地方公務員診断士の実務従事byタイニー


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読者のみなさん、こんにちは。
タキプロ13期のタイニーと申します。

タキプロブログ班に所属して今回の記事が6本目。私が書く記事は今回で最後になります。
一年間お付き合いいただきありがとうございました!

今回は「実務従事」をテーマとし、地方公務員の実務と絡めて記事にしました。

私は人口数十万人規模のとある市役所の職員です。
現在は商店街や個店の振興をメインの業務とする部署に在籍しています。

令和3年度中小企業診断士試験の合格者1,600名のうち、公務員は私を含めて72名とごく少数でした。
その中でも、地方公務員に限ればさらにその数は減るでしょう。

そんなニッチな地方公務員診断士ですが、ある意味では中小企業・行政の双方と最も近い立場にいる中小企業診断士として、うまく立ち回ることで両者の潤滑油的な存在になり得ると思っています。
そこで今回は、地方公務員診断士に求められていることや地方公務員の実務従事について、自分なりに分析してみました。

地方公務員診断士を含む現役の中小企業診断士の皆さまや、これから中小企業診断士を目指すor今年合格してこれから登録を目指す地方公務員の皆さまにとって少しでも参考になれば嬉しいです!

■中小企業診断士の歴史 元々は公務員のための資格だった?

中小企業診断士の歴史を調べると、実は元々公務員と密接な関係のあった資格ということが分かります。

今から遡ること約70年前。
1952年に我々中小企業診断士の前身である「中小企業診断」の登録制度が創設されました。
かなりの歴史がありますね。

その後の1963年。
現在の中小企業診断士の根拠法令である中小企業支援法の前身「中小企業指導法」が制定され、その中で「国や都道府県が行う中小企業指導事業に協力する者」として、中小企業診断員の位置付けが法定化されます。
どうやら、当時は公務員のための資格であり、公務員が一定の要件を満たすことにより登録することができたようです。

現在の中小企業診断士も、国や都道府県が実施する補助金等の産業政策を推進し、浸透させるという重要な役割を担っているけど、当時はさらにその色が濃かったということだね。

そして1969年。
満を持して中小企業診断「中小企業診断」へと名称変更されます。
ちょっとだけ名前がカッコよくなりましたね。(主観)

その後も試験制度の変更などの制度改正を経て、2000年に大きな変化が訪れます。

2000年。
中小企業指導法が大幅に改正され、名称も現行の「中小企業支援法」となりました。

これまで中小企業指導事業は国や県などの公的機関が中心となって推進されていました。
しかしこの法改正により、中小企業支援事業を民間の協力も得ながら行うことが明記されるようになります。
「指導」→「支援」に言葉が置き換わったことからも、国がスタンスを明確に変えたかったことが汲み取れますね。
なんとなく上から目線な感じも消えています。

時代が進み中小企業のニーズも多様化する中、国としても民間の活力により中小企業の課題解決、ひいては経済発展を目指す方向に舵を切ったというわけです。

それから約10年後、私が役所に入庁した2010年頃はすでに“民間活力の活用”というのは流行りの言葉になっていました。
しかし、当時はまだまだ「発注者(官)と受注者(民)」という色合いが強く、“民間に任せた方が直営に比べて費用対効果が高いかどうか”が焦点であり、あくまでも主語は行政という意識が強かったような気がします。

それが近年では特に、官と民が“対等な立場のパートナー”に近づき、お互いが連携して地域の課題解決に取り組むケースが増えていることを実感します。

まだまだ昔ながらのお役所仕事もたくさんありますが、情報収集を怠ることなく、常に新しい発想を持つことを心掛けなければ組織の中でお荷物になってしまうと危機感を覚えることも多いです。

■現在の地方公務員診断士に求められていること

冒頭でも少し触れたように、地方公務員診断士は中小企業・行政の双方と最も近い立場にいる中小企業診断士です。
両者間の潤滑油的な存在となり、中小企業支援を通じた地域課題解決や地域活性化に寄与できるポテンシャルがあると思います。

自らが窓口や現場に立ち、一般的な職員より高いクオリティで地域の事業者の経営相談を受けることができますし、中小企業診断士としての知見や人脈を生かしてコーディネーター的な立ち回りをすることもできるでしょう。
また、地域の事業者にとって最適な支援施策や補助事業の立案に関して診断士の知見を活かすことは大事な役割となります。
ただ単に国や県が策定した政策メニューに乗るかどうかという判断だけでなく、国や県ではカバーしきれないような、地域事業者ならではのニーズを把握し、それに応えることは、地域社会の実情や地元の企業活動の実態を熟知する基礎自治体である役所にしかできない仕事です。

もちろん、中小企業支援に携わる部署に配属されていなかったとしても大丈夫です。
例えば総合計画等の各種行政計画の策定、シティプロモーション、ふるさと納税返礼事業、観光事業、病院事業等々のマーケティング業務、企業会計や地方公会計に関する事務、人事制度や評価制度の立案、業務改善提案など…例をあげれば枚挙に暇がありません。
基本的にはどの部署に異動したとしても、中小企業診断士としての理論や思考方法を抽象化し、自身の業務のプロセスに落とし込めば必ず成果が出せることでしょう。

また、ある意味では仕方のないところもありますが、総じて地方公務員は経営のリテラシーが高くありません。
民間企業であれば利益をあげ、設備投資や配当をしながら事業を拡大・継続するのが最優先になる一方、役所では集めた税金を、福祉・教育・ごみ処理・消防・道路や下水道の整備など、地域住民の生活を支えるために使います。
もちろん税収以外の収入を増やす工夫はいろいろとなされてはいますが、そもそも利益をあげることは二の次なのです。
どちらかというと、「どれだけ支出を削減したか」が評価される風潮があります。

「税金を無駄遣いするな!」という市民の目線もあるからね。

そのため、仕事で経営者さんと接していても、感覚の相違から話が噛み合っていないのでは?という場面がよくあります。

また、その年度の支出はその年度の収入で賄う「会計年度独立の原則」により、役所の年間予算は支出額=収入額となるよう編成され、役所の会計は基本的に単式簿記により運用されています。
そのため、企業の決算書の見方が分からないという職員もたくさんいるのですが、その割には企業から会計帳簿や決算書をお預かりすることも多いので、周りの職員に書類の見方を教えるケースもよくあります。

このような場面でも、企業経営と自治体経営の両方を理解する地方公務員診断士は双方のギャップを埋める働きができるんだ。

偉そうに語ってしまいましたが、私自身まだ中小企業診断士の登録から半年ちょっとのド新人です。
頑張って取った資格なので、せっかくなら地域にとって最大限のバリューを提供できるよう常に考えながら行動していきたいものです。

■地方公務員診断士の実務ポイント獲得方法

中小企業診断士の登録更新のための実務従事実績証明は

  • 診断助言業務実績証明書(様式18)
  • 診断助言業務実績証明書(様式19)
  • 窓口相談業務従事証明書(様式20)

のいずれか、またはこれらを組み合わせて5年以内に30ポイントを獲得することが必要となります。

※詳細は、中小企業庁HP内「Q&A 申請書、証明書等の作成要領」をご覧ください。

前段までは若干きれいごとを交えつつ地方公務員診断士の在り方的なことを書いてきましたが、ここからは地方公務員の「本業」を中小企業診断士の実務ポイント獲得に繋げる方法の一例を、様式別にご紹介します。

診断助言業務実績証明書(様式18

  • こんな場合に使える様式
  1. 公的な機関等から派遣され、中小企業等に対して経営の診断助言を行った場合
  2. 金融機関や大企業等に所属し、取引先等中小企業等に対して経営の診断助言を行った場合

個人的には、公務員診断士としてはこの様式が一番使いづらいのではないかと思います。

要は、公務員診断士が専門家的な立場で「中小企業等に対して経営の診断助言を行った場合」に所属自治体の公印を押して発行できる様式なのですが、多くの自治体は専門家派遣を予算化して事業として行っているため、公務員診断士が一人で経営の診断助言を行うシチュエーションはあまり想像できないからです。

ただし、公務員診断士が役所の中で経営相談の専門員的な地位を確立することができ、事務分担の中でも明確に経営の診断助言を行うことが認められれば、様式18での実務従事実績証明も視野に入ってくるとは思います。

癒着の防止、職員の汎用的な能力開発などの観点から数年おきに異動することが通例の役所としては異例だね。
だけど、中小企業診断士としてのスキルを上司や人事が評価してくれればあり得るかも。

診断助言業務実績証明書(様式19)

  • こんな場合に使える様式
  1. 診断士が事業として行う中小企業等に対する経営の診断助言業務を行った場合
  2. 勤務先が中小企業等であり、経営者の指示のもと、自社の経営の診断助言を行った場合

今年度、私自身この様式19を使って6ポイントほど獲得しました。

私は専門家派遣のコーディネーター的な業務を担当しており、年に何度も専門家の経営支援に帯同しています。
その中で、一緒に経営支援に入っている中小企業診断士の先生の診断助言業務をプライベートでお手伝いさせていただき、実務ポイントを獲得したという経緯です。

中小企業支援のセクションに身を置いていると、中小企業診断士に限らず、独立士業の先生の知り合いが多くできます。
自らが中小企業診断士であれば、このような方たちに相談してみるのはひとつの手だと思います。

また、経営者の知り合いも増えるので、そう言った方々に対して診断助言業務をさせていただいたり、補助金を書いたりすることも考えられます。

当然だけど、公務員としてのモラルを持ち、無報酬かつプライベートで行うことが前提だよ。

窓口相談業務従事証明書(様式20)

  • こんな場合に使える様式
  1. 国、地方自治体や中小企業支援に関する団体等が実施する中小企業等の経営に関する窓口相談業務を1日5時間以上行った場合

この様式20は、民間の中小企業診断士には使うことができない公務員診断士の切り札です。

あんたら1日5時間以上の窓口相談業務とか絶対やってないやろ。

と思ったそこのあなた。

実はよくよくQ&Aを読み込んでみると、こう書かれています。

「1日が5時間に満たない時は別紙等に日毎の実施時間を記入してください。」
つまり、日々の窓口相談業務を累積していき、5時間に達するごとに1ポイント獲得、という使い方もできるのです。

とは言え、どのレベルの窓口相談を実務としてカウントするかは悩むポイントだと思います。
(事業者さんと窓口で話したと言っても、ただの世間話や与太話ならさすがにそれは窓口相談とは言えないですからね。)
私の場合、経営相談の他にも、専門家派遣や補助金事業などの打合せの時間も窓口相談業務としてカウントし、年度末に本年度分の累積時間を5時間=1ポイントとして換算、公印を押して様式20を発行するということで上司の許可を得ました。

まだ年度途中で累計中なのですが、このまま行くと恐らく今年度は様式20で5ポイント前後の実務従事ポイントが獲得できる見込みです。

この様式20、恐らく本来は自治体の経営相談専門員や、よろず支援拠点等の相談員が使うことを想定したものではないかと思います。
そうでなければ、普通の公務員が1日に5時間も経営に関する窓口相談業務を行うことはまずないですからね。
その中でも、「1日が5時間に満たない時は別紙等に日毎の実施時間を記入してください。」という注釈を付けていただけたのは、公務員診断士に対する中小企業庁の御慈悲なのではないかと、勝手に思っております(笑)


民間の企業内診断士であれば、副業として開業し、稼ぎながら実務ポイントを獲得することができると思います。羨ましいです。
あるいは、中小企業の企業内診断士であれば、自らの会社に対する診断助言業務を行うことで実務ポイントを獲得することもできるでしょう。

しかし、地方公務員は地方公務員法で副業が原則禁止とされている上、役所への診断助言は実務要件の対象とはなりません。
なので、実務ポイントを獲得するには上述のような方法で①本業を実務ポイントに結び付ける②プライベートで無報酬の診断士活動を行うという二択が現実的な路線になるかと思います。

■今後の展望

中小企業診断士の資格を取得したことで、視野が広がると同時に、自分自身のキャリアを客観的に見つめる機会ができました。
運よく試験にはストレート合格できた私ですが、大卒からずっと役所勤めということもあり、対外的な強みは思いつく限り一切持ち合わせていないことを痛感しています。

一時は転職を考えたり、あるいは他の資格を取得しようかと色々調べたりしたこともありました。
しかし、中小企業支援に携わる現在の部署にいられることは、地方公務員診断士としてはとても恵まれた環境ということを再認識し、浮ついた気持ちはいったん捨て去りました。

異動後も中小企業支援の関連部署に居続けることができれば、中小企業診断士の登録を更新します。
人脈作りや経験のため協会に加入するかもしれません。

一方、まったくの畑違いの部署に異動した場合は、恐らく登録を休止することになると思います。
上述のとおり、役所内のどんな部署に異動したとしても、多かれ少なかれ中小企業診断士としての知見は活かすことが可能です。
しかし現実的に考えると、本業を実務ポイントに結び付けることができなければ登録更新の負担が大きすぎるためです。
その場合、15年間の休止期間の中で再登録する理由ができれば再登録しますし、その時が来なければそこで終わりなのかなと思います。

いずれにしろ先のことはまったく分からないので、今は目の前の仕事に全力を注ぎつつ、診断士の知識もブラッシュアップしていくことが目下の意気込みです。

■おわりに

早いもので、中小企業診断士に合格してから約一年が経過しました。

私自身、受験生時代には受験生支援機関に大変お世話になっていたため、合格後はどこかしらの支援機関に身を置きたいと考えていました。
昨年は家庭環境が大きく変化したこともあり、思い描いた診断士活動はできませんでしたが、その中でもタキプロに一年間携わらせていただいたことは自分の中では大きな財産です。

ブログ班として執筆した記事はたったの6本ですが、どれも心を込めて書かせていただきました。
タイニーのノウハウが今後も一人でも多くの受験生のお役に立てれば本望です。

ブログを読んでいただいた皆さま、タキプロの皆さま、特にブログ班、リーダー陣の皆さま、本当にありがとうございました。

中小企業診断士試験界隈には複数の受験生支援機関が存在し、前年度の合格者が受験生に対して熱心に支援活動を行っています。
このような光景は、他の資格試験では見られないのではないでしょうか。

明確な答えがない2次筆記試験では、先人の残したノウハウが合格への鍵になります。
そして何より、受験生支援活動を通じて、合格者であっても受験生であっても、人と人との繋がりがたくさん生まれていきます。
もうじき誕生する新たな中小企業診断士試験合格者たちが一人でも多く受験生支援に携わり、この素晴らしい文化が今後も脈々と受け継がれていくことを願っています。

中小企業診断士を続けていけば、この記事をお読みいただいた方ともいつかお会いする日が来るかもしれません。
その際は、どうぞよろしくお願いします。

それではさようなら!


次回はみっちーさんの登場です。
お楽しみに!

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