽象」という概念について認識する必要があります。広辞苑には以下のように記載されています。

ぐ‐たい【具体】
①全体を具備すること。
②個体が特殊な形態・性質をもつこと。

ちゅう‐しょう【抽象】
事物または表象の或る側面・性質を抽き離して把握する心的作用。その際おのずから他の側面・性質を排除する作用を伴うが、これを捨象という。一般概念は多数の事物・表象間の共通の側面・性質を抽象して構成される。

広辞苑第六版より引用

これだと何のこっちゃ分からないのですが、簡単にいうと具体とは「直接的に知覚・認識できるもの」、抽象とは「具体的な物事のパターンをまとめたもの」です。例えば「猫 ⇔ 動物」、「リンゴ ⇔ 果物」、「サッカー ⇔ 球技」といったイメージです。

ただし「隣の家のミケ ⇔ 猫」のように、同じ「猫」でも比較するものによっては抽象的な表現として捉えられます。「具体と抽象」は相対的な概念ということです。

企業経営における「具体と抽象」

企業経営に当てはめてみると、経営理念は抽象的ですが、経営戦略・経営計画と徐々に具体的になっていきます。

架空のドーナツ屋さんに当てはめてもう少し噛み砕くと、以下のようになります。

上記の例は経営戦略レベルまで具体化していますが、「海外企画部を設立するために営業部門から2名、生産部門から2名を異動させる」「田中さんと鈴木さんと異動させるために業務マニュアルの作成・引継ぎを指示する」などと具体化を進めることで、実行に移すことができるようになります。

2次試験での対応

【例題①】平成27年度 事例Ⅲ

では、実際の問題を使って考えてみましょう。

平成27年度事例Ⅲ 第2問
C 社の設備投資は、鋳造工程が優先されてきた。これによって生産工程に生じている問題点と、その改善策を 100 字以内で述べよ。

平成27年度のC社は鋳物製品メーカーです。予件文の必要そうな部分を抜粋すると以下の通りです。

  • 製造現場では、鋳造工程後の仕掛品が多く、その置き場に大きなスペースが必要になり、フォークリフトによる製品の移動は、散在する仕掛品置き場を避けて走行している。
  • 受注増への対応策として鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきた。
  • 工程分析によると、図2に示すように機械加工工程がネック工程となっていた。
  • 機械加工工程の残業が日常的に生じている。
  • 機械加工工程の設備稼働状況を調査し、図3に示す結果を得た。
  • 停止は、刃物、治具の交換や加工前後の製品運搬、機械調整などの段取り作業を主な要因として生じている。
  • 空転は、加工が終了し製品を脱着する必要があるとき、作業員の作業遅れによって設備が待っている状態により生じている。

C社の問題点と改善策は浮かびましたでしょうか?

予件文に書いてある内容は具体的ですよね。ここから問題点と改善策をまとめる行為が抽象化です。ただ、慣れないうちはこんな感じの回答になるんではないでしょうか。

悪い例①

問題点は鋳造工程の生産能力が大きく仕掛品の在庫が増えていることである。改善策は機械工程の稼働力を上げて仕掛品を減らすことである。(64字)

抽象化しすぎて、100字に全然足りていないですね。また、C社長は鋳造工程の生産能力を高めることが「良いこと」と思ってそうしているわけですから、もう少し具体的に説明しないと理解されないかもしれません。

悪い例②

問題点は鋳造工程の生産能力増強を特に進めてきたために仕掛品が増え機械加工工程がネック工程になってしまい、設備間の移動が困難になり残業も増えていることである。改善点は機械工程の稼働率を高めることである。(100字)

今度は問題点を具体的に書きすぎて、改善点が入らなくなってしまいました。問題点と改善点は文量を均等にしたいところです。

良い例

問題点は①仕掛品が増え移動の妨げになっている、②機械加工工程で残業が生じている、ことである。改善点は①生産統制を行い仕掛品を減らし、②機械加工工程の外段取り化や標準化を進め稼働率を高める、ことである。(100字)

これで、問題点に「仕掛品が多いことで引き起こされている弊害」や、「機械加工工程の稼働率が低く残業が発生していること」について46字でまとめることができました。改善点ではそれらを「生産統制や工程見直しにより改善しましょう!」ということでキチンと助言になりますよね。

このように、回答は設問の文字数に収まる範囲で出来るだけ具体的に書くというのがセオリーです。

【例題②】令和元年度 事例Ⅰ

令和元年度事例Ⅰ 第1問
A 社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。

令和元年度のA社は葉たばこ乾燥機を作っていたメーカーです。予件文の流れは以下の通りです。

  • かつて、たばこ産業は厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった。
  • その上、関連する産業振興団体から多額の補助金が葉たばこ生産業者に支給されていた。
  • 彼らを主要顧客としていた A 社の売上は右肩上がりで、最盛期には現在の数倍を超える売上を上げるまでになった。
  • しかし1980 年代半ばに健康志向が強まり、たばこ市場の縮小傾向が進んだ。
  • 時を同じくして、葉たばこ生産者の後継者不足や高齢化が急速に進み、葉たばこの耕作面積も減少するようになった。
  • 2000年代半ばには葉たばこ乾燥機の売上は半分以下となり、大きな問題となった。
  • トップ就任を目前にしていたA社長は、自社製品のメンテナンスを事業化することに取り組んだ。
  • しかしビジネスとして成り立たず、売上減少と費用増大という二重苦を生み出すことになってしまった。
  • A 社長は就任時に最初に取り組んだのは、長年にわたって問題視されていた高コスト体質の見直しである。
  • 減価償却も済み、補修用性能部品の保有期間を過ぎている機械の部品であっても客から依頼されれば個別に対応しており、膨大な数の部品が在庫となって収益を圧迫していた。

設問要求は「最大の理由」なので、一つに絞る必要があります。ただ、ビジネスが成功しなかった要因は複数要素が絡み合っているので、予件文の抜き出しでは対応できません。ここは抽象化スキルを最大限に活かす必要があります。

悪い例

最大の理由は高コスト体質により利益を確保できなかった為。具体的には①古い機械のメンテナンスにも対応し膨大な数の部品在庫を抱えていたこと、②前近代的な経理体制、③人員削減の未実施等で収益を圧迫していた。 (95文字)

上記はぶらんちが本試験で書いた答案です(この年度は落ちました)。抽象化に失敗したために論点がずれてしまい、費用増大にしかスポットが当たっていません。予件文には「売上減少と費用増大という二重苦を生み出すことになってしまった」と書かれているので、なぜ売上が減少したのかにも答えないとですよね。

良い例

最大の理由は利益の確保が難しかったためである。具体的には①葉たばこ市場は縮小しており、メンテナンス需要も少なく売上が減少し、②過度な個別対応により膨大な部品在庫を抱え、費用が増大し収益を圧迫した。(98字)

要は「儲からなかった」ってことですよね。儲からない要因は「売上減少」と「費用増大」なので、それぞれが50字程度になるように具体化しなおしていけば、100字で言いたいことが表現できるようになるかと思います。

■おわりに

いかがでしたでしょうか?

抽象化や具体化とは共通項を見つける作業なので、慣れてもそれなりに時間がかかります。そのためどんなに練習しても、80分しかない本試験において抽象化の程度を全て成功させることは至難の業です。

ただ、問題を解いている最中に「抽象化が上手くいっていない(足りない)…」と感じられる頃には、実はかなり精度が上がっていて、2次試験の点数も安定してくると思います。同じ事例を何度も解くことで十分チカラが付きますから、ぜひ意識して学習を進めて頂ければと思います。

ちなみに、具体化・抽象化が上手く出来ないままだと、試験に合格した後も苦しむことになります(早速実務補習で苦労します)。中小企業診断士は事務仕事(診断報告書や事業計画書の作成など)も多いので、ぜひ合格までに身につけたいですね。

次回はバゴさんの登場です。
お楽しみに!

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