中小企業診断士になるための道、「実務補習」とは by ノブ

読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ14期 TKPエイジレス会員番号5番のノブと申します。

本日はタイトルでも分かる通り、試験合格後の最初の関門「実務補習」についてお話します。

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■はじめに

改めまして、受験生の皆様日々の勉強ご苦労様です。本年度1次試験から受験された方、2次に向けた勉強を本格化される時期と思います。2次は1次と違う出題形式です。戸惑うことも多いかと思いますが、一刻も早く2次の出題形式に慣れて、高得点を狙える回答が書けるよう自分のスタイルを確立してください。
今年は2次一本で頑張っている方、得意分野では得点を伸ばせるように回答方法に磨きをかけ、不得意分野に関しては取りこぼしを起こさないような回答方法を身に着けてください。この辺は2次対応のブログに様々なやり方が書かれていますので、そちらを参照して下してください。
本日は若干余談になりますが、2次試験合格後の事をちょっと書いてみようかと思います。試験勉強のちょっとした息抜きに、試験合格後はこんな事をやらなきゃいけないんだ程度に考えて軽く読んでもらえればと思います。
今回お話しすること、それは試験合格後の最初の関門である「実務補習」です。

■中小企業診断士を名乗るには

さて、これを読んでいるのは中小企業診断士になるために中小企業診断士試験に挑戦している方々だと思います。でも中小企業診断士は、試験に合格しただけではなれません。皆様当然ご存じとは思いますが、復習がてら中小企業診断士の登録要件を確認してみます。

中小企業診断士の登録要件

第2次試験合格日以降で以下1)または、2)の実務要件(15日以上)を満たすこと。
 1)登録実務補習機関が行う実務補習を受講したこと
 2)中小企業者に対する経営の診断助言業務または、経営の窓口相談業務に従事したこと。
 (中小企業庁HPより)

この記載にあるように、診断士登録を果たして、晴れて中小企業診断士を名乗るためには、試験合格後に15日の「実務補習」か「診断助言/窓口相談業務」につく必要があります。
実務補習というのは、中小企業診断士試験合格者が資格登録をするために行われる実習制度で、登録実務補習機関(ex.中小企業診断協会)が行う実習になります。
これに対して「診断助言/窓口相談業務(以下助言業務)」は実際に中小企業に対して助言をする業務をさします。助言業務は中小企業の経営支援に役立つ助言なら何でもOKです。具体的には①民間企業や団体の助言業務の場、②知人の経営する企業の診断、③仕事上の付き合いのある企業の診断などが考えられます。
①はそれなりの助言の経験が必要であったり、②や③はそもそも普通のサラリーマンではそのようなつてがある人は少ないでしょうから、必然的に中小企業診断協会が実施している実務補習が多くの合格者の選択肢となってきます。
実務補習のメリットは、指導員の先生(現役バリバリで経験豊富な中小企業診断士の方々です)のもとで、実際に中小企業を診断し診断報告書を作成するまでの一連の中小企業診断士の診断業務を経験できる点です。

実務補習は一つの企業の診断を5日間かけて行います。これを3回受講する事で、登録要件の15日をクリアできます。
5日間の診断は連続5日間行うというわけではありません。1~2日目と3~5日目は連続ですが、2日目と3日目には1週間程度間隔があります(名古屋地区で実施している実務補習の例では1~2日目が木金、3~5日目が翌週の土日月)。5日間ですが、実際には2週間弱の日程となります。
注意したいのは、名古屋の例でいえば平日が3日間(木金月)含まれるという事です。一般のサラリーマンは2週弱の間に3日間の休暇を取る必要があります。
尚、中小企業診断協会は15日コースという実務補習も準備しています。これは6週間で三つの企業の診断を行うコースとなっています。名古屋の例でいえば、6週間で平日が9日間含まれるサラリーマンには休暇取得の壁が高いコースです。

■実務補習の受講権はプラチナチケット??

多くの合格者が中小企業診断協会が実施している実務補習を受けていると書きましたが、実はこれが曲者。中小企業診断協会は2月と7,8,9月で実務補習を実施していますが、そこには定員があります。
以下が令和5年に実施された実務補習の募集定員です(9月はこれから実施)。合格発表は1月にありましたので、2月に開催された15日コースで受講していれば既に要件は満たしています。

令和5年2月の実務補修定員数(15日間コース)

地域実施月募集人数
札幌25
仙台210
東京2170
名古屋215
大阪260
広島210
福岡215

令和5年2月の実務補修定員数(5日間コース)

地域実施月募集人数
札幌215
仙台220
東京2320
名古屋245
大阪275
広島230
福岡230

令和5年7,8,9月の実務補修募集定員数(5日間コース)

地域実施月募集人数
札幌7
9
10
10
仙台7
9
15
15
東京7
8
9
215
335
225
名古屋7
8
9
35
60
35
大阪7
8
9
75
80
95
広島7
9
20
30
福岡7
9
20
20

定員数を合計すると、15日コースが285名、5日間コースが1830名、5日間コースは3回受講が必要なので、5日間コースだけで要件を満たせる人数は610名となり、中小企業診断協会の実務補習で要件を満たせる人数は単純計算でいけば895(285+610)名となります。
昨年度の2次試験の合格者数が1600名強ですから、半数程度のキャパとなります。
どうでしょうか半分を多いと見るか、少ないと見るか?

先ほども書きましたが、普通のサラリーマン合格者の多くは中小企業診断協会の実務補習を受けざるを得ないとすると圧倒的に不足していると思います。
それを示す客観的な証拠は、募集が始まるとあっという間に定員に達して募集が終了してしまうことです。申し込みはインターネットで行うのですが、早い者勝ちのシステムになっています。申し込みの開始から2時間程度で全国の大方の枠が埋まります。
これはもうお盆の時期の航空券や人気アーティストのライブチケットの様ですね。当然ファンクラブの先行募集のような便利な仕組みはありませんから、当日勝負です。募集当日はパソコンの前に座って募集時間になるのを待つために、申し込みの当日は休暇をとる方も多いようです。
僕の場合は休暇はとらなかったのですが、ありもしない会議を予定表に入れて、会議室も抑えてそこで待機してました。
この申し込みでその年に中小企業診断士に登録されるか、されないかが決まるわけですから、スリルを味わえる一日になります(正確には民間コンサル会社による助言業務の有償実施などに逃げることもできますが、募集枠はそれほど多くないようです)。
僕の場合は2月と7月の実務補習を受講済み(場所は名古屋)で、3回目を9月に受講予定です。

■実務補習って何をやるの??

さて、実際の実務補習ですが5~6名の診断士の卵(受講生)でチームを作って指導役の先生の元、中小企業の診断を行います。
診断でのアウトプットは経営診断報告書になります。この報告書の中には、診断先企業に対する提言を記載します。
社長さんの意向(例えば、新工場を作るのでそれにあった量産ラインを作りたい、売上げを現在の2倍にしたい等々)に沿うにはどうしていけばよいのかを経営戦略、人事、組織、財務、営業、製造などの分野ごとに多面的に分析し、提言をしていきます。
チームのメンバーで各分野の担当を決めて、各人が担当分野の提言を書くことになります。まず経営戦略を決め、その戦略に沿って各分野の提言を考えます。経営戦略を担当する人がチームのリーダーとなる場合が多いです。

補習は5日間で一つの企業の診断を行います。5日間の流れは以下のようになっています。

1日目チームでの担当決定(経営戦略、人事、組織、経理、営業、製造..etc)、診断先企業の訪問1回目
2日目診断先の企業訪問2回目、提言する経営戦略を決め、報告書のストーリー決定
3日目、4日目担当した分野の報告書を持ち寄り、マージして1つの診断報告書を作成。プレゼンの練習(必要に応じてパワーポイントでプレゼン資料作成)
5日目診断先企業を訪問してプレゼン

実施地域によって、診断先の企業の訪問が1回の所もあるようですが、僕の受講した名古屋は2回の訪問が基本でした。
報告書はワードで作成します。企業へのプレゼンはパワーポイントかワードの報告書を使って行います。どちらにするかは指導してくださる先生の意向によりますが、パワーポイントでのプレゼンとなれば、当然その作成も必要です。僕の場合は2回ともパワーポイントでのプレゼンでした。
”なんだ5日間で終わるのか”っていうのは浅はかです。チームで集まって活動するのが5日間というだけで、2日目と3日目の1週間で各自が担当した分野の報告書を書く事になります。
報告書は全体で100ページ程度ですので、一分野当たり15~20ページを書くことになります。
これまで企業の診断経験のない人がいきなり15ページの診断書を書くってのは結構ハードル高いですよね。
更に、指導して頂いたの先生からは、全員分をマージした際に一人が書いたように書き方・方向性があっている必要があると何度も言われました。
当然ですね。診断先の社長さんからしてみれば、報告書の中身が分野ごとにバラバラはなんてことはあり得ませんよね。執筆前に方向性や書き方を決めるのですが、書いているうちにだんだんとずれが生ずることはどうしても起こります。ですからある程度書きあがったところで方向性の確認が必要です。僕の所属したチームでは途中の水曜日の深夜にネットミーティングで全体の整合性の確認をやってました。今はZOOMが市民権を得ていてネットミーティングで深夜にディスカッションができますが、昔は大変だっただろうなとつくづく思いました。

実務補習期間中は実務補習だけに集中できる人は良いですが、大半の人は日中は他の仕事をしていると思いますので、必然的に報告書の作成は日中の仕事が終わった後からとなります。僕の場合は割と仕事が忙しかったので、毎日22時頃から作業を始めて、深夜過ぎまでやってました。当然次の日も仕事は普通にありましたので、寝不足の日々となりました。

■実際に実務補習を受けてみて

僕はこれまで2回の実務補習を受けてます。一番驚いたのは指導の先生により実務補習の印象が大きく変わる点です。
最初に指導をしてくださった先生は大変優しい方でした。僕たちの行った診断先の企業も先生のお付き合いがあるところで、先生と診断先の社長さんとの信頼関係が手に取るようにわかり、こんな中小企業診断士になりたいなという印象を強く持ちました。
2回目の先生は大変厳しく指導をしてくださる方でした。診断士になるための心構え、中小企業の社長さんとどう付き合うべきか、実務補習で何を学ぶべきか等々多くの指導をしていただきました。先生にも深夜のZOOMミーティングにお付き合いいただき、実に多くのことを学ばせてもらいました。
僕はこれまではエンジニアとして社会人人生を過ごしてきました。僕のような全くの異分野からの挑戦者にとっては、いきなり企業診断などできるはずもなく、一連の診断業務が経験できる実務補習は非常に貴重な学びの場となりました。

■実務補習で組んだ仲間は一生もの

実務補習で組んだメンバーは、同じ中小企業診断士になるという目的で試験に合格し、初めて経験する診断活動で一緒に苦労した同期の仲間になります。
診断士は、中小企業の社長さんから様々な要望に対する助言を求められます。すべてに対して的確な助言ができればよいですが、自分の専門領域以外では適切な助言が難しいことがあるかもしません。そんな時に頼りになるのが仲間です。わからないことはその領域に知識がある仲間の力を借りれば適切な助言ができるようになります。
そんな時に真っ先に思い浮かべるのは同期の仲間ではないでしょうか。過去2回の実務補習のチームメンバーとは今もLINEで繋がっている貴重な仲間となりました。

■おわりに

合格後、晴れて中小企業診断士として名乗るためのパスはいくつかありますが、実務補習は試験勉強では得られない知識の獲得や体験ができ、貴重な同期の仲間が作れる場です。ぜひ受講してみることをお勧めします。


その前に、皆様には試験に受かるという高いハードルが待っていますので、まずはそれを確実に飛び越えください。


次回ははっさくさんの登場です。
お楽しみに!

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